不登校は親のせいじゃない|「好き」を守ると決めた母の体験談

 こんにちは、NIJINアカデミー(以下、ニジアカ)のボランティアスタッフ、コージーです。
 
今回は、小学6年生のたっぴーさんのお母さまにお話を伺いました。
学校が大好きだったお子さんが学校に行けなくなり、そこからどのように日々が変わっていったのか。
保護者としての葛藤や気づきについて、率直に語っていただきました。

目次

学校が大好きだった子に起きた変化

「まさか、この子が学校に行けなくなるなんて思っていませんでした」

そう振り返る、たっぴーさんのお母さま。
それまでのたっぴーさんは、友達も多く、学校の出来事を毎日楽しそうに話してくれる子でした。

転機となったのは、4年生のときに入った吹奏楽部でした。
楽器が好きで始めた部活でしたが、先輩や部長から厳しい言葉をかけられる日々が続きます。

毎日のように「下手だ」と言われ続け、やがて心が耐えきれなくなり退部することに。
退部後、顧問の先生や周囲の児童からの風当たりが強くなり、学校で過ごす時間そのものが苦しいものへと変わっていきました。

音楽の授業がある日は朝からお腹が痛くなる。
やがて腹痛は慢性的になり、体調不良が続くようになりました。

診断は過敏性腸症候群。
心の負担が体の症状として現れていました。

そして5年生の冬、たっぴーさんは学校に行けなくなりました。

「学校が楽しいと言っていた頃の笑顔が消えて、無表情になってしまったんです。
その姿を見るのが本当につらかったです」

学校に行かない日々の中でも続けたこと

学校に行かなくなった当初、家で過ごす時間は長くなりました。
やることがなく、ぼんやり過ごす時間も増えていきます。

それでも「何もしていないと思われたくない」と、自分からドリルに取り組んでいました。

そしてもうひとつ、変わらず続けていたことがあります。
楽器の練習です。

つらい経験をしたはずなのに、「嫌いになりたくない」と毎日続けていました。

その姿を見て、「この子の“好き”だけは守らなきゃ」と強く思いました。

学校に行かない日々の中でも続けたこと

不安の中で感じていたこと

不登校になったとき、保護者としての不安は尽きませんでした。

勉強は遅れないだろうか。
中学校生活はどうなるのだろうか。
友達との関係は続くのだろうか。

けれど、お母さまが何より感じていたのは
「この子の時間が止まってしまうことがもったいない」
という思いでした。

人と関わることが大好きだったたっぴーさん。
その機会がなくなってしまうことが、何よりも切なかったといいます。

周囲から「育て方が悪いのでは」と言われたこともあったそうです。
それでもお母さまは、原因は環境だと捉えていました。

「この子に合わない場所だっただけ。
家庭のせいだとは思いませんでした」

「ここなら」と思えた出会い

冬休みの間、居場所を探し始めました。
オンラインだけではなく、実際に人と関われる場所を探していたといいます。

ちょうどその頃、兄が料理教室へ通っていた影響もあり、
たっぴーさんも「自分も料理をやってみたい」と話すようになりました。
しかし多くの料理教室には身長制限があり、通える場所は限られていました。

料理の体験ができる居場所を探していく中で、ニジアカを見つけます。

料理ができて、リアルで人に会える。
さらに通い方も柔軟で、週5日は費用面や仕事との両立が難しいと感じていた中、
週1回なら現実的だと思えたことも背中を押しました。

見学の日、体験を終えたたっぴーさんは久しぶりに前向きな言葉を口にします。

「楽しかった。また行きたい」

「ここなら」と思えた出会い

その一言で「ここなら大丈夫かもしれない」と感じたそうです。

笑顔が戻った日常

笑顔が戻った日常

通い始めてから1〜2か月ほどで、家での様子に変化が見え始めました。

その日あった出来事を楽しそうに話すようになり、表情が柔らかくなっていきます。
作った料理を家で再現することもありました。

「学校に楽しく通っていた頃の姿に戻ってきたと感じました。
今では、学校に通っていた以上に、よく話してくれるようになりました

現在ではニジアカのイベントに参加したり、友達と出かけたり、自分で企画を立てたりと、活動の幅は大きく広がっています。

家庭で大切にしてきたこと

たっぴーさんのお母さまが一貫して大切にしてきたのは、「好きなことを否定しない」ことでした。

音楽が大好きなたっぴーさん。
学校で「下手だ」と言われ続けたことで、自己肯定感が大きく下がり、
「人前で演奏してはいけない」と思い込むようになってしまったといいます。

