大切なのは、イライラしない親になることではなく、 「今、自分は限界に近い」と気づき、子どもへぶつける前に距離を取り、怒ってしまった後も関係を立て直すこと。
そして、子どもの不登校を親一人で背負わないことです。
不登校の子に優しくできない自分が嫌になることはありませんか?
頭ではわかっている。
子どもがつらいことも。
責めても学校へ行けるようになるわけではないことも。
それなのに、
昼まで寝ている。
ゲームでは楽しそうに笑っている。
勉強はしない。
昨日「明日は行く」と言ったのに、朝になると起きない。
そんな姿を毎日見ているうちに、
「いつまでこうしてるの?」
「少しくらい何かしたら?」
「こっちは仕事も家事もしてるのに」
と、思ってもいなかった言葉が出る。
そして後から後悔する。
この記事では、なぜ親がイライラするのか、爆発しそうなときはどうするか、怒ってしまった後にどう関係を戻すか、親自身をどう守るかまで具体的に整理します。
📝 この記事でわかること
- 不登校の子に優しくできない理由
- イライラの下に隠れている親の感情
- ゲーム・昼夜逆転を見ると腹が立つときの考え方
- 怒りをぶつけそうな瞬間の対処
- 避けたい言葉とIメッセージへの言い換え
- 怒ってしまった後の関係の戻し方
- 親自身が休んでもよい理由
- 学校へ無理に連れて行った保護者の実体験
- 家族だけで抱えないための相談先
- 家庭以外に子どもの支えをつくる方法
不登校の子に優しくできないとき、親自身のケアも必要
親が、
「自分の育て方が悪かった」
「もっと我慢しないと」
「子どもがつらいのに、自分がつらいと言ってはいけない」
と追い込み続ければ、親自身の余裕は減っていきます。
厚生労働省は、家族が自分や互いを責め続けることで、子ども側も「自分が悪いから親が困っている」と自責感を強める可能性があるとしています。
むしろ、親子で同じ家に長時間いる不登校だからこそ、親にも回復する時間や支えてくれる人が必要です。
親の「イライラ」の下には、別の気持ちが隠れていることがある
怒りだけを見ると、
「自分は子どもを理解できていない」
と思うかもしれません。
でも実際には、怒りの下にいくつもの気持ちが重なっていることがあります。
不安
という焦り
疲労
背負う孤独
苦しさ
罪悪感
「ゲームばかりで腹が立つ」の奥に、
「このまま大人になったらどうなるんだろう」
という怖さがあるかもしれません。
「昨日は行くって言ったのに」と腹が立つ奥には、
「期待したのに、また先が見えなくなった」
という落胆があるかもしれません。
怒りを無理に消す前に、
と一度、自分の感情を言葉にしてみるだけでも、子どもへ向ける言葉が変わることがあります。
不登校の子にイライラしやすい5つの場面
「学校へ行けないのに、ゲームはできるの?」と矛盾して見えます。学校と自宅では求められる負担が違うことがあります。
自分が仕事へ行く時間に子どもが寝ていると、「生活を立て直してほしい」という焦りが強くなりやすくなります。
約束を破られたように感じますが、本人も前日は「行けるかもしれない」と思っていた場合があります。
休むだけでなく学習の遅れまで見えると、「今何かしなければ」という親の焦りが強まります。
留守番、送迎、学校対応などで、自分の仕事や生活まで大きく変わる家庭もあります。
「待てばいい」「刺激が必要」など異なる情報があり、毎日の判断そのものが大きな負担になります。
怒りそうなときは「子どもの状態」より先に、自分の余裕を確認する
子どもへ声をかける前に、今の自分を3段階で見てみます。
子どもの返事が想定外でも、すぐ反論せず聞けそう。
→ 会話してもよい状態
同じことを何度も言いたくなる。声が強くなりそう。
→ 必要な話だけにする
怒鳴りたい、物に当たりたい、手が出そうだと感じる。
→ 今は話し合わない
赤の状態で「今後についてちゃんと話そう」と始めても、お互いに苦しくなりやすくなります。
安全が確保できる状況なら、
「今ちょっと余裕がないから、あとで話すね」
と会話を止めても構いません。
可能なら別の大人に代わる、距離を取る、児童相談所などへ相談してください。児童相談所相談専用ダイヤル「0120-189-783」では、子どもの福祉に関するさまざまな相談を受け付けています。虐待かもしれないと感じた場合は「189」へ相談できます。
イライラしたときに出やすい言葉|どう言い換える?
