東京都教育委員会は2026年9月18日、令和7年度分の事務の点検・評価報告書を公表し、都議会定例会に提出したと発表しました。報告書は、学力やデジタル活用、グローバル人材育成に加え、いじめ・不登校への対応、インクルーシブ教育、教員の働き方や確保・育成など、教育行政の実施状況を整理したものです。不登校支援では、令和5年度から令和6年度にかけて「学校等と全く関わりをもてていない子ども」が91人減少したと記載されています。また、都立高校で通級による指導を実施した実績のある学校数は、令和7年度に69校となりました。ただし、これらは個別施策の効果を実験で証明したデータではありません。対象や集計時点を確認し、変化の数字と因果関係を分けて読むことが大切です。
一次資料は東京都教育委員会の2026年9月18日発表と、令和7年度分の報告書・コンパクト版です。以下では不登校と特別支援教育に関係する項目を中心に、家庭や学校が実務に活かせる見方を紹介します。報告書の数値は東京都の公立学校施策や調査を中心にしたものであり、都内すべての私立校、国立校、民間の居場所を同じ方法で測ったものではありません。都外の自治体の状況にそのまま当てはめることもできません。
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9月18日に都教育委員会が公表した評価報告
東京都教育委員会は、地方教育行政法に基づいて、教育委員会の権限に属する事務の管理・執行状況を毎年度点検し、評価報告書としてまとめています。今回発表されたのは「令和8年度」の報告書で、点検対象は「令和7年度分」です。年度表記が二つ並ぶため、令和7年度に公表された報告と誤読しやすいのですが、発表日は2026年9月18日です。報告書は都議会に提出され、概要版と読みやすいコンパクト版も案内されました。行政が自ら行った施策を振り返る資料として、何を実施したか、どのような指標を見たかを知る入口になります。
この形式は、単年度のニュース発表より広い範囲を扱うため、成果と課題をまとめて読める点に価値があります。一方で、すべての施策について同じ種類の指標があるわけではなく、実施件数、学校数、利用人数、回答割合など異なるものが並びます。報告書に「進捗があった」と書かれていても、その進捗が子ども一人ひとりの学びや安心の改善とどこまで結びついたかは、指標の種類に応じて考える必要があります。数字を読むときは、何を数えたのか、どの期間の比較か、誰が対象かを確認しましょう。
報告書は、主な内容をコンパクト版にまとめたうえで、詳細版の参照ページも示しています。コンパクト版だけでは、施策ごとの背景、定義、集計の条件、今後の改善点を十分に確認できない場合があります。見出しや図表の結論だけで判断せず、関心のあるテーマについて詳細版の該当ページ、調査の元資料、評価に関わった有識者の意見を併せて読むと理解が深まります。今回の発表は制度の新設や支援対象の変更ではなく、主として都教育委員会の事務・施策の点検結果を公表したものです。
学校や地域の候補を確認したうえで、通い方が合わない場合は別の学び方も検討できます。対象と利用条件を公式情報で確かめてください。
報告書が点検した六つの分野
コンパクト版は、児童・生徒の学力、デジタルを活用した学び、グローバルに活躍できる人材の育成、いじめや不登校への対応、インクルーシブな教育、教員の働き方改革・確保・育成という分野を扱っています。不登校は孤立した一つの政策領域ではなく、授業や評価、特別な支援、教育相談、教員体制などと結びつく横断的な課題として見られます。今回の報告書では、チャレンジクラスの教員が家庭を訪問し、本人を支援する関係機関につなぐ取組が具体例として記載されました。学校内だけで支援を完結させず、本人や家庭の状況に応じて外部機関と協力する視点が示されています。
六分野を並べて読むことで、子どもの困りごとを本人の意欲や能力だけに帰さず、環境や支援体制も含めて考えられます。学習端末を使えることが、すぐに学習参加や人とのつながりを実現するとは限らず、本人が使いやすい方法、休息の選択肢、相談先も必要になる場合があります。逆に、数値上の改善が見られない分野で、現場が何もしていないと決めつけることもできません。施策の実施状況と、その成果や課題は分けて読む姿勢が欠かせません。
行政の評価資料は、学校への評価や子どもへの判定に使うためのものではありません。子どもの欠席日数や通級の利用状況を、家庭が自分の子どもの将来予測にあてはめることもできません。集団の指標は、自治体全体の仕組みや資源配分の状況を把握するためのものです。本人にとって役立つ支援を考えるときは、個別の事情を丁寧に聞き、学校・家庭・本人の相談を基に必要な方法を選ぶことが基本です。
