小学生のプレゼン資料は、「問い・きっかけ・調べ方・結果・結論」を5枚に分け、1枚ごとに伝えたいことを一つ決めると作りやすくなります。
「調べたことはたくさんあるのに、何を載せればいいの?」「写真を貼ったら、文字を置く場所がなくなった」。スライドを開いてから手が止まることはありませんか。
必要なのは、大人の仕事の資料のように仕上げることではありません。子どもが見つけたおもしろさや、自分で試して分かったことが、見る人にも伝わる形を選ぶことです。
この記事では、紙飛行機を題材にした5枚の完成見本と、書き換えて使える空欄テンプレートを紹介します。話し方の練習ではなく、資料に載せる文、写真や図の位置、作成する順番に絞って説明します。
小学生のプレゼン資料は、5枚の役割を決めるところから
最初に「何枚作ろう」と考えるより、1枚ずつの役割を決めましょう。調べたり試したりしたことを伝えるなら、次の5枚が出発点になります。
1枚目
役割
表紙・問い
見た人に伝えたいこと
何を知りたくて取り組んだのか
2枚目
役割
きっかけ・予想
見た人に伝えたいこと
なぜ気になったか、どうなると思ったか
3枚目
役割
調べたこと・試したこと
見た人に伝えたいこと
何を、どんな方法で確かめたか
4枚目
役割
結果と考え
見た人に伝えたいこと
何が分かり、それをどう考えたか
5枚目
役割
結論・次の問い
見た人に伝えたいこと
いま言えることと、次に確かめたいこと
5枚は、初めて作るときの構成例です。 学校の課題や大会で枚数、発表時間、必須項目が決まっている場合は、その指定を優先してください。参考資料のページが別に必要か、表紙も枚数に数えるかも先に確かめます。
また、好きな本や自作ゲームの紹介なら、必ず実験をする必要はありません。「問い」を「紹介したいこと」、「調べ方」を「つくり方や選んだ理由」に置き換えられます。型に合わせて、本人がしていない研究を付け足さないことが大切です。
作る順番は「材料を選ぶ→見出し→写真・図→短い文」
スライドは1枚目から完成させなくてもかまいません。表紙の色や飾りに時間をかける前に、発表の中心になる材料を入れると、全体の見通しが立ちます。
1.伝える相手と、残したい発見を一つ決める
同じ紙飛行機の発表でも、初めて見る人には形の説明が必要です。一緒に実験した友達には、結果の違いを詳しく見せたほうが伝わるかもしれません。
「誰に見せる?」「見終わったとき、何を覚えていてほしい?」と本人に聞きます。「この形がおもしろい」「予想と違ったところを見てほしい」など、その子の言葉を仮の中心にします。まだ結論がはっきりしなければ、確かに記録できている発見から選びましょう。
2.写真・記録・調べた先を一か所に集める
使えそうな写真、観察メモ、数値、参考にした本やウェブページを集めます。この段階では、きれいな写真より「何をしたかが分かる写真」を選びます。
写真がない場合は、自分で描いた図でも大丈夫です。写真を後から撮り直したなら、実験中の記録と混同しないよう「道具を並べた写真」などと説明します。なかった場面を、あったように見せる必要はありません。
3.5枚を用意し、まず中身のあるページから作る
普段使うスライドソフトで5枚を用意し、各ページに仮の見出しだけ入れます。次に、記録がそろっている3枚目と4枚目から、写真や表を置いてみましょう。
結果を見て5枚目の結論を書き、最後に1・2枚目を整える方法もあります。「立派な結論」に向けて結果を選ぶのではなく、実際に分かったことに合わせて表紙や見出しを直します。
4.文字を短くして、配置をそろえる
写真や図の横に必要な説明を置きます。長い経緯や詳しい理由は、発表者用のメモに移します。タイトルの位置、写真の大きさ、文字の左端をそろえると、ページを切り替えても見やすくなります。
最後に保存し、発表用の表示で全ページを確認します。提出用に別形式へ書き出す場合も、書き出したファイルを開き直し、文字や画像が切れていないか確かめてください。
完成見本|紙飛行機の発表を5枚にするとこうなる
ここからは、架空の小学生が「どちらの紙飛行機が遠くまで飛ぶか」を調べた例です。写真の場面設定と数値は、資料の作り方を説明するための練習用です。実際の実験結果ではありません。 自分の発表では、自分で集めた記録に置き換えてください。
例では、同じ大きさ・種類の紙から作った、形の違うAとBを比べます。実際に飛ばすときは、大人と安全な場所を確認し、人や動物、道路に向けて飛ばさないようにしましょう。
1枚目:表紙は「何を確かめたか」が分かるタイトルに

スライドに載せる文
どちらの紙飛行機が遠くまで飛ぶ?
