「不登校だった人には、何か共通する特徴があるの?」 「このまま学校に行かないと、人付き合いや仕事で困るのでは?」
子どもが不登校になると、今の状態だけでなく、5年後、10年後の姿まで心配になることがあります。
ですが、「不登校だった人は○○な性格になる」と言えるような、ひとつの共通した人物像はありません。 不登校になる背景も、その後に選ぶ進路も、その経験をどう受け止めるかも一人ひとり違います。
今見えている姿だけで子どもの将来を決めつけるのではなく、その子が安心できる環境、人とつながれる場所、興味を伸ばせる学び方を探していくことが大切です。
- 不登校だった人に共通する性格や特徴があるのか
- 不登校経験者が大人になって感じている困りごと
- 不登校経験を通じて感じた変化や強み
- 不登校経験者の進学・就業に関するデータ
- 環境を変えることで子どもの姿がどう変わることがあるのか
- 今、保護者が子どものためにできること
不登校だった人の特徴は?共通する性格があるとは言えない
インターネットでは、「不登校だった人は繊細」「コミュニケーションが苦手」「マイペース」といった言葉を目にすることがあります。
しかし、不登校は性格の名称ではありません。
友人関係、学校の環境、先生との関係、勉強への不安、心身の不調、生活リズムなど、不登校になる背景はさまざまです。
| よくあるイメージ | 実際に考えたいこと |
|---|---|
| 不登校だった人は人付き合いが苦手 | 人間関係で苦労する人もいますが、すべての経験者に当てはまる特徴ではありません |
| 不登校だった人は社会に出られない | 進学・就職・専門学校・自営業など、その後の進路は多様です |
| 不登校になる子には共通した性格がある | 本人の性格だけではなく、学校環境や人間関係、心身の状態など複数の要因を見る必要があります |
| 不登校経験は一生マイナスになる | 困難を感じる人がいる一方で、成長や価値観の変化を感じる人もいます |
性格診断のように「このタイプだから不登校になった」と考えるのではなく、その人がどんな環境で何に困り、どんな環境なら力を出せるのかを見ることが大切です。
18,207人の不登校経験者調査から見える「その後」
文部科学省は2025年、小・中学校で不登校を経験した18〜59歳を対象とする調査を公表しました。 インターネット調査の対象は18,207人です。
不登校経験後の人生について、「おおいにあった」「ある程度あった」と答えた割合を見ると、困りごとと前向きな変化の両方が見えてきます。
このほか、学業で苦労したと答えた人は52.2%、仕事や就職活動で苦労した人は52.9%でした。
これは、不登校経験者自身が「不登校を経験したことで、その後こうしたことがあった」と振り返った結果です。
人との関わりに苦労しながら、他人の痛みへの理解が深まった人もいるでしょう。 学業に苦労しながら、自分に合う学び方に出会った人もいます。
不登校経験のその後は、単純に「良かった」「悪かった」のどちらかで分けられるものではありません。
「人付き合いが苦手」ではなく、環境が合っていなかっただけかもしれない
不登校になると、周囲はつい子どもの性格に理由を探してしまいます。
「集団行動が苦手なのかな」
「人と話すのが嫌いなのかな」
「勉強そのものが嫌なのかな」
でも、場所が変わったときに、それまでとは違う姿を見せる子どももいます。
8歳のかなでさんは、もともと人と関わることが好きで、保育園にも楽しく通っていました。
ところが小学校では、30人ほどの教室、決められたスケジュール、周囲のざわざわした音などが大きな負担になっていきました。
学校では「席に座っていられない」「支度ができない」と言われていた一方、家庭では同じようなことができていたといいます。
家庭学習を経て、オンラインのNIJINアカデミーに入学。 その後は、自分から発言し、クラス会議やプレゼンにも参加するようになりました。
かなでさんは、人や勉強が嫌いだったのではなく、本人の言葉では「学校っていう場所が、自分には合ってなかったっぽい」と振り返っています。
不登校だった人を見るときに、「本人に何が足りなかったのか」だけを探すと、本来持っている力を見落としてしまうことがあります。
どんな環境なら安心できるのか。どんな関わり方なら話せるのか。何なら自分からやってみたいと思えるのか。
環境との相性を見ることも、不登校のその後を考えるうえで大切です。
不登校だった人の進路は?「学校に行かなかった=進学できない」ではない
保護者にとって特に心配なのが、進学や就職です。
文部科学省が、2006年度に中学3年生で不登校だった人を5年後に追跡した調査では、次の結果が報告されています。
一方、高校中退率は14.0%、20歳時点で就学も就業もしていなかった人は18.1%でした。
つまり、不登校経験者の進路は一つではありません。
高校へ進む人、専門学校や大学へ進む人、働く人、働きながら学ぶ人、いったん立ち止まる時間を必要とする人もいます。
不登校だった人が大人になって感じやすい困りごと
2025年の文科省調査を見ると、経験者が特に多く挙げているのが、人との関わりです。
ただし、こうした困りごとを「本人の性格の問題」と決めつけないことが重要です。
どのような支援や人との出会いがあったか、自分に合う場所を見つけられたかによっても、その後は変わります。
不登校経験から「人に優しくなった」「視野が広がった」と感じる人もいる
不登校を無理に「良い経験だった」と捉える必要はありません。
