- Scratchは世界でどれくらい使われているのか
- 独学で覚えた子が、次にぶつかりやすい壁の正体
- 「共有」「リミックス」「スタジオ」が何を可能にするか
- アカウント登録の年齢条件と、書いてはいけない情報
- コメントで傷つかないための準備
- 小学生から応募できるプログラミングコンテスト
- Scratchの「次」に進むときの選択肢と費用
この記事は、Scratchの公式FAQ・利用規約・プライバシーポリシー、Scratch Foundationの年次報告、各コンテストの公式サイトにあたって構成しています。保護者が判断するために必要な情報を、規約の言葉のまま紹介します。数字は2026年9月17日時点で確認したものです。
Scratchは、世界でどれくらい使われているのか
まず規模を押さえておきます。Scratchを運営するScratch Foundationの年次報告(2024年)には、次のように書かれています。
| 項目 | 公表されている数字 |
|---|---|
| 新規ユーザー(2024年) | 2,150万人(welcomed 21.5 million new users) |
| 世界の利用者 | 1億4,000万人超(more than 140 million children worldwide) |
| 作られた作品 | 10億件突破(celebrated our one billionth project) |
| 月間の新規登録 | 月180万件(1.8 Million new monthly registrations) |
| 提携団体 | 49か国・229団体 |
| 対応言語 | 80言語 |
同財団は Scratch を 「世界の小中学校で最も使われているプログラミング言語」(#1 coding language in K-8 schools globally)と位置づけています。
つまり、子どもが独学で覚えたこの環境は、世界で1億人以上が使っている「共通語」です。ローカルな遊びではありません。ここを知っておくと、次の話が分かりやすくなります。

NIJIN放課後プロジェクトスクールでは、作ったゲームを全国の子に遊んでもらい、その感想をもとに改良していくScratchゲーム制作が紹介されています。この記事でいう「第2段階」と「第3段階」を、同時に用意できる形です。今の学校に通いながら、放課後に参加できます。
独学の次にぶつかる壁は、技術ではない
Scratchを独学で覚えた子が止まるのは、たいてい「もっと難しいブロックが分からない」からではありません。作ったものを、誰にも見せていないからです。
ゲームは、遊ばれてはじめて分かることがあります。最初の操作説明が足りない。難易度が急に上がる。同じ音が鳴りすぎてうるさい。こうしたことは、作った本人には見えません。フィードバックがないまま作り続けると、「なんとなく飽きた」で終わってしまいます。
もうひとつ、独学の子によく起きるのが「作りかけが増えていく」という現象です。完成させる理由がないので、飽きたところで次の作品に移ってしまう。フォルダの中に未完成が10個並んでいる、という状態です。
逆に言えば、誰か1人でも遊んでくれる人がいると、次に直すところが自動的に見つかります。ここが独学から抜け出す入り口です。

Scratchは、そもそも「見せ合う」ために作られている
Scratchは、MITメディアラボが開発したプログラミング環境です。公式FAQには「Scratchは無料であり、これからも無料です。学校でも家庭でも、どこで使うのにもライセンスは必要ありません」と明記されています。対象は特に8〜16歳向けに設計されていますが、あらゆる年齢の人が作って共有しているとも書かれています。
特徴的なのは、公開された作品の扱い方です。
| 仕組み | 公式に書かれていること |
|---|---|
| 共有(Share) | 作品を保存・共有するにはアカウントが必要 |
| リミックス | 「Scratchのウェブサイトで共有されたすべての作品はリミックスできます」。公開作品はクリエイティブ・コモンズの表示-継承ライセンスの対象 |
| スタジオ | 共通の興味を持つ人が集まる場。メールアドレスの確認を済ませるとスタジオを作れる |
| コメント | 他の人の作品に建設的・励ましになるフィードバックを残す。自分の作品へのコメントに返信する |
つまり、人の作品を分解して中を見て、自分なりに作り替えることが、最初から想定されているのです。真似は禁じられていない。むしろ推奨されている——これは独学の子にとって大きな意味を持ちます。公式ガイドにも「リミックスは創造的で面白い作品につながることを私たちは見てきたので、推奨しています」とあります。
この設計思想は、学校の勉強とかなり違います。テストで隣の答えを見るのはカンニングですが、Scratchでは人のコードを見て作り替えるのが正しい使い方です。この違いを子どもに説明しておくと、罪悪感なく人の作品を研究できるようになります。

