ADHDの子への接し方|やってはいけない叱り方と、届く声かけ

子どもが自分の見つけたことを大人にうれしそうに説明し、大人が身をかがめて聞いている場面のイラスト

「何度言っても伝わらない」「気づいたら一日中叱っている」——ADHD(注意欠如・多動症)のある子を育てるご家庭から、いちばんよく届く声です。声を荒らげたあとに自己嫌悪になり、また同じことが起きる。その繰り返しに、心がすり減っていく保護者の方は少なくありません。

この記事は、叱り方と声かけにしぼって整理したものです。国の事業でつくられた「ペアレント・トレーニング実践ガイドブック」や、こども家庭庁・文部科学省などの一次資料をもとに、今日から家で試せる形にまとめました。うまくいかない原因を「親の愛情不足」や「本人のわがまま」に求めない、という前提から始めます。

この記事でわかること

  • ADHDのある子に「叱責」が届きにくい理由(脳機能と環境の関係)
  • やってはいけない叱り方の5パターンと、その置き換え方
  • 国の資料が示す声かけの型「CCQ」と「25%ルール」
  • 行動を3つに分けて対応を変える方法(好ましい/好ましくない/許しがたい)
  • 朝の支度・宿題・ゲーム・忘れ物など、場面別の言い換え集
  • 親だけで抱えないための相談先とペアレント・トレーニング

この記事の位置づけ

ADHDそのものの特性や3つのタイプについては ADHD(注意欠如・多動症)とは?特性の3タイプ・年齢別の現れ方と相談の目安 で、二次障害の予防については ADHDの二次障害とは?不登校・自己否定を防ぐために家庭でできること で、不登校になったあとの関わりについては ADHDと不登校の関係 でくわしく扱っています。この記事は日常の声かけと叱り方に特化した内容です。

目次

ADHDの子への接し方で、最初に押さえたい3つの前提

やり方の話に入る前に、土台になる考え方を3つだけ確認させてください。ここがずれていると、テクニックだけを増やしても長続きしないためです。

接し方の土台になる3つの前提
前提内容関わり方への影響
① 特性は脳機能の問題国の事業でつくられたガイドブックは、発達障害について「脳機能の問題であり、本人の努力不足でも、親の養育の失敗でもありません」と明記しています。「気合いが足りない」「甘やかしたせい」という前提を外すと、叱る回数が自然に減ります。
② 困難の出方は環境で変わる同じ子でも「できることとできないこと、できるときとできないとき、できる場所とできない場所」にムラがある、と同ガイドブックは説明しています。「できない子」ではなく「この場面だとできない」と切り分けられます。
③ 変えるのは子どもより先に「場面」行動そのものに介入する前に、行動が起きる前のきっかけ(環境)を整えるのが基本とされています。叱る/ほめる以前に、叱る場面自体を減らせます。

この3つを前提にすると、「接し方を工夫する」の意味が変わります。子どもをうまくコントロールする技術ではなく、親子ともに消耗せずに一日を終えるための設計だと考えてください。

「何度言ってもわからない」の裏側で起きていること

なお、同じ不注意でも、動きの目立たない子は「困っている」と気づかれないまま過ごしていることがあります。あてはまりそうなときは 女の子のADHD|不注意優勢型が見落とされやすい理由とサイン もあわせてご覧ください。

保護者の目に映る行動と、子どもの内側で起きていることは、しばしば食い違います。前掲のガイドブックは、発達障害が「見えづらい障害」であるために、家庭や学校での失敗に対して「わざとやっている」「やる気がない」といった叱責が繰り返されがちだと指摘しています。そして、そのような状態が続くと、子どもは「一生懸命がんばっているのに、周りの子と同じようにはできない」「親や先生に叱られてばかり」と自尊感情(セルフエスティーム)を低下させ、やる気を失ったり、イライラが強まったりすることもよくある、と述べています。

親から見える行動と、子どもの側で起きていること(一般的に指摘される例)
よくある場面親から見える行動子どもの側で起きていること(とされること)
朝、何度も声をかける生返事だけで動かない呼びかけが「音」として届いても、指示の内容まで注意が向いていないことがあります
宿題を出しっぱなしサボっている、面倒くさがっている「取りかかる」「途中で戻る」の切り替えに大きな負荷がかかっている場合があります
同じ忘れ物を繰り返す反省していない、話を聞いていない注意の持続や段取りの記憶に苦手さがあり、意欲とは別の問題であることがあります
注意した直後にまた同じことをする親をなめている、挑発している衝動性により、考えるより先に体が動いていることがあります
「もういい!」と怒り出す逆ギレ叱責の積み重ねで、注意された瞬間に自己否定のスイッチが入っている場合があります

