これから先生になる人が学ぶ「合理的配慮」が2単位に拡大します。中教審が9月17日、教員養成改革の審議のまとめを公表

文部科学省の中央教育審議会が、2026年9月17日、教員養成の改革についての「審議のまとめ」を公表しました。これから先生になる人が、大学で何を学ぶのか。その中身を組み替える内容です。
16ページの本文のなかに、学校が合わない子どもがいる家庭に関係する記述が3か所あります。ひとつは、「合理的配慮の提供」を学ぶ科目が2単位に拡大すること。もうひとつは、不登校の子のために組まれる見込みの「特別の教育課程」を、現場で誰が教えることになるのか、という話です。

1. 何が発表されたか

9月17日、文部科学省の新着情報に掲載されました。中央教育審議会(第13期)初等中等教育分科会の教員養成部会が、令和6年12月の諮問を受けてまとめたものです。

項目内容
名称多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について(審議のまとめ)
公表日令和8年9月17日
まとめた会議中央教育審議会(第13期)初等中等教育分科会 教員養成部会
経緯令和6年12月の同名の諮問を受けたもの
分量PDF 16ページ(329KB)
ねらい本文の言葉で「明治期・戦後に連なる第三の抜本的な改革」。「学びをデザインする高度専門職としての教師」の実現を目指す、としています

出典:文部科学省「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について(審議のまとめ)」(令和8年9月17日、教員養成部会)。本記事の記述は、すべて同PDFの本文を確認したうえで書いています。

全体としては、教員免許を取るための課程(教職課程)を「基礎」と「強み専門性」の2つの柱に組み替える、という大きな設計変更です。以下では、そのうち学校が合わない子どもの家庭に直接かかわる3点にしぼって書きます。

2. うちの子に関係するのは、この3点

(1)「合理的配慮の提供」が科目名に入り、2単位に拡大

いまの教職課程には、「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」という科目があります。審議のまとめは、この科目について、名称を

「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解及び基礎的環境の整備・合理的配慮の提供」

とした上で、2単位に拡大するとしています。

「理解」で終わっていたものに、「基礎的環境の整備」と「合理的配慮の提供」が足されました。障害や特性のある子がいるということを知る段階から、その子が学べるように環境を整え、配慮を実際に出すところまでを、免許を取る人全員が学ぶ、という組み替えです。

合理的配慮は、学校と家庭が話し合って決めるものです。話が通じるかどうかは、目の前の先生がその考え方をどこまで学んできたかに、どうしても左右されます。これから現場に出る先生は、提供の実務まで学んでから来ることになります。

(2) 不登校の子の「特別の教育課程」を、誰が教えるのか

中教審の別の部会(教育課程部会)では、不登校の子のために編成する「特別の教育課程」が創設される方向が示されています。にじいろでも別の記事で扱いました。

今回の審議のまとめは、その教育課程を現場で誰が担うのかという、人の側の整理にあたります。本文は、「個々の児童生徒に応じて編成する特別の教育課程(いわゆる2階建て部分)」の指導について、次のように書いています。

審議のまとめの記述意味するところ
特別の教育課程であっても、免許状を有する教員や相談支援体制など適切な指導体制の整備は重要免許を持つ教員を置く原則は崩さない、という前提の確認
教育課程部会等における不登校、日本語指導、特異な才能に係る議論を踏まえ、分野に応じて扱いを異にするものの、まずは①教師が指導計画の策定と評価を行う何をどう学ばせるかの設計と、その評価は、教師の仕事として残る
個別の類型によっては、②一定の資質能力を有するスタッフが教師と密に連携・協働した上で、日常的な指導に当たることを許容日々の指導そのものは、教師以外のスタッフが担うことがありうる
当該資質能力は勤務や経験を通じて更に向上させていくものとして整理そのスタッフの力量は、現場で育てていくものと位置づけられている