アカウントを作る前に、保護者が確認しておきたいこと
Scratchのプライバシーポリシー(2026年3月27日更新)には、アカウント作成時に求める情報として「ユーザー名、パスワード、国、性別、メールアドレス」が挙げられています。そして「他のユーザーが見られるのはユーザー名と国だけで、性別やメールアドレスは見られません」と明記されています。保護者のメールアドレスを求める場合があることも書かれています。
また同ポリシーには 「Scratchは利用者から最小限の情報しか集めない」とあり、オフライン版については個人情報を送信せずに使える旨も記載されています。公開が心配な家庭は、まずオフライン版で作るという選択肢があります。
年齢の条件は「13歳」ではなく「18歳」
ここは誤解が多いところです。Scratchの利用規約(2026年1月22日更新)には、18歳未満(Minor User)は、保護者または法定後見人が先に規約に同意しない限りサービスを利用できないと書かれています。保護者には利用を監督する義務もあるとされています。
多くのサービスが13歳を区切りにしているのに対し、Scratchは18歳未満を一律に扱うのが特徴です。「子どもが勝手に始めていた」という状態は、規約上は想定されていません。
書いてはいけない情報
コミュニティガイドラインでは、個人的な連絡に使われうる情報を出さないこと、として具体的に次が挙げられています——本名の姓、電話番号、住所、出身地、学校名、メールアドレス。公式ガイドPDFでは、外部サイトへのリンクやSNSアカウントの掲載も制限される、とされています。
利用規約の禁止行為には、違法な利用、差別や暴力を助長する内容、ハラスメント、下品な表現、性的な内容、知的財産の侵害、詐欺行為が挙げられています。
ユーザー名に本名や生年を入れない。プロフィール欄に学校名や地域を書かない。作品の中に自分や家族の写真・音声を入れない。この3つを最初に決めておくだけで、後から消す作業がなくなります。すでに公開してしまっている場合も、編集して非公開に戻すことができます。
「見てもらう」を、4つの段階に分ける
いきなり世界中に公開する必要はありません。次の順番が現実的です。
| 段階 | やること | 得られるもの |
|---|---|---|
| 第1段階 | 家の中で遊んでもらう | 操作説明の不足、詰まる場所が見える |
| 第2段階 | 知っている人に見せる | 感想が返ってくる。直す理由が生まれる |
| 第3段階 | Scratch上で共有する | 知らない人の反応。リミックスされる経験 |
| 第4段階 | スタジオ・コンテストに出す | 締め切り。仕上げる力 |
第1段階を飛ばす家庭がとても多いのですが、ここがいちばん費用対効果が高いところです。きょうだいや保護者に実際に操作してもらい、詰まったところをメモする。これだけで直すべき点が3つは出てきます。
第3段階で覚えておきたいのが、公式ガイドにある記述です。新規登録者が「New Scratcher」から「Scratcher」になるには「作品を作って共有し、他の人の作品に役立つコメントを残し、そして辛抱強く待つこと」と書かれています。最初はコメントの反応が少なくても、それは普通のことです。

コメントで傷つかないための準備
Scratchのコミュニティガイドラインは、コメントの作法として「良いと思ったところを伝え、提案をし、批判ではなく親切であること」を求めています。「人やグループのアイデンティティを攻撃することは決して許されません」とも明記されています。
とはいえ、厳しい言葉が来る可能性はゼロではありません。公開する前に「嫌なコメントが来たらどうするか」を決めておくことをおすすめします。返信しない、報告する、親に見せる。この3つを先に共有しておくだけで、実際に起きたときの傷は浅くなります。
逆に、自分がコメントする側の練習も大事です。人の作品に「ここが面白かった」「ここはこうしたらどうか」と書く経験は、そのまま自分の作品を見る目になります。ガイドラインが求めている作法は、そのまま作品講評の型でもあります。
締め切りのある場に出してみる
第4段階の具体例として、小学生から応募できるコンテストがあります。公式サイトで確認できたものを挙げます。
| コンテスト | 対象・条件 |
|---|---|
| 全国選抜小学生プログラミング大会 | 後援は文部科学省、経済産業省、デジタル庁、日本学術会議。対象は「日本在住の小学生。大会年度の3月卒業の小学6年生まで」。「個人、団体ともに可。団体の場合は1チーム4名まで」 |
| PCNこどもプログラマーフェア | 対象は「小学1年生から高校3年生までの児童生徒学生」。来場は事前登録者無料(当日受付500円) |
| ゲームクリエイター甲子園 | 応募資格は「小学生以上の学生であればどなたでも応募することができます。」実績として「応募者数3400名超え、全1001作品」 |
上記のうち、全国選抜小学生プログラミング大会の主催団体・参加費・応募作品数、PCNの主催・応募数、ゲームクリエイター甲子園の主催者名と参加費は、今回の取材では公式サイト上で確認できませんでした。応募を検討する際は、必ずその年度の公式サイトで募集要項をご確認ください。また、よく並べて紹介される「U-22プログラミング・コンテスト」は応募資格が「22歳以下」で小学生も形式上は応募できますが、実質は高校生以上が中心です。
賞を取る必要はありません。締め切りまでに仕上げる経験そのものが、次の作品の質を変えます。大会が遠いと感じるなら、家庭の中に小さな締め切りを作るのでも構いません。「今度の日曜に、家族に遊んでもらう会をやろう」で十分です。

