- 義務教育と就学義務の基本(誰の、どんな義務か)
- 一条校・各種学校・無認可で扱いがどう変わるか
- 文部科学省の説明と、自治体・学校の実際の説明
- 公立小中学校の学籍はどうなるのか
- 入学前の年に届く書類と、手続きのスケジュール
- 中学・高校へ進むときの資格の扱い
- 一条校のインターナショナルスクールという選択肢と、教育委員会に聞くこと
結論:就学義務を果たしたことになるのは一条校だけ
| 学校の種類 | 就学義務 | 日本の小中学校の卒業資格 | 例 |
|---|---|---|---|
| 一条校 | 果たしたことになる | 出る | LCA国際小学校、幕張インターナショナルスクール、沖縄アミークスインターナショナル |
| 各種学校 | 果たしたことにならない | 出ない | 関西学院大阪インターナショナルスクール、横浜インターナショナルスクール |
| 無認可 | 果たしたことにならない | 出ない | Chuo International School(千葉県の学校名簿に掲載を確認できず) |
「一条校」とは、学校教育法の第1条に定められた学校のことです。日本の小学校・中学校・高校などがこれに当たります。名前に「インターナショナル」と付いていても、一条校の学校はあります。逆に、立派な校舎があっても一条校でない学校もあります。
3つの種類で制度上の扱いはこう変わる
| 一条校 | 各種学校 | 無認可 | |
|---|---|---|---|
| 就学義務を果たしたことになる | ○ | × | × |
| 日本の小中学校の卒業資格 | ○ | × | × |
| 公立中学校への進学 | ○ | △ | △ |
| 高校の就学支援金 | ○ | △ | × |
○=当てはまる △=教育委員会との相談や、文部科学省の指定による ×=当てはまらない。文部科学省の資料をもとに作成(2026年10月時点)。
この表でいちばん大切なのは、1行目です。就学義務を果たしたことになるかどうかは、英語の授業の質でも、校舎の立派さでもなく、学校の「種類」で決まります。そして、種類は学校の名前からはわかりません。

そもそも義務教育・就学義務とは
「義務教育」という言葉は、子どもが学校に行く義務だと思われがちです。実際には、義務を負っているのは保護者です。憲法と教育基本法、学校教育法は、保護者に対して、子どもに普通教育を受けさせる義務を定めています。これを就学義務といいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 義務を負う人 | 保護者(子どもではない) |
| 対象の年齢 | 満6歳になった翌日以後の最初の学年の初めから、満15歳になった学年の終わりまで |
| 就学させる学校 | 小学校・中学校・義務教育学校・中等教育学校の前期課程・特別支援学校の小学部と中学部 |
| 根拠となる法律 | 憲法第26条、教育基本法第5条、学校教育法第16条・第17条 |
ポイントは、「就学させる学校」が法律で決まっていることです。ここに挙がっているのは、すべて学校教育法第1条に定められた学校、つまり一条校です。インターナショナルスクールは、一条校として認可されていない限り、この中に入りません。
学校教育法には、教育委員会から督促を受けても就学させない保護者に対する罰則の定めもあります(第144条)。ただし、インターナショナルスクールに通う子どもの扱いは、実際には自治体との相談のなかで決まっていきます。だからこそ、入学を決める前に教育委員会へ相談しておくことが大切です。
就学義務の3つの基本
01
保護者の義務
子どもに「学校へ行く義務」があるのではなく、保護者に「就学させる義務」があります。
02
6歳から15歳まで
小学校の6年間と、中学校の3年間の合わせて9年間が対象です。幼児と高校生は対象ではありません。
03
一条校に通わせる
就学させる先は、法律で定められた学校です。一条校でない学校は、ここに含まれません。
幼児のプリスクールと、高校段階のインターナショナルスクールでは、就学義務の問題は起きません。
文部科学省はどう説明しているか
文部科学省は、就学事務のQ&Aで次のように説明しています。
- インターナショナルスクールについて、法令上の特別な規定はない。一条校として認められたものもあるが、多くは各種学校か、無認可のものである
- 保護者が日本国籍の子どもを一条校でないインターナショナルスクールに就学させても、就学義務を履行したことにはならない
- 一条校でないインターナショナルスクールの小学部を終えた子どもが、中学校から一条校への入学を希望しても、認められない。中学部の途中で一条校へ編入を希望する場合も同じ
- 経済的な事情や転居などで通えなくなったときに、子どもが未就学にならないよう、市町村の教育委員会は留意すること
