結論:いい先生は「人気がある先生」「優しい先生」「仕事が速い先生」という一つの特徴だけでは見分けられません。
保護者が特に見たいのは、子どもをよく見ているか、安心して失敗できる教室をつくっているか、子どもの意思を尊重しているか、家庭や周囲と連携できるかです。
そして、子どもが家で学校の話をするかどうかも手がかりにはなりますが、「話さない=悪い先生」ではありません。
先生本人を採点するより、「その先生のもとで、わが子がどんな表情・行動になっているか」を見る。
これが、保護者にとって大切な見分け方です。
「今年の先生、いい先生なのかな?」「子どもが学校のことを全然話してくれない」「先生が怖いと言っているけれど、親はどこまで介入すればいい?」
新学期やクラス替えの時期になると、こうした不安を持つ保護者は少なくありません。
しかし、家庭から学校の中を見る機会は限られています。
授業参観や保護者会だけでは、先生が毎日どのように子どもと接し、どんな学級をつくっているのかまでは分かりにくいものです。
そこでこの記事では、元小学校教員でオルタナティブスクール校長の星野達郎の実践知と、文部科学省が示す教師の資質・生徒指導・不登校に関する資料をもとに、2026年現在の保護者が見ておきたい「いい先生」の7つの特徴を整理します。
元小学校教員。全国の小中高生が学ぶオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の校長。
教師コミュニティの運営にも携わり、学校の内外から子どもの主体や可能性を引き出す教師・教育環境をつくっている。
「いい先生」とは?目に見える姿だけで子どもを決めない
先生を見分ける前に、そもそも「いい先生とは何か」を考えておきましょう。
テストの点。
授業中の発言。
提出物。
友達との関わり。
学校で先生から見えている子どもの姿は、その子の一部にすぎません。
良い教師は、今見えている結果だけで、
「この子はできる」
「この子はできない」
と決めません。
「この子には、まだどんな力が隠れているだろう」
「環境や関わり方を変えれば、どんな姿が出てくるだろう」
と、その先を見ようとします。
文部科学省も、教師に共通して求める資質として、子ども一人ひとりの特性や心身の状況を捉え、良さや可能性を伸ばす姿勢を挙げています。
タツロー校長
今見えている姿だけで判断するのではなく、「この子はもっとこんなことができるんじゃないか」と可能性を見る。それが教師の大切な仕事だと思っています。
教員採用倍率が低い=先生の質が低い、ではない
近年、教員採用試験の競争率が低下しています。
全体の競争率
教員採用競争率
教員採用競争率
文部科学省による令和7年度採用選考では、全体2.9倍、小学校2.0倍、中学校3.6倍で、いずれも過去最低となりました。
ただし、採用倍率は受験者数÷採用者数という競争率です。
個々の教師の教育力や人間性を直接測る数字ではないため、
「採用倍率が下がったから、今の先生の質が低い」
と結論づけることはできません。
保護者が見るべきなのは、先生の出身大学や採用倍率より、実際にわが子とどう関わっているかです。
文部科学省も、児童生徒理解、信頼関係、学習者中心の授業、保護者との連携、継続的な学びなどを教師に必要な資質として挙げています。
参考: 文部科学省|公立学校教員採用選考試験の実施状況 / 文部科学省|教師に共通的に求められる資質能力
2026年版|いい先生の見分け方7選
保護者が見ておきたいポイントを7つに整理すると、次のようになります。
表情、声のトーン、友達との距離など、普段との違いを見ています。
失敗を笑われず、質問やSOSを出しても大丈夫な空気があります。
すべてを指示するのではなく、本人の考えや自己決定を尊重します。
結果だけでなく、次に何をすればよいかが分かる言葉を返します。
学級通信や連絡ツールなどで、学校生活を適切に共有します。
保護者や他の教職員、専門職と協力して子どもを支えます。
マニュアルだけに頼らず、自ら考え、振り返り、改善します。
1.子どもの小さな変化に気づく先生
いい先生の大きな特徴は、一人ひとりを「集団の中の一人」で終わらせないことです。
例えば、
- いつもより静か
- 友達との距離が少し変わった
- 普段できることに手がつかない
- 急に発言しなくなった
- 逆に今日はいつもよりよく話す
といった小さな変化に気づきます。
困りごとが大きくなってから対応するのではなく、「今日ちょっと違う」を捉えられるかが一つのポイントです。
もちろん、40人近い集団の中ですべてを見落とさないことは現実的ではありません。
だからこそ、「気づいたときに声をかける」「一人で抱えず周囲と共有する」という姿勢も重要です。
2.間違いや「困った」を安心して言える先生
