「お正月、学校のことを聞かれたらどうしよう」「親戚には、まだ不登校だと伝えていない」。年末年始の帰省が近づくと、子どもの気持ちと親戚への説明の間で迷うことがあります。
帰省するかどうかと、不登校について誰にどこまで伝えるかは、分けて考えられます。本人と会う人・滞在時間・伝えてよい範囲を相談し、親が事前の連絡や、質問を切り上げる準備をしておきましょう。
親子で短時間だけ会う、少人数で別日に会う、保護者だけ帰省する、今回は見送る。家族の状況に合わせて選んでよく、本人に親戚全員への説明役を任せる必要はありません。
この記事は、親戚付き合いを調整する保護者に向けて、事前の伝え方・断り方から当日の対応までを整理します。祖父母の立場での声のかけ方は、不登校の孫への声かけと祖父母ができる支え方も参考にしてください。
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帰省の前に、本人と4つのことを相談する
「行く? 行かない?」だけでは答えにくいこともあります。学校の話題が怖いのか、大人数が疲れるのか、会いたい人はいるのか。話せる範囲を聞き、条件を小さく分けてみましょう。
一度で理由や結論を聞き出そうとしなくても大丈夫です。まだ決められないなら「週末にもう一度相談しよう」と区切り、交通手段の予約など、大人が確認する期限は親が整理します。
| 過ごし方 | 先に確かめること | 親戚への一言の例 |
|---|---|---|
| 親子で短時間会う | 帰る時刻と帰り方 | 今回は挨拶だけで、○時に失礼します。 |
| 少人数で別日に会う | 会う人・場所・日程 | 大勢の集まりは控え、別日に少し会えたらと思っています。 |
| 保護者だけ帰省する | 本人の希望と安全に過ごせる見守り | 今年は私だけ伺います。本人への連絡は、いったん私にお願いします。 |
| 今回は見送る | 挨拶や連絡をするかどうか | 今年は家で過ごします。また無理のない形で連絡します。 |
保護者だけで帰省する場合は、子どもの年齢・体調・留守番への不安を踏まえ、見守り、食事、連絡先を確かめてください。きょうだい一人に世話を任せる前提にはしないようにしましょう。
こども家庭庁は、居場所を場所だけでなく、時間や人との関係も含めて捉え、本人の声を聴く大切さを示しています。「親戚の家だから安心なはず」と大人だけで決めず、本人がどう感じるかを出発点にできます。出典:こども家庭庁「こどもの居場所づくり」
不登校を親戚に伝える? 本人と範囲を決める
帰省の調整に必要なことを伝えることと、不登校の経緯を詳しく説明することは別です。全員に知らせるか、何も言わないかの二択にせず、まずは集まりを取りまとめる人など、必要な相手に絞る方法もあります。
子どもには、たとえば「おばあちゃんには、今は学校を休んでいることだけ伝えていい? 学校の質問は控えてほしいとお願いしたい」と、相手・内容・目的を具体的に話します。すでに伝えたことがあるなら、誰に何を話したかを説明し、これからの範囲を相談しましょう。
事情を伝えて、学校の質問を控えてもらう例文
今、本人は学校を休みながら、合う過ごし方を相談しています。今回会うときは、成績や「いつ学校に戻るの?」という質問を控えてもらえると助かります。
必要なことは私からお伝えします。この話をほかの方に共有するときも、先に私へ確認をお願いします。
詳しい事情を話さず、参加の条件を伝える例文
今年は家族の状況に合わせて、○時までの短い滞在にしたいと思っています。学校や勉強の話題は控えて、いつもの会話で過ごせるとうれしいです。
帰省やお正月の集まりを断る例文
誘ってくれてありがとう。家族で相談して、今年の年末年始は家で過ごすことにしました。今回は集まりを見送ります。また無理のない形で連絡させてください。
必要以上に謝り続けたり、次は必ず行くと約束したりしなくても構いません。自分の言いやすい言葉に直し、伝える事情は本人と相談した範囲にとどめます。
親戚全員を納得させようとしなくてよい
説明を重ねるほど、本人の情報を多く話してしまうこともあります。「家庭と学校で相談しています。今日はここまでにさせてください」と区切る返事も用意しておきましょう。
保護者同士で考えが違う場合は、親戚の前で話し合いを始める前に、連絡する人と控えてほしい話題を家庭で確認しておくと調整しやすくなります。
学校の質問・いとことの比較には、親が短く対応する
事前にお願いしていても、当日学校の話になることはあります。子どもに答えさせようとせず、親が会話を区切って構いません。
「今、本人に合う過ごし方を相談しています。今日は学校の話は控えてもらえると助かります」
「それぞれのペースがあるので、比べずに見守ってもらえたらうれしいです」
「心配してくれていることはわかりました。相談しながら決めています。本人の前では、その話をやめてください」
