中1で不登校になったら。知っておくと変わる、3年後の選択肢|進路に必要な中1・中2・中3の学年別ガイド

中学校に入ったばかりの我が子が、突然学校に行けなくなった。「小学校までは元気だったのに」「このまま、ずっとこうなんじゃないか」。そう感じたあと、ふと頭をよぎるのが「卒業できるの?高校ってどうするの?」という、もう一段先の不安ではないでしょうか。中学1年生というタイミングは、実は不登校が一番増えやすい時期でもあります。焦らなくていい理由と、今のうちに知っておきたいことを、順番にまとめました。

目次

1. 中1で不登校になるのは、珍しいことではない

文部科学省の令和6年度調査によると、中学生の不登校生徒数は216,266人で、中学生の約15人に1人にあたります。1クラス30人なら、クラスに2人はいる計算です。そして、そのうち83,409人は「前年度は不登校ではなかった」新規のケース。つまり、中学生の不登校の多くは、その年に新しく始まっているのです。

学校側に相談があった内容として最も多かったのは「学校生活に対してやる気が出ない」(30.1%)、次いで「生活リズムの不調」(25.0%)、「不安・抑うつ」(24.3%)でした。小学校から中学校に上がる時期は、授業の難化、部活動の開始、新しい人間関係の構築など、変化が一気に重なります。いわゆる「中1ギャップ」と呼ばれる現象で、お子さんの性格や、これまでの育て方の問題ではありません

もう一つ、知っておいてほしい数字があります。不登校の子どものうち、学校内外で専門的な相談や指導を受けているのは61.7%。裏を返せば、約4割の子は、まだ誰にも相談できていないという状況です。

2. 中学までは「出席扱い制度」がある、と知っておく

もし学校に行きづらくなったとき、中学生の今は救済措置があります。2016年に成立した教育機会確保法は、「学校に戻ることだけを目標にしない」という理念を示した法律です。これに基づき、一定の条件を満たせば、フリースクールなど学校以外の場での活動を、校長の判断で「出席扱い」にできる仕組みがあります。判断のポイントは、在籍校との事前相談、活動記録が残る仕組み、学校との定期的な連携の3つです。

参考:文部科学省 出席扱いに関する通知

📖 あわせて読みたい 学校に行けない日は全部欠席になる?不登校でも出席扱いになる条件

3. 3年後、高校進学で何が変わるのか

ここからが、一番知っておいてほしいポイントです。中学までの「出席扱い」の感覚のまま高校に進学すると、戸惑うことになります。仕組みそのものが変わるからです。

比較項目中学まで高校
学籍の仕組み学年制単位制
欠席の考え方出席扱い制度で救済の余地がある各科目の出席時数が一定割合を下回ると、その科目の単位が不認定になる
誰が判断するか在籍校の校長の判断学校ごとの規定に基づく(校長判断の余地は中学より小さい)
フリースクール等の扱い条件を満たせば出席扱いになりうるそのままでは単位認定に直結しない。通信制高校等への転学が現実的な選択肢になる
影響の出方出欠の記録に影響進級・卒業に直結

つまり、「中学の感覚をそのまま高校に持ち込むと危ない」ということです。逆に言えば、この違いを中1の今知っておくだけで、3年後に慌てず動けます。

4. 3年後の選択肢を減らさないために、今からできること

中学生になって不登校に。でも、将来は諦めなくていいんです。学年ごとに、知っておきたいこと・やるべきことをお伝えします。

①中1の今、やるべきこと

まずは親子で相談できる場所があることを知っておきましょう。一人で抱え込まなくて大丈夫です。まずは、この記事に出てきた相談窓口の電話番号を1つ、スマホにメモしておくこと。

  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省):0120-0-78310(なやみいおう)。夜間・休日を含め24時間、無料で相談できます
  • チャイルドライン:0120-99-7777。18歳までの子ども本人が、毎日16時〜21時にかけられる相談電話です
  • 地域の教育支援センター・教育相談センター:在籍校を通じて、または直接問い合わせることで利用できます
  • スクールカウンセラー:在籍校に配置されている場合、学校を通じて予約できます

お子さんが「自分で話してみたい」という場合は、チャイルドラインのように子ども本人がかけられる窓口があることも伝えておくといいかもしれません。

参考:文部科学省 24時間子供SOSダイヤルについて

💬 あわせて読みたい 子どもが不登校に|相談先5つと支援機関まとめ【保存版】

また、NIJINアカデミーのように、自宅から義務教育が受けられるオンラインフリースクールもあります。学校に行けなくても学びを止めない。自宅からお子さんのペースで学んでいけます。

