放課後等デイサービスを使うには「通所受給者証」が必要です。ここで多くの保護者が止まります。「診断がついていないから、うちは無理だろう」と思うからです。
でも、診断名や障害者手帳がなくても申請できる場合があります。さいたま市は「医学的診断名又は障害者手帳を有することは必須要件ではなく、療育を受けなければ福祉を損なうおそれのある児童を含みます」と明記しています。大阪市も「障がい者手帳の有無は問いません」と案内しています。
いま、やることは3つだけです
- 「◯◯市 放課後等デイサービス 受給者証」で検索して、担当課の電話番号を出す
- 電話して「放課後等デイサービスを検討しています」と伝える
- 「診断書以外で、必要性を示す書類として認められるものは何ですか」と聞く
病院探しでも事業所探しでもありません。まず電話です。何が必要かは自治体ごとに違うので、そこで聞くのが一番早い道になります。
受給者証って、障害者手帳とは違うの?
まったく別のものです。手帳がなくても、受給者証だけ取れます。
混同されやすいのが障害者手帳です。根拠になる法律も、出す目的も違います。
| 通所受給者証 | 障害者手帳 | |
|---|---|---|
| 目的 | 放課後等デイサービスなどの福祉サービスを利用するため | 障害があることの証明。税の控除や各種割引を受けるため |
| 交付するところ | お住まいの市区町村 | 都道府県・政令市など(判定を経る) |
| 必要なもの | 療育の必要性が認められること(診断名は必須とは限らない) | 原則として指定医の診断書・判定 |
| 有効期限 | あり。更新が必要 | 種類により再判定あり |
つまり手帳を取ってから受給者証、という順番ではありません。手帳がないまま受給者証だけで通っている子は、めずらしくありません。

うちの子は対象になる?
学校に在籍していれば対象です。おおむね6歳から18歳まで。
根拠は児童福祉法第6条の2の2第3項です。放課後等デイサービスを「学校教育法第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)又は専修学校等に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に(中略)便宜を供与すること」と定めています。
大事なのは「就学している」の一語です。小・中・高校に在籍していればよく、特別支援学校も含みます。だから実際にはおおむね6歳から18歳までが対象になります。
就学前の子は児童発達支援のほうが対象です。高校在学中に18歳を迎えたあとの扱いは自治体で運用が分かれます。該当しそうなら窓口で確認してください。
診断がなくても申請できる?
できる場合があります。診断書は、認められる書類のうちの1つにすぎません。
「診断がついていないから無理だろう」。そう思って電話をやめてしまう保護者は多いのですが、実務はそうとは限りません。高槻市は、発達支援の必要性を示す書類として次のいずれか1つを挙げています。
- 障害者手帳(身体・療育・精神)
- 医師の診断書・意見書
- 特別児童扶養手当受給証明書
- 子ども保健課からの療育案内
- 支援学級・通級指導教室の在籍証明書
- 医療機関が発行した発達検査結果
並んでいるのは6つ。診断書はそのうちの1つでしかありません。支援学級や通級にいればその在籍証明書で足ります。発達検査を受けたことがあれば、その結果で足ります。
ただし、どの書類を認めるかは自治体ごとの判断です。上の一覧は高槻市の例です。だから「うちの市では何が使えますか」と窓口で聞いてください。
この一問があるかないかで、結果が変わります。聞かないまま病院を探すと、予約待ちに数か月を使うことになります。聞けば、手元の書類だけで進めるかもしれません。相談支援専門員が作る利用計画案が、必要性を裏づける資料として働く場面もあります。

