心が軽くなる本と映画ー不登校の子を持つ親へー

不登校の子を持つ親へ

この記事では、不登校のお子さんを持つ保護者の方に読んでほしい漫画と、見てほしい映画を厳選してご紹介します。作品には大きく3つの切り口があります。

  • 子どもの気持ちが分かる
    学校に行けない子の心の中が、ていねいに描かれた作品
  • 親の心が軽くなる
    同じ立場の親の姿を通して、肩の力が抜ける作品
  • 多様な生き方・進路
    学校以外の道でも大丈夫だと思える作品
漫画編

親にこそ読んでほしい4作

窓辺の机で好きなことに夢中になっている中学生のイラスト
子どもの気持ちが分かる多様な生き方

『学校へ行けない僕と9人の先生』棚園正一

アクション・コミックス/2015年(続編『学校へ行けなかった僕と9人の友だち』2021年)

作者自身の不登校体験をもとにした実話漫画です。小学1年生で学校に行けなくなった主人公が、その後に出会った9人の「先生」との時間を通して、少しずつ前に進んでいきます。作者はのちに漫画家になり、連載時には『ドラゴンボール』の鳥山明さんもエールを送りました。

保護者への刺さりポイント:「学校に行けない子は、頭の中でこんなことを感じているのか」が当事者の言葉で分かります。そして、今つらい時期の先に、その子だけの道が開けていくことを教えてくれます。

▶ 続編『学校へ行けなかった僕と9人の友だち』紹介(双葉社/YouTube)

親の心が軽くなる

『学校に行かない君が教えてくれたこと 親子で不登校の鎧を脱ぐまで』今じんこ

はちみつコミックエッセイ

お子さんが不登校になった親自身の視点で描かれたコミックエッセイです。とまどいや焦りも隠さずに描かれていて、「うちだけじゃなかった」と感じられます。親子でお互いの「鎧」を脱いでいく過程が、多くの保護者の共感を集めました。

保護者への刺さりポイント:子どもをなんとか変えようとするより、親のほうが少し力を抜いてみる。そのヒントが、押しつけがましくない形で伝わってきます。

親の心が軽くなる

『子どもが不登校になったのでいろんな人に頼ってみた』川口真目

web公開のコミックエッセイ(無料で読めます)

小学4年生の息子さんが不登校になったことをきっかけに、著者がスクールカウンセラーやフリースクールなど「いろんな人」に頼っていく実話です。190万PVを超える反響を呼び、学校でも配布されました。ネットで無料で読めるので、まず手軽に触れられる一作です。

保護者への刺さりポイント:親が全部を一人で抱えなくていい。頼ることは負けではない。そう思える内容です。「〜でなければいけない」という思い込みが、少しずつほどけていきます。

子どもの気持ちが分かる

『聲の形(こえのかたち)』大今良時

講談社/全7巻・アニメ映画にもなっています

耳の聞こえない少女へのいじめと、その加害者だった少年が抱える生きづらさを描いた作品です。人とうまく関われなくなった子が、もう一度人とつながり直そうとする姿が、ていねいに描かれています。

保護者への刺さりポイント:いじめ・不登校・「消えたい」という気持ちなど、重いテーマも扱います。だからこそ、子どもが言葉にできない苦しさに気づくきっかけになります。※つらい描写もあるため、先に親御さんが読んでから、お子さんと一緒に読むか判断することをおすすめします。

▶ アニメ映画『聲の形』本予告(YouTube)

映画編

親子で、または親だけで見てほしい4作

子どもの気持ちが分かる

『かがみの孤城』(2022年公開)

原作:辻村深月/監督:原恵一

いじめが原因で学校に行けなくなった中学生こころが、部屋の鏡の中の不思議なお城に招かれ、同じように学校に行けない7人の仲間と出会う物語です。それぞれが事情を抱えながら、少しずつ心を通わせていきます。

保護者への刺さりポイント:学校に行けない子にも「安心できる居場所」が必要だということが、まっすぐ伝わってきます。不登校経験者からの共感の声も多い作品です。

▶ 映画『かがみの孤城』予告編(YouTube)

多様な生き方・進路

『みんなの学校』(2015年公開・ドキュメンタリー)

監督:真鍋俊永

大阪市立南住吉大空小学校を1年間追ったドキュメンタリーです。発達に特性のある子も、気持ちのコントロールが苦手な子も、みんなが同じ教室で学びます。先生・保護者・地域が一緒に「みんなの学校」をつくっていく姿が描かれます。

保護者への刺さりポイント:「どの子も安心していられる場所は、大人がつくれる」と実感できます。学びの形は一つではないと、前向きに思わせてくれる一作です。

▶ 映画『みんなの学校』予告編(YouTube)

子どもの気持ちが分かる

『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018年公開)

原作:押見修造/監督:湯浅弘章

言葉がうまく出てこない「どもり(吃音)」があり、自分の名前すら言えずに高校生活の最初でつまずいてしまう志乃ちゃん。そんな彼女を笑わずに接してくれる同級生との関係を描いた物語です。