②中2になって、知っておきたいこと

中1の頃よりも、将来のことが気になってくる時期かもしれません。この機会に知っておいてほしいのが、通信制高校の存在です。

「全日制に行けなかった子が仕方なく選ぶ場所」というイメージがあるかもしれませんが、それはもう古い話です。通信制高校の生徒数は現在30万人を超え、最初から通信制を選ぶ生徒や、芸能活動・スポーツ・自分のやりたいことと両立するために選ぶ生徒も少なくありません。時間の使い方を自分で選べるからこそ、学校に合わなかった子が、むしろ自分の得意なことに思いきり時間を使って輝いていく、という進路の形です。不登校を経験したことは、弱みではなく、自分に合う環境を早く見つけるきっかけになることもあります。

そして、もう一つ知っておいてほしいのが、通信制高校の学校説明会やオープンキャンパスには、中2の今から参加できるということです。多くの学校が中学1〜3年生を対象にしており、オンラインで自宅から参加できる合同説明会もあります。中3になってから慌てて探すのではなく、まだ何も決めていない中2のうちに、資料請求だけでもしてみる、オンライン説明会を覗いてみる。それだけで、進路の選択肢に対する見え方が変わります。

③中3になって、知っておきたいこと

いよいよ、高校受験を具体的に考える時期です。ここで知っておいてほしいのが、通信制高校の入試は、全日制とはまったく評価の重心が違うということです。学びリンクの調査(2018年度、225校対象)によると、学力試験を実施している通信制高校はわずか18%。残りの8割以上は、書類審査や面接、作文だけで選考しています。

選考方法学力試験実施校の割合(2018年度調査)
書類審査+面接なし学科試験なし(82%)のうち最多パターン
面接+作文なし2番目に多いパターン
学科試験+面接あり(国数英が中心)学科試験あり(18%)のうち32%
学科試験+面接+作文あり学科試験あり(18%)のうち27%

出典:学びリンク調べ、公立・私立通信制高校225校を対象とした2018年度入試の調査

つまり、見られているのは「今の成績」ではなく「これまでの経験や、今後への意欲」です。5教科の勉強が正直あまり得意ではなくても、趣味で続けてきたこと、誰かと協力して取り組んだ経験、企業や地域と関わるプロジェクトに参加した経験のようなことのほうが、面接や作文でのアピール材料として強みになる場合があります。「学校の勉強ができないと評価されない」というのは、通信制の入試には当てはまりません。

もし全日制も検討しているなら、志望校の入試要項に「長期欠席者への配慮」の記載があるかも確認しておきましょう。自治体によっては、はっきりとした配慮制度があります。東京都では、通知表で評価がつかなかった教科は調査書上で「/」(斜線)表記になり判定不能扱いとなりますが、これは内申点がゼロという意味ではなく、入試当日の学力検査の点数で補って判断される仕組みです。愛知県では、すべての公立高校で「長期欠席者等にかかる選抜方法」を実施しており、3年間の欠席日数が出席すべき日数の半分以上ある生徒は申請でき、内申点を直接の合否判定に使わず面接などで個別に評価してもらえます。お住まいの都道府県教育委員会のホームページで、同様の制度がないか確認してみるのがおすすめです。

そして、通信制高校やサポート校では、入試説明会が始まります。まだ進路が決まっていなくても実際に足を運んでみてください。資料やWebサイトだけでは分からない、学校の雰囲気を確かめる一番の方法です。

参考:学びリンク「公立・私立通信制高校の入試とは」

5. 世界的にも指摘されている、学校の仕組みの問題

国連子どもの権利委員会は、1998年以降繰り返し、日本の「過度に競争的な教育制度」がいじめや不登校の一因になっているとして、学校システム全体の見直しを勧告しています。不登校はお子さん個人の弱さの問題ではなく、学校の仕組み自体が抱える構造的な課題という見方が、国際的にも共有されているということです。

6.まとめ

中1で急に不登校になると、「この先どうなるんだろう」という不安が一番大きいと思います。ですが、中学校への出席状況だけで一律に進路が閉じるわけではなく、自治体ごとに配慮制度も用意されています。高校進学という3年後の分岐点に向けて、今のうちに「出席扱い制度」と「高校の単位制」、「通信制という選択肢」などを知っておくことが、進路の選択肢を狭めない一番のポイントです。

🌱 あわせて読みたい どうしても学校休みたい…そんな時どうする?

✏️ あわせて読みたい 不登校の中学生はテストを受けないとどうなる?卒業・内申・高校受験への影響と親が今できること

🎓 あわせて読みたい 中学生不登校だと高校どうなる?卒業後の進路と全日制高校と通信制高校について分かりやすく解説!

🌤️

「行けない」から「選べる」へ。
高校の景色は、思っているより広いです。
通信制が希望に変わるニジ高で、その先をイメージしてみませんか。

ニジ高をのぞいてみる →
目次