不登校支援で見える施策の広がり
不登校関連ページには、学校等と全く関わりを持てていない子どもの状況、欠席日数の分布、スクールカウンセラーへの相談件数、都の取組がまとめられています。報告書の評価欄では、チャレンジクラスの教員が不登校の子どもの家庭を訪問し、子どもを支える関係機関へつないだ例が示されています。目指すのは、学校とのつながりが全くない子どもをゼロにすることと、学校と福祉等の関係機関が協働する体制を充実させることです。相談窓口を増やすだけでなく、本人の状況に応じて関係先につなぐところまで記載している点が、今回の報告書の具体的な内容です。
この記載は、すべての区市町村や中学校で同じ家庭訪問が行われている、またはすべての不登校の子どもにチャレンジクラスが利用できるという意味ではありません。チャレンジクラスの設置校、対象、定員、相談・利用までの流れは地域や年度によって異なります。報告書の事例を見て利用を検討する場合は、在籍校や区市町村教育委員会に設置状況と条件を確認してください。本人が家庭訪問を望まない場合に代替手段があるか、誰が訪問するのか、何を目的に情報を共有するのかを事前に相談することもできます。
スクールカウンセラーへの相談も、本人の悩みや状況を把握し支援につなげる入口になります。相談件数の増加は相談機会の利用状況を示す一つの数値ですが、相談を受けた子どもの人数や、相談後に悩みが解消した割合と同じではありません。保護者だけの相談ができるか、予約や相談時間はどうなっているか、話した内容がどの職員と共有されるかなどは学校ごとに確かめましょう。本人の意思を確認し、相談の頻度や担当者を変更できるかを聞いておくと、安心につながります。
「接点のない子どもが91人減少」の読み方
コンパクト版によると、学校等と全く関わりを持てていない子どもは、令和5年度から令和6年度にかけて91人減少しました。内訳は小学校で66人、中学校で25人の減少です。図表では、令和5年度の該当人数は小学校126人、中学校93人、計219人、令和6年度は小学校60人、中学校68人、計128人と示されています。これは、欠席日数だけでなく、学校や教育支援機関との接点があるかという視点を含む指標です。学校に登校していなくても、本人に合った相談や連絡の機会を確保できているかを考える材料になります。
この比較の基礎となるのは、東京都教育委員会の令和5年度・令和6年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」です。2026年9月に公表された令和7年度分の点検報告書でも、不登校の関連指標には令和6年度の調査結果が掲載されています。したがって、報告書全体の年度表記と、個別図表のデータ年度は分けて読む必要があります。91人の減少は人数の比較であって、東京都全体の不登校者数が91人減ったという意味ではありません。
報告書の該当箇所は、一人ひとりの状況に応じた支援を強化し、接点を持てていない子どもをゼロにしていく方針を述べています。ただし、91人の減少だけで特定の施策が接点を生み出したと証明されたわけではありません。調査上の分類、学校による把握方法、転出入、年度ごとの状況の変化など、複数の要素が影響します。また、学校との接点があること自体が本人の希望に沿い安心できる方法とは限りません。連絡の頻度や方法は、本人の意思や負担に合わせて考える必要があります。
チャレンジクラス・相談員・家庭と子供の支援員
報告書は、スクールカウンセラーへの児童・生徒の相談件数を、相談内容の分類とともに示しています。令和5年度の相談件数は合計351,523件で、分類には不登校、家庭環境、学業・進路、発達障害等、心身の健康・保健、いじめ・暴力行為等が含まれます。相談の理由が一つに限られない子どももいますが、図表は相談の背景が多岐にわたることを示す材料です。これらは相談件数であり、相談した子どもの実人数や、相談後に状況が改善した人数と同一ではありません。カウンセラーの相談は、必要に応じて次の支援先を一緒に考える入口として位置づけられています。
報告書の評価欄が具体例として挙げたのは、中学校のチャレンジクラスの教員が不登校の子どもの家庭を訪問し、子どもを支える関係機関につないだ取組です。チャレンジクラスは通常学級への参加が難しい生徒の学びや居場所を支える選択肢になりえますが、都内すべての中学校に一律に設置されているわけではありません。設置校、対象、定員、利用開始までの相談方法は自治体に確認する必要があります。家庭訪問や機関間の情報共有を希望しない場合、本人・保護者の意向をどう扱うのか、別の連絡方法が選べるかも具体的に尋ねましょう。
