文部科学省が、通信制課程を置く高等学校323校すべてに書面でたずねた「令和7年度通信制高等学校実態調査」の結果が、9月29日に開かれる検討会議の参考資料として公開されています。そのなかに、こういう数字があります。令和7年度に通信制高校へ入学した77,998人のうち、44,461人(57.0%)が、中学3年生のときに不登校だった。通信制高校が、いま誰のための場所になっているのかを、国の調査がはっきり示した数字です。この記事では、その調査から保護者に関係の深いところだけを抜き出して並べます。
1. どんな調査なのか
資料の表紙には「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」「令和8年8月31日」「初等中等教育局高等学校振興課」とあります。調査の概要は次のとおりです。
| 調査方法 | 書面(アンケート)による調査 |
|---|---|
| 調査対象 | 通信制課程を置く高等学校 323校 |
| 実施時期 | 令和7年7月~8月 |
| 調査時点 | 令和7年5月1日現在 |
対象校数は令和7年5月1日現在の学校数で、休校中や生徒募集停止中により同日に在籍生徒がいない学校等は除かれています。また資料には「調査結果の内容は、調査において各調査対象から報告された内容による」との注記があります。つまり学校の自己申告です。
2. 入学者の57.0%が、中学3年生のときに不登校だった
資料の「8.生徒の状況等」の最初に置かれているのが、この表です。
| 令和7年度入学者数(A) | 中学3年生のときに不登校だった生徒数(B) | B/A | |
|---|---|---|---|
| 公立 | 9,969 | 5,333 | 53.5% |
| 私立 | 61,200 | 34,663 | 56.6% |
| 株式会社立 | 6,829 | 4,465 | 65.4% |
| 全体 | 77,998 | 44,461 | 57.0% |
通信制高校の入学者の6割近くが、中学3年生の時点で学校に行けていなかった。逆から読めば、いま通信制高校の教室にいる同級生の半分以上が、同じ道を通ってきているということです。
3. 「通信制高校323校」の中身は、かなりばらばらです
ひとくちに通信制高校といっても、設置者も規模も違います。
| 学校数 | うち広域 | うち狭域 | |
|---|---|---|---|
| 公立 | 81 | 2 | 79 |
| 私立 | 227 | 116 | 111 |
| 株式会社立 | 15 | 15 | 0 |
| 合計 | 323 | 133 | 190 |
この資料には広域・狭域の定義の記載がなかったため、ここでは資料の区分をそのまま載せています。株式会社立15校はすべて広域でした。
規模も大きく違います。在籍生徒数別に学校数を数えると、こうなります。
| 在籍生徒数 | 公立 | 私立 | 株式会社立 | 全体 |
|---|---|---|---|---|
| 1人以上500人未満 | 36 | 152 | 4 | 192 |
| 500人以上1,000人未満 | 24 | 30 | 5 | 59 |
| 1,000人以上5,000人未満 | 21 | 36 | 5 | 62 |
| 5,000人以上10,000人未満 | 0 | 4 | 1 | 5 |
| 10,000人以上 | 0 | 5 | 0 | 5 |
323校のうち192校(59.4%)は在籍生徒500人未満の小さな学校で、いっぽう1万人以上を抱える学校も5校あります。「通信制高校はこういうところ」と一般化しにくいのは、この幅のせいです。
4. 相談できる人がいるか——ここが学校によって一番違いました
この調査でいちばん保護者に関係が深いのは、たぶんこの項目です。令和7年5月1日時点で、スクールカウンセラー(SC)・スクールソーシャルワーカー(SSW)に相談できる体制を整えているかを聞いています。
| SCに相談できる体制 | SSWに相談できる体制 | |
|---|---|---|
| 公立(81校) | 80校(98.8%) | 74校(91.4%) |
| 私立(227校) | 181校(79.7%) | 44校(19.4%) |
| 株式会社立(15校) | 12校(80.0%) | 6校(40.0%) |
