「通信制高校は将来詰む」
「通信制は予後が悪い」
最近、SNSでそんな言葉を目にする機会が増えました。
しかし、本当にそうなのでしょうか。
実は今、“通信制高校の評価”は大きな転換点にあります。
そして同時に、「全日制が当たり前」という価値観そのものも、改めて問い直され始めています。
今回は、NIJIN高等学院・NIJINアカデミーを運営するタツロー校長が、通信制高校と全日制高校を比較しながら、「通信制は本当に将来不利なのか?」を独自視点で解説します。

「通信制は予後が悪い」と言われる理由
そもそも「予後」という言葉は、本来医療現場などで使われる言葉です。
最近ではSNS上で、
- 通信制は将来詰む
- 通信制は社会で通用しない
- 通信制はオワコン
といった形で使われています。
しかしタツロー校長は、まずこう語ります。
タツロー校長結論から言うとまだ誰もわかっていないんです。
なぜなら、現在の“新しい通信制高校”には、まだ十分な歴史がないからです。
通信制高校は2018年を境に大きく変わった
かつての通信制高校は、
- 働きながら通う
- 不登校や引きこもり
- 経済的事情がある
という背景を持つ人が多く、公立の定時制に近いイメージでした。
しかし2018年、大きな転換点が訪れます。
フィギュアスケートの紀平梨花選手がN高へ進学したことです。


トップアスリートが通信制高校を選んだことで、「通信制=特別な事情がある人の学校」というイメージが大きく変わりました。
そこから、特色ある私立通信制高校が急増。
現在では、約10人に1人が通信制高校に通う時代になっています。
実は「通信制が悪い」というデータは存在しない
SNSでは「通信制は将来危ない」と語られます。
しかし実際には、通信制高校の卒業生データはまだ少なく、“社会的評価が確定していない”のが現状です。
2018年前後に新しい通信制へ入学した世代は、まだ23〜24歳ほど。
つまり、社会で本格的に活躍する30代・40代のデータがまだ存在しません。
だからこそ、
「通信制が良いのか悪いのか、本当の意味ではまだ分からない」
というのが事実なのです。


一方で、全日制には“結果データ”が存在する
通信制にはデータが少ない。
しかし、全日制には何十年分ものデータがあります。


そしてその結果、日本社会は今どうなっているのでしょうか。
日本の現状
- 労働生産性:OECD38か国中28位
- 仕事に熱意を持つ人:7%
- 若者の死因第1位:自殺
- 小中高生の自殺者数:年間500人超
もちろん、これら全てを学校教育だけの問題にすることはできません。
しかしタツロー校長は、



多くの人が全日制に通ってきた結果が、今の日本社会でもある
と語ります。
全日制が得意なこと、苦手なこと
全日制教育は、
- テストの点数
- 偏差値
- 運動能力
- 分かりやすい成果
を測ることに優れています。
しかし一方で、
- 好奇心
- 没頭力
- 独自性
- 非認知能力
- 自分で人生を作る力
といった“見えにくい能力”は評価されにくい構造があります。
タツロー校長は、ここに大きな課題があると考えています。


通信制高校が挑戦しているもの
通信制高校が今真っ向から挑んでいるのは、「偏差値中心社会」です。
なぜなら、多くの通信制高校には入試のペーパーテストがありません。
つまり、
「テストの点数だけが人生を決めるわけではない」
という価値観を、教育の中で実践しているのです。


なぜ「通信制叩き」が起きるのか
タツロー校長は、SNSで広がる「通信制は危険」という論調について、こんな視点も語っています。



それはマーケティングかもしれません。
偏差値教育によって成り立っている塾・予備校業界にとって、“偏差値を重視しない通信制”は脅威にもなり得ます。
SNSでは、
- 不安を煽る
- ネガティブを拡散する
- 世論を作る
こと自体がマーケティングになる時代です。
そのため、「通信制は危ない」という情報も、冷静に見る必要があるのです。
もちろん通信制にも課題はある
ただし、タツロー校長は「通信制が完璧」と言っているわけではありません。
実際、多くの通信制高校では、
- 放置型になりやすい
- コミュニケーション不足
- 孤立しやすい
- 教師力不足
といった課題も存在しています。
特にオンライン中心の学校では、「人との関わり」をどう作るかが大きなテーマになっています。


これからの教育で本当に必要なもの
タツロー校長は最後に、こう語ります。



通信制か全日制か、ではなく、“どんな環境ならその子が伸びるのか”が大事です。
- 好奇心が強い子
- 自分で動ける子
- やりたいことがある子
には通信制が合う可能性があります。
逆に、
- 管理された環境の方が安心できる
- 集団環境が合っている
という子には全日制が向いている場合もあります。
大切なのは、「世間の常識」で決めることではなく、その子自身に合った学び方を選ぶこと。
教育が大きく変わり始めている今、私たちは“学校の当たり前”を改めて考えるタイミングに来ているのかもしれません。
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この記事の内容を確かめるための一次資料
学校以外の学びの場は、この10年で制度が大きく変わりました。いまは「学校復帰だけがゴールではない」というのが国の公式な立場です。選択肢の全体像と、それぞれが制度上どう扱われるかを押さえておくと、進路の話が現実的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」 | 高校に通わずに大学受験資格を得る制度 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 欠席が多いと高校に行けませんか?
A. 行けます。出席日数を選抜に使わない高校は増えており、通信制高校では欠席日数を問わないところがほとんどです。中学校卒業程度認定試験や高等学校卒業程度認定試験という道もあります。
Q. フリースクールに通うと出席扱いになりますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできます。ただし文部科学省の通知では教育支援センター等の公的機関が第一に想定されており、民間施設は「公的機関に通えない場合」に考慮される位置づけです。詳しくは教育支援センターとはをご覧ください。
Q. 費用が心配です
A. 教育支援センターは原則無料です。民間のフリースクールについては、利用料の補助制度を設けている自治体が増えています。就学援助もあわせて教育委員会に確認してください。
Q. 学校に戻ることを目標にしなくていいのですか?
A. はい。文部科学省の通知が「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す」と明記しています。学校復帰は選択肢のひとつであって、唯一のゴールではありません。
Q. 近くに通える場所がありません
A. ①校内の別室、②教育支援センターの訪問型支援、③自宅でのICT学習を出席扱いにする道(別記2)、④オンライン——の順で確認するのが現実的です。地域に選択肢がないことは、家庭の責任ではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。









