「修学旅行に行きたくない」「泊まるのが怖い」。楽しみにしていると思っていた子どもから聞くと、休ませてもよいのか、背中を押す方がよいのか迷いますよね。
参加を説得する前に、班の関係、移動、食事・入浴、夜の過ごし方のどこが負担なのかを、話せる範囲で確かめましょう。本人の希望を聞き、参加条件の調整・一部参加・欠席を学校へ相談できます。
同時に、出欠の回答期限と、変更・取消料の確認を大人が進めます。「お金を払ったから行くしかない」と子どもに背負わせず、気持ちの話と手続きの話を分けることが大切です。
この記事では、小学生・中学生の修学旅行を中心に、宿泊学習にも共通する相談の順番を整理します。現地での合流、途中帰宅、保護者の付き添いなどは、学校と旅行先の体制によって対応が異なります。
にじいろは株式会社NIJINが運営し、この記事で紹介するNIJINアカデミーも同社の事業です。
修学旅行に行きたくない理由は、行程を見ながら聞いてみる
「友だちがいないからでしょ?」と親が先に決めつけると、本人の困りごとが見えなくなることがあります。「旅行全部が嫌? それとも、泊まる時間が特に嫌?」と大きく分け、本人が話せそうならしおりや予定表を一緒に見ます。
| 負担になりやすい場面 | 本人に確かめること | 学校へ相談すること |
|---|---|---|
| 班・部屋・自由行動 | 誰かとの関係? 一人になる時間? | 班編成の配慮、先生が様子を見る場面、助けを求める相手 |
| バスや電車などの移動 | 酔いやすさ、トイレ、座席、音のどれが心配? | 移動時間や休憩、座席、体調不良時の対応 |
| 食事・入浴・着替え | 人に見られること? 食べ物? 時間や場所? | 事前に確認できる情報、利用時間や場所、相談内容の共有範囲 |
| 就寝・親元を離れること | 眠れないこと、夜の体調、連絡できないこと? | 夜間の相談先、部屋の過ごし方、保護者への連絡方法 |
| 予定が分からない | 次に何をするか、どれくらい続くか? | 写真や時間割で予定を確認し、変更時の伝え方を決める |
言いにくい不安は、人前で説明させない
入浴や着替え、排泄、月経、体調などの話は、親にも伝えにくいことがあります。「詳しく言いたくなければ、先生に相談したいことがあるだけでもいい」と、説明の仕方を選べるようにします。担任、養護教諭、話しやすい先生など、誰なら相談できるかも聞いてください。
食物アレルギーや持病など、安全に関わることは、学校・養護教諭・必要に応じて主治医と事前に共有します。この記事の参加方法の例だけで対応を決めず、本人に必要な体制を確認しましょう。
いじめやからかいがあるなら、旅行への慣れの問題にしない
「同じ部屋で何かされそう」「写真を撮られてからかわれる」などの訴えがある場合は、どんな言動があり、本人が何を心配しているかを確認します。相手と仲よくする練習より、学校に具体的な対応と安全確保を相談することが先です。
旅行前から欠席や不調が続いているなら、行事だけの問題に絞らず、行き渋りの学校との連携・相談方法も参考にしてください。
参加・一部参加・欠席は、「できそうな条件」と合わせて考える
親が決めた答えへ導くのではなく、「本当は行きたいけれど不安」「一部なら参加したい」「今回は行きたくない」を、今の気持ちとして聞きます。気持ちが変わることを責めず、変更できる期限と方法を学校に確認しておくと見通しが持てます。
一部参加や親の付き添いは、可能な体制を確かめてから
「夜だけ迎えに行けばいい」「親が近くに泊まれば参加できる」と家庭だけで計画を決めないようにします。移動経路や集合・解散の扱い、誰がどこで引き渡すか、体調が崩れた場合の対応などを、学校と具体化する必要があります。
親が同行することを本人が望んでいるかも大切です。付き添いによって楽になることと、人目が気になることの両方を聞き、家庭の負担も含めて検討してください。
