先生の指示が通らない・説明についていけない子の習い事|「見てわかる」教室の見分け方

先生の指示が通らない・説明についていけない子の習い事|「見てわかる」教室の見分け方

「何回言えば分かるの」と先生に言われた。みんなが動き出してから、あわててまわりを見ている。家では「今日なにやったの?」と聞いても答えられない。

説明を聞いて動くことが難しい子は、習い事の場で「聞いていない」「やる気がない」と見られがちです。けれど多くの場合、聞こうとしていないのではなく、聞いた言葉を受け取って動きに変えるところでつまずいています。この記事では、指示が通りにくい理由と、「見てわかる」教室の見分け方、家庭でできる準備をまとめます。

この記事でわかること

  • 説明についていけない子に起きている4つのこと
  • 「見てわかる」教室を見分ける6つのポイント
  • 活動のタイプ別に見た、指示の伝わりやすさ
  • 家庭でできる準備と、先生へのお願いの仕方
目次

説明についていけないとき、何が起きているのか

「指示が通らない」と一言でまとめられますが、つまずく場所はいくつかあります。

つまずく場所よく見られる様子助けになる工夫
注意が向く前に話が始まる別のものを見ていて、途中から聞いている名前を呼んでから話す、近くで話す
聞いた内容を覚えておけない最初の1つだけやって止まる、最後の1つだけやる指示を1つずつ区切る、書いて残す
言葉だけではイメージできない「ちゃんと」「もう少し」が分からない見本を見せる、数や位置で伝える
まわりの音で声が埋もれる静かな場所では聞けるのに、教室では聞き返す先生の近くの席、静かな環境

一度に覚えておける量には個人差があります。「くつを脱いで、かばんを置いて、手を洗ってから並んでね」という指示は、大人には一文でも、子どもにとっては4つの作業です。

「聞こえているのに聞き取れない」ことが続くとき

聴力検査では問題がないのに、騒がしい場所で言葉が聞き取りにくい状態があります(聞き取り困難症〈LiD〉/聴覚情報処理障害〈APD〉と呼ばれます)。気になる場合は、耳鼻咽喉科で相談してください。家庭や教室で判断できるものではありません。

厚生労働省のガイドラインが示す「伝え方」

厚生労働省は、福祉事業者向けのガイドラインの中で、発達障害の特性に応じた対応を示しています。伝え方に関わる部分をまとめると、次のとおりです。

  • 自閉症スペクトラム:シンプルで視覚的な伝え方をする。手順を小さく区切って支援する
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD):短く、はっきりと伝える。集中しやすい座席の配置にする。分かりやすいルールを示す

このガイドラインは福祉サービスの事業者に向けたもので、習い事の教室を直接の対象にしたものではありません。ただ、ここに挙げられている工夫は、次に紹介する「見てわかる教室」のポイントとほぼ重なります。

WHO(世界保健機関)の国際生活機能分類(ICF)も、周囲の人の関わり方を「環境因子」のひとつとして位置づけています。先生の伝え方は、子どもにとっての環境そのものです。

出典:厚生労働省「障害者差別解消法 福祉事業者向けガイドライン」/厚生労働省「『国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-』(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について」/WHO「International Classification of Functioning, Disability and Health (ICF)」(英語)

「見てわかる」教室を見分ける6つのポイント

体験や見学のときは、先生が「どう伝えているか」を見てください。

図鑑を一緒に見ながら話す親子(AI生成のイメージ)
  1. 先生がやって見せてから始める
    言葉の説明より先に見本があると、ゴールが分かります。
  2. その日の流れが書いてある
    ホワイトボードやカードに「1 じゅんび 2 れんしゅう 3 ゲーム」と出ている教室は、聞きもらしても自分で確かめられます。
  3. 指示が短く、1つずつ出る
    「まず〇〇します」で区切り、できたのを見てから次を言う先生は、伝わりやすい先生です。
  4. 「ちゃんと」「しっかり」ではなく具体的に言う
    「ひじを肩の高さまで」「あと3回」のように、数や位置で伝えているかを見ます。
  5. 分からなかった子に、もう一度伝えてくれる
    聞き返したときの先生の表情と声のトーンは、とても大事な情報です。
  6. 終わりがはっきりしている
    「この紙が終わったらおしまい」「タイマーが鳴るまで」と、終わりが見えると取り組みやすくなります。

