「学校の外には、社会という大きな教室が広がっている。」
不登校は、学びの終わりではありません。むしろ、学校という枠組みを超え、子どもたちが自分自身の興味や個性で社会とつながるチャンスでもあります。
NIJINアカデミーがPanasonicが有志で行っているコミュニティ活動と共創した、2024年から2025年にわたるプロジェクト。そこでは、子どもたちが「支援される側」ではなく、大人と対等にアイデアを競い、審査し合う「社会の当事者」としての姿がありました。
なぜ今、教室を飛び出した学びが必要なのか。子どもと大人が共に成長した、1年間の軌跡を辿ります。
社会全体を、子どもたちの学びの場にするという問い
学校に通っていないからといって、学びの可能性が狭まるわけではありません。
むしろ、学校という枠組みにとらわれないからこそ、子ども一人ひとりの興味や個性に寄り添い、社会とつながる学びをひらくことができる――私たちはそう考えています。
学びを教室の中に閉じず、社会そのものをフィールドとして捉えること。
それは子どもたちの未来を拓くだけでなく、社会全体を、より豊かな学びの場へと変えていくことにつながります。
教室を飛び出した学びの実践
この理念を体現しているのが、不登校オルタナティブスクール NIJINアカデミー です。
NIJINアカデミーでは、子どもたちが「自分の力で考え、自分の言葉で表現する」経験を重ねながら、学びの本質に向き合っています。
ここで大切にしているのは、正解を覚えることではありません。
自分は何を感じ、何を考え、どう伝えたいのか。
その問いに向き合い続けることこそが、これからの社会を生きる力になると考えています。
学びを学校の中に閉じず、社会と接続していくこと。
それが、NIJINアカデミーが一貫して大切にしている理念です。

協働のはじまりは「社会科見学」だった
──パナソニックミュージアム訪問(2024年7月)
Panasonicとの協働は、いきなり大きなプロジェクトから始まったわけではありません。
2024年7月、NIJINアカデミーの小学生・中学生が、パナソニックミュージアムを社会科見学として訪れたことが最初の接点でした。

見学に加え、子どもたちは自分たちで考えた商品のアイディアを、社員の方々に向けてピッチする機会もいただきました。
年齢や立場に関係なく、子どもたちの言葉に真剣に耳を傾け、フィードバックを返してくださる姿勢は、子どもたちにとって学校ではなかなか得られない体験でした。
「社会は、ちゃんと話を聞いてくれる場所なんだ」
その実感が、子どもたちの中に確かに芽生えた時間でした。

子どもが「審査する側」「挑戦する側」になる学び
──BOOST CONTESTへの参加
その延長線上にあったのが、Panasonicの社内起業家育成プログラム
「BOOST CONTEST」最終ピッチ審査会への参加です。
NIJINアカデミーは、2024年12月と2025年9月の2回、この取り組みに関わらせていただきました。
生徒たちは最終ピッチ審査会において、審査員として社員の起業アイディアに向き合うだけでなく、自らが考えた起業アイディアをピッチし、大人に向けて発信する立場にも立ちました。
評価される側と、評価する側。
その両方を経験することで、子どもたちは「どうすれば相手に伝わるのか」「どんな視点で話を聞けばいいのか」を、机上の学習ではなく、実体験として学んでいきました。

生徒の声が語る、学びのリアル
実際に参加した生徒の一人は、次のように振り返っています。
私は、ニジアカ生の仲間と作ろうとしている会社「Rainbow Star」の
スケジュールアプリ「Rainbow Days」を発表しました。
画面に映る全員が大人だったので、緊張はありましたが、
自分の想いを言葉にして伝えられたことが、自信につながりました。
また、社員さんのさまざまなピッチを見て、
「こういう風にやると伝わりやすいんだな」
「こういう時は円グラフにすると分かりやすいんだ」
など、多くの学びがありました。
この言葉から伝わってくるのは、成功体験だけではありません。
社会と本気で向き合い、自分の言葉で届けたからこそ得られた、確かな学びです。

