朝、玄関で動けなくなる子どもを前にして、親の焦りは頂点に達します。しかし、結論から言えば、無理やり連れて行くことは根本解決になりません。子どもの心が限界を超えている場合、強引な登校は深い心の傷を残します。
まずは現状を正しく把握し、親が冷静な判断基準を持つことが重要です。
📚 不登校の全体像を整理したい方へ
はじめの一歩から学びの選択肢まで、状況別に記事をまとめた「不登校の基礎知識」ガイドもあわせてご覧ください。お子さんに合う居場所探しの一歩にも。
1. 行き渋り(登校しぶり)とは? 意味と、不登校との違い
「行き渋り(いきしぶり)」とは、学校に行きたくない気持ちが行動にあらわれている状態を指す言葉です。「登校しぶり」とも呼ばれます。完全に休んでいるとは限らず、行きたくないと訴えながらも最終的には登校している段階を含むのが、「不登校」との大きな違いです。
行き渋りは、法令や統計上の正式な用語ではありません。一方で「不登校」は、文部科学省の調査上、「何らかの心理的・情緒的・身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者(病気や経済的な理由によるものを除く)」と定義されています(文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)。
つまり行き渋りは「不登校の一歩手前」だけを指すのではなく、その前後を含む幅広いグラデーションの中にある状態です。ここを取り違えると、「まだ行けているから大丈夫」と対応が遅れたり、逆に「もう不登校だ」と焦りすぎたりします。まずは今どの段階にいるのかを、下の表で整理してみてください。
行き渋り・五月雨登校・不登校の違い早見表
| 状態 | 登校の様子 | よくあるサイン | この段階でまず大切なこと |
|---|---|---|---|
| 行き渋り (登校しぶり) | 行きたくないと言うが、最終的には登校していることが多い | 朝の腹痛・頭痛、玄関で動けない、前夜から不機嫌、日曜の夜に泣く | 「甘え」と切り離してSOSとして受け取る。休養と原因の見立てを同時に |
| 五月雨(さみだれ)登校 | 行ける日と行けない日が混ざる。遅刻・早退・別室登校が増える | 週の後半に休みが偏る、行事の前後で崩れる | 出席の形を学校と相談して増やす(別室・保健室・時差登校) |
| 不登校 | 年間30日以上欠席している(文科省の調査上の定義) | 外出も減る、昼夜逆転、学校の話題を避ける | 学校復帰だけをゴールにせず、学びと居場所の選択肢を並行して確保 |
| 不登校傾向 | 在籍はしているが、心理的には教室から離れている | 保健室・別室で過ごす時間が長い、教室に入れない | 本人が安心して過ごせる場所を校内外に確保する |
なお、2016年に成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)」以降、国の通知でも「学校に登校する」という結果のみを目標にしないという考え方が示されています(文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」)。行き渋りの段階でも、この視点は同じように役立ちます。
「行き渋る」子は、決して珍しくない
文部科学省の調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は長期にわたって増加が続いていることが公表されています(同調査)。行き渋りは統計に表れない段階のため実数は分かりませんが、不登校に至る前の段階を含めれば、その何倍もの子どもが「行きたくない」を抱えていると考えられています。「うちの子だけ」ではありません。
2. 小学校の行き渋り(登校しぶり)無理やり行かせるのは逆効果?
行き渋りが始まった際、多くの親御さんが「一度休ませると癖になる」という不安に駆られます。しかし、近年の教育心理学では、初期段階での適切な休養が早期回復を助けると考えられています。無理に登校させることは、子どもが発している防衛反応を無視する行為に他なりません。
親が「学校へ行くこと」だけを正解とすると、子どもは逃げ場を失い、さらに深く心を閉ざします。
3. 無理強いが招く「二次障害」と不登校の長期化
行き渋る子どもを力ずくで登校させると、深刻な二次障害のリスクが高まります。学校を「恐怖の場所」と認識し、パニック障害やうつ症状を呈する場合もあります。親への不信感が募り、家庭内での対話が途絶えることも珍しくありません。一度心が折れてしまうと、再登校までにかえって数年単位の時間を要します。文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について」でも、本人の状況に応じた支援が強調されています。無理をさせるメリットとデメリットを比較し、長期的な視点を持つべきです。
| 項目 | 無理に登校させた場合のリスク | 本人の意思を尊重して休ませた場合 |
|---|---|---|
| 心の状態 | 強い恐怖心や親への不信感 | 安心感による自己肯定感の維持 |
| 身体症状 | 腹痛・頭痛などの慢性化 | 休息による自律神経の安定 |
| 家族関係 | 対立が激化し、会話が消失 | 信頼関係が深まり、相談しやすくなる |
| 将来への影響 | 長期的な不登校へつながる恐れ | 心のエネルギーを溜め、再登校へ備える |
4. 「甘え」ではなく「SOS」として捉える重要性
