「なんとなく行けない」中学生の本音とは?責めずに理解する親のかかわり方

思春期・行き渋り

「なんで行きたくないの?」と聞いても、返ってくるのは『なんとなく』だけ。その一言の奥には、本人にもうまく説明できない疲れや戸惑いが隠れていることがあります。この記事は、責めずに理解するための地図です。

不登校・行き渋り 最終更新 2026.08.02

中学生の「なんとなく行けない」への理解——まず知ってほしいこと

リビングのソファで、中学生の子どもの話にほほえみながら耳を傾けている保護者

朝になると起きられない、制服には着替えるのに玄関で止まってしまう。理由を尋ねても『なんとなく』としか言わない我が子を前に、どう受け止めればいいのか戸惑いますよね。まず知っておきたいのは、この『なんとなく』は決してごまかしやわがままではない、ということです。

中学生の心と体は、思春期の大きな変化のただ中にあります。授業の難しさ、部活や委員会、友人関係の微妙な力加減、SNSでのやり取り。ひとつひとつは小さくても、それらが幾重にも重なると、本人でも「何が一番つらいのか」を切り分けられなくなります。原因が一点にないからこそ、言葉にならない。これが『なんとなく』の正体であることが少なくありません。

加えて思春期は、自分の内側で起きていることを言語化する力がまだ育っている途中です。感じている疲れや不安を大人のように整理して話せないのは、当たり前のこと。沈黙は「話したくない」ではなく「うまく言えない」のサインかもしれません。

ひとりで抱えないで

理由が分からなくても、寄り添うことはできます。原因探しに疲れたら、どうか一人で抱え込まず、学校やスクールカウンセラーにも一緒に考えてもらってください。

よくあるサイン

はっきりした理由がなくても、体や様子には小さな変化が表れます。次のようなサインに気づいてあげてください。

  • 朝の不調が増える:頭痛や腹痛、めまいを訴える。休日は元気なのに、登校日の朝だけ体調が崩れることがあります。
  • 寝つき・起床が乱れる:夜なかなか眠れず、朝は起きられない。疲れが抜けきらず生活リズムが後ろにずれていきます。
  • 口数が減る:学校や友だちの話をしなくなる。聞くと不機嫌になったり、部屋にこもる時間が増えたりします。
  • 好きなことへの意欲が落ちる:以前は夢中だった趣味やゲームにも手が伸びず、「なんかだるい」が口ぐせになります。
  • 登校準備で足が止まる:着替えはできても玄関で動けない、行けても保健室で過ごす時間が増える、といった揺れが見られます。
  • 自分を否定する言葉:「どうせ自分なんて」「めんどくさい」など、自己肯定感の低下がにじむ発言が増えます。

こうしたサインが複数、2週間ほど続くようなら、本人が一人で抱えきれなくなっているのかもしれません。様子を見守りつつ、早めに周囲と共有を。

うちの子は当てはまる?チェックリスト

「うちの子はどうだろう」と気になったら、次の視点でそっと見てみてください。責めるためではなく、理解するためのチェックです。

  • 疲れがたまっていないか:勉強・部活・友人関係が同時に重なり、心身のエネルギーが底をついていないか。
  • 人間関係の小さな引っかかり:決定的なトラブルはなくても、グループ内の気疲れやSNSのやり取りが負担になっていないか。
  • 自信の揺らぎ:テストや周囲との比較で「自分はだめだ」と感じ、教室が居心地悪くなっていないか。
  • 言葉にする力の途上:つらさを説明できないだけで、感じていないわけではない。沈黙の奥をくみとれているか。
  • 家での安心感:家が「気を抜ける場所」になっているか。ここで責められると逃げ場がなくなります。

チェックの見方

いくつ当てはまっても、それは「お子さんが繊細に頑張ってきた証」です。当てはまり=悪いことではありません。理解の入り口として受け止めてください。

やってしまいがちな対応と、その注意点

心配のあまり、つい取りがちだけれど逆効果になりやすい対応があります。責める意図ではなく、力みすぎないための注意点として。

  • 理由を問い詰める:「はっきり言いなさい」と迫るほど、言葉にできない本人は追い詰められ、口を閉ざしてしまいます。
  • 他の子や過去と比べる:「みんな行ってる」「前はできた」は、自己肯定感が揺らぐ時期の心をさらに削ります。
  • 無理に励まして背中を押す:「頑張れば大丈夫」の一言が、頑張れない自分はだめだ、という重荷になることがあります。
  • 先回りして全部解決しようとする:親が原因を特定し道を敷くほど、本人が自分のペースを取り戻す余地が狭まります。

してあげたい関わり(具体的な声かけ例つき)

窓辺の机で、好きな絵を描くことに夢中になっている中学生

NG例 → OK例

『なんで行けないの、理由を言いなさい』 → 『うまく言えなくても大丈夫だよ。話せそうになったら聞かせてね』
『そんなことで休んでたら弱くなるよ』 → 『今日はしっかり休もう。ここは安心していい場所だからね』
『みんな行ってるのにあなただけどうして』 → 『あなたはあなたのペースでいいよ。一緒に考えていこう』