3つめの点は見落とされがちです。「小学校はインター、中学から公立」という計画は、制度上はそのままでは成り立ちません。実際の扱いは自治体との相談になります。
4つめの点も大切です。文部科学省は、通えなくなった子どもが学校に行かないままにならないよう、市町村の教育委員会に配慮を求めています。つまり、制度の上では「就学義務を果たしていない」扱いであっても、公立学校へ移る道は閉ざされていません。困ったときは、ためらわずに教育委員会へ相談してください。
公立小中学校の学籍はどうなるのか
学籍の扱いは、自治体と学校によって説明が違います。確認できた例を紹介します。
学校が自分から説明している例
沖縄県のオキナワインターナショナルスクールは、初等部・中等部について「文部科学省から一条校としての認可を受けている学校ではない」と公式サイトに明記し、沖縄県内の公立学校に籍を置いている子どもは、そこに籍を置きながら通学することになると説明しています。
公立学校と連携している例
沖縄県宜野湾市のアメラジアンスクール・イン・オキナワは、通うことで日本の公立学校の卒業証書が授与されるようになったと公表しています。地域の公立学校が、スクールで学んだ日数を出席として扱う形です。
自治体がはっきり書いている例
吹田市は、国立・私立の小中学校に進む場合に学務課への届出を求めています。そのうえで、インターナショナルスクールやフリースクールなどの非1条校は、この届出には該当しないと明記しています。外国籍の子どもについては、市立学校に入学しない場合に、就学先を把握するための申告書の提出を求めています。
同じインターナショナルスクールでも、住んでいる自治体によって手続きが変わります。学校の説明だけで判断せず、必ず教育委員会に確認してください。
学籍の扱いは学校と自治体で違う
01
学校が説明している例
オキナワインターナショナルスクールは、公立学校に籍を置いている子どもは、そこに籍を置きながら通学することになると説明しています。
02
公立学校と連携する例
アメラジアンスクール・イン・オキナワは、地域の公立学校がスクールで学んだ日数を出席として扱い、卒業証書が授与されるとしています。
03
自治体が明記する例
吹田市は、非1条校は私立学校へ進学するときの届出には該当しないと、公式サイトに書いています。
各校・自治体の公表内容(2026年10月時点)。
「あの学校ではこうだった」は、別の自治体では通用しないことがあります。
公立学校に籍があるかどうかで変わるのは、卒業のときの扱いです。籍のある公立学校が、インターナショナルスクールで学んだ日数や内容をどう扱うかは、学校と教育委員会の判断になります。保護者の希望だけでは決まりません。
そのため、入学の前に「籍はどうなるのか」「卒業の扱いはどうなるのか」「定期的に公立学校へ報告や面談が必要か」の3つを、教育委員会に聞いておくことをおすすめします。

入学前の年に届く書類と、手続きのスケジュール
子どもが小学校に上がる前の年、市区町村の教育委員会から家庭に書類が届きます。インターナショナルスクールへの入学を考えている家庭も、この流れのなかで動くことになります。
小学校入学までの教育委員会の手続き
法令で定められた時期です。
学校教育法施行令・学校保健安全法施行令にもとづく時期。届く書類の名前や時期は、自治体によって少し違います。
一条校でないインターナショナルスクールに通わせたい場合、入学する学校の通知が届いてから慌てるのではなく、その前に教育委員会へ相談しておくと、行き違いを防げます。相談の時期は、就学時健康診断の案内が届く秋ごろが1つの目安です。
私立の一条校に進む場合は、入学を証明する書類を添えて、教育委員会に届け出るのが一般的です。吹田市は、インターナショナルスクールなどの非1条校はこの届出に該当しないと明記しています。同じ「公立に行かない」でも、手続きが違うことに注意してください。
学校の種類を自分で調べる方法
ここまで読んで、「検討している学校はどの種類なのか」が気になった方も多いはずです。種類は、次の順番で調べられます。
一条校かどうかを4ステップで確かめる
公式サイトに種類が書かれていない学校は、珍しくありません。吹田市のAICJ INTERNATIONAL SCHOOL 大阪校は、公式サイトに位置づけの記載がなく、大阪府の私立小学校の一覧にも載っていません。このことから、一条校ではないとわかります。千葉県のChuo International Schoolも、千葉県の学校名簿に掲載を確認できませんでした。