「一度決めたら絶対」ではなく、見直す日を決める
出欠の回答期限が近いときは、結論を出せない状態も学校へ伝えます。いつまでに何を確認するか、調整ができた時点で本人の希望をどう聞くかを決めましょう。期限を知らないまま「行く」と答え、直前に変えれば大丈夫だとは考えないことが大切です。
先生への相談は「困る場面・希望・期限」を短くまとめる
本人が伝えてよい範囲を確認してから、担任や学年の担当へ連絡します。クラスや同じ部屋の子に何を説明するかも、必要な範囲に絞って相談してください。
修学旅行について、本人が宿泊中の部屋での過ごし方と、夜に体調が悪くなった場合の対応を心配しています。今は参加を決めきれず、本人とも相談しているところです。
夜間に相談できる先生、部屋の配慮、一部参加が可能かを教えていただけますでしょうか。あわせて、出欠の回答・変更の期限と費用の扱いも確認したいです。本人の詳しい事情をクラスへ伝える前には、家庭へ確認をお願いします。
- 行程の見通し:どこで何をするか、休憩や入浴・就寝の流れを確かめる
- 困ったときの窓口:本人が誰へ、どんな合図で相談できるかを決める
- 予定を変える場合:途中で休む場所や、帰宅が必要なときの判断・連絡・引き渡しを確認する
- 共有する範囲:班の子や周囲へ何を説明するか、本人と相談する
文部科学省の小学校学習指導要領解説・特別活動編は、障害のある児童などへの配慮として、行事への強い不安がある場合に、活動内容や役割を分かりやすく示し、見通しを持てるようにする例を挙げています。診断名を決めつける材料ではなく、具体的な困りごとに合う説明方法を学校と考える参考になります。
また、2026年の校外活動の安全確保に関する通知では、学校・引率者・保護者などの連絡体制を事前に整えることが示されています。本人が「困ったらどうするか」を分かる形にしておくことも、相談の大切な項目です。
出典:文部科学省「学校における校外活動の安全確保の徹底等について」
修学旅行を休むときは、当日の居場所・費用・旅行後を確認する
欠席理由は、必要な相手へ必要な範囲で
「心身の負担が強く、今回は参加を見送ります。旅行期間中の過ごし方と必要な手続きについて教えてください」など、学校へ今の状態と希望を伝えます。クラスへ詳しい事情を説明することや、架空の病名を用意することを前提にしなくてかまいません。
欠席する子が学校で過ごすのか、自宅で過ごすのか、学習や出欠をどう扱うかは、学校に確認します。校内で過ごす場合は、場所・担当の先生・持ち物を先に決めておきましょう。
返金やキャンセル料は、時期と費目を分けて尋ねる
積み立てた金額が全て返る、直前でも費用はかからない、と一律には言えません。学校から配られた旅行条件や案内を確認し、分からない点は学校の担当者を通じて、必要に応じ旅行会社へ確認します。
- 出欠の回答期限と、変更・取消しの連絡先
- 取消料が発生・変更する時期と、申出の受付時点
- 宿泊・交通・食事・共通経費など、返金される費目と金額
- 精算の時期・方法と、既に支払った金額の内訳
観光庁は旅行業約款の各種様式を公表しており、取消料に関する条件にも複数の設定があります。一般的な旅行の取消料表を、そのまま学校の修学旅行へ当てはめず、今回の契約・案内の条件を確認してください。
行かなかった日の過ごし方と、戻る日の言葉も考える
自宅で過ごす場合は、見守る大人や連絡方法、学校から示された学習の進め方を確認します。休んだ罰として勉強を増やすことや、旅行に匹敵する特別な体験を親が用意することまで求める必要はありません。
旅行後に友だちから聞かれるのが心配なら、「今回は都合が合わなくて」「先生とは話してあるよ」など、本人が使いたい短い言葉を考えます。理由を言いたくない場合に誰が助けるかも、担任へ相談しておきましょう。
