ベビーシッター割引券は不登校の子にも使える?小3で切れる壁と例外

子どもが学校に行かなくなって、日中は家にいる。でも仕事は休み続けられない。そんなときに、ベビーシッターを頼っていいのか迷う方は多いです。

先に、いちばん気になるところから書きます。令和8年度ベビーシッター派遣事業実施要綱に、子どもが学校に通えているかを問う条件はありません。要綱が見ているのは、子どもの年齢と、保護者が働いているかどうかの2点だけです。

不登校であることは、対象を広げも狭めもしません。多くの家庭が実際にぶつかるのは、「小3で切れる」年齢の壁のほうです。

いま、やることは3つだけです

  1. 子どもの学年を確認する(小学校3年生までが原則。手帳等があれば小学校6年生まで
  2. 勤務先の窓口に「割引券を配っていますか」と聞く(配っていない会社は、そもそも券が手に入りません)
  3. 使いたい時間帯を伝えて可否を確認する(とくに在宅勤務中に使えるかは、要綱に書かれていません)
目次

不登校だと使えないの?

使えます。要綱は、子どもが学校に行っているかを見ていません。

実施要綱が定めている条件は2つです。「承認事業主に雇用されており、乳幼児等の保護者であること」。そして「配偶者の就労、病気療養、求職活動、就学、職業訓練等により、又は、ひとり親家庭であることにより、サービスを使わなければ就労すること(職場への復帰を含む。)が困難な状況にあること」。

どこにも、子どもが学校や保育所に通えているか、という要素は入っていません。こども家庭庁の仕事・子育て両立支援事業の一つで、保護者が働き続けられるようにするための制度だからです。子どもの側の事情を審査する作りになっていません。

承認事業主(しょうにんじぎょうぬし)とは、この事業に参加すると国に認められた企業のことです。割引券は個人ではなく、勤務先を通じて配られます。勤務先が参加していないと、券そのものが手に入りません。

ただし要綱に「不登校」という言葉が出てくるわけでもありません。「使える」と明記されているわけではない、ということです。個別の可否は勤務先の窓口と取扱事業者が判断します。利用理由の書き方を会社が指定していることもあるので、申請前に問い合わせてください。

預けることに、うしろめたさがあるなら

学校に行っていない子を他人に預けるのは、気が引けるかもしれません。ただこの制度は、もともと「親が働き続けられること」を目的に作られています。親が仕事を失わずにいることは、子どもの生活を支えることでもあります。制度の側は、預けることをうしろめたいこととは扱っていません。

家で過ごす日中の時間
学校に行っていない日中の時間を、どう支えるか

うちは対象になる?

年齢・勤務先・時間帯・場所。この4つでほぼ決まります。

確認すること 要綱の定め 詰まりやすい点
子どもの年齢 乳幼児又は小学校3年生までの児童。一定の要件に該当する場合は小学校6年生まで 小学4年生以降は、手帳等がなければ対象外
勤務先 承認事業主に直接雇用されている労働者 勤務先が事業に参加していないと券自体が手に入らない。個人事業主・フリーランスは対象外
時間帯 本人と配偶者が仕事のために利用したサービス 休日や勤務時間外は対象外。在宅勤務中の扱いは要綱に明記がない
場所 乳幼児等の家庭内における保育や世話 祖父母宅やカフェなど自宅以外での保育は対象外

金額は令和8年度から1枚2,300円です。使えるのは対象児童1人につき1日1回・1回あたり2枚まで。つまり1日に割引が効くのは4,600円ぶんまでです。

上限は1家庭につき1か月24枚、1年間で280枚まで。1日2枚使うペースなら、月12日ぶんにあたります。毎日は無理でも、どうしても外せない仕事の日に充てる、という使い方になります。

電子割引券の受け取り手順や、対象外になるケースの全体像はベビーシッター割引券とは?令和8年度の金額・利用条件・使い方にまとめています。制度そのものが初めてなら、先にそちらを読んでから戻ってきてください。

小4になったら、もう使えない?

原則は使えません。ただし手帳などがあれば、小学校6年生まで延びます。

ここが一番の痛点だと思います。不登校の相談が増えるのは小学校の中学年から高学年。ところが割引券の原則は小学校3年生まで。必要になる時期と、使える時期がずれています。

ただし要綱には例外があります。健全育成上の世話を必要とする次のいずれかに該当する場合は、小学校6年生まで対象になります。

  •  身体障害者福祉法に基づき身体障害者手帳の交付を受けている場合
  •  療育手帳制度に基づき療育手帳の交付を受けている場合
  •  その他、地方公共団体が実施する障害児施策の対象となるなど、ア・イのいずれかと同等程度の障害を有すると認められた場合

注目したいのは「ウ」です。手帳という形になっていなくても、自治体の障害児施策の対象になっていれば認められうる、という書き方になっています。

ただ、発達障害の診断はあるが療育手帳はない、というご家庭で、障害児通所支援の受給者証がここに当たるかどうか。要綱の文言だけでは判断できません。判定の手続きや必要書類も、ACSA(全国保育サービス協会)の令和8年度の案内には公開されていません。

要件は年度ごとに更新されます。最新の実施要綱を確認したうえで、勤務先の窓口とベビーシッター事業者に問い合わせてください。「診断書があれば通る」という話を、推測で当てにしないほうが安全です。

家族で過ごす時間
見守り・食事・遊びの相手など、頼める内容は幅があります

シッターさんに何を頼める?

