習い事、家族旅行、キャンプ、地域のお祭り。子どもが学校の外で得る「体験」に、家庭や地域による差があることが、近年「体験格差」として注目されています。物価高が続くなか、2026年の調査でも、体験をあきらめる家庭の差が報告されました。
体験格差は、世帯年収や住む地域、親の時間の余裕によって、子どもの学校外の体験の機会に差が生まれることです。全国調査では、低所得家庭の子どもの約3人に1人が1年間に学校外の体験がなかったと報告されています。家庭だけで埋めようとせず、無料の公共施設や自治体の事業、オンラインの活動も組み合わせて考えます。
にじいろは株式会社NIJINが運営し、この記事で紹介するNIJIN放課後プロジェクトスクールも同社の事業です。
体験格差とは
体験格差とは、家庭の経済状況や住んでいる地域、保護者の時間の余裕などによって、子どもが学校の外で得る体験の機会に差が生まれることをいいます。ここでいう体験には、スポーツや音楽などの習い事、キャンプや旅行、博物館や美術館に行くこと、地域の行事への参加などが含まれます。
学校の授業は全国どこでも受けられますが、放課後や休日、長期休みの過ごし方は家庭に任されています。そのため、家庭の事情の違いがそのまま子どもの体験の差になりやすいのです。
調査でわかったこと|家庭の収入による差
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンは2023年、全国の小学生の保護者2,097人に調査を行いました。その結果、世帯年収300万円未満の家庭では、子どもの約3人に1人が1年間に学校外の体験がなく、その割合は世帯年収600万円以上の家庭の2.6倍でした。体験への年間支出も、世帯年収600万円以上の家庭は300万円未満の家庭の約2.7倍でした。
2026年7月には、子育て情報メディアを運営する株式会社コズレが、夏休みの体験についての調査結果を発表しました。物価高で体験を「頻繁に断念」した世帯は、年収600万円未満が600万円以上の3倍でした。猛暑で屋外イベントなどの中止・変更を経験した家庭も約半数にのぼっています。
| 調査 | 対象 | 主な結果 |
|---|---|---|
| チャンス・フォー・チルドレン(2023年) | 全国の小学生の保護者2,097人 | 世帯年収300万円未満の家庭の子どもの約3人に1人が、1年間に学校外の体験なし |
| コズレ(2026年7月発表) | 3歳以上の子を持つ親 | 物価高で体験を頻繁に断念した世帯は、年収600万円未満が600万円以上の3倍 |
| 国立青少年教育振興機構(令和元年度) | 全国の青少年 | 自然体験が多い子どもほど自己肯定感が高い傾向。公的機関の自然体験行事に参加しない理由として、世帯年収400万円未満では経済的・時間的負担が多い |
住む地域に関係なく参加できるオンラインの活動も、体験の機会を広げる手段の一つです。活動内容と費用、参加条件を公式サイトで確かめてください。
都市部と地方では、どう違う?
チャンス・フォー・チルドレンの調査を分析した書籍『体験格差』では、三大都市圏を「都市部」、それ以外を「地方」として比べています。スポーツ系の習い事やクラブ活動の参加率は都市部が48.8%、地方が41.8%でした。体験への年間支出は都市部が9.7万円、地方が6.4万円で、参加率より支出額の差のほうが大きい結果でした。
意外なのは、自然体験の参加率に都市部と地方で大きな違いがなかったことです。地方に住んでいれば自然体験が多い、とは限らず、家庭の経済力のほうが体験の機会により強く関係していると分析されています。
地方では、近くに教室がない、送迎に時間がかかる、選べる種類が少ないといった課題もあります。費用だけでなく、移動の負担も含めて考える必要があります。

体験は、なぜ大切なのか
国立青少年教育振興機構の調査では、家庭の社会経済的な背景にかかわらず、自然体験が多い子どもほど自己肯定感が高く、自分で行動する習慣が身についている傾向が示されています。体験は、楽しさそのものに加えて、挑戦する気持ちや人と関わる力を育てる機会にもなります。
ただし、体験の数が多いほどよい、というわけではありません。子どもが自分で選び、夢中になれる体験が一つあることが大切です。
お金をかけずに、体験を広げる方法
図書館、児童館、公民館、博物館の無料日や子ども向け講座。
広報誌や教育委員会の案内にある、自然体験や職業体験の催し。
体験費用を支援するクーポンや、無料の体験イベント。
料理、買い物の計画、家族への発表会など、日常の中の挑戦。
体験格差は、家庭の努力だけで解決できる問題ではありません。使える制度や場所を知ることも、立派な一歩です。
住む場所を選ばない、オンラインという選択肢
近くに教室がない地域でも、オンラインなら全国の仲間と活動できます。移動の時間と費用がかからない点も、地方の家庭には大きな利点です。ただし、端末や通信環境、保護者の見守りが必要になることもあるため、条件を確認して選びましょう。

NIJIN放課後プロジェクトスクールは、小中学生がオンラインのメタバース校舎に集まり、仲間とプロジェクトに取り組む放課後のスクールです。公式サイト(2026年10月28日確認)では、週1回のクラス会議(月曜・水曜の17:00〜18:00の2クラス)、自由に活動できる金曜日、月2回の発表会が紹介されています。企業や自治体と組むプロジェクトもあり、いまの学校に通いながら参加できます。
東金校の公式ページでは、農業や自然の体験、地域の人との交流も紹介されています。オンラインとリアルの体験を組み合わせることもできます。
出典:PJ公式の活動紹介。紹介した内容は個別の例で、同じ変化を保証するものではありません。

よくある質問
体験格差は、子どもの将来にも影響しますか?
子どもの頃の体験と、大人になってからの意欲やコミュニケーション力との関係を示した調査があります。大学生の就職活動で「経験の格差」を感じたという調査もあり、関連記事で詳しく紹介しています。
習い事をたくさんさせれば解決しますか?
数を増やすことより、子どもが自分で選んで続けられる体験があるかが大切です。家計や生活の負担になりすぎない範囲で考えましょう。
ひとり親で時間がありません。
自治体の子ども向け事業や、支援団体の体験プログラム、自宅から参加できるオンラインの活動など、保護者の付き添いが少なくてすむ選択肢もあります。

住む場所に関係なく、仲間とつくる体験を。
自宅から全国の仲間とつながり、企業や自治体と組むプロジェクトに取り組む。NIJIN放課後プロジェクトスクールは、送迎なしで参加できる放課後の学びです。家庭の予算や生活に合うか、通い方や体験で確かめられます。
写真:PJ公式サイト掲載の活動風景。小学生・中学生対象。最新の活動・募集状況は公式案内をご確認ください。
あわせて読みたい
- 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン|子どもの「体験格差」実態調査 最終報告書(2023年)
- 株式会社コズレ|子どもの夏休み「体験格差」の実態調査(2026年7月発表)
- 現代ビジネス|都市部と地方で一体どれくらいの「体験格差」が存在するのか(今井悠介『体験格差』より)
- 国立青少年教育振興機構|青少年の体験活動等に関する意識調査(令和元年度調査)
- NIJIN放課後プロジェクトスクール公式サイト
調査結果は各調査の対象・方法にもとづくもので、すべての家庭にあてはまるわけではありません。数値は各出典の要約です。
監修:佐藤仁美(作業療法士/NIJINアカデミー東金校 教室長)


