「うちの家庭環境が悪かったから、不登校になったの?」 「私の育て方のせい?」
子どもが学校へ行けなくなると、原因を探すうちに、親自身が自分を責めてしまうことがあります。
結論からいうと、家庭環境が不登校に関係するケースはあります。しかし、不登校を「親の育て方」や「家庭環境」だけで説明することはできません。
一方で、不安・抑うつ、体調不良、友人関係、学校環境、学業など、さまざまな要因が同時に確認されています。
大切なのは、「誰のせいか」を決めることではなく、「今、子どもに何が負担になっていて、どんな環境なら安心できるか」を一緒に探すことです。
- 不登校と家庭環境にはどんな関係があるのか
- 「母親・父親のせい」と単純に言えない理由
- 文部科学省の不登校要因調査の実際の数字
- 親子関係を振り返るときに見るべきポイント
- 家庭で今日からできる関わり方
- 家庭だけで抱え込まないための選択肢
不登校は家庭環境が原因?「親のせい」とは言い切れない
家庭環境が子どもの心や生活に影響することはあります。
たとえば、引っ越し、家族関係の大きな変化、家庭内の強い緊張、親子間のコミュニケーションなどが、子どもの負担と関係するケースもあります。
ただし、そこから「不登校になったのは母親のせい」「育て方が悪かったから」と結論づけるのは適切ではありません。
不登校は、一つの出来事だけではなく、学校・人間関係・心身の状態・学習・家庭・生活リズムなど、複数の要素が重なって起きる場合があります。
つまり、「どんな家庭なら不登校になる」と決まった型があるわけではありません。
文科省データで見る|家庭環境はどのくらい関係している?
文部科学省の委託事業として行われた「不登校要因調査」では、不登校になったきっかけや関連要因について、不登校児童生徒本人、保護者、教師に尋ねています。
不登校児童生徒239人、保護者200人の回答を見ると、家庭に関係する項目は次のようになっています。
| 関連要因 | 児童生徒 | 保護者 |
|---|---|---|
| 親子の関わり方 | 27.3% | 26.3% |
| 家庭の生活環境の急激な変化 | 9.3% | 11.6% |
| 家庭内の不和 | 9.1% | 5.6% |
これだけを見ると、「やっぱり家庭に原因があるのでは」と感じるかもしれません。
しかし、同じ調査では次のような項目も多く挙げられています。
| 関連要因 | 児童生徒 | 保護者 |
|---|---|---|
| 不安・抑うつの訴え | 76.5% | 78.4% |
| 居眠り・朝起きられない・夜眠れない | 70.3% | 74.7% |
| 体調不良の訴え | 68.9% | 76.5% |
| 学業の不振 | 47.0% | 35.9% |
| 感覚の過敏さ | 40.3% | 38.9% |
この調査は「○○が原因で不登校になった」と因果関係を証明する調査ではありません。複数回答による関連要因・きっかけ要因を整理したものです。
たとえば「親子の関わり方」と「学校での人間関係」と「不安」が同時に重なっている子もいます。
一つの数字だけを取り出して、家庭や親に責任を負わせることはできません。
「母親が原因?」「父親が原因?」と考える前に見てほしいこと
不登校になると、家にいる時間が増えます。
その結果、学校に行けない原因そのものと、不登校になった後に家庭で起きた変化が混ざって見えやすくなります。
「今、家庭で困ったことが起きている」ことと、「家庭が不登校を引き起こした」ことは同じではありません。
原因探しをするときは、時間の順番を分けて考えることが大切です。
学校・家庭で
どんな様子だった?
最初に何が
変わった?
家庭で何が
変化した?
何が一番
負担になっている?