形のちがうAとBをくらべました
4年 そら
写真・文字の置き方
上の3分の1にタイトルを置き、中央に紙飛行機AとBを並べた写真を大きく配置します。それぞれの機体の近くに「A」「B」の表示を付けます。名前は下にまとめ、写真の上には重ねません。
タイトルを「紙飛行機について」だけにすると、何の話かは分かっても、注目する点が伝わりません。「どちらが遠くまで飛ぶ?」と問いにすると、次のページを見る理由が生まれます。
口頭で補うこと
「紙飛行機を折るのが好きで、形によって飛び方が違うのか気になりました」。この詳しいきっかけは、表紙に長く書かず、次のページにつなげます。
書き換えテンプレート
タイトル:[何を確かめたい?]
一言説明:[何と何を比べた/何を調べた?]
見せるもの:[テーマが分かる写真・自作の絵]
名前:[発表先の指定に合わせて記入]
2枚目:きっかけと予想は、見分けられる二つの枠に

スライドに載せる文
羽の広いBが遠くまで飛ぶと予想した
きっかけ:折り方を変えたら、飛び方もちがった
予想:羽の広いBが、遠くまで飛びそう
写真・文字の置き方
上にタイトル、左半分に「きっかけ」「予想」の二つの枠を縦に置きます。右半分にはAとBを上から見た写真か自作の図を置き、羽の幅の違いを矢印で示します。
ここに書く「飛びそう」は、まだ確かめていない予想です。結果と同じ色や枠で混ぜず、必ず「予想」と表示します。予想が外れても、このページを書き直して当たったことにしなくて大丈夫です。
口頭で補うこと
「大きな羽なら、ゆっくり飛んで遠くへ行くのかな、と考えました」。理由も本人が考えた範囲で伝えます。後で調べた専門用語を、最初から知っていたように足す必要はありません。
書き換えテンプレート
タイトル:[最初はどうなると思った?]
きっかけ:[見たこと・困ったこと・不思議だったこと]
予想:[たぶん、どうなる?]
見せるもの:[気になった部分が分かる写真・図]
3枚目:試したことは「条件」と「手順」を分ける

スライドに載せる文
同じ場所で、AとBを3回ずつ飛ばした
そろえたもの:紙の種類と大きさ/場所/投げる人
①Aを飛ばす → ②Bを飛ばす → ③きょりを記録
この順番を3回くり返した
写真・文字の置き方
左半分に、スタート位置と着地した場所を示す図を置きます。「きょり」は、投げ始めた線から最初に床へ着いた場所まで、と図の矢印に添えます。右半分に条件と手順を配置します。
図は床全体を細かく描く必要はありません。線、紙飛行機、着地点の印があれば、測り方を説明できます。折り方を見せたいときは、別のページが必要か、発表時間と相談しましょう。
口頭で補うこと
「同じ人が投げましたが、投げる強さや角度まで毎回ぴったり同じにはできませんでした」。そろえられなかった条件も、隠さず伝えます。
書き換えテンプレート
タイトル:[何を、何回/どの期間調べた?]