文部科学省が令和4年に公表した「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」では、小中学校の通常の学級で、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は8.8%、うち「不注意」または「多動性-衝動性」の問題を著しく示すとされた割合は4.0%と報告されています。ただし同調査は、学級担任等の回答に基づくもので、専門家チームの判断や医師の診断によるものではなく、発達障害のある児童生徒の割合を示すものではないと明記されています。数字は「同じような困りごとを抱える子が、教室に少なからずいる」という手がかりとして読むのが適切です。

やってはいけない叱り方・5つのパターン

「叱ってはいけない」という話ではありません。危険な行動を止めることは必要です。問題になりやすいのは、叱り方の形です。届きにくいうえに、自己否定だけを残しやすい5つのパターンを整理します。

届きにくい叱り方と、その置き換え
NGになりやすい形なぜ届きにくいか置き換えるなら
長い説教注意の持続が苦手な場合、途中から内容が入らなくなります。前掲ガイドブックも、指示が達成できないことが繰り返されると親の指示は感情的になりがちで、子どもには「親の感情しか伝わらない」ことが多いと説明しています。一文で、行動だけを伝える(「イスに座ろう」)
過去の蒸し返し・人格へのことば「いつもそう」「だらしない」は、直すべき行動を示しません。残るのは自己評価の低下だけになりがちです。今この場の行動一つに限定する(「靴下を洗濯かごへ」)
遠くから大声で声は届いても指示は届きにくく、親の側も感情が上がりやすくなります。そばまで行き、注意を向けてから伝える
一度に複数の指示「着替えて歯みがきして時間割そろえて」は、どれか一つで止まりやすい形です。1回に1つ。終わったら次を出す
たたく・怒鳴りつける子どものしつけに際して体罰を加えてはならないことが法定化され、令和2年4月に施行されています(こども家庭庁)。行動を止めたうえで、落ち着いてから伝える

体罰は「しつけ」ではなく、法律で禁止されています

こども家庭庁は、体罰等によらない子育てのために のページで、親権者等は児童のしつけに際して体罰を加えてはならないことが法定化され、令和2年4月に施行されたことを示しています。これは保護者を責めるための決まりではなく、子どもの安全を守り、家庭を支援につなぐための線引きです。「手が出そうになる」「怒鳴り声が止まらない」と感じたときは、我慢する前に相談先を使ってください(この記事の後半に一覧があります)。

子どもが見つけたことを話し、大人がしゃがんで目線を合わせて聞いている場面

届く声かけの土台「CCQ」──おだやかに・近づいて・静かに

国の事業でつくられた「ペアレント・トレーニング実践ガイドブック」(令和元年度 障害者総合福祉推進事業/作成:一般社団法人 日本発達障害ネットワーク)は、全国のペアレント・トレーニングに共通して含まれるべきコアエレメントを示しています。そのひとつ「子どもが達成しやすい指示」の中で説明されているのが、CCQという指示の出し方です。

CCQ = 指示の出し方の3条件

1

C:Calm(おだやかに)

まず苛立ちや怒りといった否定的な感情を抑えます。声のトーンを一段下げるだけでも変わります。

2

C:Close(近づいて)

別の部屋から呼ぶのではなく、子どものそばに行きます。注意がこちらに向いてから話し始めます。

3

Q:Quiet(静かな声で)

落ち着いた静かな声で、わかりやすい指示を1つだけ伝えます。

同ガイドブックは、この前後の流れを「注意をひいて予告 ⇒ CCQで指示 ⇒ ほめる(25%ルール)」として説明しています。そして「子どもがしてほしいことを少しでもしようとしたとき、したときにほめることが大切です」としています。指示は出して終わりではなく、ほめるところまでが1セットだという点が要点です。

今日の夜、ひとつだけ試すとしたら

  • 呼ぶ前に、まず子どものそばまで歩いて行く
  • 「ねえ」ではなく、名前を呼んで、目線が合ってから話す
  • 伝えるのは1回に1つ。長い理由づけは後回しにする
  • 声の大きさを、いつもの半分にしてみる
  • 少しでも動き出したら、その瞬間に「お、始めたね」と言う

