朝は学校に行けなかった。でも夕方になると「スイミングは行く」と言う。行かせていいのか、それとも「学校を休んだ日は習い事もなし」とするべきなのか。
朝に調子が出にくい子、学校で疲れやすい子の保護者から、とてもよく聞く悩みです。先に結論をお伝えすると、学校を休んだ日に習い事へ行くことを禁じる決まりはなく、本人が行きたいと言い、体調が落ち着いているなら、行かせてよい場合がほとんどです。この記事では、その理由と、迷ったときの考え方、学校で疲れやすい子に合う習い事の選び方をまとめます。
この記事でわかること
- 学校を休んだ日に習い事へ行ってよい理由
- 行かせるか迷ったときの3つの見方
- 同じ学校の子に会うのが心配なときの工夫
- 学校で疲れやすい子に合う習い事の条件
「学校は休むのに習い事は行く」は、ずるくない
学校と習い事では、子どもにかかる負担がまったく違います。
| 項目 | 学校 | 習い事 |
|---|---|---|
| 時間 | 朝から午後まで、ほぼ毎日 | 週1回、1時間前後 |
| 人数 | 30人前後の学級 | 少人数や個別も選べる |
| 内容 | 得意・不得意に関わらず全教科 | 自分で選んだ1つの活動 |
| 人間関係 | 固定されていて変えにくい | 合わなければ変えられる |
「習い事に行けるなら学校も行けるはず」とは言えません。短い時間、選んだ活動、少ない人数だから行ける。それは、今のその子が出せる力を、出せる場所で使っているということです。
発達特性のある子の中には、朝の切り替えに時間がかかる子、午前中に力を使い切ってしまう子がいます。朝はつらくても、午後には落ち着いて動けるようになることは珍しくありません。
「休んだ日は習い事もなし」というルールについて
家庭の方針として決めること自体は否定しません。ただ、休む日が続いているときにこのルールを当てはめると、子どもが外に出る機会、家族以外の人と話す機会がなくなってしまうことがあります。「罰」としてではなく、その日の体調を見て決める、という形に変えていくことをおすすめします。
WHOの「参加」という考え方と、厚生労働省の睡眠の目安
WHO(世界保健機関)が2001年に採択した国際生活機能分類(ICF)は、人の生活を「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つで捉えます。「参加」は、生活や人生の場面に関わること。厚生労働省もICFの日本語版を公表し、できないことではなく「生活機能」というプラス面からみる視点を紹介しています。
WHOや厚生労働省が「学校を休んだ日の習い事」について何かを定めているわけではありません。ただ、この考え方に立てば、習い事はその子にとっての「参加」の場のひとつです。朝は動けなかった日でも、できる形で人や活動と関わる時間には意味があります。
朝がつらい日が続くときは、睡眠も見直してみてください。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、睡眠時間の目安を小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間とし、夜ふかしに注意すること、日中に太陽の光を十分に浴びることを勧めています。習い事の時間が遅く、寝る時間が後ろにずれている場合は、曜日や時間帯の変更も選択肢です。
出典:厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」/WHO「International Classification of Functioning, Disability and Health (ICF)」(英語)/厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
行かせるか迷ったときの3つの見方
- 本人が行きたいと言っているか
自分から言い出したなら、基本的には行かせてよいサインです。親が行かせたい、という理由だけで押し出すのは避けます。 - 体調はどうか
朝の不調が午後には落ち着く子は多くいます。熱がある、夜眠れていない、というときは休ませます。 - 行ったあと、どうなるか