| 全体(323校) | 273校(84.5%) | 124校(38.4%) |
SCについては、体制を整えていない学校が全国で50校(私立46・株式会社立3・公立1)。SSWにいたっては、私立227校のうち体制があるのは44校だけです。実際に支援を受けた生徒数(令和6年度間・延べ)は、SCが21,303人、SSWが5,316人でした。
支援を受けた生徒数は、令和7年度開校の29校を除いた集計です。
5. 「週何日通うか」は、学校ごとにまったく違う
通学頻度別のコースを開設している学校数です。1校で複数のコースを持っている場合があるので、合計は323にはなりません。
| コース | 公立 | 私立 | 株式会社立 | 開設している学校数 |
|---|---|---|---|---|
| 週5通学 | 1 | 82 | 7 | 90 |
| 週4通学 | 2 | 24 | 1 | 27 |
| 週3通学 | 2 | 56 | 5 | 63 |
| 週2通学 | 7 | 55 | 7 | 69 |
| 週1通学 | 39 | 82 | 7 | 128 |
| いわゆる集中スクーリングを前提 | 1 | 98 | 14 | 113 |
| その他 | 39 | 82 | 2 | 123 |
資料の注記:コースには、高等学校として実施する高等学校通信教育のほか、正規の教育課程ではない教育活動のために開設するコースも含みます。また「その他」は、月に1~2回通学するコースや、生徒の都合の良い日にいつでも通学できるコース等とされています。
週5日通えるコースを持つのは全国で90校(27.9%)。そのうち公立はわずか1校で、82校が私立です。「毎日通える通信制」を探すと、選択肢はほぼ私立になる、という構造がここに出ています。
6. 入学者選抜は「面接」が中心
入学者選抜の方法別の学校数です(1校で複数の方法を選択可)。
| 方法 | 公立 | 私立 | 株式会社立 | 実施している学校数 |
|---|---|---|---|---|
| 面接による検査 | 67 | 216 | 13 | 296 |
| 調査書等の書類による選考 | 56 | 163 | 11 | 230 |
| 小論文又は作文による検査 | 33 | 114 | 7 | 154 |
| 学力検査問題による検査 | 15 | 72 | 4 | 91 |
| その他 | 4 | 12 | 0 | 16 |
面接を行う学校が296校でもっとも多く、学力検査を行う学校は91校です。ただし調査書等の書類による選考も230校が実施しています。「中学校にほとんど行けていないから、内申がないから」と入口で諦める前に、志望校がどの方法を使うのかを個別に確かめてください。
7. 入学したあと、通えているのか
在籍しながら、添削課題は出しているけれど面接指導(スクーリング)には1日も来ていない生徒の数です。
| 令和7年3月31日時点の在籍生徒数(A) | 令和6年度間に添削課題の提出はあるが面接指導に1日も来ていない生徒数(B) | B/A | |
|---|---|---|---|
| 公立 | 58,363 | 2,478 | 4.2% |
| 私立 | 220,125 | 5,060 | 2.3% |
| 株式会社立 | 28,223 | 559 | 2.0% |
| 全体 | 306,711 | 8,097 | 2.6% |
令和7年度開校の29校を除いた集計です。
学校側がその理由としてどれを選んだかも聞かれています。これは生徒数ではなく、その理由を選んだ生徒が在籍する学校数です。分母は、令和7年度開校の29校と、該当する生徒がいない126校の計155校を除いた168校になります。
| 理由(資料の区分) | 学校数 |
|---|---|
| 心身に関すること(感覚の敏感さ、体調不良、不安・抑うつ、朝起きられない、夜眠れない、入院・療養 等) | 161 |
| 生活習慣に関すること(ゲーム・スマホへの依存、あそび・非行、居眠り 等) | 81 |
| 家庭に関すること(生活環境の急激な変化、親との関わり、家族の介護、家庭内の不和 等) | 80 |
| 学習に関すること(学業不振、授業内容、成績低下 等) | 74 |
| 仕事に関すること(当日休むことができなかった 等) | 46 |