不登校の子が反対に旅行だけは参加したい場合は、不登校でも学校行事に参加したいときの考え方で、周囲との調整を整理しています。
NIJINの実例|事前に知り、宿泊旅行以外でも社会に触れる
今回は泊まれなくても、体験学習の機会を全て失うわけではありません。本人が興味を持ったときに、家族との外出、地域の見学、学校外の活動などから、負担の合うものを探していけます。
NIJINアカデミーの公式レポートでは、Epson XaiLabへの社会科見学に先立ち、メタバースで企業コラボ授業を行ったことが紹介されています。子どもたちは企業や印刷技術について問いを考え、現地では施設を見学し、企画アイディアを発表しました。

修学旅行への不安が解消した事例ではありませんが、「事前に対象を知る時間を持つ」「現地の体験へつなぐ」という活動の組み立てが確認できます。宿泊行事への参加を唯一の目標にせず、どんな体験なら本人が関心を持てるかを考える材料になります。
公式出典:NIJINアカデミー「企業×探究学習で変わる子どもの学び【EPSON見学】」
修学旅行に行きたくない子どもと保護者のよくある質問
Q.小学生が「泊まりたくない」と泣きます。行かせるべき?
まず何が怖いのかを聞ける範囲で確かめ、宿泊中の流れや夜間の相談先を学校に尋ねます。参加を急いで約束させず、本人の状態と調整できる条件を見て、一部参加や欠席も相談してください。
Q.中学生ですが、班に入るのが嫌だと言っています。
班そのものが負担なのか、特定の人との関係なのかを分けて聞きます。からかいやいじめがある場合は、安全確保を先に学校へ相談します。本人だけに班の交渉を任せる必要はありません。
Q.お風呂や着替えが嫌なことを、先生に話してもいい?
相談できます。本人が話しやすい先生を選び、時間・場所などどの部分が困るか、伝えてよい範囲で説明します。クラスに事情を広めず、どんな調整ができるか個別に確認してください。
Q.日帰り参加や、途中で迎えに行くことは可能ですか?
学校や旅行先の体制によります。希望を伝えたうえで、移動・引率・引き渡し・費用を含めて学校と検討してください。家庭だけで現地合流や帰宅の予定を決めないことが大切です。
Q.修学旅行を欠席すると、返金してもらえますか?
返金額や取消料は今回の旅行条件と申出の時期などを確認する必要があります。支払った金額、返金される費目、取消料が変わる期限、精算方法を学校へ尋ねましょう。
Q.休む理由を、クラス全員に説明しなければいけませんか?
本人の詳しい事情を誰へ共有するか、学校と相談できます。学校には参加の難しい状況と必要な手続きを伝え、クラス向けの説明は本人の希望を踏まえて必要な範囲にします。
Q.不登校でも修学旅行だけ参加することはできますか?
本人の希望を聞き、学校と準備・参加時間・連絡窓口を調整します。毎日登校できることを参加条件と決めつけず、可能な方法を相談してください。詳しくは本文の行事参加に関する内部リンクも参考になります。
Q.休んで後悔しないか、親の方が心配です。
親の残念さと本人の今のつらさを分けて考えます。「行けばよかった」と後から思う可能性も含め、今分かる情報と条件を一緒に整理しましょう。結果だけで親子の判断を責めず、次の機会の相談につなげられます。
まとめ|参加の説得より、不安と条件を一つずつ確かめる
修学旅行に行きたくないときは、友だち・移動・食事や入浴・就寝などを分けて聞き、学校と調整できることを具体化しましょう。参加・一部参加・欠席のどれを選ぶ場合も、期限と連絡方法、当日の過ごし方を確認しておくと、本人が考えるための見通しを作れます。
今回の旅行に行けたかだけで、成長や体験の価値が決まるわけではありません。本人が興味を持つことを大切にし、安心して相談できる関係を残していきましょう。