だからこそ家では、
「やってもいいんだよ」
「楽しいと思うことは続けていいんだよ」

と伝え続けてきました。

好きなことをつぶさないこと。
それだけは絶対に守ってあげたいと考えてきたそうです。

また、学校に通っていれば得られたはずの経験についても、
まったく同じにはできなくても、似た体験はさせてあげたいと考えてきました。

友達と遠足を企画したり、
学校イベントで出される給食と同じ献立を家で再現したり。

失われた機会を別の形で補えるよう、日常の中で工夫を重ねてきました。

そしてもうひとつ大切にしていたのが
学校に行っていないことを責めないこと

「本人が一番苦しいと思っているので、そこは絶対に言わないようにしました」

さらに、お母さまは兄弟とのバランスも常に意識していたといいます。

末っ子にだけ手をかけるのではなく、
上の兄弟の要望にも応えながら、
「みんなを見ている」というメッセージを伝え続けてきました。

この子だけ特別ではないという感覚は、家族にとって大事だと思っています」

不登校がくれた親子の時間

振り返ると、不登校の期間はつらいだけの時間ではなかったといいます。

「親子で過ごす時間が増えて、たくさん話すようになりました。
子どもが大きくなると一緒にいる時間は減っていくので、
この時間はとても貴重だったと思います」

“失った時間”ではなく
“得られた時間”

そう思えるようになったことが、お母さまにとって大きな変化でした。

同じように悩む保護者へ

同じように悩む保護者へ

最後に、同じ立場の保護者へのメッセージを伺いました。

「不登校は親のせいではありません。
ただ環境との相性が合わなかっただけだと思います」

そしてこう続けてくださいました。

「子どもの好きなことや情熱を守ってあげれば、
将来はきっと大丈夫。
子どもが笑って過ごしてくれていること、

それだけで十分なんです」

不登校という出来事は決して望んだものではないかもしれません。
それでも、その時間の中で見つけた親子の関係や気づきは、かけがえのないものになっていました。

インタビューを終えて

今回お話を伺いながら、
いじめが起きたときのたっぴーさんの気持ちを思うと胸が苦しくなりました。

本来守られるべき場所で守られなかったことのつらさは、
言葉にできないほどだったと思います。

それでも、今を前向きに生きているたっぴーさんとお母さまの姿がとても印象的でした。

環境の問題だと受け止められるお母さまの強さ、
そして勉強や音楽を続けているたっぴーさんの姿に、
「好き」を持ち続ける力の大きさを改めて感じました。

この物語が、今まさに悩んでいる保護者の方にとって、
少しでも心が軽くなるきっかけになれば嬉しく思います。

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この記事の内容を確かめるための一次資料

学校とのやりとりは、担任個人の考え方に左右されやすい部分です。だからこそ国が学校に何を求めているかを知っておくと、話が噛み合いやすくなります。「認めてください」ではなく「要件を満たすには何を用意すればよいですか」と聞くのが、実務上いちばん通ります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
文部科学省「生徒指導提要」学校の生徒指導の基本方針(改訂版)
文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業」SC・SSWの役割と配置の考え方
文部科学省「就学援助」学用品費・給食費などの経済的支援
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 担任と話が噛み合いません

A. 「認めてください」ではなく「要件を満たすために何を用意すればよいですか」と聞き方を変えると通りやすくなります。それでも動かない場合は、学年主任・管理職・市区町村の教育委員会(教育相談室)へ相談先を上げてください。

Q. 毎日の欠席連絡がつらいです

A. 連絡方法は相談できます。「しばらく休むので、こちらから連絡がない日は欠席とみなしてください」と最初に合意しておくと、毎朝の負担がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?

A. なります。校内で過ごした時間は在籍校の判断で出席として扱われるのが一般的です。保健室登校についてもあわせてご覧ください。

Q. 学習の遅れが心配です

A. 学校外での学習も、計画や内容が教育課程に照らし適切と判断されれば成績評価に反映できることが2024年8月の制度改正で明確になりました。詳しくは教育機会確保法の記事にまとめています。

Q. 面談で何を話せばいいですか?

A. ①いまの状態、②してほしい配慮を具体的に、③出席扱いの取り扱い、の3点に絞ると進みます。面談後に「本日確認したこと」をメールで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

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