言葉だけでなく、日々のかかわり方にも工夫の余地があります。

  • 結論を急がず聞く:アドバイスの前に、まず「そう感じてるんだね」と受け止める。それだけで気持ちがゆるみます。
  • 選べる余白を残す:「行く/休む」の二択ではなく、遅れて行く・保健室・オンラインなど、幅のある選択肢を一緒に探します。
  • できたことに目を向ける:登校できた日だけでなく、起きられた・話せたなど小さな一歩を言葉にして認めます。
  • 家を安全地帯にする:家では学校の話を強要せず、好きなことや他愛ない会話で「気を抜ける時間」を守ります。

回復への道すじ——3つの段階

1

第1段階:休んで安心を取り戻す

まずは心身のエネルギーを充電する時期。登校を目標にせず、眠れる・食べられる・笑える日常を取り戻すことを大切にします。

2

第2段階:気持ちが動き出す

少しずつ「暇だな」「これやってみたい」という言葉が出てきます。本人の興味を否定せず、無理のない範囲で外とのつながりを広げます。

3

第3段階:自分のペースで踏み出す

別室登校や短時間、フリースクールやオンラインなど、本人が選んだ形で一歩を。戻る先は教室だけではないと知っておくと安心です。

学校との連携の進め方

学校の教室で、保護者と先生がテーブルを挟んで子どもの様子を話し合っている場面

家庭だけで抱え込まず、学校と手を組むことで選択肢が広がります。順に進めてみてください。

  • 担任と状況を共有する:「なんとなく行きづらそう」という段階でも早めに伝えておくと、教室での配慮や声かけを合わせてもらえます。
  • スクールカウンセラー(SC)へ:本人が親に言えない気持ちも、第三者になら話せることがあります。保護者だけの相談も可能です。
  • 柔軟な登校・合理的配慮:遅刻登校、別室や保健室での学習、オンラインでの参加など、本人に合った形を学校と相談できます。
  • 親の負担軽減も忘れずに:支える親自身が疲れきってしまわないよう、家族や地域の相談窓口も頼ってください。あなたの休息も回復の一部です。

相談先・受診を考える目安

眠れない・食べられない状態が続く、気分の落ち込みが強く長引く、生活全体に大きく影響が出ている——そんなときは、我慢の限界を超えているサインかもしれません。医療や専門機関への相談は「大げさ」ではなく、選択肢を増やす手立てです。夜間や緊急でつらいときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)を親子どちらでも利用できます。

にじいろが大切にしていること

『なんとなく』の奥には、まだ言葉にならない、けれど確かな本音があります。理由を突き止めることより、その本音ごと受け止めてもらえたという経験が、お子さんの回復の土台になります。にじいろは、数値で測られる学びから、経験で語れる学びへと視点を移し、一人ひとりのペースを大切にします。今日行けた・行けなかったに一喜一憂しすぎず、長い目でお子さんの育ちを見守っていきましょう。

動画で見る|【不登校】夏休み明けに増えるのは「子どもが急に行きたくなくなる」からではありません。子どもが学校に行けなくなるまでの本当の理由

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この記事の内容を確かめるための一次資料

不登校の話になると「親のせいでは」と自分を責める方が多いのですが、国の通知はどこにも「保護者の責任」とは書いていません。むしろ家庭への支援が必要だという立場です。制度として家庭が使える支援があることを、まず知っておいてください。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
こども家庭庁「子育て支援」家庭が使える支援制度の全体像
文部科学省「就学援助」学用品費・給食費などの経済的支援
厚生労働省「こころの健康」保護者自身のメンタルヘルスについて
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

よくある質問(FAQ)

理由を聞いても『なんとなく』としか言いません。どうすれば?
無理に言語化させようとせず、「言えなくても大丈夫」と伝えてください。原因が一点にないことも多く、話せる力が育つのを待つ姿勢が、かえって本音を引き出します。
甘やかしになっていないか不安です。
つらさを受け止めることは甘やかしではありません。安心できる土台があってこそ、子どもは次の一歩を踏み出せます。休息は回復に必要な時間です。
休ませると、そのまま行かなくなりそうで怖いです。
エネルギーが回復すると、多くの子は自分から動き出します。焦って背中を押すより、充電を優先するほうが結果的に前に進みやすくなります。
教室に戻ることだけが目標でしょうか?
別室登校やフリースクール、オンライン学習など、学びの場は一つではありません。本人が安心して過ごせる場所を一緒に探すことが大切です。
親として何から始めればいいですか?
まずは責めずに話を聞くこと、そして担任やスクールカウンセラーに早めに共有することです。一人で抱え込まないことが最初の一歩です。

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本記事は保護者の方へ向けた一般的な情報提供を目的としたもので、特定の診断や治療を示すものではありません。お子さんの状態には個人差があります。気になる様子が続くときは、学校やスクールカウンセラー、専門の相談機関にご相談ください。緊急時やつらい気持ちが強いときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)などの窓口もご利用いただけます。