勤務先がベビーシッター割引券未導入なら|自治体支援との違い

勤務先に聞いてみたら「そんな制度は導入していない」と言われた。ベビーシッター割引券の話は、ここで終わりではありません。

割引券は企業が申し込む仕組みなので、たしかに個人では手に入りません。ただし、まったく別の入口があります。お住まいの自治体が独自にやっているベビーシッター利用支援事業です。こちらは保護者本人が申請します。勤務先は関係ありません。

いま、やることは3つだけです

  1. 「◯◯市 ベビーシッター 利用支援事業」で検索する(自分の自治体に制度があるか確かめる)
  2. なければ子育て支援課に電話する(一時預かりなど、別の受け皿を教えてもらえます)
  3. 勤務先の人事にACSAのページを送る(会社の負担は小さい制度です)
目次

なぜ個人では申し込めないの?

会社が申請する制度だからです。従業員が直接申し込む窓口は、そもそも用意されていません。

割引券の正式名称は「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」といいます。名前のとおり、企業が主体になる制度です。

運営しているのは公益社団法人全国保育サービス協会(ACSA)。ACSAの令和8年度ベビーシッター派遣事業の案内によると、割引券を使えるのは「厚生年金適用事業所のうち、承認事業主に直接雇用されている労働者」です。

承認事業主(しょうにんじぎょうぬし)とは、ACSAに申請して認められた会社のことです。この申請は年度ごとに出し直します。つまり「去年は使えたのに今年はない」ということも起こります。

会社側の負担は、この申請の手間と割引券の手数料です。手数料は従業員の規模で変わり、300人未満の事業所は1枚70円、1,000人以上1,500人未満は180円(令和8年度・2026年9月9日確認)。2,300円分の割引券を1枚渡すのに、会社が払うのは70円という計算です。会社にとっては、思っているほど重い制度ではありません。

制度の詳細はこども家庭庁の仕事・子育て両立支援事業のページにも載っています。割引券そのものの金額や使い方はベビーシッター割引券とは?令和8年度の金額・利用条件・使い方で説明しています。

窓口での相談
勤務先が未導入でも、自治体の制度が使える場合があります

じゃあ、どうすればいい?

道は3つあります。会社に頼む、自治体を調べる、別の預かりを探す。同時に進めて構いません。

  1. 勤務先に導入を頼む。補助のお金を出すのは国です。会社が負担するのは手数料と申請の手間だけ。「費用がほとんどかからない福利厚生がある」という切り口で、人事や総務にACSAのページを添えて相談してみてください。申請は年度単位なので、来年度に間に合わせる相談も有効です。
  2. 自治体の独自事業を探す。割引券とは別の制度です。勤務先の承認は要りません。保護者が自治体に申請します。就労以外の理由でも使えることが多いので、在宅で子どもを見ている家庭にも届きます。
  3. 他の預かりも並行して調べる。ベビーシッター補助がない自治体でも、受け皿はあります。ファミリー・サポート・センターや一時預かり保育です。窓口は自治体の子育て支援課。学齢期の子なら、送り迎えの要らない選択肢としてNIJIN放課後プロジェクトスクールのようなオンラインの居場所もあります。
ファミリー・サポート・センターとは、地域の会員同士で子どもを預かり合う仕組みです。自治体が運営していて、ベビーシッターより安く使えることが多いです。

自治体の制度って、どんなもの?

「理由を問わない」のが最大の特徴です。ただし中身は自治体ごとにばらばらです。

東京都には「ベビーシッター利用支援事業(一時預かり利用支援)」という枠組みがあります。東京都福祉局のページによれば、実際にやるのは区市町村で、都は費用の一部を出す立場です。同じページに実施している区市町村の一覧が載っています。都内すべてが実施しているわけではありません。

以下は令和8年度(2026年度)の内容として、各区の公式ページで確認したものです(2026年9月9日確認)。年度が変わると条件も変わります。使う前に最新の案内を見てください。

練馬区:小学3年生まで使える

練馬区の案内では、令和8年度から対象が広がりました。未就学児から小学3年生まで(障害児は小学6年生まで)が使えます。

使える理由も広く、突発的な事情や社会参加など仕事以外でも構いません。補助の上限は7時から22時が1時間2,500円、22時から翌7時が3,500円。年間の上限は子ども1人あたり144時間です(障害児・ひとり親家庭・多胎児は288時間)。144時間は、週に3時間ずつ使うくらいのペースです。申請するのは保護者本人です。

江東区:事前の申請が要らない

江東区の案内では対象は未就学児(障害児は小学6年生まで)。区への事前申請は不要です。リフレッシュ、急な用事、子どもの体調不良など、目的は問われません

補助の上限は日中2,500円・夜間3,500円、年間144時間(多胎児・障害児・ひとり親家庭は288時間)。保護者が事業者と直接契約して、使ったあとに領収書を添えて申請します。