| 友人との関係(トラブル(いじめ以外)、親しい友人がいない 等) | 42 |
| 学校生活に関すること(進路への不安、部活動等に関するトラブル、制服・行事等への不適応 等) | 38 |
| その他 | 15 |
| 友人との関係(いじめに関すること) | 6 |
| 教職員との関係(教職員への反抗・反発、教職員とのトラブル 等) | 5 |
学校側の対応も聞かれています。現状を把握するための対応では「教師による定期的な連絡」が165校、「専門・支援スタッフなど教師以外による定期的な連絡」が41校、「オンラインによる遠隔でのカウンセリングの実施」が30校。出席を促すための対応では「スクールカウンセラーによるカウンセリング機会の充実」が121校、「キャリア教育や進路相談の充実」が87校、「養護教諭の配置」が78校でした。
8. 卒業までにかかった年数と、「通信教育連携協力施設」の数
令和6年度の卒業生90,872人を、在籍期間別に分けた数字です。
| 在籍期間 | 公立 | 私立 | 株式会社立 | 全体 |
|---|---|---|---|---|
| 0年以上1年未満 | 299 | 4,765 | 789 | 5,853 |
| 1年以上3年未満 | 3,550 | 28,428 | 6,231 | 38,209 |
| 3年間 | 3,079 | 36,813 | 2,775 | 42,667 |
| 3年より長く4年未満 | 359 | 651 | 88 | 1,098 |
| 4年間 | 1,071 | 669 | 35 | 1,775 |
| 4年より長く6年未満 | 440 | 307 | 8 | 755 |
| 6年以上 | 417 | 96 | 2 | 515 |
| 合計 | 9,215 | 71,729 | 9,928 | 90,872 |
いまの在籍生徒のうち4年以上在籍している人の割合は、全体で6.8%(281,606人中19,271人)。ただし公立は25.6%、私立は1.9%、株式会社立は1.4%と大きく開きます。
4年以上在籍の集計は、令和4年度以降に開校した73校を除いたものです。
もうひとつ、学校選びのときに知っておくと役に立つ数字があります。本校とは別に置かれている「通信教育連携協力施設」の数です。
| 面接指導等実施施設 | 学習等支援施設 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 公立 | 152 | 0 | 152 |
| 私立 | 1,867 | 2,008 | 3,875 |
| 株式会社立 | 5 | 309 | 314 |
| 全体 | 2,024 | 2,317 | 4,341 |
323校の本校に対して、連携協力施設は4,341か所。お子さんが実際に通う場所は、本校ではなくこのどれかであることのほうが多い、ということです。
1. 「57.0%」は令和7年度の入学者についての数字です。在籍している生徒全体の割合ではありません。
2. 理由の表は「生徒数」ではなく「学校数」です。「心身に関すること」161は161人ではなく、その理由を選んだ生徒が在籍する学校が161校あった、という意味です。生徒数の内訳は資料にありません。
3. 「SCに相談できる体制がある」は、体制の有無だけを聞いた項目です。常勤かどうか、何人いるか、予約すればすぐ会えるかは、この調査からはわかりません。
4. 週5通学コースがある90校=正規の授業が週5日ある90校、ではありません。資料は「正規の教育課程ではない教育活動のために開設するコースも含む」と明記しています。
5. 面接指導に1日も来ていない8,097人は、在籍306,711人の2.6%です。「通信制はほとんど通わない」ことを示す数字ではありません。
9. この調査が出てきた場所——9月29日に、次の会議があります
この実態調査は、文部科学省の「通信教育の適正な実施・運営の確保のための基本的な指針等に関する検討会議」の第1回(令和8年8月31日開催)に、参考資料3として配られたものです。この会議は、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の改正を受けて、大臣が定める基本指針の中身を検討しています。
その第2回が、令和8年9月29日(火曜日)の10時00分から12時00分、WEB会議で開かれます。議題は次のとおりです。