何から始めればいい?
窓口への相談からです。契約までは全部で7段階あります。
自治体によって順番は前後しますが、骨格は共通しています。
- 市区町村の窓口に相談する
障害福祉課、子ども支援課、発達支援課など、名前はさまざまです。ここで必要書類と要件を確認します。 - 事業所を見学する
申請前の見学を流れに組み込む自治体もあります。空き状況も一緒に聞いておくと、あとが早いです。 - 申請書を提出する
障害児通所給付費支給申請書に、マイナンバー、世帯の課税状況が分かる書類、必要性を示す書類を添えます。 - 調査・面談を受ける
子どもと家庭の状況、週に何日使いたいかを職員が聞き取ります。調査票や生活記録票を書くこともあります。 - 障害児支援利用計画案を出す
相談支援専門員に頼むか、保護者が書く「セルフプラン」を選びます。頼めば伴走してもらえ、自分で書けば早く進みます。 - 支給決定・受給者証の交付
審査を経て支給量が決まります。郵送か窓口で受け取ります。 - 事業所と契約し、利用開始
受給者証がないと契約できません。ここが最後の関門です。
月に何日くらい使える?
自治体が決めます。入口が月10日の市も、月23日の市もあります。
この日数を「支給量」といいます。子どもの状況、保護者の就労や介護の状況、希望日数をもとに市区町村が決めます。全国一律の数字はありません。制度のなかで、いちばん自治体差が大きいところです。
高槻市は放課後等デイサービスの基本支給量を10日としています。週2〜3回のペースです。
朝霞市は基準最大支給量を月23日(週5日まで)としています。平日はほぼ毎日という水準です。これを超える場合は理由書を出したうえで、最大月31日まで認めることがあるとしています。同じ制度でも、入口の日数がここまで違います。
希望より少ない日数で決まることもあります。でも状況が変われば変更申請ができます。面談では「平日は毎日ひとりで留守番になる」のように、生活の事実を具体的に伝えてください。
いくらかかる?
多くの家庭は月4,600円が上限です。非課税世帯は0円です。
費用は原則1割負担です。ただし世帯の課税状況に応じた月額上限があり、何日通ってもこれを超えて請求されることはありません。こども家庭庁が公表する区分は次のとおりです。
| 区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割28万円未満/収入がおおむね890万円以下の世帯) | 4,600円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
収入がおおむね890万円以下なら「一般1」です。多くの家庭がここに入ります。月4日通っても、月20日通っても、払う上限は同じ4,600円です。
判定される「世帯」は保護者の属する住民基本台帳上の世帯です。祖父母と同居していても、原則は父母の課税状況で決まります。
なお、おやつ代・教材費・イベント費は制度の対象外です。金額は事業所ごとに違うので、見学のときに確認してください。
どのくらい待つ?
書類がそろってから2週間〜1か月。時間がかかるのは、その前の書類集めのほうです。
期間を公表している自治体があります。さいたま市は交付まで約2週間。横浜市は約2週間から1か月としています。
高槻市はルートによる差を出しています。相談支援事業所に計画を頼むと約1か月、セルフプランなら約2週間です。自分で書けば半分の期間で済む計算になります。
ただし、これは書類がそろってからの日数です。診断書や意見書のための受診予約に数か月かかることもあります。本当のボトルネックはそこです。だからこそ、手元の書類で足りないかを最初に聞く価値があります。
大阪市のように支給会議を月2回に限る自治体もあります。締切を逃すと2週間ずれます。
待っているあいだにできること
- 事業所を見学しておく(空きがなければ、交付されても通えません)
- 学校の担任やスクールカウンセラーに、放課後の様子を共有しておく
- 受給者証がいらない居場所も見ておく。NIJIN放課後プロジェクトスクールのように、オンラインで放課後を過ごす場もあります

よくある質問
Q. グレーゾーンで、診断名がついていません。それでも申請できますか
可能性はあります。さいたま市や大阪市のように、手帳や診断名を必須要件としないと明記する自治体があります。ただし「何もなくてよい」わけではありません。療育の必要性を示す資料は求められます。支援学級や通級に在籍している、発達検査を受けたことがある。こうした事実があれば、そのまま窓口に伝えてください。
Q. 不登校なのですが、対象になりますか
在籍していれば、それだけで対象外になることはありません。要件は「就学していること」であって、出席状況ではないからです。ただし支給決定は個別判断です。通えていない状況も含めて、正直に伝えてください。
Q. 障害者手帳を先に取ったほうが有利ですか
受給者証を取るためだけなら、手帳は必須ではありません。手帳は税の控除や交通機関の割引という別の目的で役立つものです。必要かどうかは切り離して判断してかまいません。手帳を待つあいだ受給者証の相談を止めるほうが、失う時間は大きくなります。
Q. 利用計画は自分で書いてもいいのですか
多くの自治体でセルフプランが認められています。そのほうが早く進みます。一方、相談支援専門員に頼めば、事業所探しや学校との調整、利用開始後のモニタリングまで続けて相談できます。ただし大阪市のように、原則として相談支援事業所の作る計画を求める自治体もあります。
今日、できることは1つです
担当課に電話して、「診断書以外で認められる書類」を聞く。それだけです。
お住まいの市区町村名と「放課後等デイサービス 受給者証」で検索してください。担当課の番号が出てきます。
電話がつながったら、この一問を伝えてください。「診断書以外で、療育の必要性を示す書類として認められるものを教えてください」
この一問で、あなたの自治体での最短ルートが分かります。診断がないことは、電話をかけない理由になりません。
受給者証のことを、これから調べはじめる人へ
申請しても、交付までは2週間から1か月かかります。そのあいだも、子どもの放課後は毎日やってきます。NIJIN放課後プロジェクトスクールは、家から参加できる放課後の居場所です。イラスト、配信、メタバースでの活動など、やることは子どもの「好き」から決まります。受給者証も送り迎えも要りません。どんな放課後なのか、のぞいてみてください。