保護者への刺さりポイント:「話すのが苦手」「みんなの前がこわい」——外からは見えにくい生きづらさが、痛いほど伝わってきます。うまくいかない自分を責めてしまう子の気持ちに寄り添える作品です。

▶ 映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』予告編(YouTube)

親の心が軽くなる

『カラフル』(2010年公開)

原作:森絵都/監督:原恵一

一度は生きることをあきらめてしまった中学生・小林真の体に、ある魂が入り込み、人生をもう一度やり直すことになります。同じ毎日でも、見方が変われば世界の色が変わっていく——そんな再生の物語です。

保護者への刺さりポイント:人はひとつの色じゃなく、いろんな色を持っていていい。うまくいかない時期の子にも、そして親自身にも、そっと肩の力を抜かせてくれます。

作品と一緒に、「相談できる場所」も知っておく

自宅のリビングでタブレットとノートを使って、自分のペースで学習している子どものイラスト

漫画や映画は、子どもの気持ちを知る手がかりになり、親の心を軽くしてくれます。実際に「これからどうしよう」と悩んだときは、同じ経験をした人や専門のスタッフに話してみることも、大きな支えになります。NIJINアカデミーは、学校に行きづらい小・中学生のためのオンラインの学びの場です。無料の体験・相談会も行っています。

NIJINアカデミーのホームページを見てみる

▶ ふだんの様子は YouTube でも見られます:
NIJINアカデミー公式YouTubeチャンネル

▶ NIJINアカデミーってどんなところ?(YouTube)

※作品の刊行・公開情報は記事作成時点のものです。内容には重いテーマを含むものもあります。
お子さんと一緒に読む・見る場合は、先に保護者の方が内容を確認することをおすすめします。

目次

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

まぎらわしい用語の整理

不登校について調べていると、似た名前の制度がいくつも出てきて混乱しがちです。いちばん多い誤解は「教育支援センター」と「学びの多様化学校」を同じものだと思ってしまうことです。前者は在籍校に籍を置いたまま通う「施設」、後者は転校して在籍する「学校」で、まったく別物です。

似ているけれど別物の制度
用語正体在籍費用出席の扱い
教育支援センター
(=適応指導教室)
市区町村の教育委員会が運営する施設在籍校のまま原則無料要件を満たせば出席扱い
校内教育支援センター
(=校内の別室)
在籍校の中に置かれた部屋在籍校のまま無料出席として扱われる
学びの多様化学校
(旧・不登校特例校)
特別の教育課程を組める正式な学校(全国84校)その学校に転校公立は無償/私立は学費通常の出席
フリースクールNPOや民間企業が運営する民間施設在籍校のまま月1〜5万円程度要件を満たせば出席扱い
オンラインスクール自宅から参加する民間のスクール在籍校のままスクールにより異なる自宅ICT学習の要件を満たせば可
通信制高校・サポート校高校段階の学校と、その学習を支える施設その高校に在籍学校により異なる高校の在籍として扱われる

この表でとくに見ておきたいのは「在籍」の列です。転校が必要かどうかで、手続きも心の準備もまったく変わります。教育支援センターやフリースクールは在籍校に籍を残したまま通えるので、「合わなければ戻る」ことができます。

名前が違っても中身は同じことがあります

とくに教育支援センターは、自治体ごとに「適応指導教室」「ふれあい教室」「ゆうゆう広場」「チャレンジ学級」などさまざまな愛称がついています。お住まいの市区町村で見つからないときは「◯◯市 適応指導教室」「◯◯市 教育相談 不登校」でも検索してみてください。それでも出てこなければ、市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話するのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページにまとまっています。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 担任と話が噛み合いません

A. 「認めてください」ではなく「要件を満たすために何を用意すればよいですか」と聞き方を変えると通りやすくなります。それでも動かない場合は、学年主任・管理職・市区町村の教育委員会(教育相談室)へ相談先を上げてください。

Q. 毎日の欠席連絡がつらいです

A. 連絡方法は相談できます。「しばらく休むので、こちらから連絡がない日は欠席とみなしてください」と最初に合意しておくと、毎朝の負担がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?

A. なります。校内で過ごした時間は在籍校の判断で出席として扱われるのが一般的です。保健室登校についてもあわせてご覧ください。

Q. 学習の遅れが心配です

A. 学校外での学習も、計画や内容が教育課程に照らし適切と判断されれば成績評価に反映できることが2024年8月の制度改正で明確になりました。詳しくは教育機会確保法の記事にまとめています。

Q. 面談で何を話せばいいですか?

A. ①いまの状態、②してほしい配慮を具体的に、③出席扱いの取り扱い、の3点に絞ると進みます。面談後に「本日確認したこと」をメールで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

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つらい気持ちを今すぐ話したいとき(全国共通・24時間)

24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310

お子さんからでも、保護者の方からでも相談できます。お住まいの地域の教育相談センターにつながります。

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