多くの場合、行き渋りは子どもが自分を守るために必死に出しているサインです。「みんな頑張っているのに」という比較は、子どもをさらに追い詰めます。特に小学校低学年は、自分の苦しさを言葉で説明する語彙力が足りません。そのため、「お腹が痛い」「体が動かない」といった身体症状で訴えます。これは「怠け」ではなく、脳が限界を感じて発している防衛反応なのです。親がこれを「甘え」と切り捨てず、命を守るSOSだと認識を改めることが不可欠です。家庭を唯一の「安全基地」にすることが、回復への第一歩となります。

5. 【判断基準】休ませる?頑張らせる?迷った時のチェックリスト
朝の数分間で休ませるか決めるのは、親にとって非常にストレスフルな作業です。感情に流されず、客観的な指標に基づいて判断するためのリストを活用しましょう。以下の状態が一つでも当てはまる場合は、勇気を持って休養を選択してください。身体的な反応は、言葉以上に本人の限界を正確に示しています。
| チェック項目 | 具体的な状態の詳細 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 身体症状 | 吐き気、腹痛、微熱、激しい頭痛 | 身体が拒否反応を示しているため休息 |
| 睡眠と食事 | 寝つきが悪い、悪夢を見る、食欲が極端に落ちる | 自律神経が乱れているサイン |
| 表情・言動 | 目が合わない、無表情、死にたい等の過激な発言 | 心のエネルギーが枯渇している危険な状態 |
| 登校前後の変化 | 前夜から泣き続ける、玄関先で硬直して動けない | 無理に行かせる段階ではない |
6. 小学校で行き渋り・登校しぶりをするのはなぜ?主な原因と背景
行き渋りの理由は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。学年によって悩みの質が異なるため、年齢に応じた視点を持つことが大切です。親が原因を決めつけるのではなく、多角的に背景を推察する姿勢を求められます。本人の心の声を聴くためには、まず大人が「なぜ?」という背景を理解しておく必要があります。
7. 低学年(1年生・2年生・3年生)に多い原因
小学校低学年の場合、生活環境の劇的な変化が最大のストレス要因となります。幼稚園や保育園のような「遊び」中心から、「学習」中心への移行は困難を伴います。特に1年生は、45分間椅子に座り続けること自体が大きな負担です。また、母子分離不安が強く残り、親から離れることに恐怖を抱く子もいます。給食が食べられない、トイレに行きにくいといった些細な事柄も原因になります。この時期は「学校のルール」に馴染めない不安を解消してあげることが先決です。家庭内での会話を通じて、何がハードルになっているかを探る根気が必要になります。
8. 高学年(4年生・5年生・6年生)に多い原因
高学年になると、原因は「学習面」から「対人関係」へとシフトしていきます。友人グループ内の力関係や、SNSを通じた複雑なコミュニケーションが影響します。思春期の入り口に立ち、教師の指導に対しても批判的な視点を持つ時期です。授業内容が難化し、テストの点数で自己肯定感を損なうケースも増えてきます。周りの目を過剰に気にし、「失敗したくない」という完璧主義が足を引っ張ります。心の成長に伴い、自分自身のアイデンティティに悩む姿も多く見られます。親は答えを急かさず、横に寄り添う姿勢が求められます。
9. 夏休み明け・連休明けなど「休み明け」に起きやすい理由
長期休暇明けは、学校生活での緊張感がリセットされた直後のため注意が必要です。休日に自分らしく過ごした分、学校での「仮面」を被ることに抵抗を感じます。特に夏休みは期間が長く、昼夜逆転などで生活リズムが崩れやすい時期です。「またあの日々が始まるのか」という絶望感が、登校を拒む要因となります。休み明けの登校は、大人にとっての仕事復帰以上に、子どもには高い壁となります。事前の無理な登校刺激を避け、緩やかに日常へ戻す配慮が必要です。まずは一週間、登校できれば合格点という余裕を持ちましょう。
10. 背景に隠れている特性(発達障害・HSCなど)との関連性
行き渋りの背景には、生まれ持った気質や発達の特性が関係していることもあります。例えば、HSC(ひといちばい敏感な子)は教室の騒音や光に疲れ果ててしまいます。また、ASD(自閉スペクトラム症)の子は、時間割の変更などの「予測不能」を嫌います。ADHD(注意欠如・多動症)の子は、衝動性を抑え続けることにエネルギーを使い切ります。これらの特性を持つ子にとって、学校は常に「過覚醒」を強いられる過酷な環境です。診断の有無に関わらず、本人の苦痛を環境調整で軽減する視点が欠かせません。学校側の理解を得るための話し合いが不可欠となります。
学年・年齢別に見る「行き渋り」のサイン早見表
同じ「行きたくない」でも、年齢によって出方も、背景にあるものも変わります。低学年ほど言葉より身体に、高学年から中学生ほど言葉より沈黙にあらわれる傾向があると言われています。お子さんの学年の行を、まず読んでみてください。
| 時期 | 出やすいサイン | 背景として語られやすいもの | 家庭でまず試すこと |
|---|---|---|---|
| 園児〜小1・小2 | 朝の腹痛・頭痛・吐き気、保護者から離れられない、玄関で泣く | 母子分離不安、集団生活への慣れ、生活リズムの変化 | スキンシップと予告。「行ったら必ず迎えに行く」を具体的に伝える |
| 小3・小4 | 「なんとなく行きたくない」、支度が極端に遅い、宿題を避ける | 友人関係の入れ替わり、学習内容の抽象化(9歳の壁) | 理由を問い詰めず、できていることを言葉にして返す |
| 小5・小6 | 言葉が減る、部屋にこもる、特定の曜日だけ休みたがる | 人間関係の固定化、思春期の入口、教科担任制への移行 | 決定権を本人に少し渡す(何時に起きるか、どの授業から出るか) |