また、報告書の地域・学校連携の章では、家庭と子供の支援員の配置が令和7年度に小学校358校、中学校188校、計546校と記載されています。この配置は、保護者や子どもの相談・支援を学校内外の関係者と進める体制の一つですが、学校に配置があることが、すべての家庭に同じ頻度・内容の支援を提供することを保証するわけではありません。どの曜日に誰へ相談できるか、担任やカウンセラーとの役割分担、必要な支援先への紹介方法などは、在籍校や教育委員会へ確かめてください。
特別支援教育のデータと支援計画
報告書はインクルーシブな教育の章で、特別支援教育を受ける児童・生徒数や、学校生活支援シート、個別指導計画、都立高校での通級指導に関する状況を示しています。児童生徒数の推移は、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導など複数の学び方をそれぞれ分けて見る必要があります。人数が増えていることは、ニーズの把握や制度利用が広がっていることを示す可能性がありますが、障害のある子どもの実数の変化、診断の増減、支援の質の改善をそのまま証明するものではありません。統計の対象範囲と分類方法が重要です。
学校生活支援シートや個別指導計画について、報告書は作成が必要な児童・生徒がいる学校での作成状況を示しています。書類があることは、支援を共有し継続するための基盤になりますが、記入済みであるだけで必要な配慮が日常の授業や休み時間で実行されているとは限りません。本人・保護者の希望が反映されているか、学級担任や教科担任、専門職の間で必要な範囲で共有されているか、状況が変わったときに見直されるかが大切です。支援計画は書類を完成させることではなく、本人の困りごとを減らすために使われるものです。
今回の報告書では、都立高校で通級による指導を実施した実績のある学校数は、令和4年度43校、令和5年度51校、令和6年度56校、令和7年度69校と示されています。実績校の増加は、支援を提供した学校が広がっていることを示す指標ですが、必要とするすべての高校生が希望する時期に支援を受けられるかは分かりません。学校までの移動、授業時間との調整、本人が指導を受けることをどう受け止めるか、通級以外の合理的配慮との関係などを合わせて確認する必要があります。本人が診断名を明かすことを心配している場合は、どの情報が誰に共有されるのか、相談段階で学校に聞くことができます。報告書は個別の児童生徒の診断や支援適否を判断する資料ではありません。
学校や家庭にとっての実務的なヒント
家庭がこの報告書を使うなら、まず自分の学校・自治体で利用可能な仕組みを調べるための質問集として読む方法があります。チャレンジクラス、スクールカウンセラー、家庭と子供の支援員などについて、対象、相談できる曜日や時間、家庭訪問の目的、利用開始までの流れ、関係機関への紹介方法を確認します。本人が何を望んでいるか、何が不安か、保護者だけで相談できるか、合わなかった場合に担当や方法を変更できるかも尋ねましょう。支援を利用しない選択を責めるのではなく、情報を持っておくことが目的です。
学校側は、接点を持つことを学校への登校だけで測らず、本人に無理のないやりとりを考えることができます。本人が担任との会話を負担に感じるときは、スクールカウンセラーや別の教職員、保護者経由の連絡など、誰からどの方法で連絡するかを調整できます。学習面で支援が必要な場合も、課題をどれだけ出すかではなく、本人の現在の体力や関心、学び直しの優先順位を含めて相談する方法があります。学校の取組を家庭に説明するときは、利用条件と限界を明確にし、使えない制度を案内しないことが信頼につながります。
相談記録や支援計画を作るときは、本人の言葉と大人の解釈を区別し、具体的な場面を記録します。「意欲がない」といった評価だけでなく、「朝の移動で疲れが強く、午後の短時間なら相談に応じられる」「大勢の場では話しにくいが、筆談なら希望を伝えられる」のような状況を共有すると、支援の調整に役立ちます。個人情報は必要な職員に必要な範囲で扱い、本人と保護者に共有の目的を説明しましょう。統計上の支援件数を増やすことと、本人に合う支援をつくることを混同しない姿勢が求められます。
数字だけでは分からないこと
年次報告を読む際の大切な注意点は、数値の変化と施策の効果を短絡させないことです。対象となる学年や学校、調査の定義、データの作成元、前年度との比較条件がそろっているかを確認します。例えば不登校やいじめの件数は、学校が把握・認知した件数であり、実際に起きたすべての事象の数と同じとは限りません。相談件数が増えた場合も、問題が増えた可能性だけでなく、相談しやすくなった、把握が進んだなど複数の要因がありえます。どの数値も背景を考えずに良い・悪いと評価するのは避けましょう。