ScratchとScratchJrの違い
下のきょうだいも一緒に、という場合はScratchJrという選択肢があります。公式FAQでは、Scratchは特に8〜16歳向けに設計されており、より小さい子には5〜7歳向けの簡易版であるScratchJrを、と案内されています。ScratchJrはMITメディアラボ、タフツ大学、Playful Invention Companyの共同で始まり、現在はScratch Foundationが維持しています。
Scratchの「次」に進むとき
「そろそろScratchを卒業したほうがいいのでは」と考える保護者もいますが、急ぐ必要はありません。Scratchで作れるものの幅は、多くの子が思っているよりずっと広いからです。
そのうえで、次に進みたくなったときの選択肢と費用を挙げておきます。いずれも無料または低額で始められます。
| ツール | 費用・条件(公式サイトの記載) |
|---|---|
| Unity | Personalプランは「Free」「No credit card required」。条件は「直近12か月の収益または調達額が20万USD未満」。Studentプランは個人情報の取り扱いに同意できる年齢(米国13歳、EU16歳)が条件 |
| Unreal Engine | 年間総収益100万USD未満の個人・小規模事業者は無償。ソースコードと全プラットフォームが利用可。100万USDを超えると5%のロイヤリティ |
| GameMaker | 非商用ライセンスは「absolutely free to download and keep forever for non-commercial use」(非商用なら永久に無料)。商用のProfessionalは99.99USD |
いずれも年齢要件については公式ページで確認できませんでした。使い始める前に、各社の利用規約をご確認ください。
共通しているのは、どれも「作りたいものが先にある」ほうが続くということです。次のツールを探す前に、いま作りたいものが何かを話してみてください。道具を変えても、見てくれる人がいなければ同じ壁にぶつかります。
NIJIN放課後プロジェクトスクールでは、作ったゲームを全国の子に遊んでもらい、その感想をもとに改良していくScratchゲーム制作が紹介されています。この記事でいう「第2段階」と「第3段階」を、同時に用意できる形です。今の学校に通いながら、放課後に参加できます。