| 中学生 | 昼夜逆転、スマホから離れられない様子、進路の話を避ける | 部活・定期テスト・内申点のプレッシャー、対人不安 | 進路の選択肢が複数あることを、事実として先に見せる |
| 学年を問わず | 行事の前後で崩れる、日曜の夜に不安定になる | 見通しの立たなさ、感覚過敏、発達特性 | 予定を絵や表で見える化する。感覚過敏への配慮も検討 |
朝の腹痛や頭痛が平日の朝だけ起きて、休日は元気という形で続く場合、起立性調節障害など身体の要因が重なっていることもあります。「気持ちの問題」と決めつけず、一度小児科に相談してください(参考:日本小児心身医学会)。
11. 行き渋る子どもへの「正しい対応」と「避けるべきNG行動」
行き渋りへの対応において、親が「何をするか」以上に「何をしないか」が重要です。良かれと思った声かけが、時として子どもを深く傷つけ、心を閉ざさせます。親がまず落ち着き、どっしりと構えることが子どもに安心感を与えます。大人の焦りを子どもにぶつけない仕組み作りを考えましょう。

12. 〇:まずは「行きたくない」という気持ちを丸ごと受け止める
最も効果的なのは、子どもの感情を否定せずにそのまま鏡のように返すことです。「そうか、学校に行きたくないんだね」という言葉は、子どもを安心させます。理由を話してくれないとしても、その「言いたくない気持ち」さえ受け入れてください。親に分かってもらえたという実感が、子どもの心のエネルギーを充填します。解決策を提示するのは後回しにし、まずは徹底して聞き役に回ることが正解です。この受容のプロセスを飛ばすと、子どもは孤独感を深めてしまいます。信頼関係を再構築することが、将来的な再登校への最短距離となります。
13. 〇:スモールステップ(遅刻登校・別室登校)の活用
学校への復帰を急ぐ必要はありませんが、繋がりを維持する方法は模索しましょう。1時間目だけ出席する、あるいは給食だけ食べに行くといった選択肢も有効です。教室に入るのが難しいなら、保健室や相談室での別室登校を検討してください。「玄関まで行く」という小さな成功体験を積み重ねることが自信に繋がります。ただし、これらはすべて「本人が納得していること」が大前提となります。本人の意向を無視したステップの設定は、かえって負担を強いることになります。学校と相談し、本人が最も安心できる登校形態を探ることが肝要です。
14. ×:理由を問い詰める・根性論で励ます・ご褒美で釣る
「なぜ行けないの?」という問いかけは、子どもにとって最も苦しい質問です。理由が言語化できていれば、子どもは既に何らかの解決を試みているはずです。また、「頑張れば行ける」といった励ましは、既に頑張り抜いた子を絶望させます。ゲームや玩具などのご褒美で釣る方法は、一時的には機能しても長続きしません。それどころか、「報酬がないと動けない」という依存状態を生むリスクがあります。原因探しを止め、現在のありのままの状態を許容することから始めてください。負のループを断ち切るには、親の価値観を一度リセットする必要があります。
15. 親が「仕事に行けない」と焦った時のマインドセット
保護者にとって最大の悩みは、仕事との両立であり、自身の生活への不安です。「自分が会社を休むわけにはいかない」という焦りは、子どもに敏感に伝わります。まずは職場の信頼できる上司や同僚に、正直に状況を話して理解を求めましょう。有給休暇の活用やリモートワークへの切り替えなど、柔軟な働き方を検討してください。親が自分を犠牲にしすぎると、心に余裕がなくなり子どもを攻撃してしまいます。「仕事も大事だが、今は家族の非常事態である」と割り切る勇気が必要です。親自身のケアも、立派な支援の一部だと認識してください。
行き渋りが起きた朝、家庭でできる「30分の関わり」
朝は、親も子も一番余裕がない時間帯です。あらかじめ「この順番でいく」と決めておくだけで、押し問答は驚くほど減ります。以下は、多くの家庭で実践されている流れを時系列に整理したものです。登校させることではなく、子どもを安全な状態に戻すことが、この30分のゴールです。
行き渋りの朝|30分のタイムライン
まず親が座る
立ったまま急かすと、子どもの体は身構えた状態になります。同じ高さに座り、最初の一言は「そっか」だけで十分です。
体の状態を確かめる
熱・腹痛・頭痛・眠れたかを、責める調子ではなく事実として確認します。ここで身体症状があれば、その日は休養に切り替える判断材料になります。
選択肢を2つに絞って渡す
「行く/行かない」ではなく、「1時間目から行く/給食から行く」「今日は休んで、明日の朝もう一度決める」のように、本人が選べる形にします。
学校へ連絡する(親がする)
子ども本人に電話をさせないこと。連絡帳・電話の文例は、この記事の後半にまとめています。
その日の過ごし方を一緒に決める
休むと決めたら、罰にしない・ごほうびにもしない。「体を休める日」として、起きる時間と食事だけ確認します。
ここで一番避けたいのは、玄関でその日の是非を延々と議論することです。時間切れの焦りが、親の言葉を強くします。30分で区切ると決めておくだけで、翌朝に持ち越せる関係が残ります。
16. 学校への連絡はどうする?連絡帳の書き方と相談のコツ
学校との連携は、行き渋り解決のための強力な武器になります。担任を「敵」や「監視役」ではなく、共に子どもを支える「パートナー」にしましょう。丁寧かつ具体的な情報共有が、学校側での適切な配慮を引き出します。情報の透明性を高めることで、誤解によるトラブルを防げます。

17. 【例文あり】連絡帳で「行き渋り」を伝える時の文面