「学校等と関わりを持てない子ども」の人数も、その定義や学校の把握状況が重要です。学校との接点がないことが、必ずしもどこからも支援を受けていないことを意味するとは限りません。家庭が民間施設や医療・福祉機関とつながっている可能性もあります。逆に、学校と連絡が取れていても、子ども本人が相談先を持てず孤立している場合もあります。統計の分類は行政サービスを考えるうえで必要ですが、一人ひとりの関係性を完全に表すものではないという限界があります。
報告書は施策の実績と行政側の評価を示しますが、家庭の経験や子どもの声がどの範囲で反映されたかは、詳細版や関連する調査資料を確認しなければ分からない場合があります。制度が用意されていても、本人に情報が届いていない、保護者が申請方法を知らない、交通や費用の理由で使えない、時間が合わないという壁が残ることがあります。報告書の「実施した」という事実と、支援にアクセスできる人が十分かどうかの問いを分け、次の改善点を考えることが重要です。
相談先を選ぶときのチェックポイント
子どもが学校に行きづらい、教室に入りにくい、発達特性に関わる配慮が必要かもしれないと感じたとき、報告書を読み終えてから相談する必要はありません。相談の入口は、在籍校の担任や養護教諭、教育相談担当、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育委員会の教育相談窓口などがあります。緊急性が高い場合や安全面の不安がある場合は、地域の専門相談先や医療機関、子ども家庭支援機関につなぐことが必要なこともあります。どの窓口がよいか迷うときは、まず保護者だけで相談し、次の連絡先を紹介してもらう方法もあります。
相談するときは、困っている場面、本人が比較的安心できる場面、これまで試した工夫、今は避けたいことを簡単にメモしておくと、説明しやすくなります。診断を受けているかどうかが分からない段階でも相談できます。相談内容の記録がどのように管理され、学校内で誰に共有されるのかを確認し、本人に伝える内容や同席の希望を相談して構いません。初回の相談ですぐ解決策を決める必要はなく、継続して話せる人や、本人に合う方法を探すこと自体が一つの前進です。
チャレンジクラスや通級指導を希望する場合、設置の有無、対象、申し込み先、利用開始までの流れ、利用頻度、学習の評価、通常学級との連携方法を具体的に聞きましょう。スクールカウンセラーや家庭と子供の支援員は、配置校・相談時間・担当範囲を確認します。利用を始めた後も、合わないと感じたときに中断・変更できるか、別の支援先を案内してもらえるかを聞いておくと安心です。報告書に取組が記載されていることと、家庭の通う学校で同一のサービスを直ちに利用できることは別です。市区町村立学校の場合は、都の施策を踏まえた各自治体教育委員会の運用も確認してください。
自治体の自己評価・外部評価をどう読むか
今回の報告書は東京都教育委員会の事務について法令に基づいて実施された点検・評価です。評価報告は、行政が自らの目標に対して何を行ったかを説明し、議会や住民が進捗を確認する役割を持っています。政策を知る一次資料として有用ですが、臨床試験のように介入群と比較群を置いて個別の施策効果を測る資料ではありません。「この支援策によって不登校が何人改善した」と読み替えられる結果が示されているか、表現を慎重に確認してください。行政の自己評価、外部有識者の意見、元となる統計は、根拠や目的がそれぞれ異なります。
点検結果を比較するときは、前年度との同じ指標が使われているか、目標値が途中で変わっていないか、成果指標がアウトプット(配置人数・実施回数)なのかアウトカム(本人の経験や学びの変化)なのかを区別します。実施数の増加は政策が届く範囲を考える材料になりますが、子どもが安心して利用できたか、支援が本人の希望に沿ったかを直接示すとは限りません。数値と一緒に、本人・保護者の意見、利用までの障壁、支援の継続性を評価する仕組みがあるかも読みどころです。
報告書に示されたデータは東京都の行政区域や公立学校に関する情報が中心です。都内でも区市町村によって教育相談の体制や支援メニューは異なります。報告書を読んで自分の地域に同じ制度があると考えたり、別の自治体と数値を直接比較したりする前に、対象範囲を確認しましょう。自治体の評価資料を読む習慣は、政策を一方的に受け取るためではなく、必要な支援がどこまで届いているかを確かめ、次の改善について声を届けるためにも役立ちます。
報告書の活用と次の改善