各種学校と無認可の違いも知っておきましょう。各種学校は、学校教育法にもとづいて都道府県知事の認可を受けた学校です。一条校ではありませんが、校舎や教員、授業時間などについて一定の基準を満たしています。無認可の施設には、こうした認可がありません。どちらも就学義務を果たしたことにはなりませんが、高校段階の就学支援金は、各種学校のうち文部科学省が指定した学校だけが対象になります。
同じ学校のなかで、学部によって種類が違うこともあります。オキナワインターナショナルスクールは、幼児の部が認可外保育施設、小学部・中学部が各種学校、高等部が専修学校の高等課程です。「この学校は各種学校」と一言でくくらず、子どもが通う学部の種類を確かめてください。
外国籍の子どもの場合
就学義務は、日本国籍の子どもの保護者に課されるものです。外国籍の子どもの保護者には就学義務はありませんが、希望すれば公立の小中学校に通うことができます。インターナショナルスクールに通う場合も、自治体が就学先の把握のために書類の提出を求めることがあります。
保護者のどちらかが日本国籍で、子どもが日本国籍を持っている場合は、就学義務の対象になります。子どもが日本国籍と外国籍の両方を持っている場合の扱いは、自治体に確認してください。国籍によって手続きが変わるため、家庭の状況を伝えたうえで相談するのが確実です。
中学・高校へ進むときの資格の扱い
就学義務の問題は、進学の節目で表に出てきます。小学部を終えるとき、中学部を終えるときの2回です。
小学部を終えて、中学校へ進むとき
文部科学省は、一条校でないインターナショナルスクールの小学部を終えた子どもが、中学校から一条校への入学を希望しても認められない、と説明しています。日本の小学校の課程を修了していないためです。
一方で文部科学省は、子どもが未就学にならないよう配慮することも、教育委員会に求めています。実際にどう扱われるかは、自治体との相談になります。「小学校はインター、中学校は公立」と考えている家庭は、小学部に入る前の時点で、教育委員会に見通しを聞いておいてください。
中学部を終えて、高校へ進むとき
日本の高校に入学できるのは、原則として中学校を卒業した人です。一条校でないインターナショナルスクールの中学部を終えても、日本の中学校を卒業したことにはなりません。
ただし、道はあります。学校教育法施行規則第95条は、高校の入学資格として、中学校を卒業した人と同等以上の学力があると高校が認めた人などを挙げています。また、文部科学省が行う中学校卒業程度認定試験に合格すると、高校の入学資格が得られます。
| 高校へ進む道 | 内容 | 確認する相手 |
|---|---|---|
| 高校が個別に認める | 中学校卒業と同等以上の学力があると、高校が認める | 志望する高校、教育委員会 |
| 中学校卒業程度認定試験 | 文部科学省が行う試験に合格する | 文部科学省の案内(受験できる条件を確認) |
| インターの高等部へ進む | そのまま同じ学校、または別のインターの高等部へ | 進学先の学校(大学入学資格の根拠を確認) |
| 公立中学校に籍を置き、卒業を認めてもらう | 籍のある公立中学校の卒業として扱ってもらう | 教育委員会、籍のある中学校 |
どの道が使えるかは、子どもの状況と、自治体・志望校の判断によって変わります。受験の直前に調べ始めると、間に合わないことがあります。中学部に入る時点で、3年後の進路を想定しておいてください。高校卒業後の資格については、インターナショナルスクール卒業後の進路で解説しています。
制度の問題が表に出る時期
3つの節目の1〜2年前に相談しておくと、選べる道が増えます。
一条校のインターナショナルスクールという選択肢
就学義務と卒業資格の心配をなくしたいなら、一条校として認可された国際系の学校が候補になります。
| 学校 | 対象 | 特徴 | 地域 |
|---|---|---|---|
| LCA国際小学校 | 小学生 | 日本語と英語の両方で学ぶ。授業料 年162万円 | 相模原 |
| 幕張インターナショナルスクール | 幼稚園〜小6 | CIS認定。教育課程特例校。授業料 年174万円 | 千葉 |
| 沖縄アミークスインターナショナル | 幼稚園〜中3 | 年89万5,600円(小学校) | 沖縄 |
| アサンプション国際小学校 | 小学生 | イングリッシュコースは全教科の約50%を英語で学ぶ | 箕面 |
| 関西学院千里国際中等部・高等部 | 中1〜高3 | インターナショナルスクールと同じ校舎。授業料 年126万6,000円 | 箕面 |
数は多くありませんが、「英語で学ぶこと」と「日本の卒業資格」の両方を確保できます。
一条校の国際系の年間授業料
にじいろが確認した一条校の授業料です。年約90万〜174万円でした。
各校の公式サイトの金額(年額)。沖縄アミークスは授業料・教材費・施設費などの合計。入学金などは別にかかります。
