「学校を休みたい」と言われたら。休ませていいのか迷う親御さんへ

学校を休みたい
34万6,482人 ― 過去最多、11年連続で増加

令和5年度、学校を長期に休んでいる小・中学生の数です。10年前と比べ、小学生は約5.4倍、中学生は約2.3倍に増えました。しかも学校が挙げた最も多い要因は「やる気が出ない」「不安・抑うつ」。つまり、多くの子が“理由をうまく言えないまま”心のエネルギーを切らしています。あなたの家だけの話ではありません。

出典:文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年10月公表)

こんなふうに迷っていませんか?

  • 「これって、ただのずる休みかな?」
  • 「一度休ませたら、クセになってしまわない?」
  • 「甘やかすことになるんじゃ…」
  • 「休ませたら、そのまま行けなくなりそうで怖い」

1. 「休みたい」は、がんばった後のサイン

子どもが「休みたい」と口にするのは、たいてい、すでにかなり我慢したあとです。行きたくない気持ちをしばらく抱えて、それでも通って、限界が近づいたときに、ようやく出てくる言葉であることが多いのです。前の晩から「お腹が痛い」「頭が痛い」と言い出したり、朝になると起きられなかったりするのも、心のしんどさが体に出ているサインです。

先ほどのデータで、不登校の最も多い要因が「やる気が出ない」「不安」だったことを思い出してください。これは、なまけているのではなく、心のエネルギーが底をつきかけている状態です。だから「休みたい」は、わがままではなく、SOSのサインとして受け取ってあげてください。

2. 「休むとクセになる」は本当か

「一度休ませると休み癖がつく」と心配される方は多いですが、実際は逆のこともよくあります。心のエネルギーを「コップの水」にたとえると分かりやすいかもしれません。水がほとんど空の状態で無理に動かし続ければ、コップは空っぽのまま。まず水をためる時間をとることで、少しずつ動けるようになっていきます。

しっかり休んで安心を取り戻すと、たまっていた気持ちが回復し、エネルギーが戻ってくる子は少なくありません。むしろ、無理に行かせ続けるほうが消耗し、こじれて長引いてしまうこともあります。休むことは、なまけではなく、立て直すための大事な時間だととらえてみてください。

3. 休ませ方の4つのコツ

  1. まず「休んでいいよ」と伝える子どもが罪悪感を抱えないように。「今日はゆっくりしよう」と、安心を先に手渡してあげましょう。安心できると、かえって早く元気が戻ることがあります。
  2. 理由を問い詰めない本人も理由がわからないことは多いです。「話したくなったら聞くね」くらいの距離感で。問い詰めると、子どもは口を閉ざしてしまいます。
  3. 休む日はしっかり休ませるゲームやゴロゴロを叱りすぎないこと。まずは心と体を休めるのが優先です。生活リズムは「朝ごはんは一緒に」など、ゆるく保てれば十分です。
  4. 学校へは事情に応じて連絡欠席の連絡を入れ、必要なら担任やスクールカウンセラーに状況を共有しておくと、その後が動きやすくなります。抱え込まず、早めに味方を作りましょう。

4. そのまま使える声かけ例(NG・OK)

同じ場面でも、言葉ひとつで子どもの安心はぐっと変わります。とっさに出やすいNGと、言い換えのOKをまとめました。

NG「そんなこと言わないで、学校に行きなさい」
OK「そっか、休みたいくらい、しんどいんだね」
NG「なんで行けないの?理由を言いなさい」
OK「理由は言えなくても大丈夫。話したくなったら聞くね」
NG「みんな行ってるよ。あなただけだよ」
OK「あなたはあなたのペースでいいよ」
NG「今日休むなら、明日は絶対行くのよ」
OK「今日はしっかり休んで、明日のことは明日考えよう」
NG「ずっと家にいて、どうするの」
OK「今は充電の時間。元気が戻ってからで大丈夫だよ」

5. 学年・状況別のポイント

小学校・低学年

お腹や頭が痛いなど、体の不調で出やすい時期です。母子分離不安(親と離れる不安)が背景にあることも。スキンシップや「そばにいるよ」の安心を、いつもより厚めに。

小学校・高学年

友だち関係や自尊心が絡み、理由を言いたがらないことが増えます。プライドを傷つけないよう、問い詰めず、本人の言葉を待つ姿勢が大切です。

中学生

進路や周囲の目を気にして、将来への不安が強まりがち。「休んでも進路は選べる」と伝え、出席扱いの制度や多様な進路があることを一緒に知っておくと安心につながります。

五月雨(さみだれ)登校の場合

行けたり行けなかったりは、回復の途中でよく見られる自然な波です。行けた日を「明日も行けるね」と期待しすぎず、行けない日も責めず、波そのものを見守りましょう。

6. 休んでいる間の過ごし方

休みは「何もしない時間」ではなく、元気を貯める時間です。好きなことに触れて心が動くと、それが回復のきっかけになります。生活リズムは、朝の光を浴びる・食事の時間をそろえるなど、小さなところからゆるく整えれば十分です。