連絡帳には、現在の状況をありのままに、かつ感情的にならずに記載しましょう。嘘の理由を書くと、後で整合性が取れなくなり、子どもにさらなる嘘を強いることになります。事実を伝えつつ、学校側の協力を仰ぐ姿勢を見せることがポイントです。テンプレートを参考にしながら、ご家庭の状況に合わせて調整してください。言葉選び一つで、担任との協力体制は劇的に変わります。
| 対象 | 文面のテンプレート例 | 意識すべきポイント |
|---|---|---|
| 低学年向け | 「朝から登校に不安を感じて泣いており、本日は家庭で様子を見ます。最近、学校での様子に変化はありましたでしょうか。」 | 家での様子を具体的に伝え、学校での情報を求める |
| 高学年向け | 「本人の登校への意欲が著しく低下しているため、相談の上欠席させます。後ほど改めてお電話にてご相談させてください。」 | 本人の意思を尊重した結果であることを明記する |
| 再登校時 | 「本日は2時間目から登校予定です。保健室利用の可能性も含め、見守りをお願いできますでしょうか。」 | 登校のハードルを下げる具体的な依頼を行う |
18. 電話連絡をするタイミングと担任への相談内容
電話で詳しく相談したい場合は、放課後の16時以降を目安にしてください。朝の忙しい時間は欠席の事実のみを伝え、深い相談は落ち着いた時間に行います。担任には、家庭での具体的な変化や、子どもが発した学校への不安を共有しましょう。一方的に要望を押し付けるのではなく、「どうすれば協力し合えるか」を話し合います。担任が頼りないと感じる場合は、学年主任や教頭などの管理職を交えるのも手です。冷静に、かつ毅然とした態度で子どもの権利と安全を主張してください。対話の記録を残しておくことも大切です。
19. スクールカウンセラーや専門機関(小児科・教育相談)への相談
担任以外の専門家を味方につけることは、親の精神的な支えにもなります。スクールカウンセラーは、学校内部の事情に精通しており、環境調整の助言をくれます。また、身体症状が強い場合は、小児科や児童精神科の受診を迷わず検討しましょう。医学的な見地からの診断やアドバイスは、学校への配慮依頼の根拠となります。自治体の教育相談センターや適応指導教室などの外部機関も、貴重な情報源です。一人で抱え込まず、支援のネットワークを広げることが、早期解決の鍵を握ります。複数の窓口を持つことで、多角的な解決策が見えてきます。
20. 行き渋りはいつまで続く?回復までのロードマップ
「いつになったら元通りになるのか」という不安は、親を最も疲弊させます。しかし、回復は一直線ではなく、三歩進んで二歩下がるような波があります。長期戦を覚悟しつつも、小さな変化を見逃さない観察眼を持ちましょう。焦燥感は回復を阻害する最大の要因であることを忘れないでください。
21. 「学校に行けた・行けない」で一喜一憂しない
登校できた日は喜び、休んだ日は落ち込むという態度は、子どもに重圧を与えます。子どもは親の顔色を伺い、「学校に行けない自分はダメだ」と自分を責め始めます。登校の有無を「成功・失敗」の指標にするのは、今日から止めてください。大切なのは、学校に行っても行かなくても、子どもの存在価値は変わらないことです。家庭内で穏やかに過ごせているなら、それは着実に回復に向かっている証拠です。「今日はゆっくりできたね」と、休息そのものを肯定してあげましょう。親の心の安定が、子どもの一番の薬になります。
22. 家庭を「安全基地」にするための環境づくり
家庭が安心できる場所であれば、子どもは自ずと自浄作用を発揮して回復します。学校の話を一切出さない時間を作り、好きな遊びや趣味に没頭させてください。美味しい食事や十分な睡眠など、基本的な生活の質を整えることに注力します。親が笑顔で過ごし、家の中の空気を明るく保つことが何よりの薬となります。過度な期待や将来への不安を子どもにぶつけないよう、親自身も息抜きをしてください。エネルギーが溜まれば、子どもは自ら外の世界へ目を向け始めます。無理な刺激を避け、時を待つ強さを持ちましょう。

23. 再登校への意欲が湧いてくるサインの見極め方
心のエネルギーが充填されてくると、少しずつ「動き出したい」サインが現れます。学校の話題を自分から口にする、宿題を気にし始めるなどの行動はその典型です。また、友達の様子を気にかけたり、外出への意欲が高まったりするのも良い兆候です。これらの変化が見られた時も、親は決して急かしてはいけません。「明日から毎日行こう」などとハードルを上げず、見守る姿勢を貫きましょう。本人が「行ってみようかな」と言い出すのを待つのが、最も確実な再開方法です。焦って背中を押しすぎると、再び振り出しに戻る恐れがあります。
データで見る「行き渋り」——学年が上がるほど増えていきます
行き渋り(登校しぶり)そのものを数えた全国調査はありませんが、その先にある不登校の数は毎年公表されています。文部科学省が令和7年10月に公表した「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によれば、小学校の不登校児童数は137,704人(前年度130,370人)、1,000人あたり23.0人。小中合わせて353,970人で過去最多でした。
| 学年 | 不登校児童生徒数 |
|---|---|
| 小1 | 8,738人 |
| 小2 | 14,125人 |
| 小3 | 19,460人 |
| 小4 | 25,322人 |
| 小5 | 31,979人 |
| 小6 | 38,080人 |
| 中1 | 58,736人 |
| 中2 | 77,066人 |
| 中3 | 80,464人 |