ほめ方には順番がある──「25%ルール」と、いいところ探し

「ほめて育てましょう」と言われても、ほめるところが見つからない、と感じる日もあると思います。同ガイドブックが示す25%ルールは、そこを具体的にほどきます。これは「できていない部分に目を向けるのではなく、やるべきことの25%でもできていればその部分をすかさずほめる」という考え方です。

あわせてコアエレメントの筆頭に置かれているのが「子どもの良いところ探し&ほめる」で、子どもの適応的な行動に注目し、行動の後に子どもにとってプラスの状況をもたらせるよう、その子の特性に応じたほめ方ができるようになることを目指す、と説明されています。ポイントは、特別なことをほめるのではなく、すでにできている当たり前の行動に注目することです。

ほめ言葉の言い換え例(25%ルールの使い方)
場面ありがちな言い方25%でも拾う言い方
ランドセルを玄関に置いた「またそこに置いて!」「持って帰ってこられたね。あと1メートル、部屋まで運ぼう」
宿題を1問だけ解いた「たった1問?」「もう始めてるじゃん。1問できてる」
食器を1枚だけ運んだ「全部持っていってよ」「お皿ありがとう。助かった」
着替えの途中で止まった「まだ着替えてないの」「上は着られたね。次はズボン」
5分だけ座って本を見た(気づかず通り過ぎる)「さっき静かに読んでたね、いい時間だった」

ガイドブックは、ほめる関わりが定着することの価値についても触れています。親子の「ほめる⇔ほめられる」という関係が2〜3か月で終わるのと、半年続くのとでは大きな違いがある、として、期間の長さの重要性を指摘しています。1週間で結果が出ないことを失敗とみなさないことが、続けるうえでのコツです。

行動を3つに分ける──叱る対象を減らす整理法

毎日のイライラの多くは、「注意すべきこと」と「今は流していいこと」がごちゃ混ぜになることから生まれます。ガイドブックのコアエレメント「子どもの行動の3つのタイプわけ」は、行動を3つに分けて、それぞれ対応を変えるという整理法です。

行動の3つのタイプわけと、それぞれの対応(比較表)
タイプ具体例基本の対応注意点
好ましい行動席についた/返事をした/片づけを始めたほめる。25%できていれば、その部分をすかさず。半数以上を「今できている行動」にすると続きます(ガイドブック注記)
好ましくない行動ぐずる/文句を言う/注目を引くための行動計画的な無視+環境調整+指示の工夫「待ってからほめる」手法。好ましい行動が見えたらすかさずほめます
許しがたい行動自分や他者を傷つける/危険な行動すぐ止める。警告やタイムアウトを検討ガイドブックはこの対応をコアエレメントに含めず「オプション」としています

計画的な無視は、ガイドブックの用語解説で「特定の行動(特に、他者からの注目を得ることがごほうびとなっているような行動)に対して、注目を与えず(無視)、対応しないこと」と定義され、注目を外しながら好ましい行動が見られたらすかさずほめる手法であることから「待ってからほめる」とも言う、と説明されています。子どもを無視することではなく、その行動から注目を外して、良い行動が出た瞬間に戻るという技術です。

順番をまちがえないために

ガイドブックは、不適切な行動への対応は「かえって子どもの不適切な行動を増やしてしまうこともあるため、『ほめる』ことをベースにした関わりが定着していることが前提となります」としています。つまり、先に「ほめる」を増やし、そのあとで無視や警告を使うという順番です。いきなり無視から始めると、関係だけが冷えてしまうことがあります。

なおタイムアウトについても、同ガイドブックは「子どもに合った環境を整え、わかりやすい指示をしても自分や他者を傷つけたり危険な行動が繰り返し起こる場合」の手法と位置づけ、時間は年齢に応じて調節し、幼児では5分程度、タイムアウト前後に怒鳴ったり長々と説教したりはしないとしています。安易な多用は想定されていない、という点を押さえておきたいところです。

「なぜそうなるのか」を見る──ABC分析で行動を書き出す

コアエレメントのひとつ「行動理解(ABC分析)」は、一つひとつの行動を、A「行動の前のきっかけ」-B「行動」-C「行動の後の結果」に分けて、客観的にとらえる方法です。頭の中だけで考えると「またやった」で終わりますが、紙に書くと、変えられる場所が見えてきます。

ABC分析のやり方(1回5分)