授業の面白さと同じくらい大切なのが、心理的に安全な教室です。
分からないと言っても怒られない。
間違っても笑われない。
違う意見を言っても否定されない。
困ったら助けてと言える。
こうした環境では、子どもが挑戦しやすくなります。
「先生が怖いから静かにしている」と「安心して集中している」は、見た目が似ていても全く違います。
静かに統率されているかではなく、子どもが自分の考え・失敗・SOSを出せるかを見てください。
3.子どもに「選ぶ場面」をつくる先生
良い教師は、子どもを自由放任にするわけでも、すべて指示するわけでもありません。
「どちらの方法でやる?」
「あなたはどう思う?」
「ほかの案はある?」
「誰と取り組みたい?」
と、目的の中に子どもが自分で決める余白をつくります。
文部科学省の『生徒指導提要』でも、子どもの主体性を支える視点として「自己決定の場の提供」が重視されています。
「自由にしていいよ」と放っておくことと、自己決定を支えることも違います。
必要な情報や選択肢を示し、そのうえで本人が考えて選べるようにすることが教師の支援です。
4.フィードバックが早く、具体的な先生
テストや作品へのフィードバックの速さも、一つの手がかりになります。
学習してから長い時間が空くより、内容を覚えているうちに振り返れる方が次の学習につなげやすいからです。
ただし、
「当日にテストを返す=いい先生」「返却が遅い=悪い先生」
と単純には言えません。
担当数、テスト形式、校務など条件が違います。
見るべきなのは速度だけではなく、
- どこを理解できているか
- 何につまずいているか
- どの考え方が良かったか
- 次に何をすると伸びるか
が子どもに伝わるフィードバックになっているかです。
5.保護者から「教室の中」が見える先生
保護者にとって、学校は見えにくい場所です。
だからこそ、教室でどんなことに取り組み、子どもたちがどんな姿を見せているかを伝えてくれる先生は、家庭との連携を大切にしていると考えられます。
例えば、
- 学級通信
- 学校だより
- 連絡アプリ
- 写真
- 面談
- 授業参観
などがあります。
ただし、「毎日学級通信を書く先生ほど良い」という意味ではありません。
発信量ではなく、必要な情報が届き、保護者が学校での子どもの姿をイメージできるかが大切です。
6.一人で抱え込まず、保護者や他の先生と連携できる
「良い教師なら、何でも一人で解決できる」と考える必要はありません。
むしろ文部科学省が教師に求める資質にも、自分だけで解決できないことを認識し、家庭・地域・他の教職員などと連携する姿勢が含まれています。
子どもに困りごとがあれば、
- 保護者
- 養護教諭
- 学年主任
- 特別支援教育コーディネーター
- スクールカウンセラー
- スクールソーシャルワーカー
- 管理職
などと協力します。
「担任だから私一人で何とかします」より、「この件は○○先生とも一緒に考えましょう」と言える先生の方が、子どもを支える人は増えます。
7.マニュアルではなく「自分の言葉」で話す先生
子どもは、大人が思っている以上に言葉の温度を感じ取ります。
例えば同じ「頑張ったね」でも、全員に同じ言葉を返すのと、
「昨日できなかったところを、自分からもう一度やってみたのがよかったね」
と、その子の姿を見て伝えるのでは意味が違います。
良い教師は、ルールやマニュアルを無視するわけではありません。
それらを理解したうえで、目の前の子どもに合わせて自分で考え、自分の言葉で伝えます。
保護者から見える「先生のサイン」はどこまで当てになる?
家庭から教師の仕事すべてを見ることはできません。
そこで、保護者が気づきやすい日常のサインを、「判断材料としてどこまで使えるか」で整理します。
| 見えるサイン | 参考度 | 見方 |
|---|---|---|
| テスト返却が早い | 補助的 | 早いフィードバックには価値があるが、速度だけでは判断しない。内容まで見る。 |
| 学校で会うと自然に声をかけてくれる | 補助的 | 周囲への気づきやコミュニケーションの手がかり。ただし性格差もある。 |
| 子どもが楽しそうに学校の話をする | 重要な手がかり | 安心して自分を出せている可能性がある。ただし話さないから問題とは限らない。 |
| 教室の様子が家庭にも伝わってくる | 重要 | 家庭との情報共有を大切にしているかを見る。 |
| 保護者会の出席者が多い | 単独では判断しない | 仕事、開催時間、地域性などにも左右される。 |
| 先生が早く退勤する | 単独では判断しない | 勤務時間だけから教育力は判断できない。 |
| 子どもへの言葉が具体的 | 重要 | 目の前の子どもを実際に見て考えた言葉になっているかを見る。 |
子どもが学校の話をしない=先生が悪い?