この数字の読み方で大切なのは、学年が上がるほど増えていくという点です。小6(38,080人)は小1(8,738人)の約4.4倍。低学年で行き渋りが出ることは決して珍しくありませんが、人数として多いのは中学年から高学年です。「低学年のうちだけの一時的なもの」と決めつけず、学年が上がってから出てくる可能性も頭に置いておくと、慌てずにすみます。
もうひとつ。令和6年度は小1だけが前年度(9,154人)より減っていて、小2から小6はいずれも前年度を上回りました。「低学年ほど急増している」という言い方は、この数字からは正確ではありません。
行き渋りの段階でできる「学校への相談」——お願いの伝え方
行き渋りは、まだ学校とのつながりが保たれている段階です。ここで学校と話ができていると、その後がずいぶん違ってきます。連絡帳の書き方はこの記事の前半で紹介しましたが、ここでは「何をお願いできるのか」を整理しておきます。
| お願いできること | どんな子に向いているか | 伝え方の例 |
|---|---|---|
| 遅刻登校を認めてもらう | 朝がいちばんしんどい/行けば過ごせる | 「朝の支度に時間がかかるので、2時間目からの登校でもよいでしょうか」 |
| 別室・保健室で過ごす | 教室はきついが、学校の建物には入れる | 「教室で人数が多いと疲れてしまうようです。落ち着ける部屋をお借りできますか」 |
| 持ち物・宿題の量を調整する | 疲れやすい/完璧にやろうとして苦しくなる | 「いまは全部そろえるのが難しいので、優先するものを教えていただけますか」 |
| 席・班・当番を配慮してもらう | 特定の子や場面が苦手 | 「◯◯の時間が特に苦手なようです。座席や進め方でご相談できますか」 |
| スクールカウンセラーの予約 | 理由がはっきりしない/親も判断に迷う | 「一度スクールカウンセラーの先生とお話しできる日を教えてください」 |
| 音・光・においへの配慮 | 感覚の過敏さがありそう | 「大きな音が苦手なようです。イヤーマフの持ち込みは可能でしょうか」 |
スクールカウンセラーは、学校を通じて無料で相談できます(文部科学省 スクールカウンセラー等活用事業)。相談したことで不利益な扱いを受けることはありません。
行き渋りが続いて休む日が増えてきたら——覚えておきたい制度
遅刻や欠席が積み重なると、「このまま欠席が増えたらどうなるのか」が心配になります。いまは、学校を離れて学んだ日を指導要録上の出席扱いにできる仕組みがあります。根拠は令和元年10月25日「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」元文科初第698号の別記1(学校外の公的機関・民間施設)と別記2(自宅でのICT等を活用した学習)です。よく引用される平成17年の通知(17文科初第437号)はこの通知で廃止されているため、現行の根拠は別記1・別記2になります。
| ルート | 主な要件(要約) |
|---|---|
| 別記1:学校外の施設に通う | 保護者と学校の間に十分な連携・協力関係があること/原則は教育支援センター等の公的機関。それが困難で本人・保護者が希望する場合は民間施設も考慮/その施設に通所または入所して相談・指導を受けていること |
| 別記2:自宅でICT等を使って学ぶ | 保護者と学校の間に十分な連携・協力関係があること/訪問等による対面指導が適切に行われること/学習内容が在籍校の教育課程に照らして適切と判断できること |
さらに令和6年8月には学校教育法施行規則が改正され、欠席中に学校外で学んだ成果を成績評価に反映できることが法令に位置づけられました(令和6年8月29日 6文科初第1126号)。保護者向けの解説は文部科学省のリーフレット(2026年4月公表・PDF)が分かりやすいので、担任に相談するときに持っていくとよいと思います。
「出席扱いになります」とは書けません
- これは自動的に適用される制度ではなく、在籍校の校長が判断する枠組みです。
- 通いたい施設が決まったら、必ず先に担任・校長に相談し、学校と施設が情報共有できる形をつくってください。
- 自治体によっては、フリースクール等の利用料の補助制度があります(例:東京都は月額2万円が上限)。市区町村の教育委員会にご確認ください。
低学年の行き渋りと「離れることへの強い不安」
小学校低学年の行き渋りでは、保護者と離れるときに強い不安が出るお子さんがいます。国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」では、分離不安を「アタッチメントを生じている保護者から離れるときに、年齢などを考慮してもなお、不適切なほどに強い不安を感じる状態」と説明しています。
ただし、行き渋り=分離不安症、とは言えません。診断は医療機関が行うものですし、多くの子は成長のなかで落ち着いていきます。気になる場合は、まずスクールカウンセラーに相談し、腹痛や頭痛など体の症状が続くようであれば小児科や児童精神科に相談してください。
無料で使える公的な相談先(お金はかかりません)
行き渋りのことで迷ったとき、まず頼れるのは無料の公的な窓口です。民間のサービスを検討するのは、そのあとでも遅くありません。
| 窓口 | どんなときに | 連絡先・公式ページ |
|---|---|---|
| 24時間子供SOSダイヤル | いますぐ誰かに話したいとき。子ども本人も保護者もかけられます | 0120-0-78310(無料・24時間)/文部科学省の案内ページ |
| SNS・チャットの相談窓口 | 電話が苦手なとき。LINEやチャットで相談できます | 文部科学省「SNSで相談できる窓口」 |