一条校の国際系は、学校によって英語の時間が違います。アサンプション国際小学校のイングリッシュコースは、全教科の約50%を英語で学びます。幕張インターナショナルスクールは、国から教育課程の特例を認められた学校(教育課程特例校)で、CISの認定も受けています。
「すべての授業が英語でなければ意味がない」と考えるか、「日本語もしっかり学べるほうがよい」と考えるかは、家庭の方針によります。日本で暮らし続ける予定なら、日本語と英語の両方で学べる一条校は、制度の心配がなく、日本語の力も保ちやすい選択肢です。ただし数が少なく、通える地域は限られます。

入学前に教育委員会へ確認すること
入学を決める前の3つのステップ
順番を守ると、あとで困りません。
01
学校の種類を確かめる
学校に「一条校ですか、各種学校ですか」と聞きます。都道府県が公表している私立学校の一覧でも確かめられます。
02
教育委員会に相談する
住んでいる市区町村の教育委員会に、学籍の扱いと必要な手続きを聞きます。入学を決める前に相談するのが大切です。
03
戻るときのことを聞く
途中で通えなくなったとき、公立学校へどう移るのか。中学・高校へ進むときにどうなるのか。先に聞いておきます。
相談した日付と担当者の名前を控えておくと、あとの手続きがスムーズです。
卒業後の進路はインターナショナルスクール卒業後の進路で、途中で学校を移る場合はインターナショナルスクールの編入・転校で解説しています。
教育委員会に聞いておく8つのこと
電話でもかまいません。聞いた日付と、担当の課・担当者の名前を控えておきます。
教育委員会への相談は、気が重いと感じる保護者も多いものです。けれども、相談したからといって、入学を止められるわけではありません。教育委員会は、子どもが学ぶ場を失わないようにする立場です。事情を正直に伝えたほうが、あとの手続きが進みやすくなります。
もう1つ、相談のときに役立つのが、学校からもらう書類です。在籍を証明する書類や、学習の記録(成績表)は、公立学校へ移るときや進学のときに、これまでの学びを説明する材料になります。入学の時点で、「在籍証明や成績の証明は、日本語でも出してもらえますか」と聞いておくと安心です。
義務教育についてのよくある誤解
| よくある誤解 | 実際は |
|---|---|
| インターに通えば義務教育を受けたことになる | 一条校でなければ、保護者は就学義務を果たしたことになりません |
| 名前に「スクール」「学園」とあれば学校として認可されている | 名前に決まりはありません。種類は都道府県の一覧で確かめます |
| 就学義務は子どもの義務である | 保護者の義務です |
| 一条校でないインターに通うと、公立学校には二度と入れない | 文部科学省は、未就学にならないよう教育委員会に配慮を求めています |
| どの自治体でも同じ手続きになる | 自治体によって説明と手続きが違います |
| 高校段階のインターも就学義務に関わる | 就学義務の対象は15歳の学年の終わりまでです。高校段階は対象外です |
3つの想定ケースで考える
家庭の状況で確かめることが変わる
01
来年、小学校に入る
秋に届く就学時健康診断の案内の前後で、教育委員会に相談します。一条校の国際系も、あわせて調べておきます。
02
いま各種学校のインターに通っている
公立学校の籍がどうなっているかを確かめます。中学校への進学の扱いを、早めに聞いておきます。
03
プリスクールに通っている
いまは就学義務の対象外です。6歳からの進路を、卒園の1〜2年前に考え始めます。
編集部が作成した想定例です。
制度の心配をしないで英語を続けたい家庭には、地元の公立学校や一条校に在籍したまま、放課後やオンラインで英語を学ぶ方法もあります。在籍する学校が一条校であれば、就学義務の問題は起きません。通い方の比べ方はインターナショナルスクールの選び方で解説しています。

よくある質問
この記事の内容を確かめるための一次資料
- 文部科学省「就学事務Q&A 11. 学齢児童生徒をいわゆるインターナショナルスクールに通わせた場合の就学義務について」(ページ)
- 吹田市「国立・私立小中学校等へ入学する場合の手続き」(ページ)
- オキナワインターナショナルスクール「スクールについて」(ページ)
- にじいろ「沖縄県のインターナショナルスクール」(沖縄県内の学校の出典一覧)(ページ)
- LCA国際小学校「入学案内・募集要項」(ページ)
- 大阪府「私立小学校の一覧」(ページ)
- NIJIN GLOBAL ACADEMY 公式サイト(ページ)
- e-Gov法令検索「学校教育法」(ページ)
- 文部科学省「就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定試験」(ページ)