いいえ。学校の話をしないことだけで、先生の良し悪しは判断できません。
子どもが学校のことを話さない理由は一つではありません。
学校で多くの刺激を受け、家では話すより休みたいことがあります。
特に思春期になると、親にすべてを話さなくなることは自然な変化でもあります。
質問が広すぎて、どこから説明すればよいか分からない場合があります。
困っていても、「言ったら親が学校へ連絡するかも」と黙っていることがあります。
違和感はあるものの、それを説明する言葉がまだない場合があります。
先生・友達・教室環境などに苦しさがあり、話題そのものを避けている可能性もあります。
文部科学省の不登校要因調査では、令和4年度に不登校だった児童生徒の35.9%が「先生と合わなかった」と回答しています。
不登校でない児童生徒では14.3%でした。
ただしこれは、不登校児童生徒とそうでない児童生徒を比較した調査です。
「学校の話をしない子の35.9%が先生と合わない」という意味ではありません。
同じ調査では、学校へ行きづらいと感じ始めた時に家族へ相談した不登校児童生徒は61.7%。
一方で、31.5%は誰にも相談していませんでした。
「何も言わない=困っていない」とは限らないことも覚えておきたいポイントです。
参考: 文部科学省|不登校要因調査報告書
学校の話をしないとき、親が見るべきなのは「変化」
会話の多さそのものより、以前との違いを見てください。
以前は話していたのに、特定の時期から話さなくなった。
腹痛、頭痛、朝起きられないなどが繰り返される。
相談したい一方、大ごとになることを怖がっている可能性があります。
学校で我慢し続け、家に帰って緊張が切れている場合があります。
「自分が悪い」「どうせできない」など自己評価が急に下がる。
友達、授業、給食、行事などへの反応が変わった。
「今日どうだった?」より答えやすい聞き方
「今日、一番ラクだった時間って何だった?」
「今日ちょっと面白かったことあった?」
「今のクラスで一番話しやすい人って誰?」
「今日、先生に言われてうれしかったことあった?」
「学校で一つ変えられるなら、何を変えたい?」
答えたくなさそうなら、無理に聞き出す必要はありません。
「話したくなったら聞くよ」という逃げ道も残してください。
いい先生かどうかは「どんな学級をつくっているか」に表れる
先生本人の人柄だけでなく、その先生のもとで子ども同士がどのように関わっているかを見ることも大切です。
一つの正解だけを先生が決め、全員をそこへ揃えるクラス。
目的は共有しながら、違う考えや方法も認められるクラス。
同じ「まとまっているクラス」でも中身は違います。
文部科学省の『生徒指導提要』では、日常の教育活動で意識する視点として次の4つが示されています。
「自分もこのクラスの大切な一人だ」と感じられる。
違う意見や苦手なことがあっても互いに尊重できる。
自分で選び、考え、決める機会がある。
間違い、失敗、SOSを出しても否定されない。
良いクラスは「みんな同じ」になるクラスではありません。
違う考えが出て、それを聞き合いながら同じ目的へ進める。
そんな状態も、教師の学級経営を見る重要なポイントです。
先生と合わないと感じたら|親ができる5ステップ
「この先生は良くない」とすぐ結論を出す前に、まず子どもにどんな影響が出ているかを整理します。
- 気持ちと事実を分けて聞く 「怖かったんだね」と受け止めながら、「いつ・どこで・何があった?」と具体的な状況も確認します。
- 一度の出来事か、続いていることかを見る 一時的な行き違いなのか、同じ困りごとが繰り返されているのかを整理します。
- 先生へ「確認する」形で共有する 最初から責任追及するのではなく、学校側からどう見えているかも聞きます。
- 一人の先生だけで難しければ別の大人へつなぐ 学年主任、養護教諭、スクールカウンセラー、教頭・校長などへ相談します。
- 心身に強い負担が出ているなら環境を変える 別室、クラス調整、教育支援センター、フリースクール、オンラインなども検討できます。
いつもお世話になっております。
最近、家で「○○の時間が怖い」「先生に話しかけにくい」と話すことが増えています。
家庭から見えていないこともあると思いますので、学校ではどのような様子か教えていただけますでしょうか。
本人が安心して過ごせる方法を、一緒に考えられたらと思っています。
「先生を変えてください」から始めるより、「子どもにこういう変化がある」「どんな環境なら安心できそうか」を共有する方が、具体的な調整へ進みやすくなります。
先生と合わないだけで、学校を離れるべき?
