就学義務とは?義務を負うのは保護者であって、子ども本人ではありません

「義務教育なのに学校に行かせていない」。そう言われて、自分が責められているように感じた保護者の方は少なくありません。けれど条文を開くと、就学義務の主語は一貫して「保護者は」であって、「子どもは」ではありません。子ども本人に登校する法律上の義務はなく、罰則も、学校に行かないこと自体には向いていません。ここでは条文にあたって、どこまでが義務で、どこからが違うのかを整理します。
このページでわかること
  • 就学義務の条文(学校教育法第16条・第17条)の主語と中身
  • 義務が始まる日・終わる日の、正確な数え方
  • 就学猶予・就学免除(第18条)が認められる要件
  • 督促と罰則が、どういう順番で、どういう場合に動くのか

就学義務とは

就学義務とは、保護者が、子どもに9年間の普通教育を受けさせる義務のことです。根っこは日本国憲法第26条第2項にあります。

日本国憲法 第26条第2項

「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」

これを具体化したのが学校教育法第16条です。

学校教育法 第16条

「保護者(子に対して親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。以下同じ。)は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う。」

主語は「保護者」です。「子どもは学校に行かなければならない」と書いた条文は、学校教育法のどこにもありません。ここが、就学義務をめぐる誤解のほとんどが生まれる場所です。

義務が始まる日と終わる日

いつからいつまでかを定めているのが第17条です。日付の数え方に独特の言い回しがあるので、原文のまま見ておきます。

学校教育法 第17条第1項(抜粋)

「保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。」

第2項では、小学校等の課程を修了した翌日以後の最初の学年の初めから、満15歳に達した日の属する学年の終わりまでが中学校等の期間と定められています。

よくある誤解条文が定めていること
6歳の誕生日から満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから
12歳の誕生日まで満12歳に達した日の属する学年の終わりまで
15歳の誕生日まで満15歳に達した日の属する学年の終わりまで

つまり、学年の途中で誕生日が来ても、義務の始まりや終わりがその日にずれることはありません。区切りは学年です。

就学猶予・就学免除(第18条)

就学義務そのものを、猶予したり免除したりする仕組みもあります。

学校教育法 第18条

「前条第一項又は第二項の規定によつて、保護者が就学させなければならない子(略)で、病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者の保護者に対しては、市町村の教育委員会は、文部科学大臣の定めるところにより、同条第一項又は第二項の義務を猶予又は免除することができる。」

判断するのは市町村の教育委員会です。要件は「病弱」「発育不完全」「その他やむを得ない事由」により就学が困難と認められること。今回調べた範囲では、不登校を理由とする就学猶予・免除の運用について、全国共通の基準を示した公表資料は確認できませんでした。実際に検討する場合は、お住まいの市区町村の教育委員会にご確認ください。

督促と罰則は、どういう順番で動くのか

「義務教育を受けさせないと罰金」という話を聞いたことがあるかもしれません。条文はたしかに存在しますが、そこに至るまでには段階があります。

学校教育法施行令 第20条(抜粋)

「小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校及び特別支援学校の校長は、当該学校に在学する学齢児童又は学齢生徒が、休業日を除き引き続き七日間出席せず、その他その出席状況が良好でない場合において、その出席させないことについて保護者に正当な事由がないと認められるときは、速やかに、その旨を(略)市町村の教育委員会に通知しなければならない。」

学校教育法施行令 第21条(抜粋)

「市町村の教育委員会は、前条の通知を受けたときその他(略)保護者が法第十七条第一項又は第二項に規定する義務を怠つていると認められるときは、その保護者に対して、当該学齢児童又は学齢生徒の出席を督促しなければならない。」

学校教育法 第144条第1項

「第十七条第一項又は第二項の義務の履行の督促を受け、なお履行しない者は、十万円以下の罰金に処する。」

罰則が成立するのは「督促を受け、なお履行しない」場合です。そして施行令第20条の通知そのものが、「保護者に正当な事由がないと認められるとき」という条件つきになっています。病気や本人の状態を理由に登校できていない状況は、この入口の要件に当たりません。

注意

ここで説明しているのは条文の組み立てであって、個別の事案がどう扱われるかを保証するものではありません。学校や教育委員会とのやりとりで不安がある場合は、市区町村の教育委員会や、弁護士会の教育問題相談などにご相談ください。

学校との話し合いで、この整理をどう使うか

「義務教育なので」と言われたときに確認できるのは、次の3点です。

確認したいこと

就学義務は、子どもを教室に座らせる義務ではなく、学ぶ機会をつくる責任の所在を定めたものです。学校以外の場での学びについては、教育機会確保法が「学校以外の場における多様で適切な学習活動の重要性」と「休養の必要性」を条文に書き込んでいます。あわせて確認してみてください。

よくある質問

子どもが学校に行かないと、保護者が罰せられますか。
条文の組み立てとしては、教育委員会からの督促を受けてもなお履行しない場合に第144条の対象になります。また督促の前段にある施行令第20条の通知は「保護者に正当な事由がないと認められるとき」に行うものとされています。不登校であること自体が罰則の対象になると定めた条文は確認できませんでした。
ホームスクーリングを選んだ場合、就学義務はどうなりますか。
日本の法律では、家庭での学習をもって就学義務を果たしたとみなす仕組みは定められていません。在籍校に籍を置いたまま家庭で学ぶ形が一般的で、その場合の出席の扱いは、令和元年10月25日の文部科学省通知に基づいて学校長が判断します。くわしくはホームスクーリングの記事をご覧ください。
義務教育を終える前に転居したら、手続きはどうなりますか。
住所が変わると学齢簿の記載が変わり、新しい市町村の教育委員会が就学すべき学校を指定します。高校の場合とは仕組みが違うので、転入学・編入学のページで整理しています。
  1. 日本国憲法(昭和21年憲法)第26条(条文)
  2. 学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条・第17条・第18条・第144条(条文)
  3. 学校教育法施行令(昭和28年政令第340号)第20条・第21条(条文)
  4. 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日 元文科初第698号(ページ)

用語集の一覧にもどる

文責:にじいろ編集部(編集部について/訂正・修正に関する方針)
公開日:2026年9月24日 / 最終更新:2026年9月24日
いまの教室以外の場所も考えたいときに

NIJINアカデミーは、自宅から参加できるオルタナティブスクールです。朝の会から授業まで全国の子どもたちと一緒に過ごせて、在籍校への出席の相談にも対応しています。まずは様子を見てみたい、という段階からご相談いただけます。