つらかった経験は、つらかった経験です。
それでも、文科省調査では67.5%が「人に優しくなった・人の痛みが分かるようになった」、53.8%が「成長した・視野が広がった」と答えています。
経験した後にどんな人と出会い、どんな場所で、何を経験するかによって、その意味は変わっていきます。
不登校後に「好き」が仕事につながった人もいる
不登校ジャーナリストの石井しこうさんは、中学2年生から学校へ行かなくなりました。
その後、フリースクールに6年間通い、そこで出会ったのが「取材」でした。
自分が会いたい人について調べ、質問を考え、実際に会いに行く。 その経験に面白さを感じ、やがて取材を仕事にするNPO法人へ就職しました。
20年間取材活動を続けた後、2024年にはジャーナリストとして独立しています。
不登校
取材と出会う
NPOへ
ジャーナリスト
石井さんの例からも、「学校に通えなかった時期」だけで、その後の学びや仕事を決めつけられないことが分かります。
不登校のときの「好き」が、人とのつながりに変わることもある
学校へ行っていないと、「何もしていない」「成長が止まっている」と見えてしまうことがあります。
でも、本人が夢中になれるものが、人とつながる入口になることもあります。
小学3年生のころ、友人関係に悩み、学校に通いづらくなったゆずきくん。
NIJINアカデミーに入ってからは、メタバースでの授業、Canvaを使った制作、発表など、さまざまな活動に参加するようになりました。
さらに、NIJINアカデミー内のコミュニケーションから出会った友達と意気投合。 Robloxで一緒にゲームを制作しています。
ゆずきくんはマップや地形づくり、友達はスクリプトなどのプログラミングを担当。 それぞれの得意なことを持ち寄って、一つのゲームを作っています。
現在はNIJINアカデミーで学びながら、在籍する小学校にも週1回通っています。
本人に合う場所を組み合わせながら学ぶ方法もあります。
不登校だった人の将来のために、今できる4つのこと
子どもが不登校になると、「このままで本当に大丈夫なのか」と、未来を一気に考えてしまいます。
ですが、今すぐ進路や将来を決める必要はありません。
文科省の2025年調査で、不登校当時に欲しかった支援として最も多かったのは、「自分の気持ちを表現したり、人とうまく付き合ったりするための相談や手助け」でした。
そのほか、心身の不調への支援、学校の勉強への支援、友人と出会い仲間と過ごせる居場所の情報なども挙げられています。
かなでさんのように、学校では力を出しにくかった子が、別の環境では自分から発言することがあります。
ゆずきくんのように、オンラインでできた友達とのつながりが、ゲーム制作や発表につながることもあります。
NIJINアカデミーも、そうした「学校以外の環境」の一つです。 学校に戻るかどうかを今すぐ決めなくても、まず別の場所を知ってみることはできます。
「この子に合う場所があるか」を、
一度見てみませんか?
学校では話せなかった子が話し始めたり、
好きだったゲームやイラストが、人とのつながりにつながったり。
環境が変わることで、初めて見えてくる姿があります。
オフにして見学も可能
メタバース校
リアル教室も選べる
体験は、「入学するか」をその場で決めるためではなく、
「うちの子に合いそうか」を確かめる時間。
まずは雰囲気を見るところからで大丈夫です。
よくある質問
Q. 不登校だった人はコミュニケーションが苦手になりますか?
一概には言えません。文科省調査では、人との関わりに不安や苦労を感じたと答えた経験者は多くいますが、すべての不登校経験者に当てはまる特徴ではありません。
また、学校では話しづらかった子でも、少人数やオンラインなど環境が変わることで人と関われる場合があります。
Q. 不登校だった人は就職で不利になりますか?
不登校経験だけで就職の可否が決まるわけではありません。本人の学歴、経験、資格、心身の状態、応募先などによって状況は異なります。
一方で、2025年の文科省調査では、不登校経験後に仕事や就職活動で苦労したと答えた人も52.9%いました。必要に応じて、進路や就労の支援につながることも大切です。
Q. 不登校経験は強みになりますか?
必ず強みになるとは言えませんし、つらい経験を無理に肯定する必要もありません。
ただ、2025年の文科省調査では「人に優しくなった・人の痛みが分かるようになった」「成長した・視野が広がった」と答えた経験者も多くいました。
Q. 今は勉強も外出もしていません。このままで大丈夫でしょうか?
今の状態だけで将来を決めることはできません。まずは心身の状態を確認し、安心して過ごせることを土台にします。
そのうえで、本人が興味を示すこと、人とつながれる方法、自宅から参加できる学びなど、小さな選択肢を増やしていく方法があります。
Q. 学校以外の場所を選ぶと、学校に戻れなくなりませんか?
学校以外の場所を利用したからといって、学校へ戻る道がなくなるわけではありません。
NIJINアカデミーのゆずきくんのように、オンラインスクールで学びながら在籍校にも通うなど、複数の場所を組み合わせる子もいます。
一方で、「人の痛みが分かるようになった」「視野が広がった」と感じる人もいます。
そして何より、不登校になった時点で、その人の将来が決まるわけではありません。
今いる環境で見えている姿が、その子のすべてではない。
環境を変える。人を変える。学び方を変える。好きなことから始める。
そうした選択の中から、その子らしい次の一歩が見つかることがあります。