1

困っている場面を1つだけ選ぶ

「宿題をやらない」ではなく「夕食後、宿題を出すまでに30分かかる」のように、時間と場面を限定します。

2

A:直前に何があったかを書く

時間帯、部屋の状態、テレビの音、直前にかけた言葉、きょうだいの様子など。

3

B:行動をそのまま書く

解釈を混ぜず、映像として書きます。「ふてくされる」ではなく「返事をせずソファに寝転ぶ」。

4

C:そのあと何が起きたかを書く

親が繰り返し声をかけた/結局やらずに済んだ/叱られたが注目はもらえた、など。

5

AかCを1つだけ変えてみる

Bを直接変えようとせず、きっかけ(A)か結果(C)を変えます。3日ほど同じ変更を続けて様子を見ます。

ABC分析の記入例
場面A:きっかけB:行動C:結果変えてみる場所
夕食後の宿題テレビがついたまま/「宿題は?」と遠くから声をかけた返事だけして動かない5回目の声かけで親が怒鳴る=強い注目A:テレビを消し、そばで1つだけ伝える
朝の支度起床が15分遅い/服が見つからない「行きたくない」と言う親が全部やってしまうA:前夜に服を1セット出しておく
ゲームの終了「あと5分」の予告がない取り上げようとすると怒る結果的に延長できるA:タイマーと終了後の予定をセットで示す

環境調整──叱る回数そのものを減らす家の工夫

コアエレメントの「環境調整(行動が起きる前の工夫)」は、子どもの周囲の環境(人や物)を整え、子どもが適応的な行動をしやすくなるための工夫を考えるものです。ガイドブックは、その子の特性にあわせて「刺激となるようなものを減らしたり、見てわかりやすいスケジュールやルールなどを提示したり」する、と説明しています。

家でできる環境調整チェックリスト

  • 音と映像を減らす:宿題・食事の時間はテレビと動画を消す
  • 視界を減らす:机の上に出ているのは今使うものだけにする
  • 見える化する:やることを言葉で並べず、絵や短い文で貼り出す
  • 置き場所を1つに固定する:ランドセル・鍵・水筒の定位置を決める
  • 時間を見える形にする:残り時間がわかるタイマーを使う
  • 予告を入れる:切り替えの5分前に「あと5分でごはん」と伝える
  • ルールは短く貼る:口頭の約束より、紙1枚のほうが守りやすいことがあります
  • 親の逃げ場も作る:怒りが上がったとき、いったん別室に行くと決めておく

環境調整の効果は「子どもが変わる」より先に、親が叱る回数が減るという形で表れることが多いものです。叱責の総量が減ると、そのぶんほめる余力が生まれ、前述の「ほめる⇔ほめられる」の循環に入りやすくなります。

保護者が絵カードと短い言葉を使って、子どもに次にすることを伝えている場面

場面別・声かけの言い換え集

宿題や忘れ物のように毎日くり返す場面は、声かけを変えるより先に手順や置き場所を変えたほうが早いこともあります。具体的なやり方は ADHDの子の宿題・忘れ物|「やる気」ではなく仕組みで減らす にまとめています。

ここまでの型(CCQ・1回1つ・25%ルール・予告)を、家庭でよくある場面にあてはめた一覧です。そのまま使う必要はありません。「短く」「そばで」「行動だけ」の3点が守られていれば、言い方はご家庭の言葉で構いません。

場面別・声かけの言い換え
場面言いがちな言葉言い換え例狙い
朝、起きない「何回起こせばいいの!」(そばで)「7時だよ。まず布団から足だけ出そう」最初の一歩を極小にする
着替えが進まない「早くしなさい!」「上着られたね。次ズボン」25%を拾って次を1つ
宿題に取りかかれない「宿題は?やったの?」「机まで来よう。1問だけ一緒に読もう」開始のハードルを下げる
ゲームをやめない「いいかげんにしなさい」「あと5分でおしまい。終わったらおやつね」予告+終了後の見通し
忘れ物が続く「また忘れたの、いつもそう」「明日の分、今から一緒に玄関に置こう」人格でなく仕組みを直す
きょうだいげんか「お兄ちゃんでしょ」(間に入って)「いったん別の部屋。あとで順番に聞くね」役割で責めず物理的に分ける
出かける直前に騒ぐ「早くして、遅れる!」「靴をはいたら出発。はけたら教えて」ゴールを1動作にする
約束を破った「どうしていつも守れないの」「約束は◯◯だったね。明日はどうすればできそう?」過去でなく次の行動に向ける
大声を出している「うるさい!」(近づいて静かに)「声、これくらいにしよう」(見本を出す)CCQと見本提示