中央区:上限が「月」で決まっている

中央区の案内も対象は未就学児(障害児は小学6年生まで)で、1時間2,500円までの補助です。

特徴は上限の数え方。月20時間(多胎児・障害児・ひとり親家庭は月40時間)と月単位で決まっています。月20時間は、週に5時間くらい。まとめて長く使いたい月には足りないこともあります。認定事業者と契約し、あとから補助金交付申請書を出します。

同じ都内でも、対象年齢も上限の数え方(年か月か)も違います。「隣の区で使えたから、うちも同じはず」とは考えないほうが安全です。

東京都以外では、ベビーシッター補助がない地域も多くあります。その場合は一時預かり保育やファミリー・サポート・センターが受け皿になります。

家計と制度のイメージ
補助の形は自治体ごとに違います

割引券と自治体の制度、何が違う?

一番大きな違いは「何のために使えるか」です。割引券は仕事のときだけ、自治体は理由を問わないことが多い。

企業主導型ベビーシッター利用者支援事業(割引券) 自治体独自のベビーシッター利用支援事業
申し込むのは誰か 企業(事業主)がACSAへ承認申請。従業員は勤務先から割引券を受け取る 保護者本人が自治体へ申請。勤務先の関与は不要
対象年齢 乳幼児から小学3年生まで。障害者手帳・療育手帳等の交付を受けている場合は小学6年生まで 自治体により異なる。未就学児までが多く、練馬区のように小学3年生までの区もある。障害児は小学6年生までとする例が多い
補助の形 1枚2,300円の割引券(令和8年度)。1日2枚、1家庭1か月24枚、年280枚まで 1時間あたりの上限額を決めて補助(例:日中2,500円)。年間または月間の上限時間で管理
利用理由の縛り 本人と配偶者が仕事のために利用した場合のみ。家庭内での保育が対象で、外出目的や家事は対象外 就労に限らない自治体が多い。突発的な事情、社会参加、リフレッシュなども対象になり得る
受け取り方 電子割引券を利用時に使う(値引き) いったん全額を支払い、後から補助金として振り込まれる方式が多い

不登校の子や発達特性のある子を育てている家庭で、差がはっきり出るのは「利用理由の縛り」です。

割引券が使えるのは、保護者が働いている時間帯の、家の中での保育だけ。きょうだいの通院に付き添うときや、保護者が少し休みたいときには使えません。自治体の事業なら、その使い方ができる場合があります。

うちの自治体はどう調べる?

検索1回で分かることが多いです。出てこなければ電話が早いです。

  1. 「自治体名 ベビーシッター 利用支援事業」で検索する。これが最短です。出てこなければ「自治体名 ベビーシッター 助成」「自治体名 ベビーシッター 補助金」でも試してください。
  2. 自治体公式のページを開く。city.◯◯.lg.jp、town.◯◯.lg.jp などが公式です。民間のまとめ記事は年度が古いまま残っていることがあります。金額と条件は必ず公式で確かめてください。
  3. 「令和◯年度」の表記を確認する。前年度のページが残っている自治体もあります。今年度の案内かどうかを最初に見てください。
  4. 見つからなければ電話する。子育て支援課に「ベビーシッターの利用料を補助する制度はありますか。なければ、一時預かりやファミリー・サポート・センターを教えてください」と聞けば、その自治体で使えるものが一度に分かります。
親子で取り組む
利用理由を問わない自治体もあります

よくある質問

Q. 個人事業主やフリーランスでも割引券は使えますか。

使えません。対象は「厚生年金適用事業所のうち、承認事業主に直接雇用されている労働者」です。雇用されていない働き方は、この制度の枠の外になります。自治体の独自事業のほうを確認してください。

Q. 勤務先に導入をお願いするとき、何を渡せばいいですか。

ACSAの令和8年度の案内ページのURLを、人事や総務に送るのが確実です。承認申請の手続きと、事業所の規模ごとの手数料が書かれています。担当者が判断しやすくなります。

Q. 自治体の補助と割引券は同時に使えますか。

自治体によって扱いが違います。同じ利用分に二重の補助を認めていない自治体が多いので、申請の前に自治体の案内で確認してください。

Q. 障害のある子どもは何歳まで対象ですか。

割引券は、障害者手帳・療育手帳等の交付を受けている場合、小学6年生まで対象が広がります。自治体事業でも障害児を小学6年生までとする例が多く見られます。手帳がない場合の扱いは制度ごとに違うので、確認が必要です。

Q. 小学4年生以降はどうすればいいですか。

手帳がない場合、割引券は小学3年生で対象外になります。自治体事業も未就学児か小学3年生までが中心です。小学4年生からは、預かりの制度がほぼなくなります。学童以外の居場所を早めに探しておくと、選択肢が広がります。

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