| 子ども本人向けの窓口一覧 | 子ども自身が読めるふりがな付きのページです | 文部科学省「24じかんに相談できる窓口」 |
| スクールカウンセラー | 学校を通じて無料で相談できます。予約は担任か学校の窓口へ | 文部科学省 スクールカウンセラー等活用事業 |
| 教育支援センター(適応指導教室) | 市区町村が設置する公的な居場所。原則無料で、出席扱いになることが多い | 文部科学省「教育支援センター整備指針(試案)」PDF |
| お住まいの地域の相談窓口 | 47都道府県ごとの相談先がまとまっています | 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 |
| 児童相談所相談専用ダイヤル | 子育ての悩み全般。匿名でも相談できます | 0120-189-783(無料・24時間)/こども家庭庁 |
| 体の症状が続くとき | 腹痛・頭痛・眠れないなどが続く場合は小児科・児童精神科へ | 日本小児心身医学会(一般の方へ) |
つらい気持ちが強いときは、すぐに相談してください
24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310(通話無料・24時間・子ども本人も保護者もかけられます)/ 電話が苦手な方はSNS・チャットの相談窓口(文部科学省)/ 児童相談所相談専用ダイヤル 0120-189-783(こども家庭庁)
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「行き渋り」「登校しぶり」「いきしぶり」は同じ意味?──呼び方の違いと使い分け
調べていると「行き渋り」「行きしぶり」「いきしぶり」「登校しぶり」「登校渋り」と、いくつもの書き方に出会います。結論から言うと、これらはほぼ同じ状態を指す言葉です。表記が分かれているのは、行き渋りが法令や統計上の正式な用語ではなく、家庭・学校・支援の現場でそれぞれの言い方が定着してきたためです。国の調査で定義されているのは「不登校」だけで、その手前にある状態をまとめて呼ぶ公式な名前はありません(文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)。
つまり、どの表記で検索しても探している情報は同じです。ただし相手によって通じやすい言い方は変わります。下の表で整理しました。
| 呼び方 | よく使われる場面 | 指している状態 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 行き渋り(いきしぶり) | 保護者どうしの会話、書籍、Webの記事 | 学校に行きたくない気持ちが、行動としてあらわれている状態 | 本記事の表記。読みは「いきしぶり」 |
| 行きしぶり | 子ども向けの資料、園や低学年向けのおたより | 同じ | ひらがな表記。やわらかい印象で使われる |
| 登校しぶり | 学校・教育委員会・スクールカウンセラー | 「登校」という行為に絞った言い方 | 学校に相談するときはこの言い方がいちばん通じやすい |
| 登校渋り | 教員間の記録や校内の文書 | 同上 | 「しぶり」を漢字にした形。話し言葉ではあまり使わない |
| 登園しぶり | 保育園・幼稚園 | 園に行きたがらない状態 | 就学前に起きる同じ現象。小学校入学後も続くことがある |
| 五月雨(さみだれ)登校 | 学校・支援の現場 | 行ける日と行けない日が混ざる段階 | 行き渋りより一段進んだ状態を指して使われることが多い |
| 不登校 | 文部科学省の統計・通知 | 年間30日以上の欠席(病気・経済的な理由によるものを除く) | 唯一、国が定義している言葉 |
「行き渋る」は動詞。診断名でも障害名でもありません
「行き渋る」は、「渋る」=気が進まずためらう、という動詞に「行き」が付いた言い方です。「うちの子は最近、行き渋っている」という表現は、今その状態にあることを説明しているだけで、病名や障害名ではありません。ここを取り違えると、「うちの子は行き渋りという問題を抱えている」と、子ども自身に原因があるかのような受け取り方になってしまいます。
行き渋りは、子どもと環境のあいだで起きているミスマッチのサインです。文部科学省も、不登校を「問題行動」と捉えず、休養や学校外での学びの必要性を認める方向で通知を出しています(文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」)。まずは子どもを変えようとする前に、何が合っていないのかを一緒に探す視点が出発点になります。
学校や相談先に伝えるときは「登校しぶり」が通じやすい
連絡帳や電話、面談で状況を伝えるとき、「登校しぶりが続いています」という言い方をすると、担任やスクールカウンセラーにはすぐ伝わります。学校現場ではこの語が定着しているためです。あわせて「何日くらい続いているか」「朝の何時ごろに崩れるか」「登校できた日と、できなかった日の違い」を添えると、学校側も具体的な手を打ちやすくなります。
学校以外の相談先は、文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」から住んでいる地域の教育相談窓口を探せます。子ども本人が相談したいときは、こども家庭庁「相談窓口を探す」にこども向けの窓口がまとまっています。
用語で迷ったときの結論
検索するときはどの表記でも同じ情報にたどり着きます。学校に相談するときは「登校しぶり」、家庭や本人と話すときは「学校に行きたくない気持ちが出ている」という言い方が、いちばん角が立たず、状況も正確に伝わります。