「ほめる」が続かないときに起きていること

やり方はわかっても続かない、という声はとても多いです。多くの場合、原因は保護者の努力不足ではなく、ひとりで抱えていることにあります。ガイドブックは、ペアレント・トレーニングを「環境調整や子どもへの肯定的な働きかけを学び、保護者や養育者の関わり方や心理的なストレスの改善、子どもの適切な行動の促進と不適切な行動の改善を目的としたプログラム」と説明しており、保護者のストレス軽減そのものが目的に含まれている点が重要です。

ペアレント・トレーニングとペアレント・プログラムの違い(ガイドブックの説明より)
ペアレント・トレーニング(ペアトレ)ペアレント・プログラム(ペアプロ)
目標子どもの行動変容。親が具体的な養育スキルを身につける子どもの行動改善までは目指さず、親が子どもの行動を正しくとらえられるようになること
焦点ほめ方・指示・環境調整・不適切な行動への対応「自分の子育てのせい」などの、親の認知を肯定的に修正すること
共通点いずれも、当たり前の行動でもできている部分に目を向けてほめる点は共通同左

実施の形についても、ガイドブックは「基本プラットホーム」として目安を示しています。個別実施よりグループ実施が推奨され、全5回以上、概ね隔週で1回90〜120分程度、1グループ4〜8人程度が運営しやすい、とされています。また終了2〜3か月後に「フォロー回(振り返りの回)」を設けることも強く推奨される、と書かれています。

受けられる場所は地域によって異なります。まずは お住まいの都道府県・政令市の発達障害者支援センター に問い合わせるのが確実です。自治体の子育て支援課、こども家庭センター、通っている医療機関や児童発達支援・放課後等デイサービスで実施している場合もあります。

叱りすぎてしまった日の、立て直し方

うまくいかない日は必ずあります。ガイドブックにも、大切なのは「この子が悪いわけではない、私の育て方の失敗ではない、でも私(親)がかかわり方を変えることから始めてみよう」というモチベーションを持つことだ、と書かれています。やり直しは何度でもきくという前提で、次の3つだけ覚えておいてください。

叱りすぎた日にやること

1

謝るのは「言い方」について

「さっきは大きな声を出してごめん」と、行動を限定して伝えます。しつけの内容そのものを撤回する必要はありません。

2

同じ日のうちに、1つだけほめる

その日のうちに肯定的なやりとりを1回入れると、関係の切れ目が残りにくくなります。

3

再発防止は「場面」に対して立てる

「もう怒らない」という決意ではなく、「夕方はテレビを消す」のように環境の側で決めます。

手が出そうなとき・怒鳴りが止まらないとき

動画で考える:特性のある子と、学校という環境

にじいろ・タツロー校長の解説動画。「不登校に発達障害が多い理由」——接し方だけでなく、環境との相性という視点から考えます。

接し方を工夫することは大切ですが、それだけで全部が解決するわけではありません。教室の音や人数、一斉に進む授業のスピードなど、環境の側が特性に合っていないことも少なくないためです。家庭での声かけと並行して、その子が力を出せる環境がどこかを考えることも、同じくらい重要です。

リビングで子どもが本を読み、保護者が少し離れた席から静かに見守っている場面

接し方を変えても苦しいときは、環境の見直しも選択肢です

ここまでの工夫を続けても、子どもが毎朝つらそうにしている、家でも学校でも叱られる場面が減らない——そうした状態が長く続くときは、関わり方だけでなく置かれている環境を見直す時期かもしれません。通級による指導や特別支援学級といった学校内の選択肢もあれば、フリースクールやオンラインスクールのように学校外の選択肢もあります(発達障害の子の「居場所がない」を解く でくわしく扱っています)。

不登校・発達特性のある子が全国から通っています

「叱らずにすむ環境」を、家の外にもうひとつ

同じ子でも、環境が変わると叱られる場面そのものが減ることがあります。ADHDをはじめ発達特性のある子・グレーゾーンの子が多数在籍。得意を伸ばし、苦手には配慮しながら学べる場です。

小学生・中学生

NIJINアカデミー

「ALL HAPPY」を掲げ、自分が幸せになる力・人を幸せにする力を育てる、日本最大級のオルタナティブスクール(小中一貫)。累計1,000名以上が入学。

無料体験・説明会を見る ▶
高校生

ニジ高(NIJIN高等学院)