企業側の視点から見えた「共創」の価値
──Panasonic BOOSTCONTEST事務局 明石さんのコメント
こうした取り組みは、子どもたちだけでなく、企業側にも多くの気づきをもたらしました。
NIJINアカデミーと連携されていることについてのお考え
Panasonicは創業以来、「社会生活の改善と向上」を企業理念として掲げてきました。
時に、昨今は非常に苦しい状況に立たされています。
ただ、創業時の理念を次世代に継承し、共に未来を創造していくためには、
将来を担う若い世代との関係性づくりが不可欠だと考えています。
NIJINアカデミー様との連携は、単なる一時的な教育支援ではなく、
子どもたちと企業の有志コミュニティが継続的に学び合い、
共に成長していく関係を築く取り組みです。
今日の子どもたちは、10年後、20年後には社会を動かす中心的な存在になります。
今から対話を重ね、相互理解を深めることは、企業にとっても社会にとっても大きな価値があります。
世代を超えた双方向の学びを通じて、共に未来を創っていきたいと考えています。

BOOST CONTESTに生徒が参加したことによる、社内での反響や気づき
NIJINアカデミーの生徒さんには、過去BOOST最終ピッチ審査会にご参加いただき、
BOOST受講生ピッチへのNIJIN賞投票を通じて貴重な視点を共有いただきました。
私たち大人の審査では
「市場規模は」「収益性は」「実現可能性は」「前例はあるのか」
といった大企業特有の評価軸が中心でした。
一方、子どもたちは
「本当にその人たちは困っているの?」
「これで喜ぶ人の顔が見える?」
「もっとこうしたら使いやすいんじゃない?」
と、純粋に使う人の立場で問いかけてくれました。
ある受講生は
「自分のアイデアが、いつの間にか組織を説得するための資料になっていたことに気づいた」
と振り返られていました。
参加者からは
「子どもたちの率直な視点が、『誰のために、何のために』という原点を思い出させてくれた」
という声も多く聞かれました。

学びは、支援ではなく「共につくるもの」
明石さんの言葉から見えてくるのは、
この協働が「子どもを支援する場」ではなく、
世代を超えて学び合う場として機能しているという事実です。
子どもたちの問いや視点は、大人や企業にとっても、自分たちの原点を問い直すきっかけになります。
学びは一方通行ではなく、共につくっていくものなのだと、改めて実感しています。

一緒に、社会を学びの場にしていく仲間へ
NIJINアカデミーの取り組みは、特別な才能を持った子どもだけのものではありません。
また、教育に特化した企業でなければできないことでもありません。
子どもたちの声を聞くこと。
考えたことを伝える場をひらくこと。
その一歩が、社会を学びの場へと変えていきます。
もしこの記事を読んで
「自分たちにも、何か一緒にできることがあるかもしれない」
と感じていただけたなら、それが次の学びの扉が開く合図です。

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動画で見る|【不登校】夏休み明けに増えるのは「子どもが急に行きたくなくなる」からではありません。子どもが学校に行けなくなるまでの本当の理由
この記事の内容を確かめるための一次資料
学校とのやりとりは、担任個人の考え方に左右されやすい部分です。だからこそ国が学校に何を求めているかを知っておくと、話が噛み合いやすくなります。「認めてください」ではなく「要件を満たすには何を用意すればよいですか」と聞くのが、実務上いちばん通ります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「生徒指導提要」 | 学校の生徒指導の基本方針(改訂版) |
| 文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業」 | SC・SSWの役割と配置の考え方 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 担任と話が噛み合いません
A. 「認めてください」ではなく「要件を満たすために何を用意すればよいですか」と聞き方を変えると通りやすくなります。それでも動かない場合は、学年主任・管理職・市区町村の教育委員会(教育相談室)へ相談先を上げてください。
Q. 毎日の欠席連絡がつらいです
A. 連絡方法は相談できます。「しばらく休むので、こちらから連絡がない日は欠席とみなしてください」と最初に合意しておくと、毎朝の負担がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?
A. なります。校内で過ごした時間は在籍校の判断で出席として扱われるのが一般的です。保健室登校についてもあわせてご覧ください。
Q. 学習の遅れが心配です
A. 学校外での学習も、計画や内容が教育課程に照らし適切と判断されれば成績評価に反映できることが2024年8月の制度改正で明確になりました。詳しくは教育機会確保法の記事にまとめています。
Q. 面談で何を話せばいいですか?
A. ①いまの状態、②してほしい配慮を具体的に、③出席扱いの取り扱い、の3点に絞ると進みます。面談後に「本日確認したこと」をメールで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。