そろえた条件:[比べるために同じにしたこと]
手順:①[ ]→②[ ]→③[ ]
見せるもの:[道具・測り方・観察場所が分かる図]
4枚目:結果の表と、自分の考えを分けて載せる

スライドに載せる文
今回の記録では、Bが2回長く飛んだ
| 回 | A | B |
|---|---|---|
| 1回目 | 4m | 6m |
| 2回目 | 5m | 5m |
| 3回目 | 4m | 7m |
結果:Bが長かったのは2回、同じだったのは1回
考え:形だけでなく、投げ方も関係したかもしれない
※資料づくりの練習用の架空データ
表・文字の置き方
タイトルの下、左側の約3分の2を表に使い、右側に「結果」「考え」の枠を縦に置きます。数字は中央にそろえ、単位の「m」も省きません。練習用の注記は、表のすぐ下に置きます。
大切なのは、見えた事実と解釈を分けることです。この記録から「羽が広ければ必ず遠くまで飛ぶ」とは言い切れません。回数が少なく、投げ方も完全にはそろっていないからです。「今回の記録では」と範囲を示すと、結果を大きく見せすぎずに伝えられます。
口頭で補うこと
「2回目は同じ距離でした。いつもBが遠い、という結果ではありませんでした」。都合のよい1回だけを取り出さず、残した記録を使います。
書き換えテンプレート
タイトル:[記録から分かったことを一文で]
表・グラフ:[自分の記録。単位・回数・日付などを添える]
結果:[実際に見えたこと]
考え:[なぜだと思うか。まだ分からないことは何か]
5枚目:問いに答え、次に確かめたいことを残す

スライドに載せる文
今回はBが遠くに飛んだ回が多かった
分かったこと:AとBでは、飛んだきょりにちがいがあった
次の問い:投げる回数を増やしても、同じ結果になる?
図・文字の置き方
上半分に結論を大きく置きます。下半分は、左に小さなA・Bの図、右に「次の問い」の枠を配置します。結論より「ありがとうございました」を大きくしないことで、最後まで発見が画面に残ります。
4枚目は記録を確かめるページ、5枚目は最初の問いに答えるページです。すべての数字をもう一度並べず、「だから、いま何が言えるか」を短くまとめます。
口頭で補うこと
「次は回数を増やしたり、飛ばす順番を入れ替えたりして確かめたいです」。終わっていないことも、次の問いとして示せます。
書き換えテンプレート
タイトル:[最初の問いへの、いまの答え]
分かったこと:[伝えたい発見を一つ]
次の問い:[次は何を知りたい?]
見せるもの:[発見を思い出せる写真・図]
見やすいスライドにする、文字・写真・図の選び方
1枚1メッセージにして、説明の全文は載せない
「1枚1メッセージ」は、文字を一行だけにする決まりではありません。そのページで一番覚えてほしいことが、一つに絞られている状態です。
たとえば4枚目には表と考察がありますが、中心は「今回の記録ではBが2回長く飛んだ」です。そこに「紙飛行機の歴史」「折り方の種類」まで入れると、見る場所が増えすぎます。
結果が分かる短いタイトル
発表者用メモに置くこと
その結果を見て驚いた理由
記録の表、違いが分かる写真
発表者用メモに置くこと
試している途中の詳しい出来事
見る場所を示す短い説明
発表者用メモに置くこと
写真には写っていない状況の補足
文字を減らすと説明しにくくなる場合は、消す前にメモへ移しましょう。画面とメモで役割を分けると、内容を失わずに整理できます。
写真は形、図は仕組み、表は正確な数値を見せる
写真、図、表には、それぞれ得意なことがあります。
- 写真:作品の形や実際の様子を見せたいとき。背景に写る物が多ければ、必要な部分を切り出す。
- 図:測り方、動き、手順を見せたいとき。自分で描いた矢印や簡単な線でよい。
- 表:回ごとの数字を正確に比べたいとき。列と行を増やしすぎず、見出しと単位を付ける。
- グラフ:増減や大きさの違いを見せたいとき。軸、単位、目盛りを省かず、見た目の差を誇張しない。
写真を何枚も小さく並べるより、注目してほしい1枚を大きく置くほうが合う場面もあります。「この写真のどこを見てほしい?」に答えられるものを残しましょう。
東京都教育委員会の活用事例でも、目的に合わせた撮影や、見やすさを重視した発表資料づくりが紹介されています。操作に慣れていない子には、写真や動画だけを貼る方法も示されています。東京都教育委員会の活用事例
文字の大きさは、見る距離で確かめる