見学全体のチェック項目は発達特性のある子の習い事体験レッスンにまとめています。

活動のタイプ別・指示の伝わりやすさ

タイプ指示の出方ひとこと
見本をまねる活動(書道、絵、工作、ダンスの振り写し)目で見て分かる部分が多い動きが速いダンスは、動画でゆっくり見返せると安心
画面に手順が残る活動(プログラミング、タイピング、オンライン教材)文字や図で残り、戻って確かめられる読むことが苦手な子は、音声や動画の説明があるか確認
進度別のプリント学習やることが決まっていて毎回同じ問題文の読み取りでつまずく子もいる
集団スポーツ動きながら、口頭で、その場で変わる作戦や並び方を図で示してくれるコーチだと取り組みやすい
一斉授業型の塾・英会話口頭の説明が長くなりやすい板書や配布資料がどれだけあるかを見る

これは傾向であり、同じ種類でも先生の伝え方で大きく変わります。好きな活動なら、伝え方を工夫してもらうことで続けられることも多くあります。

家庭でできる準備

絵カードを使って親子で準備をしている場面のイラスト

行く前に「今日やること」を一緒に確かめる

教室から月の予定やメニューが出ているなら、行く前に見ておきます。知っていることが1つでもあると、説明を聞く負担が軽くなります。

見返せる形にしてもらう

  • 宿題や持ち物は、口頭ではなくメモや連絡帳で伝えてもらう
  • 振り付けや型は、許可をもらって動画に撮る
  • オンラインなら、録画や資料があとから見られるか確かめる

「分からない」を伝える合図を決める

手を挙げて「もう一回お願いします」と言うのは、子どもにとって勇気のいることです。カードを机に置く、先生のそばに行く、など、言葉を使わない合図を先生と決めておくと、分からないまま固まる時間が減ります。

先生へのお願いは「困りごと+具体的な方法」で

「指示が通りにくい子です」とだけ伝えると、先生もどうすればよいか分かりません。次のように、方法までセットにすると伝わります。

伝え方の例

「一度にたくさん聞くと、最初のほうを忘れてしまうことがあります。1つずつ区切って伝えていただけると動きやすいです。見本があるとさらに分かりやすいようです」

伝える範囲やタイミング、そのまま使えるサポートシートは習い事の先生に発達特性をどう伝える?にあります。

よくある質問

家では指示が通るのに、習い事ではできません。なぜですか?
家は静かで、相手が1人で、慣れた流れの中にいます。教室は音が多く、人が多く、初めてのことが続きます。同じ子でも、環境によって聞き取れる量が変わります。
先生に「集中力がない」と言われました。
集中していないのではなく、何をすればよいか分からず止まっている可能性があります。「どの場面で止まっていますか」と具体的に聞くと、手がかりが見つかります。
オンラインのほうが説明は分かりやすいですか?
画面に手順が残る、音量を調整できる、録画を見返せる、という点では助けになります。ただし、画面を見続けることが苦手な子もいるので、体験で確かめてください。受け方の違いはオンライン習い事の選び方ガイドにまとめています。

まとめ

  • 指示が通りにくい背景には、注意・覚えておく量・言葉のイメージ・音の環境がある
  • 教室選びでは、種類より「先生の伝え方」を見る
  • 見本・流れの掲示・短い指示・具体的な言葉がそろった教室は取り組みやすい
  • 先生には、困りごとと一緒に具体的な方法を伝える
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監修:佐藤仁美(作業療法士/NIJINアカデミー東金校 教室長)

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