結論:「通信制=不利」は、進学率の数字だけ見ると本当で、中身を見ると違う
通信制高校卒業者の大学進学率は28.6%(2024年3月卒業者、学校基本調査)で、全日制・定時制の62.6%とは差があります。ただしこの数字は、「通信制に行くと大学に行けなくなる」ことを意味しません。通信制を選ぶ生徒の背景(不登校経験、体調、働きながら)が全日制と違うこと、そして進学率が10年で2倍以上に伸びていることを踏まえて読む必要があります。
通信制高校の生徒は2026年度速報で31万1,792人、高校生の9.9%です。10人に1人が通信制という時代に、「不利かどうか」をどう考えればよいかを、数字の読み方から整理します。
数字の確認:通信制と全日制の進路の違い
| 卒業後の進路(2024年3月卒業者) | 通信制 | 全日制・定時制 |
|---|---|---|
| 大学進学率 | 28.6% | 62.6% |
| 専修学校(専門学校)進学率 | 22.9% | 14.8% |
出典:文部科学省「学校基本調査」令和6年度確定値。通信制の大学進学率は過去最高を更新しています。
大学進学率だけを見れば、差は2倍以上です。ただ、専門学校を足すと通信制は51.5%、全日制は77.4%で、差は縮まります。通信制の卒業生は、大学より専門学校を選ぶ割合が高いのが特徴です。
10年で人数は2.6倍、進学率は2倍以上
リクルート進学総研の整理によると、通信制課程からの大学進学は、2015年度の13.5%(6,974人)から2024年度には21.2%(17,917人)へ、人数で約2.6倍に増えています(同研究所の集計方法による数値。学校基本調査の28.6%とは算出の範囲が異なります)。通信制大学への進学も0.6%から3.0%に伸びました。通信制の生徒数自体が10年で60.8%増えているなかで、進学率も上がっている、というのが実態です。
「不利」に見える3つの理由と、実際のところ
理由1:進学率が低い → 母集団が違う
通信制を選ぶ生徒には、不登校の経験がある、体調に波がある、働いている、スポーツや芸能の活動をしている、といった背景を持つ人が多くいます。全日制の生徒と同じ条件で「進学率」を比べても、学校の質を比べたことにはなりません。進学率の差は、「通信制に行ったから」ではなく「通信制を選んだ人の状況」を反映している部分が大きいと考えるのが妥当です。
理由2:授業時間が少ない → 自分で組む前提
通信制はレポート中心で、授業時間は全日制より少なくなります。大学受験を考えるなら、受験科目の学習は自分で(または塾・サポート校で)組む必要があります。これは「不利」というより「設計が違う」ということです。逆に言えば、全日制のように受験に関係ない科目に時間を取られず、必要な科目に集中できるという面もあります。
理由3:推薦・総合型で不利? → 学校による
学校推薦型選抜や総合型選抜では、調査書や活動実績が見られます。通信制でも調査書は出ますし、活動実績はむしろ通信制の生徒のほうが自由な時間で積みやすいことがあります。ただし、進路指導の体制は学校ごとに差が大きいので、「推薦の実績があるか」「志望理由書を見てくれる人がいるか」は確認が必要です。
大学進学を考えるなら、通信制で確認する4点
| 確認点 | 聞き方 |
|---|---|
| 進路実績の内訳 | 「直近の卒業生の進路を、大学・専門学校・就職・その他の割合で教えてください」(合格校名の羅列より内訳) |
| 受験科目の学習手段 | 「大学受験の科目は、校内の授業で足りますか?外部の塾やサポート校が前提ですか?」 |
| 推薦・総合型の対応 | 「学校推薦型・総合型選抜の実績と、志望理由書や面接の指導は誰がしますか?」 |
| 進路相談の開始時期 | 「進路の話は誰が、いつから始めますか?」(3年になってからでは遅い) |
この4点は、通信制高校にもサポート校にも同じように聞けます。サポート校を併用する場合、進路の伴走をどちらが担うのかも確認してください。
通信制高校に進学した後の進路って大丈夫?国内・海外進学から就職まで、学校ごとの強みを解説進学・就職それぞれの実例と、学校の強みの見方。「大学に行くかどうか」を、いま決めなくていい
中3や高1の段階で、大学進学を前提に高校を選ぶ必要はありません。通信制の3年間で、興味が見つかって専門学校を選ぶ子も、働きながら通信制大学に進む子もいます。大切なのは、「いま」進めなくなっている状態から、毎日の学びを取り戻すことで、その先の進路は取り戻したあとに決められます。
子どもの発達支援に関わってきた立場から言うと、不登校からの進路で一番の遠回りは、「行けない高校」に無理に進んで、また止まってしまうことです。通信制で毎日を取り戻した子は、進路の選択肢を自分で広げていきます。
中3の秋、全日制か通信制か迷ったら|不登校経験のある子の進路の決め方「行けるかどうか」を基準にした決め方と、秋からのスケジュール。オンラインで通えるサポート校という選択肢
ニジ高(NIJIN高等学院)
サポート校側で進路に伴走する例として、ニジ高には担任との進路面談を軸にした3年間の進路プログラムがあり、総合型選抜向けに小論文・面接・自己PRの講座や、企業インターンの機会を用意しています。



ニジ高(NIJIN高等学院)は、株式会社NIJINが運営する通信制高校のサポート校です。提携する通信制高校(ワオ高等学校・鹿島山北高等学校・開志創造高等学校)に在籍して高卒資格を取り、日々の学びと居場所をニジ高が担当します。授業はオンラインのメタバース校舎が中心で、1クラス8人の少人数制。希望すればキャンパス通学も選べます。
ニジ高の進路サポートを見るよくある質問
- Q. 通信制高校から国公立大学に行けますか?
- A. 行けます。受験資格は全日制と同じで、通信制卒業者の国公立合格例も多くあります。受験科目の学習を自分で組む必要があるので、校内の授業・塾・サポート校のどれで補うかを決めてください。
- Q. 通信制の調査書は不利になりますか?
- A. 調査書の形式は同じで、通信制であること自体で不利になる仕組みはありません。評定は履修した科目でつくので、推薦を考えるなら早めに学校に相談してください。
- Q. サポート校は大学進学に役立ちますか?
- A. サポート校によります。進路コースを持ち、志望理由書や面接の指導をするところもあれば、学習支援が中心のところもあります。「進路の伴走は誰がするか」を説明会で聞いてください。
まとめ|数字は「母集団の違い」を含んでいる。見るべきは学校ごとの体制
通信制高校卒業者の大学進学率は28.6%で、全日制の62.6%とは差がありますが、通信制を選ぶ生徒の背景が違うこと、専門学校を含めれば差が縮まること、10年で進学者が2.6倍に増えていることを踏まえると、「通信制=不利」とは言えません。大学進学を考えるなら、進路実績の内訳・受験科目の学習手段・推薦への対応・相談の開始時期の4点を、学校ごとに確認してください。