帰ってきて表情が明るい、よく話す、よく眠れる。そうであれば、その習い事は今のその子に合っています。逆に、ぐったりして翌日に響くなら、回数や時間を見直します。
感染症など、人にうつる病気で休んだ日は別です。その場合は、習い事も休ませてください。
同じ学校の子に会うのが心配なとき
「学校を休んでいるのに」と言われるのが怖くて、習い事に行けなくなる子もいます。次のような調整ができます。
- 同じ学校の子がいない曜日・時間帯に変える
- 校区の外の教室を選ぶ
- 個別レッスンにする
- 自宅から参加できるオンラインにする
聞かれたときの答えを、親子で用意しておくのも助けになります。「朝は調子が悪かったけど、よくなったから来た」で十分です。くわしく説明する必要はありません。
学校で疲れやすい子に合う習い事の条件
- 本人が選んだ活動である
- 休んでも責められない(振替や休会がしやすい)
- 人数が少ない、または個別
- 評価や競争が前面に出ない
- 家から出なくても参加できる形がある
人の多さがつらい子は集団が苦手な子の習い事、音がつらい子は聴覚過敏の子の習い事に、環境の整え方を書いています。

外に出る力が残っていない日は、オンラインという形も
出かける準備や移動だけで疲れてしまう日があります。オンラインの習い事なら、自宅から参加でき、カメラをオフにして聞くだけ、チャットだけ、という関わり方から始められる教室もあります。
受け方の違いや費用の見方はオンライン習い事の選び方ガイド、小学生向けの種類は小学生のオンライン習い事ガイド、好きなことがまだ見つからない場合はやりたいことがない子の習い事選びを参考にしてください。
放課後の時間を「回復」と「好き」に使う
学校で力を使い切る子にとって、放課後はまず回復の時間です。そのうえで、少し元気が残っている日に「好きなこと」に向かえる場所があると、1週間の中に楽しみができます。
- 何もしない日を、あらかじめ週に1〜2日つくっておく
- 習い事は「行けたら行く」でよい、と親子で決めておく
- 図書館や公園など、予約のいらない場所を選択肢に入れておく

習い事は、学校に行くための練習ではありません。その子が好きなことに向かい、家族以外の人と関わる時間そのものに意味があります。
学校や習い事の先生には、どう伝える?
学校を休んだ日に習い事へ行ったことを、学校に報告する義務はありません。ただ、「放課後は好きな活動に参加できている」と伝えておくと、学校がその子を理解する手がかりになります。
習い事の先生には、「学校で疲れやすく、当日お休みすることがあります」と先に伝えておくと、休んだときに気まずくなりません。伝え方の例文は習い事の先生に発達特性をどう伝える?にあります。
よくある質問
- 習い事に行けるなら、学校にも行けるようになりますか?
- 習い事に行けることと、学校で一日過ごせることは別のことです。習い事を「学校の練習」と位置づけると、子どもにとって安心できる場所ではなくなってしまいます。習い事は習い事として、楽しめていればそれで十分です。
- きょうだいに「ずるい」と言われます。
- 「朝は体がつらかったけれど、今は動けるようになった」と、事実をそのまま伝えてください。きょうだいにも、疲れた日は休んでよいと同じ基準を示すと、納得しやすくなります。
- 習い事にも行きたがらなくなりました。
- 疲れがたまっている時期かもしれません。無理に続けさせず、休会できるなら休会にして、家で休む時間を優先してください。元気が戻ってきたとき、また選び直せます。考え方は習い事に行きたがらない・続かないときにまとめています。
まとめ
- 学校を休んだ日に習い事へ行くことは、禁じられていないし、ずるくもない
- 迷ったら、本人の気持ち・体調・行ったあとの様子で決める
- 学校で疲れやすい子には、休みやすく、少人数で、本人が選んだ活動が合う
- 放課後は、まず回復。そのうえで「好き」に向かえる場所を持つ
「好き」から始める放課後の学び
NIJIN放課後プロジェクトスクールは、子どもの好き・興味をプロジェクトにして、社会へつなげていく学びの場です。平日の放課後に、オンラインで全国の仲間とつながれます。
放課後プロジェクトスクールを見る監修:佐藤仁美(作業療法士/NIJINアカデミー東金校 教室長)