| 出やすい言葉 | 子どもにどう聞こえる可能性がある? | 言い換え例 |
|---|---|---|
| 「いつまでこのままなの?」 | 早く元に戻らないといけない | 「私はこの先が見えなくて、ちょっと不安になってる」 |
| 「ゲームできるなら学校行けるでしょ」 | 楽しいことをする資格がない | 「ゲームしてるときは少し楽そうに見えるね」 |
| 「少しくらい勉強したら?」 | 休むだけでは許されない | 「勉強のこと、今どんな感じ?」 |
| 「こっちはこんなに大変なのに」 | 自分のせいで親が苦しんでいる | 「今日は私もちょっと疲れてるから、少し休ませてね」 |
| 「なんで行けないの?」 | 理由を説明できない自分が悪い | 「学校のことを考えると、どんな感じになる?」 |
厚生労働省は、子どもへ話しかける際、
「あなたは学校を休んでばかり」
のように「あなた」を主語にするより、
「私はあなたのことが心配」
のようなI(アイ)メッセージを使うと、非難する印象を減らしやすいと紹介しています。
また怒ってしまった…その後どうする?親子関係はそこで終わりではない
どれだけ気をつけても、言いすぎてしまう日はあります。
そのあと、
「もう取り返しがつかない」
と何日も自分を責めるより、関係を戻す行動を取ります。
まだお互いに興奮しているなら、その場で結論を出そうとしません。
「さっきは言い方が強すぎた。ごめん」と、必要な部分はシンプルに伝えます。
「学校へ行ってほしいから怒った」だけでなく、「先が見えなくて私も不安だった」と自分側の感情を伝えます。
謝った流れで「じゃあ明日どうする?」まで進めず、その日は関係を戻すだけでも構いません。
親が一人になる時間をつくってもいい|子どもだけを見続けない
不登校になると、親の頭の中が一日中、
「学校」
「勉強」
「進路」
「ゲーム」
「今日の機嫌」
で埋まることがあります。
でも、24時間子どもの状態を観察し続ければ、親も疲れます。
厚生労働省は、家族のセルフケアとして、周囲の人の力を借りることも案内しています。
散歩、コンビニ、入浴など「不登校を考えない時間」を意識的につくります。
学校への連絡、送迎、話を聞く役などが一人へ集中していないか確認します。
担任だけでなく、スクールカウンセラーや養護教諭などを頼る方法があります。
「自分だけではない」と知ることが、親自身の孤立を減らすことがあります。
実例|「休ませちゃいけない」と必死だった、ゆいちゃんのお母さま
今回のテーマに特に近いのが、中学1年生・ゆいちゃんのお母さまのインタビューです。
ゆいちゃんが小学4年生で行き渋るようになった当初、お母さまの頭には、
「休ませちゃいけない」
という思いがありました。
朝になるたびに、どうやって学校へ行かせるかを考える。
車で送り、先生へ引き渡す。
時には、家から車まで無理に連れて行ったこともあったそうです。
お母さまはフルタイムで働いていました。
学校へ行かなければ、一人で家に置いておくことになる。
仕事もしなければ生活は回らない。
家ではYouTubeを見たり、寝たりしている。
「これでいいのか」という不安が積み重なっていました。
転機になったのは、ゆいちゃんの食事や心身の状態にも変化が出たこと。
そこで初めて、
「この子はもう十分頑張っている。無理をさせてはいけない」
と考え方が変化していったそうです。
休ませてはいけない
何とか学校へ
子どもの状態を見る
本人の反応を待つ
最終的にお母さまが同じ立場の保護者へ伝えていたのは、子どもへの言葉だけではありませんでした。
親自身も休むこと、一人になる時間をつくること。
子どもを大切にすることと、親自身を大切にすることを、どちらか一方にしなくていいという実例です。
もう一つの実例|子どもが動かなくても、親は一人で抱えなくていい
中学生の“な”さんは、普段ほとんど部屋から出ず、NIJINアカデミーの活動への参加も多くありません。
それでもお母さまは、担任との面談や、保護者同士で話せるコミュニティなどを使いながら、つながりを残しています。
公式インタビューでは、NIJINの保護者向け「NOS(親カフェ)」も支えの一つになっていると語っています。
子どもが動く前に、親だけが誰かと話し、情報を整理し、気持ちを外へ出すこともできます。
家庭だけで全部を支えない|NIJINアカデミーという選択肢
不登校の子どもがずっと家にいると、親が、
先生。
学習サポート。
相談相手。
友達の代わり。
生活リズムを整える人。
まで、全部を担おうとしてしまうことがあります。
それはかなり大きな負担です。
学校外の居場所を使う意味の一つは、子どもに家庭以外の先生・仲間・活動をつくることでもあります。
親だけが、全部を背負わなくていい。
子どもには子どもの先生や仲間を。保護者にも相談・交流できるつながりを。
- 継続して子どもを見守る担任サポート
- 自宅から参加できるオンライン教室
- 少人数・異年齢での人とのつながり
- 好きなことから参加できるサークル・活動
- 保護者同士で悩みや情報を共有できる保護者コミュニティー
NIJINアカデミー公式の学費・プラン案内でも、担任サポートと保護者コミュニティーがサービスに含まれるものとして案内されています。
地域の教育支援センター、スクールカウンセラー、通所型フリースクールなども含めて、「家庭以外に誰が子どもと関われるか」という視点で選択肢を探してください。
学校外の学び・居場所の選択肢の一つとして紹介しています。
「もう優しくできない」と感じたら、親が相談していい
不登校の相談というと、
「子どもを相談室へ連れて行く」
イメージを持つかもしれません。
でも、保護者自身が、
「子どもを見るだけでイライラする」
「朝が来るのがつらい」
「夫婦で対応が違って毎日けんかになる」
「このままでは子どもへ強く当たりそう」
と相談して構いません。
文部科学省は、不登校に関する各自治体の相談窓口を全国一覧で公開しています。
担任、養護教諭、スクールカウンセラーなど。
教育センター、教育相談所、教育支援センターなど。
子育てや子どもの福祉について保護者からも相談できます。
親自身の睡眠や気分の落ち込みなどが続いている場合は、自分自身の相談も検討します。
よくある質問|不登校の子に優しくできないとき
不登校の子に優しくできない私は、親としてダメなのでしょうか?
