「学校に行きたくない」と言われたら|行き渋りの初期対応と親の初動【最初の1週間】

ある朝、子どもが突然「学校に行きたくない」と口にする。多くの保護者にとって、それは胸がざわつく瞬間です。「甘えなの?」「無理にでも行かせるべき?」「このまま不登校になったらどうしよう」——不安が次々にわいてきて当然です。この記事では、初めて「行きたくない」と言われたときに、親がまず何をすればいいのかを、最初の1週間の初動にしぼって具体的に整理します。

目次

まず親がすべき初動は「受け止める」こと

最初の初動でいちばん大切なのは、理由を問い詰める前に、その気持ちを否定せず受け止めることです。「行きたくないんだね」と一度そのまま受け取るだけで、子どもは「わかってもらえた」と感じ、安心して少しずつ本音を話せるようになります。逆に「なんで?」「みんな行ってるよ」と正論で返すと、子どもは口を閉ざしてしまいがちです。

行き渋りの背景には、友だち関係・勉強のつまずき・感覚の敏感さ・母子分離不安など、さまざまな要因が複雑に絡んでいます。原因は一つとは限らず、子ども自身もうまく言葉にできないことが多いもの。母子分離不安のように、低学年ではとくに「理由が説明できない不安」が背景にあることも少なくありません。まずは原因探しより、安心を渡すことを優先しましょう。

休ませるか、行かせるか——初動の判断基準

「一度休ませたら、癖になるのでは」と心配になりますが、心や体がSOSを出しているときに無理に登校させると、かえって回復が長引くことがあります。次のようなサインがあるときは、休む選択肢を前向きに考えてよいタイミングです。

  • 朝になると腹痛・頭痛・吐き気など体の不調が出る
  • 夜眠れない、食欲がない、表情が乏しい日が続く
  • 「行きたくない」の訴えが数日以上くり返される

休ませるかどうかの具体的な判断は、「学校を休みたい」と言われたらでチェックリスト形式にまとめています。行き渋りと不登校の違いや初期サインの見分け方は行き渋りと不登校の違いもあわせてご覧ください。

最初の1週間の過ごし方——家庭を「安心の基地」に

休むと決めたら、その時間を「サボり」ではなくエネルギーを充電する期間ととらえましょう。最初の1週間で意識したいのは次の3つです。

  • 責めない・急かさない:登校の話題を毎日持ち出さず、まずは家で安心して過ごせるようにする
  • 生活リズムはゆるく保つ:昼夜逆転まではいかないよう、起きる・食べる時間だけは大きく崩さない
  • 「好き」に触れる時間をつくる:本・生き物・料理・ゲームなど、心が動く体験は回復の土台になります

少しずつ元気が戻ってくると、表情や会話に変化が表れます。その回復期のサインが見えてきたら、登校以外も含めた次の一歩を、子どものペースで一緒に考えていきましょう。

やってしまいがちなNG対応

  • 理由を根掘り葉掘り問い詰める(言葉にできず追い詰めてしまう)
  • 「みんな頑張ってる」と他の子と比べる
  • 無理やり車に乗せて連れて行く/玄関で押し出す
  • 親が一人で抱え込み、誰にも相談できずに疲弊する

どれも「なんとかしたい」という愛情からくる対応ですが、初期には逆効果になりやすいものです。不登校の原因は家庭の育て方だけで決まるものではありません。自分を責めすぎないことも、初動では大切です。

いつ・どこに相談すればいい?

「数日休んでも様子が変わらない」「体の不調が続く」「親だけでは判断が難しい」と感じたら、早めに相談先を持っておくと安心です。学校の担任・スクールカウンセラー、教育支援センター、自治体の相談窓口、必要に応じて医療機関など、使える窓口は複数あります。相談先の一覧と使い分けはどこに相談する?5つの相談先まとめで確認できます。

動画で見る|【危険信号】子どもの不登校SOSサイン|あなたは気付けていますか?

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この記事の内容を確かめるための一次資料

学校とのやりとりは、担任個人の考え方に左右されやすい部分です。だからこそ国が学校に何を求めているかを知っておくと、話が噛み合いやすくなります。「認めてください」ではなく「要件を満たすには何を用意すればよいですか」と聞くのが、実務上いちばん通ります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
文部科学省「生徒指導提要」学校の生徒指導の基本方針(改訂版)
文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業」SC・SSWの役割と配置の考え方
文部科学省「就学援助」学用品費・給食費などの経済的支援
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 担任と話が噛み合いません

A. 「認めてください」ではなく「要件を満たすために何を用意すればよいですか」と聞き方を変えると通りやすくなります。それでも動かない場合は、学年主任・管理職・市区町村の教育委員会(教育相談室)へ相談先を上げてください。

Q. 毎日の欠席連絡がつらいです

A. 連絡方法は相談できます。「しばらく休むので、こちらから連絡がない日は欠席とみなしてください」と最初に合意しておくと、毎朝の負担がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?

A. なります。校内で過ごした時間は在籍校の判断で出席として扱われるのが一般的です。保健室登校についてもあわせてご覧ください。

Q. 学習の遅れが心配です

A. 学校外での学習も、計画や内容が教育課程に照らし適切と判断されれば成績評価に反映できることが2024年8月の制度改正で明確になりました。詳しくは教育機会確保法の記事にまとめています。

Q. 面談で何を話せばいいですか?

A. ①いまの状態、②してほしい配慮を具体的に、③出席扱いの取り扱い、の3点に絞ると進みます。面談後に「本日確認したこと」をメールで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

一度休ませると、癖になりませんか?

「休む=怠け癖」ではありません。むしろ心身が限界のときに休めず無理を重ねるほうが、回復に時間がかかることが多いです。安心して休める経験が、次の一歩を踏み出す力になります。

理由を話してくれないときはどうすれば?

無理に聞き出そうとせず、「話したくなったらいつでも聞くよ」と安心を伝えて待ちましょう。子ども自身も理由がわからないことは珍しくありません。言葉より先に、安心できる関係を取り戻すことが先決です。

まとめ|初動は「安心を渡す」ことから

初めて「学校に行きたくない」と言われたときの初動は、原因探しでも無理な登校でもなく、まず気持ちを受け止め、家庭を安心の基地にすることから始まります。焦らず、子どものペースに寄り添っていきましょう。不登校の全体像と、はじめの一歩から学びの選択肢までは、不登校の基礎知識ガイドで状況別に整理しています。ひとりで抱え込まず、次の一歩の地図として活用してください。

▶ あわせて読みたい:小学生の行き渋りの理由・対応と連絡帳の書き方(学校への具体的な連絡はこちら)

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。体調不良が続く場合や判断に迷う場合は、学校・専門機関・医療機関にご相談ください。

参考にした公的資料

本記事は公開資料と教育現場での実践をもとにした情報提供であり、診断・治療の代わりになるものではありません。(にじいろの編集方針・監修について

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