勉強の遅れが気になるときは、家庭でできる学びを少しずつ取り入れてもいいですし、一定の条件を満たせば、家庭や学校外での学習を「出席扱い」にできる制度もあります(下の関連記事で解説しています)。あわてず、その子のペースを大切にしてください。

目次

この記事の内容を確かめるための一次資料

学校とのやりとりは、担任個人の考え方に左右されやすい部分です。だからこそ国が学校に何を求めているかを知っておくと、話が噛み合いやすくなります。「認めてください」ではなく「要件を満たすには何を用意すればよいですか」と聞くのが、実務上いちばん通ります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
文部科学省「生徒指導提要」学校の生徒指導の基本方針(改訂版)
文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業」SC・SSWの役割と配置の考え方
文部科学省「就学援助」学用品費・給食費などの経済的支援
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

誰もいない教室。学校に行けない日が続いても、地域には公的な受け皿がある
誰もいない教室。学校に行けない日が続いても、地域には公的な受け皿がある
学校以外の多様な進路を表すノートと色鉛筆
学校以外の多様な進路を表すノートと色鉛筆

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 担任と話が噛み合いません

A. 「認めてください」ではなく「要件を満たすために何を用意すればよいですか」と聞き方を変えると通りやすくなります。それでも動かない場合は、学年主任・管理職・市区町村の教育委員会(教育相談室)へ相談先を上げてください。

Q. 毎日の欠席連絡がつらいです

A. 連絡方法は相談できます。「しばらく休むので、こちらから連絡がない日は欠席とみなしてください」と最初に合意しておくと、毎朝の負担がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?

A. なります。校内で過ごした時間は在籍校の判断で出席として扱われるのが一般的です。保健室登校についてもあわせてご覧ください。

Q. 学習の遅れが心配です

A. 学校外での学習も、計画や内容が教育課程に照らし適切と判断されれば成績評価に反映できることが2024年8月の制度改正で明確になりました。詳しくは教育機会確保法の記事にまとめています。

Q. 面談で何を話せばいいですか?

A. ①いまの状態、②してほしい配慮を具体的に、③出席扱いの取り扱い、の3点に絞ると進みます。面談後に「本日確認したこと」をメールで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

何日くらい休ませていいですか?
日数で機械的に決めなくて大丈夫です。表情、食欲、睡眠を目安に。少し元気が戻ってきたら次を一緒に考えます。数日休んでも回復が見えない、長引くというときは、早めに担任やスクールカウンセラーに相談しましょう。
ゲームや動画ばかりで心配です
回復期は、好きなことに没頭してエネルギーを貯めていることも多いです。頭ごなしの取り上げは反発を生み、逆効果になりやすいもの。「何時まで」などの約束をゆるく決めつつ、まずは安心を優先しましょう。
昼夜逆転しそうで不安です
完全に戻そうと急がないことがコツです。朝の光を浴びる、朝ごはんだけは一緒に食べるなど、小さなリズムから。責めると余計に崩れやすいので、できている部分に目を向けてあげてください。
勉強の遅れが心配です
まずは心の回復が最優先です。エネルギーが戻れば、学びは後から取り戻せます。タブレット教材や家庭学習、出席扱いの制度など、その子に合う方法から少しずつで大丈夫です。
学校への欠席連絡は、どう伝えれば?
「体調不良でお休みします」で問題ありません。あわせて担任に状況を共有し、必要ならスクールカウンセラーにつないでもらうと、その後の対応が動きやすくなります。

こんなときは相談を

数日休んでも元気が戻らない、休みが長引いている、食事や睡眠に大きな影響が出ている——そんなときは、担任やスクールカウンセラー、医療・相談機関に早めに声をかけましょう。ここに書いたのは一般的な情報で、診断に代わるものではありません。一人で抱え込まないことが何より大切です。

休んだあとの「戻る場所」に選択肢を

「休ませたあと、どこに戻ればいいんだろう」と不安になったら、学校以外の選択肢も知っておくと安心です。NIJINアカデミーは、家から参加できるオンラインの学びの場です。無料の体験・相談会も行っていますので、気軽にのぞいてみてください。

NIJINアカデミーのホームページを見てみる

▶ ふだんの様子は NIJINアカデミー公式YouTube でも見られます

【参考・出典】
・文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(2024年10月)mext.go.jp

※本記事は一般的な情報をまとめたもので、医学的・専門的な診断や助言に代わるものではありません。

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