学校や支援機関にとっては、報告書を研修や校内の環境点検の材料にできます。例えば、別室指導の場所があっても、支援員が不在の時間帯に利用できるのか、休憩を選べるのか、教室以外での学習成果をどう記録するのかを話し合うことができます。特別支援教育では、支援計画に書かれた内容が授業・休み時間・行事で実施されているか、本人にとって負担の少ない方法かを定期的に振り返れます。報告書の数字を学校のランキングのように用いるのではなく、改善を考える問いに変えることが大切です。
家庭や地域の支援者は、議会提出資料や評価報告に目を通し、実施状況について教育委員会に質問することができます。質問は「制度があるか」だけでなく、対象者、利用方法、情報公開、本人の声を聞く仕組み、待機状況、学校外の機関との連携などに分けられます。公開資料で分からない点は担当課へ問い合わせることができます。行政への意見提出は、個別の子どもの情報を必要以上に公開せず、制度として改善したいことを具体的に伝える方法が適切です。家庭が報告書を読んで疑問を持つことは、誰かを批判するためではなく、支援を利用しやすくするための正当な確認です。
次年度以降の評価で注目したいのは、支援メニューの数だけでなく、本人が選べる方法が増えたか、支援にアクセスするまでの時間や手続きがどう変わったか、家庭の負担がどう扱われたかといった情報です。学校との接点をどうつくるかは、本人の気持ちや生活の変化に応じて見直す必要があります。多様な学びの場が増えることと、本人がその場を安心して使えることは同じではありません。報告書の次の版でも、実施状況と本人の経験をどう結びつけて検証するのかを見ていきたいところです。
よくある疑問
Q. 「91人減少」は東京都全体の不登校児童生徒数が減ったという意味ですか。A. いいえ。報告書の表現は「学校等と全く関わりをもてていない子ども」の数に関するものです。不登校者数全体や、学校に戻った人数と同じ指標ではありません。令和5年度から令和6年度の比較で、小学校66人、中学校25人、合計91人の減少です。
Q. 91人の減少は、どの施策が効果を上げた結果ですか。A. 報告書はこの指標の変化を示していますが、個別施策だけの効果を切り分けて証明した因果分析とは限りません。複数の要因が関わる可能性を踏まえて読む必要があります。Q. 支援計画が作られていれば十分ですか。A. 計画は支援を共有する土台です。本人の希望が反映され、必要な配慮が実際の場面で行われているか、見直されているかを確かめることが重要です。
Q. 東京都以外の家庭にも役立ちますか。A. 支援施策の考え方を知る参考にはなりますが、都の制度や数値をそのまま他自治体へ当てはめることはできません。お住まいの市区町村教育委員会に具体的な制度・相談先を確認してください。Q. 子どもが相談を嫌がる場合、保護者だけで相談できますか。A. 多くの窓口で保護者からの相談を受けていますが、受付方法や対象は窓口によって異なります。まず電話や公式ページで確認するとよいでしょう。
まとめ
東京都教育委員会の令和7年度分点検・評価報告書は、不登校支援や特別支援教育の施策を俯瞰し、学校等との接点、別室や相談体制、支援計画などを確認できる一次資料です。令和5年度から6年度に「学校等と全く関わりを持てていない子ども」が91人減少したという数値や、都立高校の通級実績校数が令和7年度に69校となったことは重要な情報です。一方、定義や対象範囲を確かめ、個別の施策が原因だと断定しないことが必要です。学校や家庭は、報告書を具体的な支援の問い合わせや環境改善の質問につなげ、本人の希望と実際に利用できる制度を一つずつ確かめてください。
- コンパクト版だけで判断せず、詳細報告書で指標の定義・年度・対象を確認する
- チャレンジクラスや相談員は、在籍校・自治体での対象や利用条件を確認する
- 特別支援教育の計画は、作成状況だけでなく日々の実施・見直しも確認する
- 都外・私立等では別の制度・データが適用されるため、地域の教育委員会に問い合わせる
CTA:報告書の概要・詳細版を確認したい方は、東京都教育委員会の9月18日発表ページから公式資料へ進んでください。都内で不登校や学校内の支援について相談したい場合は、まず在籍校の教育相談窓口、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー、または区市町村教育委員会に、利用できる支援の対象と申込方法を尋ねましょう。制度の有無だけでなく、本人が望む連絡方法や相談のペースも伝えると、次の一歩を一緒に考えやすくなります。
主な一次情報:東京都教育委員会「令和8年度 点検及び評価(令和7年度分)報告書」発表/東京都教育委員会・令和7年度分報告書とコンパクト版