NIJIN放課後プロジェクトスクールという選択肢
この記事の結論は「見てくれる人を用意する」でした。では、その相手を家庭の外でどう作るか。ひとつの選択肢として、NIJIN放課後プロジェクトスクールを紹介します。運営はにじいろと同じ株式会社NIJINです。
「遊んでもらって、感想をもとに直す」が活動になっている
公式サイトのプロジェクト紹介に、Scratchゲーム制作プロジェクトがあります。説明はこうです。「作ったゲームを全国の子に遊んでもらい、感想をもとに改良。このように、ものづくりとユーザー視点が身につきます。」
この記事で「独学の壁はフィードバックがないこと」と書きましたが、その解決そのものが活動の中身として設計されているということです。家の中で遊んでもらう相手が足りない、Scratch上で公開してもコメントが来ない——その間を埋める場所になります。
プロジェクトは、子ども自身が立ち上げる
もうひとつ知っておきたいのが、このスクールのプロジェクトが大人の用意したコースに子どもを当てはめるものではなく、子ども自身が立ち上げるものだという点です。いま動いている3つ(マインクラフト/Vtuber/沖縄観光課題解決)は、いずれも公式サイトに「〜が好きな子どもたちが立ち上げたプロジェクト」と書かれています。
Scratchでゲームを作っている子なら、こんな形が考えられます。作ったゲームで遊んでもらう会を企画する。同じテーマで仲間と作品を持ち寄る。学校の授業で使えるゲームを作って先生に提案する。※これらは実在するプロジェクトではなく、あくまで想定の例です。何をやるかは参加した子が決めることになります。
発表の場が、毎月2回ある
この記事の「第4段階=締め切りのある場」にあたるのが、月2回のプロジェクト発表会です。進行中の作品をプレゼンし、それがYouTubeで生配信されます。さらに月1回以上のイベント・コンテストにも参加でき、参加費は月謝に含まれています。
年1回のコンテストに向けて1年かけるのもいいのですが、2週間に1度、人に見せる予定があるという環境は、作り方そのものを変えます。「作りかけが10個たまる」が構造的に起きにくくなるからです。
本物の大人に、本気で見てもらえる
共創してきた企業・クリエイターは10社以上とされています。分かりやすい実績が、JTBとの共創企画です。子どもたちがマインクラフトで「田舎のホテル」をテーマに作品を制作し、JTB社員や旅行ライターなど旅行業界のプロが審査員として参加。小学6年生のるかさんが2連覇のグランプリを受賞しています。
Scratch上のコメントも貴重ですが、その道のプロから本気の講評をもらう経験は、家庭ではどうしても用意しにくいものです。
用意されているもの
| 内容 | 詳細 |
|---|---|
| 週1回のクラス会議 | 担任の先生と少人数の仲間でプロジェクトを進める。あおたりクラス(毎週月曜17:00〜18:00・クリエイティブ系)/せれてぃクラス(毎週水曜17:00〜18:00・地方創生やイベント企画) |
| 月2回の発表会 | YouTubeで生配信。保護者も見届けられる |
| メタバース校舎 | oviceを使った校舎に平日毎日いつでも入れる。金曜は自由活動デー |
| Slack | 作品のURLを、思い立ったときに先生や仲間へ共有できる |
| リアル校舎 | 千葉・東金校(毎週木曜15:30〜17:30)/神奈川・武蔵新城校 |
公式FAQには、向いている子として「好きなことには夢中になれるのに、勉強になると手が止まる子」が挙げられ、「こうした姿は、決して『苦手』なのではなく、伸び方がまだ見つかっていないだけかもしれません」と書かれています。
費用と、確認しておきたいこと
| メタバース校舎 | リアル校舎 | |
|---|---|---|
| 月謝 | 12,683円/月(税込) | 23,683円/月(税込) |
| 入学金 | 22,000円(税込・初回のみ) | |
| 対象 | 小学生・中学生 | |
月謝に含まれるのは、週1回のプロジェクト活動、メタバース校舎の使い放題、企業・地域と連携したプロジェクトへの参加、イベント・発表会の参加費、教材費、保護者からの相談・面談です。学習に使うPCまたはタブレットとインターネット環境は必要です。
学費ページには「教材費・イベント参加費などの追加費用はいただきません」とありますが、よくある質問のページには「そのほか、備品・教材費や、希望選択制の特別行事(社会科見学など)で追加費用が必要になる場合があります」との記載もあります。実際にかかる費用は、無料体験や説明会の場で直接確認することをおすすめします。
なお、公式サイトの「累計入学者数900名超」「リアル教室52か所」は、母体であるNIJINアカデミーの実績です(公式サイト自身がそう注記しています)。
作ったゲームを全国の子に遊んでもらい、感想をもとに改良する。月2回のYouTube発表会で、進んだところをプレゼンする。プロジェクトは、その子自身が立ち上げるものです。まずは1回、実際のプロジェクトを見てみてください。

よくある質問
まとめ
Scratchは世界で1億4,000万人以上が使い、作品は10億件を超えました。独学でここまで来た子が止まるのは、技術の限界ではなく、フィードバックがないからです。
Scratchはもともと見せ合うために設計されていて、リミックスもスタジオもコメントも、そのための仕組みとして用意されています。まず家の中で遊んでもらい、知っている人に見せ、公開し、テーマのある場に出す。この4段階で進めば、無理なく「作る人」として続いていけます。
アカウントを作る前に、18歳未満は保護者の同意が必要であること、ユーザー名や作品に個人情報を入れないことだけは確認してください。そのうえで、いちばん効くのは「遊んでくれる誰か」を用意することです。
この記事の内容を確かめるための一次資料
- Scratch「Frequently Asked Questions」(ページ)/「Community Guidelines」(ページ)
- Scratch「Privacy Policy」2026年3月27日更新(ページ)/「Terms of Use」2026年1月22日更新(ページ)
- Scratch Foundation「Annual Report 2024」(ページ)/「Impact」(ページ)
- Scratch Foundation「Getting Started in the Online Community」(PDF)
- ScratchJr 公式サイト(ページ)/MIT Media Lab「ScratchJr」(ページ)
- 全国選抜小学生プログラミング大会 公式(ページ)
- PCN こどもプログラミングコンテスト(ページ)
- ゲームクリエイター甲子園(ページ)
- Unity「プランの比較」(ページ)/Unreal Engine「ライセンス」(ページ)/GameMaker(ページ)
- 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会「ゲーム産業レポート2025」(ページ)
- 文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)』総則(PDF)
- NIJIN放課後プロジェクトスクール 公式(トップ/プロジェクト一覧/学費/よくある質問)