家の中での保育と世話が中心です。勉強を教わることや家事は対象外です。

割引の対象になるのは「乳幼児等の家庭内における保育や世話」と「ベビーシッターによる保育所等や認可外保育施設への送迎」。この線引きを知っておくと、依頼で失敗しません。

頼みたいこと 割引券との関係
日中の見守り、話し相手、昼食の用意 家庭内における保育や世話にあたる中心的な内容
宿題やタブレット学習に付き添う 見守りの延長なら問題になりにくい。ただし学習指導そのものを目的にした利用(家庭教師・レッスン)は対象外とされている
保育所・認可外保育施設への送迎 対象。市町村に届出のある放課後児童クラブへの送迎も可
フリースクールや学校への送迎 要綱が挙げる送迎先に含まれない。送迎だけの利用(家庭内の保育を伴わないもの)も対象外
掃除・洗濯などの家事 対象外。純然たる保育のみが割引の対象

フリースクールへの送迎そのものは、事業者が対応していれば自費のサービスとして頼めます。割引券が使えるかと、シッターに頼めるかは別の話です。分けて考えてください。

預ける前に、何を伝えておけばいい?

「困った行動」より、その手前で起きることを渡してください。

初回の面談やマッチングシートで、これだけ書いておくと初日の負担がまるで違います。

  1. 崩れる直前のサイン
    声が高くなる、同じ言葉を繰り返す、部屋の隅に行く。家庭で見えている前触れを具体的に。行動そのものより、これが一番役に立ちます。
  2. 実際に効いた落ち着き方
    一人にする、イヤーマフを渡す、無言でそばに座る。効かなかった方法もあわせて伝えます。
  3. 声かけの形と、感覚の苦手
    「どうする?」より「AとBどっち?」が通りやすい。指示は一度に一つ。音・光・におい・服のタグの苦手と、食べられるものの具体名も添えます。
  4. 学校の話題の扱い方
    ここは必ず伝えてください。悪気なく「学校は今日お休み?」と聞かれるだけで、その日の残り時間が終わってしまうことがあります。触れないでほしいのか、子どもから話し出したら聞いてほしいのか。方針を一行で。
  5. 連絡してほしい基準
    「泣いたら」ではなく「30分たっても部屋から出てこなければ」。判断が要らない形にすると、勤務中の親もシッターも楽になります。

事業者を選ぶ段階で、学齢期の子ども・発達特性のある子どもの対応経験も聞いておいてください。乳幼児中心の事業者だと、小学生の日中の見守りに慣れたシッターが手薄なことがあります。

対象外だったら、どうすればいい?

国の制度で外れても、自治体側では条件が違うことがあります。

小学4年生以上で手帳等もない。勤務先が承認事業主ではない。この場合は割引券が使えません。次に当たる先を並べます。

  • ファミリー・サポート・センター事業に聞く
    こども家庭庁の資料では、援助の内容に「学校の放課後のこどもの預かり」や「保育施設等までの送迎」が挙げられ、小学生も想定されています。ただし対象年齢の上限、料金、日中の預かりの可否は市区町村ごとに違います。地域のセンターに直接確認してください。
  • 自治体独自のベビーシッター利用料助成を調べる
    こちらも対象年齢や補助額が自治体によって違います。国の制度で対象外でも、自治体では対象になることがあります。
  • 日中の居場所そのものを増やす
    預かってもらう時間とは別に、子どもが自分から動き出す時間を作る方法もあります。NIJIN放課後プロジェクトスクールのように、家から参加できるオンラインの居場所もあります。
親子で話し合う場面
事前に伝えておくことを整理しておくと、当日が楽になります

よくある質問

Q. 会社に「子どもが不登校で」と説明しないといけませんか

要綱が求めているのは2つです。保護者が就労していること。そして、配偶者の就労等によりサービスを使わなければ就労が困難な状況にあること。子どもが学校に通えているかは要件ではありません。ただし申請書の記載事項は勤務先が独自に定めていることがあります。伝えたくない事情を無理に書く前に、まず様式を見せてもらってください。

Q. 在宅勤務をしている日にも使えますか

令和8年度の実施要綱に、在宅勤務やテレワークの扱いを明記した記述は見当たりません。「仕事のために利用した」という要件を満たすかの判断になります。勤務先の窓口と取扱事業者に事前に確認してください。判断が分かれうるところなので、口頭ではなくメールなど記録の残る形で聞いておくと安全です。

Q. 発達障害の診断があれば小学6年生まで対象になりますか

要綱が明記しているのは、身体障害者手帳または療育手帳の交付を受けている場合と、地方公共団体の障害児施策の対象となるなどこれらと同等程度の障害があると認められた場合です。診断があることだけで対象になるとは書かれていません。手帳がない場合に3つ目の要件に当たるかは個別判断です。勤務先とベビーシッター事業者に確認してください。

Q. 何枚もらえるかは決まっていますか

制度上の上限は1家庭につき1か月24枚(月55,200円ぶん)です。ただし勤務先から配付される枚数は、それより少ないこともあります。実際の枚数は勤務先次第です。

日中の時間の使い方を、これから考えていく人へ

NIJIN放課後プロジェクトスクール

見守ってもらう時間が、子どもが自分から動き出す時間にもなったら、預けることの意味は変わります。NIJIN放課後プロジェクトスクールは、家から参加できるオンラインの居場所です。イラスト、配信、メタバースでの活動など、やることは子どもの「好き」から決まります。送り迎えは要りません。どんな時間になるのか、のぞいてみてください。

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