左の欄は審議のまとめ本文の表現です。「一定の資質能力を有するスタッフ」が具体的に誰を指すのか(資格や要件)は、この文書には書かれていませんでした。

(3) 教育実習のなかに、特別支援学級・特別支援学校での体験が入る

もうひとつ、現場の先生の育ち方に関わる変更があります。

  • 介護等体験を、教育実習の中に位置づける。通常学級でも特別支援の観点での体験ができることから、特別支援学級・特別支援学校での実習機会を含めた教育実習によって、介護等体験として整理する
  • 特別支援学校教諭の教職課程を再整理。専門性の土台となる共通的な内容と、障害の種類等に応じた専門的な内容、という観点で整理し直す
  • 学校体験活動を努力義務化。学校ボランティアや学習支援員なども、学校体験活動として幅広く単位認定を可能にする

3. ★ここは誤解されやすい

★ 制度はまだ変わっていません

これは「審議のまとめ」であって、法令ではありません。教育職員免許法や関係する省令がこのとおりに改正されるのか、改正されるとしていつからなのかは、この文書を最後まで読んだ範囲では書かれていませんでした。「2単位に拡大が決まった」と読まないでください。

★「◯単位から2単位へ」とは書けません

審議のまとめには「2単位に拡大」とあるだけで、現行が何単位かは記載されていません。数字の出どころを確認できないため、この記事では拡大後の2単位だけを書き、変化幅は書いていません。

★「スタッフが教える」=「先生がいなくなる」ではありません

指導計画の策定と評価は教師が行う、と明記されています。またスタッフが日常の指導に当たるのは「許容」という書き方で、そうしなければならないとは書かれていません。さらに「分野に応じて扱いを異にする」ともあり、不登校の場合にどうなるかが確定したわけではありません。

★ 今いる先生の話ではありません

これは大学の教職課程、つまりこれから免許を取る人が何を学ぶかという話です。いま担任をしている先生の免許が失効したり、学び直しを求められたりする類の内容は、この審議のまとめにはありませんでした。

4. いま、できること/しなくていいこと

できること

学校と配慮の話をするときに、2つを分けて話す。今回のまとめが科目名に「基礎的環境の整備」と「合理的配慮の提供」を並べて入れたのは、そこが実務の骨格だからです。スロープや別室のように学校として先に整えておくものと、その子のために個別に出すもの。この2つを分けて持ち出すと、話が具体的に進みやすくなります。

「特別の教育課程」の続報を追う。教育課程の側の議論は、9月25日の教育課程企画特別部会で「審議のまとめ(案)」が扱われる予定です。詳しくはこちらの記事に書きました。

しなくていいこと

学校に確認する必要はありません。保護者側の手続きも申請も、今回の発表には一切ありません。

今の担任との話し合いを止める理由にもなりません。制度が変わるのを待つ話ではなく、いま出せる配慮はいまの枠組みで出せます。

5. この記事で確認できなかったこと

にじいろの時事記事は、原典を自分で読んで確かめた事実だけを書いています。今回、確認できず書かなかったことを挙げておきます。

  • 科目の現行の単位数(審議のまとめ本文に記載がありません)
  • これらの見直しがいつから適用されるか(施行時期の記載を見つけられませんでした)
  • 「一定の資質能力を有するスタッフ」の具体的な要件・資格(記載がありません)
  • 新設される「強み専門性」(20単位程度)に、特別支援教育や不登校支援が含まれるか(例示を確認できませんでした)

関連ページ

出典(一次情報)

本文の引用・要約は、上記PDFの本文を直接確認したうえで行っています。報道各社の記事は情報源にしていません。今後、法令改正や施行時期が示された場合は、本文を書き換えず、記事末尾に追記します。

文責:にじいろ編集部
公開日:2026年9月18日 / 最終更新:2026年9月18日
この記事は、にじいろ編集部が一次情報にあたって作成しています。編集の考え方は編集体制・編集方針をご覧ください。誤りが判明した場合は、記事を書き換えるのではなく、末尾に訂正を追記します。
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制度が教室に届くまでの間に

教員養成の見直しは大切な一歩ですが、新しい養成課程で学んだ先生が教室に立つのは数年先です。いま学校で配慮が得られずに困っているなら、待つ以外の選択肢も持っておくと気持ちが楽になります。NIJINアカデミーは、自宅から顔や声を出さずに参加できるオンラインの学び場で、在籍校と連携して出席扱いを相談することもできます。

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