「家庭環境が悪い」のではなく、子どもと環境が合っていないこともある
家庭の中に原因を探し続けていても、答えが見つからないことがあります。
なぜなら、子どもが苦しんでいる場所が家庭ではなく、学校環境とのミスマッチである場合もあるからです。
この家庭では、小学2年生の終わりに転居し、新しい地域・学校・クラスでの生活が始まりました。
以前はみんなで遊ぶことが好きだった子でしたが、新しい学校では、子ども同士の距離感、強い言葉、大きな声、教室のざわつきなどが少しずつ負担になっていきました。
決定的ないじめがあったわけではありません。
それでも、毎日の小さな負荷が積み重なり、やがて「2学期から、もう行きたくない」と伝えたといいます。
保護者は当初、行事まで頑張らせたり、迎えに行く約束をして登校を促したりしていました。
しかし、元気がなくなり、好きだった食べ物にも手を伸ばさなくなる姿を見て、将来の学力よりも「今の元気を守る」ことを優先するようになりました。
その後、NIJINアカデミーを知り、本人が「行ってみたい」と体験へ参加。
入学後は、身体的な接触のないオンライン環境や少人数のクラスが本人に合い、人との会話を楽しめるようになったといいます。
不登校がすべて解決したわけでも、不安がなくなったわけでもありません。
それでも「家庭だけで正解を探さなくてもいい」と感じられる場所ができたことが、親子双方の変化につながっています。
親が振り返るべきなのは「責任」ではなく「今の関わり方」
「親のせいではない」と聞いても、「じゃあ何もしなくていいの?」という話ではありません。
過去の育て方を裁くのではなく、これから家庭をどういう場所にするかを考えることには意味があります。
- 学校の話をするたびに、子どもの表情が強くこわばっていないか
- 「いつ行くの?」「明日は行ける?」を繰り返していないか
- 子どもが何もしない時間を、すぐに問題扱いしていないか
- 親自身が一人ですべてを抱え込んでいないか
- 学校以外の人や場所とのつながりを持てているか
1.「なぜ行けないの?」を何度も聞かない
本人自身も、学校へ行けない理由をうまく言葉にできないことがあります。
答えが出ない状態で何度も理由を聞かれると、「説明できない自分が悪い」と感じてしまう場合があります。
理由を急いで聞き出すより、まずは「今、何が一番しんどい?」など、現在の状態から聞く方法があります。
2.学校に行く・行かない以外の会話を増やす
不登校になると、親子の会話が「明日はどうする?」「宿題は?」「先生に何て言う?」ばかりになりがちです。
好きなゲーム、動画、食べ物、ペットなど、学校と関係のない会話も残しておきましょう。
3.家庭だけで解決しようとしない
親が先生、カウンセラー、学習支援者、友達、生活管理者のすべてを担う必要はありません。
学校のスクールカウンセラー、教育支援センター、医療機関、フリースクール、保護者コミュニティなど、役割を分けていくこともできます。
家庭環境を「安心できる場所」にするためにできること
家庭を完璧な場所にする必要はありません。
親が不安になったり、イライラしたり、対応を間違えたりすることもあります。
重要なのは、間違えないことではなく、親子で修正できる関係を残しておくことです。
文部科学省は、不登校への支援について、「学校に登校する」という結果だけを目標にしないことも示しています。
学校に戻ることが本人の希望なら、そのための支援を考える。
一方で、今は学校へ行けないのであれば、学校外で学んだり、人とつながったりする方法を持つこともできます。
家庭だけで抱え込まなくていい|「第三の場所」を持つという考え方
不登校になると、親子が長時間一緒に過ごすようになります。
親が子どもの唯一の話し相手、唯一の先生、唯一の相談相手になってしまうと、どちらも疲れてしまいます。
そこで役立つのが、家庭と学校以外の「第三の場所」です。
それは必ずしもフリースクールである必要はありません。
教育支援センター、習い事、地域活動、オンラインコミュニティなど、その子が無理なくつながれる場所で構いません。
家庭だけがすべてを背負わなくていい状態をつくることでもあります。
子どもにも親にも、
「もう一つの場所」をつくってみませんか?
家でずっと見守っていると、
「この対応で合っているのかな」と親も苦しくなります。
NIJINアカデミーは、学校を今すぐやめるための場所ではなく、
家庭と学校以外にも、子どもが人や学びとつながれる選択肢を増やす場所です。
少人数クラス
専任サポート担任
からでも参加可能
「入学するか」を決める前に、
まず実際の子どもたちの様子を見て、うちの子に合いそうかを確かめてみてください。
よくある質問
Q. 不登校は母親の育て方が原因ですか?
母親の育て方だけで不登校の原因を説明することはできません。文科省の調査でも、家庭に関する要因だけでなく、心身の状態、友人・教師との関係、学業、学校環境など多様な要因が挙がっています。
Q. 不登校になりやすい家庭環境はありますか?
「このような家庭なら不登校になる」と決められる特徴はありません。家庭内の大きな変化や親子関係が関連するケースはありますが、不登校は複数の要因が重なって生じる場合があります。
「不登校になりやすい家庭」という検索については、別記事でより詳しく解説しています。
Q. 親子関係が悪くなっています。どうすればいいですか?
まず、学校へ行くかどうかだけを話す時間を減らし、学校と関係のない会話を戻していく方法があります。
親子だけで解決が難しい場合は、学校のスクールカウンセラー、教育支援センターなど第三者を入れることも検討してください。
Q. 家でゲームばかりなのは家庭環境が悪いからですか?
ゲームをしていることだけで家庭環境の良し悪しは判断できません。不登校になった後、外出や学校生活が減った結果としてゲーム時間が増えることもあります。
睡眠・食事・心身の状態、人とのつながりなどを含め、生活全体を見ることが大切です。
Q. フリースクールを利用すると学校に戻れなくなりませんか?
フリースクールを利用することと、在籍校へ戻る可能性は二者択一ではありません。学校と併用する子どももいます。
本人の状態や希望、在籍校との相談を踏まえて、その時期に合う学び方を考えていきます。
しかし、文科省の調査を見ても、不登校には心身の状態、学校環境、人間関係、学業、生活リズム、家庭など、さまざまな要因が関係しています。
「私の育て方が悪かった」と原因を一人で背負い続けることよりも、今、子どもにとって何がつらいのか、どんな場所なら安心できるのかを一緒に探すことの方が、次の一歩につながります。
家庭だけで難しいときは、学校外の人や場所も頼ってください。
子どもにも親にも、選択肢は一つではありません。