現在は、学校以外にも学びの選択肢があります。
ただし、
「少し相性が悪い」=すぐ学校を離れる
と考える必要もありません。
まずは、
- ほかの教職員とつながる
- 別室を利用する
- スクールカウンセラーへ相談する
- 一部の授業だけ参加する
- 学校外の支援と併用する
といった中間の選択肢があります。
一方で、先生との関係によって強い登校不安、身体症状、自尊感情の低下などが続いているなら、「今の環境に居続けること」そのものを目的にする必要はありません。
いい教師は、教師自身も学び続ける
教師の質は、採用された時点で完成するものではありません。
子どもも社会も変化し続けます。
だから教師自身も、
- 授業を振り返る
- ほかの教師から学ぶ
- 新しい教育方法を試す
- 子どもの声から方法を変える
- 学校の外の社会ともつながる
ことが必要です。
文部科学省が示す教師の資質にも、国内外の変化に合わせて常に学び続けようとする姿勢が含まれています。
NIJINでは、授業力を高めたい教師が全国から集まる「授業てらす」や、中学校教員が対話・実践を重ねる「中学校てらす」などの教師コミュニティーを運営しています。
いい教師を個人の経験やセンスだけに任せず、教師同士が学び合い、実践を改善する環境をつくっています。
NIJINが考える教師力を見る →親が「いい先生の見極め」でやらない方がいいこと
子どもが先生との関係を修復したい場合、板挟みになることがあります。
教師にもミスはあります。継続性と子どもへの影響を確認します。
同じ先生でも、子どもの性格や必要な支援によって相性は変わります。
監視されているように感じ、かえって話しづらくなる子もいます。
必要なら管理職、教育委員会、専門職など別の相談ルートを使います。
睡眠・食事・腹痛・頭痛・強い登校不安などが続く場合は安全を優先します。
先生に子どもを合わせるだけでなく、
子どもに合う教育環境も見てみませんか?
NIJINアカデミーでは、教師が一方的に教えることより、 子どもの話を聞き、主体や可能性を引き出す対話を大切にしています。 今の学校を辞める前提ではなく、 「こんな先生・学び方もある」という比較材料として体験できます。
- 対話を重視する教師
- 8〜10人の少人数クラス
- 子どもが学び方を選ぶ
- 全国の教師・仲間とつながる
よくある質問(FAQ)
まとめ|先生を見るより「先生といる時の子ども」を見る
いい先生かどうかを、
学歴。
年齢。
採用倍率。
話の面白さ。
保護者からの人気。
だけで判断することはできません。
大切なのは、
- 子どもの変化に気づく
- 安心して失敗できる
- 子ども自身が選べる
- 具体的なフィードバックがある
- 家庭と情報共有できる
- 周囲と連携できる
- 教師自身も学び続けている
ことです。
タツロー校長
先生自身を見る以上に、その先生といる時、子どもがどんな表情をして、どんな自分を出せているかを見てほしいと思います。
よく話すようになった。
失敗を怖がらなくなった。
学校でやってみたいことが増えた。
自分の意見を言うようになった。
逆に、急に無口になった。
自分を責めるようになった。
先生の話題だけ避けるようになった。
子どもの姿は、教育環境を知る大切な手がかりです。
「いい先生か」を大人だけで採点するのではなく、「この環境で、この子は自分らしく成長できているか」を中心に考えてみてください。
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動画でも詳しく|いい教師の見分け方7選
株式会社NIJIN代表取締役・NIJINアカデミー校長の星野達郎が、元小学校教員としての経験から、保護者からは見えにくい教師の特徴や学級づくりについて解説しています。
記事では公的資料も加え、教師個人を単純に評価するのではなく、子どもの心理的安全性、自己決定、家庭との連携、学級環境まで含めて整理しました。
参考・一次資料
- 文部科学省|公立学校教員採用選考試験の実施状況
- 文部科学省|令和7年度 公立学校教員採用選考試験のポイント
- 文部科学省|教師に共通的に求められる資質能力
- 文部科学省|生徒指導提要
- 文部科学省|不登校要因調査報告書
- NIJINアカデミー|圧倒的な教師力の秘密
記事内スクリーンショット:星野達郎公式YouTube
NIJIN関連画像:NIJINアカデミー公式サイト掲載画像