小1の行き渋り・小2の行きしぶり──学年によって「つまずく場所」が違います
同じ「行き渋り」でも、小学1年生と2年生では、つまずいている場所がかなり違います。低学年とひとまとめにせず、学年ごとに来やすい時期と、そのとき子どもが困っていることを分けて見ると、家庭でできることがはっきりします。
小1:入学からの1年に来る「3つの山」
小学1年生の行き渋りは、性格の問題というより環境が一気に変わったことへの反応として起きることがほとんどです。園と違って、時間割で動く・自分で持ち物を管理する・40人近い集団で過ごす、という三つが同時に始まります。
山になりやすいのは、①4月下旬〜ゴールデンウィーク明け(緊張が切れ、疲れが出る)、②夏休み明けの8月末〜9月(生活リズムが戻らず、休みの安心と学校の落差が大きい)、③2〜3月(進級への不安、1年分の疲れ)の3つです。とくに②は、全国の統計でも子どもの心の負担が高まる時期として注意喚起がされています。
小2:「もう慣れたはず」が落とし穴
小2の行きしぶりは、周囲が「去年乗り越えたのに」と受け取りやすいぶん、子どもが言い出しにくくなります。実際には小2は変化の多い学年です。担任が替わる・クラス替えがある・学習内容が急に難しくなる(九九、時計、長い作文)・友達関係が固定化して入りにくくなる——このどれかにつまずくと、朝の足が止まります。
「1年生のときは行けていた」は、いま困っていないことの証明にはなりません。むしろ去年との違いを一つずつ確かめるほうが、原因にたどり着きやすくなります。
| 学年 | つまずきやすい時期 | 子どもがよく言う言葉 | 家庭でできること | 学校に頼めること |
|---|---|---|---|---|
| 小1 | 4月下旬〜GW明け | 「おなかがいたい」「ママといたい」 | 前夜のうちに持ち物をそろえる。朝の手順を一緒にやる | 座席の位置、朝の受け入れ方の相談 |
| 小1 | 夏休み明け(8月末〜9月) | 「行きたくない」「まだ休みたい」 | 休みの1週間前から起床時間を戻す。初日は短時間登校でよいと決めておく | 短縮登校、荷物を数日に分けて持参する許可 |
| 小2 | 4月(担任交代・クラス替え) | 「先生がこわい」「知ってる子がいない」 | 新しい担任に、前年度の様子と有効だった配慮を自分から伝える | 担任間の引き継ぎ内容の確認、初期の声かけ |
| 小2 | 秋(九九・時計・作文でつまずく) | 「勉強がわからない」「はずかしい」 | どこでつまずいたかを家で一緒に確認する(責めない) | 補習、個別の声かけ、板書の写真提供など |
| 小3〜 | 学年が上がるほど人間関係の比重が増す | 「友だちがいやだ」「いる場所がない」 | 事実だけを聞き取り、記録に残す | 座席・班編成、休み時間の居場所づくり |
低学年ほど「体の訴え」で出やすいことを知っておく
低学年の子どもは、気持ちを言葉にする前に腹痛・頭痛・吐き気・朝の涙として出すことがよくあります。仮病だと決めつけるのも、逆にすべて体の病気と決めつけるのも危険です。休日は元気なのに登校日の朝だけ症状が出る、という偏りがあるかを数日ぶん記録しておくと、小児科でもスクールカウンセラーでも話が早く進みます。
あわてなくていい目安と、急いだほうがいい目安
数日〜1週間ほどの行き渋りは、休み明けや行事の前後によく見られます。まずは休養と生活リズムを整えることが先です。
一方で、食事や睡眠が大きく崩れている/体重が減っている/「消えたい」といった言葉が出る/体の症状が休日も続く——このような場合は、様子を見るより先に小児科・かかりつけ医やスクールカウンセラーに相談してください。緊急時は24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)が年中無休・無料で使えます。保護者向けには文部科学省の保護者向けリーフレット(PDF)、国の支援の全体像は不登校対策(COCOLOプラン等)にまとまっています。
「行き渋りの記録」を2週間つけると、次の一手が見えてきます
小学生の行き渋りへの対応でいちばん効くのに、いちばん飛ばされがちなのが記録です。毎朝どうにか送り出すことで精一杯になると、先週何が起きたかは驚くほど思い出せなくなります。記録があると、次の3つが同時に手に入ります。
- パターンが見える——曜日・教科・行事など、崩れる条件が浮かび上がる
- 共有できる——担任、スクールカウンセラー、小児科に、そのまま見せて説明できる
- 親の負担が減る——「今日も行けなかった」という感情ではなく、事実として扱えるようになる
| 日付 | 前夜の様子 | 朝の様子 | 登校できたか | その日あったこと | 気づき |
|---|---|---|---|---|---|
| 9/1(月) | 21時就寝。時間割をいやがる | 7:10に腹痛。玄関で10分 | 遅刻して登校 | 算数のテスト返却 | 日曜夜から崩れる |
| 9/2(火) | いつもどおり | ぐずるが自分で支度 | 登校 | 図工 | 火曜は比較的いける |
| 9/3(水) | 宿題で泣く | 起きられない | 欠席 | — | 宿題の量がしんどい様子 |
| … | … | … | … | … | … |
記録から読み取れる3つのパターン
2週間ぶんたまると、多くの場合は次のどれかに寄っていきます。
| パターン | 記録に出る特徴 | 考えられる背景 | 次にやること |
|---|---|---|---|
| 曜日・時間割型 | 特定の曜日や、月曜の朝に集中する | その日の教科・活動(体育、音楽、発表、給食など)が負担 | 時間割を見ながら担任と「その時間だけの配慮」を相談する |