教室で映す資料なら、作り始めの例として、本文を28〜32ポイント、タイトルを36〜44ポイント程度にしてみる方法があります。ただし、この大きさなら必ず読める、という基準ではありません。 画面の大きさ、書体、見る距離によって変わります。
入りきらないときは、すぐ文字を小さくせず、「言葉を短くする」「説明をメモに移す」「ページを分ける」の順で考えます。可能なら実際の画面に映し、一番遠い席に近い距離から確認しましょう。
背景は白やごく薄い色、文字は黒や濃い色にすると、区別を付けやすくなります。薄い黄色の文字を白地に置く、写真の模様の上に文章を重ねる、といった配置は避けます。
AとBを色分けするときも、色だけに頼らず「A」「B」の表示を残します。Microsoftの公式ガイドも、十分な文字と背景のコントラスト、余白、色だけに依存しない表示を勧めています。Microsoftのアクセシビリティガイド
写真・調べた情報の出典は、作りながら残す
資料づくりでは、「自分が確かめたこと」と「ほかの人から教わったこと」を区別します。本やウェブページの説明を使ったら、どこで調べたかを、その場で記録しておきましょう。
自分で撮った写真
残しておく情報の例
撮影者、撮影日、何を写したか
本で調べた説明
残しておく情報の例
著者、書名、出版社、使ったページ
ウェブページの情報
残しておく情報の例
発信元、ページ名、URL、見た日
外部の写真・イラスト
残しておく情報の例
作者・提供元、元ページ、利用条件
スライドでは、写真や説明の近くに短い出典を添え、詳しい情報は参考資料の欄などへまとめます。長いURLで画面が埋まる場合は、発表先のルールに従い、資料末尾や別紙に整理する方法を確認してください。出典を載せるためのページを追加できるかも確認が必要です。
検索結果に表示された画像を、そのまま使ってよいとは限りません。出典を書けば自由に使えるわけでもないため、元のサイトで利用条件を大人と確かめます。判断が難しければ、自分で撮る、自分で図を描く方法を選べます。
友達や家族が写る写真は、撮影だけでなく「誰に見せる資料か」も伝えて確認します。教室で見せる場合と、動画をインターネットで公開する場合は分けて考えてください。名札、学校名、住所につながる写り込みも、提出前に大人と確認しましょう。
親が手伝うのは、代作より「見る人の役」
大人が文章を書き直し、写真を選び、見栄えまで整えると、本人の発見が資料から見えにくくなることがあります。手伝う範囲を先に分けておくと、親子とも進めやすくなります。
子どもが選ぶのは、テーマ、載せたい記録、言いたいこと、使う写真。大人は、安全や写真の確認、出典の記録、保存や提出の操作を必要に応じて支えます。入力を代わる場合も、本人の言葉をそのまま入れ、最後に読んで確かめてもらいましょう。
保護者「このページでは、どこを最初に見てほしい?」
子ども「Bの数字」
保護者「では、この飾りを小さくするのと、表を大きくするの、どちらがよさそう?」
「もっときれいに」ではなく、見る人として迷った場所を具体的に伝えます。直す方法を本人が選べると、次の資料にも使える工夫になります。
完成前のチェック
- 各ページの見出しだけで、発表の流れが分かる。
- 1枚ごとの「一番見てほしいこと」が一つに決まっている。
- 予想、結果、自分の考えを区別している。
- 数値の単位、調べた条件、必要な出典がある。
- 写真を使ってよいか、写り込みを確認した。
- 発表用の表示や提出ファイルで、文字と図が読める。
- 本人が、載せた内容を自分の言葉で説明できる。
話すことへの不安が強い場合や、発表練習の進め方を知りたい場合は、人前で話すのが苦手な子のプレゼン練習で別に紹介しています。
まとめ|最初の1枚には、子ども自身の問いを置こう
小学生のプレゼン資料は、全部を詳しく載せるより、「何が気になり、どう確かめ、何が分かったか」が追える形にします。5枚の構成はそのための道具です。見栄えを整える前に、本人が伝えたい発見を選びましょう。
今日始めるなら、写真や記録を開き、「一番見せたいのはどれ?」と聞くところからで十分です。選んだ材料を中心に置き、短い見出しを付けてみてください。好きなことが一つの資料になっていく過程も、子ども自身の学びになります。
参考にした一次資料
- 東京都教育委員会「写真や動画を使用して、発表資料を分かりやすくまとめる」ほか活用事例(PDFの9・11ページ)
- Microsoft「障碍のある方のためにアクセシビリティの高いPowerPointプレゼンテーションを作成する」

