「社長になりたい」「お店を開いてみたい」。子どもからそんな言葉が出たとき、小学生で起業なんてできるのか、どこから手伝えばよいのか迷う保護者は少なくありません。実際に会社をつくった小学生は多くありませんが、起業を体験できる場は全国に広がっています。
法律上は、親などの同意があれば小学生でも会社の発起人になれます。ただし、実際に会社をつくった小学生はごく少数です。多くの子にとって現実的なのは、作品づくりや出店、自治体や民間の起業体験プログラムに参加すること。家庭では「誰の、どんな困りごとを解決するか」を一緒に考えるところから始められます。
にじいろは株式会社NIJINが運営し、この記事で紹介するNIJIN放課後プロジェクトスクールも同社の事業です。
小学生でも起業できる?法律上のしくみ
会社のつくり方を定めた会社法には、発起人の年齢の制限はありません。ただし、会社の設立手続きは法律上の行為にあたるため、未成年者が行う場合は親権者などの法定代理人の同意が必要です。つまり、親の同意とサポートがあれば、年齢にかかわらず社長になれるしくみです。
一方で、登記に必要な書類の関係から、子どもが代表者として登記するのは難しい場合があります。そのため、親が代表取締役として登記し、子どもが「社長」として事業を担う「親子起業」という形を選んだ例もあります。会社をつくる前には、税金や契約の扱いも含めて、専門家に相談するのが安心です。
実例|会社をつくった小学生
小学6年生で会社を設立し、ヘアアクセサリーを販売
水野舞さんは小学6年生、12歳のときに会社を設立しました。報道では、国内の小学生社長は数人とされています。自分で考えた商品をつくり、販売まで続けている例です。
好きな「元素」から学習用の商品を開発
小学3年生で元素に夢中になった子が、学習用の「元素カルタ」を商品化し、小学6年生で会社を立ち上げた例もあります。ビジネスコンテストでの受賞をきっかけに注目されました。
小学生がつくったカードゲームが、次の起業家を生んだ
小学6年生のときに化学のカードゲームを考案した米山維斗さんの商品は、のちに中学生で起業する子の背中を押すきっかけになりました。一人の挑戦が、ほかの子の「自分もやりたい」につながることがあります。
どの例も、出発点は「好きなこと」や「身近な困りごと」でした。最初から会社をつくることを目標にしていたわけではありません。
家庭や地域の体験に加えて、オンラインで全国の仲間と企画を形にする選択肢もあります。企業と組むプロジェクトがあるか、活動内容と参加条件を公式サイトで確かめてください。
会社をつくらなくても、個人で活躍する小学生はいる
起業というと会社の設立を思い浮かべがちですが、作品を発信したり、イベントで販売したりと、個人として活動している小学生もいます。SNSで工作や料理を発信する子、フリーマーケットで自作の雑貨を売る子、地域のイベントで企画を任される子など、形はさまざまです。
NIJINの学びの場でも、小学生が起業やピッチ(短いプレゼン)に挑戦した例があります。詳しくは関連記事のインタビューで紹介しています。
子どもがSNSで発信するときは、顔や学校、住んでいる地域が分かる情報を出さない、知らない人とのやりとりは保護者が確認する、など家庭のルールを先に決めておきましょう。お金や契約が関わる場合は、必ず保護者が窓口になります。
起業体験ができる場は増えている
| 種類 | 内容の例 | 確認すること |
|---|---|---|
| 学校の授業 | 文部科学省が実践事例集を出すなど、小・中学校での起業体験も行われている | 学校で取り組んでいるか、先生に聞いてみる |
| 自治体のプログラム | 愛知県は2022年から、小中高生向けの起業家精神育成プログラムを実施 | 住んでいる自治体の広報や教育委員会の案内 |
| 民間のスクール・コンテスト | 商品やサービスを考え、起業家の前で発表する | 対象学年、費用、期間、発表の形 |
| 出店・販売の体験 | キッズフリマ、こどものまち、マルシェ出店 | 出店料、売上の扱い、保護者の付き添い |

家庭で始める起業体験の5ステップ
- 好きなこと・気になることを書き出す「つくるのが好き」「家族の困りごとが気になる」など、小さなことでかまいません。
- 届けたい相手を一人決める家族、友達、近所の人など、顔が浮かぶ相手にすると考えやすくなります。
- 試作品をつくって使ってもらう完璧でなくてよいので、まず形にして感想を聞きます。
- 値段や交換の方法を考える材料費を数え、いくらなら続けられるかを一緒に計算します。
- ふりかえって次の工夫を決めるうまくいったこと、困ったことを言葉にして、次に生かします。

大切なのは、売上の大きさより「自分で考えて、誰かの役に立った」という経験です。親は答えを先に出さず、子どもが決めたことを手伝う立場に回ると、子どもは自分の事業として取り組めます。
実例|オンラインで、企業と組むプロジェクトに取り組む
NIJIN放課後プロジェクトスクールは、小中学生がオンラインのメタバース校舎に集まり、仲間とプロジェクトに取り組む放課後のスクールです。公式サイト(2026年10月28日確認)では、週1回のクラス会議(月曜・水曜の17:00〜18:00の2クラス)、自由に活動できる金曜日、月2回の発表会が紹介されています。企業や自治体と組むプロジェクトもあり、いまの学校に通いながら参加できます。
家庭でのお店ごっこから一歩進んで、「本物の相手」に向けて企画を出す経験は、起業体験の入り口になります。ただし、どのプロジェクトに参加できるかは時期によって違います。体験会で先生に直接たずねてみてください。
出典:PJ公式サイトの紹介内容をもとに編集部が整理。
よくある質問
小学生が稼いだお金は、どう扱えばいいですか?
金額や形によっては税金の手続きが関わることがあります。継続的に売上が出る場合は、税務署や税理士に相談しましょう。家庭では、材料費と売上を一緒に記録するところから始めると、お金の学びにもなります。
起業体験は、何年生から始められますか?
自治体のプログラムは小学5・6年生向けが多い一方、家庭での出店ごっこや作品の販売は低学年からでも楽しめます。学年より、本人の「やってみたい」を基準に選びましょう。
子どもが失敗したら、と心配です。
小さく試して、うまくいかなかった理由を一緒にふりかえることが、起業体験のいちばんの学びです。お金の損失が出ないよう、最初は材料費の範囲で試すなど、失敗しても困らない大きさで始めましょう。

「やってみたい」を、仲間と形にする放課後へ。
好きなことから企画を考え、仲間と相談しながら、誰かに届けるところまで。NIJIN放課後プロジェクトスクールでは、企業や自治体と組むプロジェクトにも取り組んでいます。子どもが興味を持てるテーマがあるか、体験で確かめられます。
写真:PJ公式サイト掲載の活動風景。小学生・中学生対象。最新の活動・募集状況は公式案内をご確認ください。
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- ニュースイッチ|小学生で会社を設立した水野舞さんの記事
- 東洋経済オンライン|小学生で起業した13歳社長のインタビュー
- J-CAST会社ウォッチ|12歳で起業した加藤路瑛さんのインタビュー
- 文部科学省|小・中学校等における起業体験活動実践事例集
- 愛知県|小中高生起業家精神育成事業の成果レポート
- NIJIN放課後プロジェクトスクール公式サイト
紹介した実例は報道された個別の事例で、同じ結果を保証するものではありません。会社の設立や税金については、専門家や公的窓口にご確認ください。
監修:佐藤仁美(作業療法士/NIJINアカデミー東金校 教室長)