イライラという感情が生まれることと、その感情を子どもへどう表すかは分けて考えます。一度怒ってしまったことだけで親子関係全体を判断する必要はありません。まず自分がどのくらい疲れているか、不安や負担が一人へ集中していないかを確認してみてください。
ゲームばかりしている姿を見るとイライラします
学校へ行けないのにゲームはできる姿は、親にとって理解しにくいことがあります。ただ、学校と自宅のゲームでは必要なエネルギーや緊張の程度が異なります。ゲームそのものへの対応と、登校できるかどうかは分けて考えると整理しやすくなります。
怒ってしまった後、謝ると親の立場が弱くなりませんか?
言い方が強すぎた、傷つける言葉を使ったと感じる部分については、「さっきは言いすぎた」と伝えることができます。謝ることと、家庭で必要なルールまでなくすことは別です。
「明日は行く」と約束したのに、また休みました。腹が立ちます
約束した時点では本人も本当に「行けるかもしれない」と考えていた可能性があります。翌朝の心身の状態が変わることもあります。「昨日言ったよね」と責める前に、今朝はどんな状態なのかを確認してみてください。
子どもと少し距離を取ってもいいですか?
安全が確保されている状況なら、感情的なやり取りを避けるために一度会話を止めたり、別の部屋で過ごしたりすることはできます。ただし、長期間まったく状態を把握しない「放置」とは分けて考えてください。
夫婦で不登校への考え方が違い、さらにイライラします
どちらが正しいかを決めるだけでなく、「何を一番心配しているのか」をそれぞれ言葉にしてみてください。学校復帰、勉強、将来、生活リズムなど、実は心配している対象が違うことがあります。家庭だけで整理しにくい場合は、スクールカウンセラー等の第三者を交えて話す方法もあります。
親だけでも不登校について相談していいですか?
はい。学校のスクールカウンセラー、教育相談、児童相談所など、保護者から相談できる窓口があります。本人がまだ相談へ行きたくない時期でも、親が家庭での対応や自分自身の負担について相談することはできます。
まとめ|「不登校の子に優しくできない」と思ったら、親の余裕も見ていい
不登校の子に優しくできない。
そんな自分に気づいたとき、
「もっと我慢しなきゃ」
だけで乗り切ろうとしないでください。
イライラの奥には、
怖さ。
焦り。
疲れ。
孤独。
将来への不安。
が重なっていることがあります。
そして同じくらい、親の余裕も見る。
余裕がない日は、話し合わない。
言いすぎたら、話し直す。
一人で抱えているなら、誰かへ渡す。
子どもに家庭以外の先生や仲間をつくる。
親にも、家庭以外で話せる相手をつくる。
ゆいちゃんのお母さまも、最初から「見守る」ことができたわけではありません。
学校へ行かせることに必死になり、迷い、子どもの変化を見ながら、少しずつ考え方を変えていきました。
必要なのは、完璧に優しい親であり続けることではなく、親子で行き詰まったときにやり直せる余白と、家庭の外につながれる場所を持つことです。
あわせて読みたい
参考・一次情報
※本記事は一般的な教育・子育て情報を提供するものです。親子の心身の状態や家庭状況は一人ひとり異なります。子どもを傷つけてしまいそう、自分でも感情を制御できない、安全面に不安があるなどの場合は、家庭だけで抱えず、児童相談所・医療機関・地域の相談機関等へご相談ください。