| 行事・切り替え型 | 運動会や発表会の前後、長期休み明けに崩れる | 見通しが立たない場面や、集団での注目が苦手 | 事前に流れを写真や紙で共有してもらう。参加の仕方を選べるようにする |
| 体調・生活リズム型 | 就寝時刻が遅い日の翌朝に偏る。休日も不調がある | 睡眠や体調そのものの問題が重なっている可能性 | 小児科・かかりつけ医に記録を見せて相談する |
どのパターンでも、記録は「頑張らせるため」ではなく「頑張らせなくていい場面を見つけるため」に使ってください。全部に行かせようとするより、崩れる条件を一つ外すほうが、結果として登校日数は戻りやすくなります。
休む日が増えてきたら、記録は「制度を使うため」の材料になります
欠席が続く見通しになったら、学んだ内容を出席や成績に反映してもらう制度があります。学校外の施設で学んだ場合の取り扱いは文部科学省の通知(別記1・学校外の施設での学習)、自宅でのICT等を使った学習は別記2(自宅でのICT等を活用した学習)に整理されています。2024年(令和6年)8月には欠席中の学習成果に係る成績評価についての通知も出ました。いずれも校長の判断が前提で、自動的に認められるものではありません。だからこそ、日々の記録と学習の記録が判断材料になります。
居場所の選択肢としては、自治体が運営する教育支援センター(適応指導教室)は原則無料で使えます。学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧も文部科学省が公開しています。
行き渋りの背景を、不登校専門家のタツロー校長が解説(YouTube)
「なぜ急に行きたくないと言い出したのか」がわからないときに。いずれも数分〜十数分の動画です。
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教育支援センター(適応指導教室)とは|無料で使える公的な居場所
小1で不登校になった|あらたくんと家族の記録
よくある質問(FAQ)
Q. 一度休ませると「癖」になりませんか?
Q. 行き渋りは「甘え」なのでしょうか?
Q. 学校(連絡帳)にはどのように伝えればよいですか?
Q. 行き渋りはいつまで続きますか?
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- 行き渋り・不登校の基礎知識(全体像を整理したい方へ)
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相談できる公的な窓口と、その使い方
行き渋りは、家庭だけで抱えるほど長引きます。「まだ相談するほどでは」と思う段階でつながっておくほうが、選択肢が広がります。無料で使える窓口を、使う順にまとめました。
| 相談先 | 使うタイミング | 申し込み方 |
|---|---|---|
| 担任・学年主任 | 朝の様子に変化が出てきたとき | 連絡帳やメールで面談を申し込む |
| スクールカウンセラー | 理由がはっきりしない/本人が話せないとき | 担任か教頭に伝えると予約できる。保護者だけでも可 |
| 教育支援センター(適応指導教室) | 登校できない日が続いてきたとき | 市区町村の教育委員会に問い合わせ。原則無料 |
| 発達障害者支援センター | 特性が背景にありそうなとき | 全国一覧から最寄りへ電話 |
| 小児科・児童精神科 | 頭痛・腹痛・不眠が続くとき | まずかかりつけ医へ。必要に応じて紹介を受ける |
| 24時間子供SOSダイヤル | 夜間・休日にすぐ話したいとき | 0120-0-78310(文部科学省) |
制度の全体像は文部科学省「生徒指導」、学校での配慮については文部科学省「特別支援教育」にまとまっています。全国の状況は文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」で確認できます。子育て全般の相談はこども家庭庁の案内する窓口へ。
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低学年で保護者から離れられないときは母子分離不安の基礎と年齢別の対応を。不安が強いタイプの子には不安が強い子への接し方が具体的です。「休ませていいのか」で迷うときは学校を休みたいと言われたときの判断、背景に友人関係がありそうなときはいじめられやすい子の特徴と親ができることをご覧ください。休んでいる間の学びと居場所は教育支援センター(適応指導教室)とフリースクールとは?完全ガイドに、不登校の全体像は不登校の基礎知識ガイドにまとめています。
24. まとめ:焦らず子どものペースに寄り添うことが最短ルート
行き渋りは、お子さんが自分自身と向き合い、逞しく成長するための試練です。この期間を単なる「停滞」ではなく、親子関係を深める「熟成期間」だと捉えてください。親が焦りを手放し、お子さんの全存在を受け入れたとき、状況は少しずつ動き出します。親子の絆を再確認するための大切な時間として向き合いましょう。
最後に、保護者の皆さんに伝えたいのは「あなたは決して一人ではない」ということです。多くの家庭が同じ悩みを通っており、克服の道は必ず存在します。自分自身を責めるのを止め、今日はお子さんと一緒にゆっくり休んでください。その休息こそが、未来へ踏み出すための最強のエネルギー源になるはずです。各自治体の「教育相談窓口」も、あなたの助けになるでしょう。一歩ずつ、お子さんの手を握って歩んでいきましょう。


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