話が続くなら、その場で議論を決着させようとせず、「少し休憩します」と親子で席を外す方法もあります。子どもを一人残して、大人同士の説得を続ける必要はありません。
本人が自分から話し始めた場合も、親が経緯を付け足す前に様子を見ます。話したくなさそうなら、途中で止められるようにしてください。
学校以外の話題も、本人が話したい範囲で
料理、ゲーム、本、ペット、散歩。本人が話したいことがあれば、そうした近況を話題にできます。ただし、「学校に行かなくても、こんなにできる」と成果を証明する場にする必要はありません。作品や写真を見せるときも、本人に確認しましょう。
何も話さず同じ場所で過ごす時間があっても大丈夫です。祖父母からの声かけを家族で共有したい場合は、孫の気持ちを尊重した関わり方を一緒に読む方法もあります。
当日と帰宅後は「疲れたら休める」を具体的にする
- 帰る時刻を、親戚にも先に伝えておく。
- 一人で静かに休める場所があるか確かめる。
- 親に知らせる合図を決める。
- 途中で帰るとき、誰が付き添うかを決める。
- 写真の撮影・共有や、学校の話題の範囲を確認する。
- 帰宅後に予定を詰めず、普段の食事や休息に戻れるようにする。
短い時間を楽しく過ごせたからといって、次回は泊まりに進める必要はありません。楽しくても疲れることはあります。帰宅してすぐに「誰に何を聞かれた?」「ちゃんと挨拶できた?」と振り返りを求めず、休む時間を先に取りましょう。
帰省しない年も、家庭での過ごし方を大切に
今回は会わないと決めたときに、親戚の残念な気持ちを何度も子どもに伝えると、断ったことへの負担が増える場合があります。「今年はこう過ごそう」と、家でゆっくりする、好きな映画を見るなど、無理のない予定を考えられます。特別な代わりの行事を用意しなければならないわけではありません。
NIJINアカデミー鎌倉深沢教室の教室長は、自身も母親として娘の行き渋りに迷った経験や、好きな食べ物など家庭での小さな楽しみを大切にする思いを公式記事で紹介しています。年末年始の帰省の事例ではありませんが、家でほっとできる日常を考える参考になります。
料理ができることや、特別なおやつを作ることが条件ではありません。保護者自身がつらいときは、本人の情報をむやみに広げず、自分の気持ちを相談できる相手を持つことも考えてください。
不登校の子どもと年末年始の帰省|よくある質問
不登校であることは、親戚全員に伝えるべきですか?
全員への詳しい説明を前提にせず、本人と、誰に何を伝えてよいか相談しましょう。参加時間や控えてほしい話題など、調整に必要なことだけを伝える形もあります。
子どもが「帰省したくない」と言うときは、すぐ断るべきですか?
まず話せる範囲で、何が負担なのかを聞きます。短時間・少人数なら会いたい場合もありますが、条件を変えてもつらいなら、今回は見送る選択も含めて相談してください。
祖父母が楽しみに待っていると言われ、断りにくいです。
楽しみにしてくれた気持ちへのお礼と、今回の家族の判断を分けて伝えます。「誘ってくれてありがとう。今年は家で過ごします」と親が対応し、子どもに大人の落胆を解消する役割を負わせないようにしましょう。
本人が不登校を知られたくないと言っています。
まずその希望を受け止め、詳しい事情を話さずに参加条件を調整できないか考えます。安全や当日の対応のために共有が必要なことがあるなら、目的・相手・伝える内容を本人に説明し、範囲を相談してください。
保護者だけで帰省してもよいですか?
選択肢の一つですが、本人の希望、年齢、体調、見守りや食事、緊急時の連絡方法を確認して決めてください。きょうだい一人に世話を任せたり、不安が強いまま留守番をさせたりしない形を考えます。
いとこと比べる話が続くときは、どうすればよいですか?
親が「比べずに見守ってほしい」と短く伝えます。別の子の成績を持ち出して会話を続けず、話題を変える、休憩する、早めに帰るなどの方法を取れます。
「今年こそ学校へ行こう」と新年の目標を求められたら?
「学校のことは本人や学校と相談しています。今日は目標を決める場にしないでください」と区切れます。新年の挨拶と登校の約束を結び付ける必要はありません。
集まりに出ないと、お年玉や贈り物の受け取りも困ります。
参加するかどうかと贈り物のことは分けて、保護者同士で受け取り方やお礼の伝え方を相談します。本人への突然の連絡が負担なら、先に保護者を通してもらうようお願いできます。
家族に合う帰省の形は、毎年変わってもよい
年末年始を、親戚全員を納得させる機会にしなくても大丈夫です。誰と会うか、何を伝えるか、つらくなったらどうするかを先に相談しておくことで、本人がその場で説明を抱え込まずに済む準備ができます。
短時間の参加も、別日も、今回は見送ることも選択肢です。その年の家族の状況に合わせ、ほっとできる日常を大切にしてください。


