行く時間になるとお腹が痛くなる。玄関で動かなくなる。「やめたい」と言ったかと思えば、次の日には「やっぱり行く」と言う。
習い事を嫌がる子を前にすると、「ここでやめさせたら、嫌なことから逃げる子になるのでは」と不安になるものです。けれど、発達特性のある子の「行きたくない」には、活動そのものとは別の理由が隠れていることがよくあります。この記事では、理由の見つけ方と、休む・変える・やめるの判断基準をまとめます。
この記事でわかること
- 「行きたくない」の裏にある6つの理由
- 理由を探るための聞き方と、見るポイント
- 休む・変える・やめるの判断基準
- やめるときに子どもに残したいもの
「行きたくない」の裏にある6つの理由
| 理由 | よく見られる様子 | まず試せること |
|---|---|---|
| 環境がつらい(音・人・におい・まぶしさ) | 教室に入る前から固まる、帰るとぐったり | 時間帯・人数・席を変える |
| 何をするか分からない | 行く前に何度も確認する、新しい内容の日に嫌がる | 事前に内容を教えてもらう |
| 内容が難しい、または簡単すぎる | 「どうせできない」「つまらない」と言う | クラスや進度を相談する |
| 先生や友だちとの関係 | 特定の人の名前が出る、その人がいる日に嫌がる | 先生に様子を聞く、クラスを変える |
| 疲れている | 学校行事の時期、週の後半に嫌がる | 曜日を変える、回数を減らす、休む |
| 興味が移った | 別の活動に夢中になっている | 区切りを決めてやめることも考える |
「活動は好きなのに行きたくない」のか、「活動そのものがもう好きではない」のか。ここを分けて考えると、次の一手が見えてきます。
疲れを見る目安|厚生労働省・WHOが示す睡眠と運動の考え方
理由のうち「疲れている」は、見落とされやすいものです。目安になる公的な情報を紹介します。
- 睡眠:厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、睡眠時間の目安を小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間としています。習い事のある日に、寝る時間が後ろにずれていないかを確かめてみてください。
- 運動のしすぎ:同じく厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 こども版」は、激しすぎる運動や体の使いすぎに注意するよう呼びかけています。
- 体を動かす機会:WHO(世界保健機関)は、身体活動は少しでも行うほうが行わないよりよく、スポーツだけでなく、歩くことや遊びも身体活動に含まれるとしています。運動系の習い事を休んだりやめたりしても、体を動かす機会は別の形でつくれます。
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 こども版」/WHO「Physical activity」ファクトシート(英語)
理由の探り方
「なんで行きたくないの?」は答えにくい
理由を言葉にするのは、大人でも難しいことです。選べる形で聞くと、答えやすくなります。

- 「音がいや? 人がいや? やることがいや? それとも別のこと?」
- 「教室のなかで、いちばんいやな時間はどこ?」
- 「どうなったら行けそう?」
答えが返ってこないときは、行きたがらない日の曜日・時間・その日の出来事をメモしておくと、パターンが見えることがあります。
先生に、教室での様子を聞く
家で見える姿と、教室での姿は違います。「最近、行く前に不安そうです。教室ではどんな様子ですか」と聞いてみてください。伝え方は習い事の先生に発達特性をどう伝える?に例文があります。
休む・変える・やめるの判断基準
| 選択 | こんなとき | やること |
|---|---|---|
| 休む | 疲れがたまっている。学校が大変な時期。理由がまだ分からない | 期間を決めて休む(休会制度があれば使う)。休んでいる間の様子を見る |
| 変える | 活動は好き。環境・先生・時間帯など、変えられる原因がある | 曜日・クラス・席・形(個別、オンライン)を変えて試す |
| やめる | 体や心の不調が出ている。調整しても変わらない。本人の気持ちが固まっている | 区切りを決めて終える。次を急がない |
すぐに休ませたいサイン
腹痛・頭痛・吐き気が習い事の前に繰り返し出る、眠れない、食欲が落ちる、学校にも行きにくくなってきた。こうした様子があるときは、続けるかどうかを考える前に、まず休ませてください。不調が続く場合は、小児科など医療機関にも相談を。

「変える」の選択肢は意外と多い
- 曜日・時間帯を変える(学校のあとを避けて、休日の午前にする)
- 回数を減らす(週2回を週1回に)
- クラスを変える(人数の少ない枠、年齢の近い枠)
- 形を変える(集団から個別へ、通学からオンラインへ)
- 教室を変える(同じ活動を、別の先生のもとで)
形の違いについては集団が苦手な子の習い事|個別・少人数・オンラインの違いで比べています。教室を変える場合は、体験レッスンのチェックポイントを使って、前の教室で合わなかった点を重点的に見てください。
通う形からオンラインに変えることを考えるなら、オンライン習い事の選び方ガイドも参考になります。
「続ける力がつかないのでは」という不安について
合わない環境で我慢を続けても、身につくのは「がまんする力」より「自分はできない」という感覚であることが少なくありません。続ける力は、好きなこと・合う環境の中で「もう少しやりたい」と思える経験から育ちます。
一方で、「やめたい」が一時的な気分のこともあります。発表会の前、新しい課題に入ったとき、失敗した直後などです。その場合は、すぐに結論を出さず、「今月の終わりにもう一度話そう」と時間を置くのもひとつの方法です。
やめるときに、子どもに残したいもの
- 区切りを一緒に決める
「今月いっぱい」「次の検定まで」など、終わりを本人と決めます。突然行かなくなるより、「自分で決めて終えた」という感覚が残ります。 - できるようになったことを言葉にする
「25メートル泳げるようになったね」「毎週通ったね」と、事実を伝えます。 - やめた理由を責めない
「合わない場所が分かった」ことは、次に選ぶときの大事な情報です。 - 次をすぐに入れない
空いた時間を、しばらくそのままにしておく。何もしない時間に、次の「好き」が見つかることがあります。
次に何をしたいか分からないときは、やりたいことがない子の習い事選びが参考になります。
よくある質問
- 月謝を払っているので、せめて月末までは行かせたいのですが。
- 気持ちはよく分かります。ただ、体調に出ているときは、残りの回数より子どもの状態を優先してください。見学だけにする、短時間で帰る、という形で区切りをつける方法もあります。
- 何をやっても続きません。うちの子に合う習い事はないのでしょうか。
- 続かなかった経験は、「合わない条件」のリストになります。人数、音、先生の伝え方、時間帯。共通点を探すと、次に選ぶ基準が見えてきます。習い事をしていない時期があっても、問題はありません。
- きょうだいは続けているのに、この子だけやめるのは不公平では?
- 同じにすることが公平とは限りません。それぞれに合う形を選ぶ、と家族で言葉にしておくと、きょうだいも受け取りやすくなります。
まとめ
- 「行きたくない」は、活動そのものより環境・見通し・人・疲れが理由のことが多い
- 理由は、選べる形で聞く。先生にも教室での様子を聞く
- 休む・変える・やめるの3つで考える。体の不調が出ているときは、まず休む
- やめるときは、区切りを一緒に決め、できたことを言葉にする
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