中高生の居場所は「十分に進んでいるとは言い難い」。こども家庭庁が9月17日、若者の居場所づくりの論点整理をまとめます

こども家庭庁が、2026年9月17日(木)16時から「第23回 こどもの居場所部会」を開きます。議事は「若者の居場所づくりに向けた論点整理」の案。中学生・高校生を含む「若者」の居場所を、国としてこれからどう増やしていくかの方向性が、ここで取りまとまる見込みです。
案の本文は、6月18日の部会ですでに公開されています。そこには、学校に行きづらい子どもがいる家庭にとって、見過ごせない一文が入っています。

1. 今日、何が取りまとまろうとしているのか

こども家庭庁が9月15日に公表した開催案内によると、第23回こどもの居場所部会の概要は次のとおりです。

項目開催案内の記載
日時令和8年9月17日(木)16時00分〜18時00分
場所霞が関ビルディング22階 こども家庭庁庁議室
議事「若者の居場所づくりに向けた論点整理 -すべての若者が利用しやすい居場所づくりのすすめ-」(案)について/熊本地震への対応(こどもの居場所づくり関係)について
公開開会から閉会まで取材可(カメラ撮りは冒頭の司会時のみ)。会議の様子はYouTubeで配信予定

出典:こども家庭庁「第23回 こどもの居場所部会 の開催について」(令和8年9月15日公表)。取材の事前登録は9月16日18時で締め切られています。一般の傍聴についての記載は、この開催案内にはありません。2つ目の議事は本記事では扱いません。

6月18日の第22回部会で配られた資料2「若者の居場所づくりに向けた論点整理(案)」(19ページ)の「おわりに」には、第17回から第23回までの合計7回にわたって若者の居場所づくりを議論してきた、という趣旨の記述があります。つまり今日が、この論点整理の取りまとめ回にあたります。

以下で紹介するのは、6月18日時点の「案」の中身です。今日の部会で文言が変わる可能性があります。議事名に「-すべての若者が利用しやすい居場所づくりのすすめ-」という副題が加わっている点も、6月の案の表紙にはなかったものです。

2. 「中高生の居場所は、十分に進んでいるとは言い難い」

案の「1.はじめに」に、こう書かれています。中・高校生を含めた若者を対象とした居場所づくりについては、乳幼児や小学生以下の世代と比べれば「十分に進んでいるとは言い難い」

比較の対象として挙げられているのは、地域子育て支援拠点、こども誰でも通園制度、保育所等、そして放課後児童クラブです。たしかに、小学生までは「放課後に行く場所」が制度として全国に用意されています。中学生になった途端、それが消える——多くの保護者が肌で感じてきたことを、国の資料が正面から認めた形です。

学校に行きづらくなった中高生の家庭では、この空白がそのまま「日中どこにもいられない」という形で現れます。フリースクールや教育支援センターを探すことになりますが、それらは「不登校であること」が入口になっている場合が少なくありません。案が扱っているのは、そことは別の話です。

3. 「支援の対象」ではなく「みんなのインフラ」として

案の中心にあるのは、「ユニバーサルな居場所」という考え方です。「3.若者のユニバーサルな居場所の意義」には、若者のユニバーサルな居場所は「特定の課題を抱えた若者への支援としてではなく、若者全体に必要なインフラとして位置づけられ、推進されるべきものである」とあります。

これは、居場所の入口に「不登校」「ひきこもり」「貧困」といった条件を置かない、という意味です。案は、こうした居場所であればスティグマ(周囲からの否定的な意味づけ)を生まずに若者と接点を持てる、そこから必要な相談窓口や支援機関につなぐこともできる、と説明しています。

「支援を受ける人」として登録しないと入れない場所と、誰でも入れる場所。子ども本人にとって、この差は小さくありません。案は、貧困や障害といった明確な課題がなくても若者は生きづらさや孤立感を感じやすい、とも指摘しています。

もう一点、案は「一人ひとりの若者に対して、表面化した行動の背景にある文脈や、発達特性等への理解と合理的な配慮が不可欠」としています。居場所の側に配慮を求める書きぶりです。

4. オンラインの居場所について、案が書いていること

案には「③発展的な取組に向けて(オンラインの活用)」という項目があります。ここで、オンラインの居場所につながりやすいと考えられる若者として、次の4つが挙げられています。

  • 課題を抱えているものの、行政による支援にまでは至らない若者
  • 塾や部活で忙しかったり、周囲に施設等が何もなかったりする等、時間的・地理的な制約が多い若者
  • 対面で他者とコミュニケーションをとることが苦手な若者
  • 自らが支援の対象と認識されたくない若者