| 議題 | 広域通信制課程における通信教育の適正な実施及び運営の確保について 広域通信制高等学校の実態について 自由討議 その他 |
|---|---|
| 日時 | 令和8年9月29日(火曜日)10時00分~12時00分 |
| 場所 | WEB会議にて開催 |
| 傍聴 | 事前に傍聴登録した人を対象に、YouTubeライブ配信で傍聴できます |
| 登録期限 | 令和8年9月28日(月曜日)12時00分まで |
開催案内には、事前に傍聴登録した方へライブ配信のURL等を会議開催前までにメールで連絡すること、会議資料は当日を目途に文部科学省ホームページに掲載することが書かれています。傍聴登録フォームは開催案内のページからたどれます。
この会議で何が論点になっているかは、通信制高校の「基本指針」で何が変わる?有識者会議の論点を保護者向けに整理で扱っています。
できること① 学校説明会や個別相談で、「スクールカウンセラーに相談できる体制はありますか」「スクールソーシャルワーカーはいますか」と、そのまま聞いてみてください。全国では323校中273校と124校という差がある項目です。聞く価値があります。
できること② 通学コースの説明を受けたら、「そのコースは正規の教育課程ですか、それとも別に開設されている教育活動ですか」を確認してください。資料が注記しているとおり、同じ「週3コース」でも中身が違います。
できること③ 入学者選抜の方法(面接か、調査書か、学力検査か)を、志望校ごとに確かめてください。全国では面接296校・調査書等230校・学力検査91校です。
できること④ 9月29日の会議は、登録すれば保護者でも傍聴できます。登録期限は9月28日12時です。
しなくていいこと① 基本指針ができるのを待ってから進路を決める必要はありません。指針の検討はまだ続いています。
しなくていいこと② 57.0%という数字を見て、「中学に行けていないから通信制しかない」と決める必要もありません。この数字は選択肢の分布であって、お子さんの進路を決めるものではありません。
10. この記事に書かなかったこと
次の4点は、原典を読んだ範囲では確認できなかったため、書いていません。
| 確認できなかったこと | 理由 |
|---|---|
| この実態調査が、検討会議の配付資料とは別に単独で公表されているか | 文部科学省サイト上で、この調査単独の公表ページを見つけられませんでした |
| 前年度までの同じ調査との増減 | 比較できる前年度版を確認できなかったため、増えた・減ったとは書いていません |
| 「中学3年生のときに不登校だった生徒」を各校がどう判定したか | 資料に定義の記載がありません |
| 中途退学者数 | この資料に該当する項目を見つけられませんでした |
文部科学省 初等中等教育局高等学校振興課「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」(令和8年8月31日/通信教育の適正な実施・運営の確保のための基本的な指針等に関する検討会議 第1回 参考資料3、全90ページ)
通信教育の適正な実施・運営の確保のための基本的な指針等に関する検討会議(第1回)配付資料
同 検討会議(第2回)の開催について
本記事の数値は、上記の参考資料3のPDF本文を編集部が直接読み取って記載しています。比率は資料に記載された値をそのまま用いました。
公開日:2026年9月21日 / 最終更新:2026年9月21日
この記事は、にじいろ編集部が一次情報にあたって作成しています。編集の考え方は編集体制・編集方針をご覧ください。誤りが判明した場合は、記事を書き換えるのではなく、末尾に訂正を追記します。
通信制高校を比べはじめた方へ
この調査で見えたのは、「相談できる人がいるか」「週に何日通うか」が学校ごとにまったく違うということでした。パンフレットの数字だけでは分からない部分なので、候補の学校には直接聞いてみるのがいちばん確かです。株式会社NIJINのニジ高(NIJIN高等部)も、中学で学校に行けなかった経験のある生徒を前提に、通い方や相談の仕組みを説明会で案内しています。比べる候補のひとつとして見てください。
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