ユニークな個性を持つ高校生のための、通信制・高校サポート校。自分のペースで高卒資格と進路をめざせます。

くわしく見る ▶
💬 まずはLINEで気軽に相談する

入会前の相談・見学だけでも大丈夫です。まずはお子さんの様子をお聞かせください。

困ったときの相談先

ひとつの窓口で解決しなくても、たらい回しではありません。相談先を複数持っておくことが、長い時間を支えます。

相談先一覧(公的機関)
窓口連絡先・リンクこんなときに
24時間子供SOSダイヤル(文部科学省)0120-0-78310(24時間・年中無休)
案内ページ
子ども本人からも、保護者からも相談できます
発達障害者支援センター全国一覧(国立障害者リハビリテーションセンター)特性の相談、ペアレント・トレーニングや地域の支援情報
こどもの人権110番(法務省)0120-007-110(平日8:30〜17:15)
案内ページ
いじめ・体罰・虐待など、子どもの人権にかかわる相談
児童相談所虐待対応ダイヤル189(いちはやく)
こども家庭庁の案内
子育てが限界に近いと感じたとき、通告だけでなく相談にも使えます
まもろうよ こころ(厚生労働省)相談窓口まとめSNS相談を含む、こころの相談先を探したいとき
学校の相談窓口担任/特別支援教育コーディネーター/スクールカウンセラー学校での様子の共有、合理的配慮の相談

学校での配慮を相談する際は、内閣府「障害者差別解消法」 の考え方が土台になります。あわせて、文部科学省「通級による指導」 など学校内の支援の仕組みも確認しておくと、話がしやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q. 叱ってはいけないのですか?
危険な行動を止めることは必要です。この記事で問題にしているのは「叱るかどうか」ではなく叱り方の形です。長い説教や人格へのことばは行動を変えにくく、自己評価の低下につながることがあると指摘されています。行動を1つに限定し、そばで、短く伝える形に置き換えてみてください。
Q. ほめても喜ばない子です。それでも続ける意味はありますか?
反応が薄いように見えても、ほめる場面が増えること自体に、叱責の総量を減らす効果があります。ペアレント・トレーニング実践ガイドブックは、親子の「ほめる⇔ほめられる」関係が2〜3か月で終わるのと半年続くのとでは大きな違いがある、と期間の重要性を指摘しています。反応の有無だけで判断せず、少し長い目で見てみてください。ほめ方が本人に合っていない可能性もあるため、その子の特性に応じたほめ方を支援者と一緒に探すのも有効です。
Q. 診断がついていなくても、こうした関わりを試してよいのでしょうか?
はい。ペアレント・トレーニングは発達障害の診断のある子どもだけでなく、その疑いのある子どもも対象となっている、とガイドブックに記載されています。また、ここで紹介した「1回1つ」「そばで短く」といった工夫は、特性の有無にかかわらず役立つ場面が多いものです。ただし、困りごとが強いときは、あわせて専門機関への相談も検討してください。
Q. ペアレント・トレーニングはどこで受けられますか?費用は?
自治体(子育て支援課・こども家庭センター)、発達障害者支援センター、医療機関、児童発達支援事業所などで実施されている場合があります。実施の有無・回数・費用は地域や実施主体によって大きく異なるため、まずはお住まいの発達障害者支援センターにお問い合わせください。ガイドブックは「全5回以上、概ね隔週、1回90〜120分程度」を目安として示しています。
Q. つい手が出てしまいます。どうすればいいですか?
子どものしつけに際して体罰を加えてはならないことは法定化され、令和2年4月に施行されています。ただ、これは保護者を責めるための決まりではありません。追いつめられている状態そのものが、支援の対象です。児童相談所虐待対応ダイヤル「189」や、こども家庭庁の「親子のための相談LINE」など、匿名で使える窓口があります。限界を感じる前に使ってください。
Q. 薬を飲めば接し方の工夫はいらなくなりますか?
日本小児神経学会の解説では、ADHDの治療は心理社会的治療(環境調整・ペアレントトレーニング・ソーシャルスキルトレーニング)と薬物療法が柱として説明されており、環境調整などの取り組みが前提に位置づけられています。薬に関する判断は必ず主治医と相談してください。治療については ADHDの治療法・薬物療法とは? でくわしく扱っています。

あわせて読みたい

参考にした資料

※この記事は医療的な診断・治療の助言を目的としたものではありません。お子さんの状態については、主治医や地域の相談機関にご相談ください。

目次