3つ目と4つ目は、学校に行きづらい子どもの姿とそのまま重なります。案は、現状のオンライン施策は「オンライン相談」に偏っているとして、相談事業に限定せず求められる機能を検討すべきだ、としています。休日や夜間など自治体の対応が難しい時間帯、遠方(海外を含む)に住むこども・若者への対応も、期待される機能として挙げられています。

留意点として、匿名性が高いぶん利用者同士の交流には必ずスタッフが関わるなど安全性の確保が重要であること、「たまたま近くにあったから行く」という動線がないため若者自身に「行きたい」と思ってもらう工夫が要ること、なども書かれています。

5. すでに動いている自治体の例

案は、既にある地域資源を活用した居場所づくりの例として、いくつかの自治体名を挙げています。原典に記載のあるものだけを並べます。

自治体案に記載された取組
石川県加賀市公民館や学校の空き教室等の既存施設、メタバース環境を活用した居場所づくり。引きこもりや不登校のこどもたちも利用可能な居場所の確保のため
長野県伊那市居場所への送迎サービスとオンライン事業を併用し、居場所につながるハードルを下げた
宮崎県宮崎市普段はコワーキングスペースとして使う空間を、曜日や時間を限定して若者の居場所としても活用
神奈川県横浜市居場所づくりコーディネーターに、こども家庭センターの統括支援員との連携を求める
千葉県千葉市市内のプレーパークと連携した夜間の居場所で、利用者にアンケートとヒアリング調査を実施
徳島県公募選定した団体によるこども食堂・不登校のこどもの居場所支援・児童館での職業体験等。参加したこどもと保護者に支援ニーズのアンケート調査

出典:こども家庭庁 第22回こどもの居場所部会 資料2「若者の居場所づくりに向けた論点整理(案)」(令和8年6月18日)。各取組の実施時期・規模・現在も続いているかどうかは、この資料に記載がないため確認できませんでした。

案は、自治体に対して「ゴールビジョン」——どんな居場所が地域にどれだけあればよいのかという理想像——を描き、必要なコストも踏まえて計画的に取り組むよう求めています。年齢で区切らず多世代が交流できる場にすること、年齢の切れ目なく居場所を見つけられるようにすることも、検討の論点に挙げられています。

★ここは誤解されやすい

「論点整理」は制度でも予算でもありません。案そのものが、自治体職員や居場所の実践者に向けたガイドとしての性質を持つものだと述べています。これがまとまっても、明日から通える場所が増えるわけではありません。動くかどうかは、お住まいの自治体がゴールビジョンを描くかどうかにかかっています。

これはフリースクールや教育支援センターの話ではありません。案が扱っているのは、不登校かどうかを問わず誰でも入れる「ユニバーサルな居場所」です。不登校支援の枠組み(学びの多様化学校、教育支援センター、出席扱いなど)とは別の議論として読んでください。

「若者」が何歳から何歳までを指すのかは、確認できませんでした。案の本文には「中・高校生を含めた若者」「中・高校生を含む若者」という表現があるだけで、年齢の上限・下限の明示を当編集部では見つけられませんでした。そのため本記事でも年齢では書いていません。

いま、できること/しなくていいこと

できること① 今日16時からの部会は、YouTubeで配信予定と開催案内に書かれています(配信ページ)。国がどういう言葉で子どもの居場所を語っているのか、見ておくと自治体との話がしやすくなります。

できること② お住まいの自治体に、児童館・青少年センター・ユースセンター・こども食堂など、中高生が「用事がなくても」行ける場所があるか調べてみてください。不登校の窓口ではなく、こども政策・青少年担当の部署が持っていることがあります。

できること③ 案の全文(19ページ)は誰でも読めます。自治体に相談するとき、国の資料にこう書いてある、と示せる材料になります。

しなくていいこと 今日の結論を待って、家庭の方針を変える必要はありません。取材の事前登録は報道向けで、締切もすでに過ぎています。急いで何かを申し込む種類の話ではありません。

関連ページ

出典(一次情報)

本記事の内容は、2026年9月17日7時時点で公開されている上記の資料にもとづいています。「こどもの居場所づくりに関する指針」は令和5年12月22日の閣議決定で、案の中で繰り返し参照されています。今日の部会で配付される資料および議事録は、本記事の執筆時点では公開されていません。確定版の内容が公開され次第、本記事の末尾に追記します。

文責:にじいろ編集部
公開日:2026年9月17日 / 最終更新:2026年9月17日
この記事は、にじいろ編集部が一次情報にあたって作成しています。編集の考え方は編集体制・編集方針をご覧ください。誤りが判明した場合は、記事を書き換えるのではなく、末尾に訂正を追記します。
目次