こんにちは、NIJINアカデミー(以下、ニジアカ)のボランティアスタッフ、コージーです。
今回は、小学4年生のお子さんをもつ保護者の方にお話を聞きました。
「不登校」という言葉に、明確な定義や正解はありません。
ただ、多くの保護者が共通して抱えるのは、
どう関わればいいのかわからないという戸惑いではないでしょうか。
今回お話を聞かせてくださったのは、
小学校で不登校を経験したお子さんを持つ保護者の方です。
特別な成功談ではありません。
けれど、同じ立場の保護者にとって、
そっと肩に手を置いてくれるような時間になるかもしれません。
環境が変わっただけで、子どもはこんなにも揺れる

小学校2年生の終わりに転居し、新しい地域、新しい学校、新しいクラスでの生活が始まりました。
以前は、みんなでワイワイすることが好きな子でした。
しかし、地域が変わり、子ども同士の距離感や遊び方、言葉づかいの雰囲気が大きく違っていたといいます。
強めのボディタッチや、親が遠目で見ていても気になるほどの乱暴な言葉づかい。本人は「楽しい」と「怖い」が混ざったような表情を見せることが増えていきました。
「いじめではない。でも、本人にとっては、日常の中に怖さがあったんだと思います」
授業参観で目にした教室のざわつきに、親として戸惑ったこともありました。
「今日はまだ静かな方」と子どもから聞き、これが今の学校の“普通”なのだと知ります。
大きな声が苦手な息子にとって、団体移動時の指導や叱責の声が教室に響き続ける環境は、想像以上に大きな負担になっていました。
決定的な何かがあったわけではない。
けれど、生活環境の変化と、教室の空気が、少しずつ子どもに負荷をかけていった——。
保護者はそう振り返ります。
「休む」を決めるまでの時間
当初は、学校を休む日を固定するのではなく、
休む日・休みたい日を、自分で決められる日数を設けていました。
社会人でいう“有給休暇”のような感覚です。

「楽しい行事まで頑張ってみよう」
「帰りは迎えに行くから行ってみよう」
そんな声かけをしながら、できる限り登校を続けていました。
学校に行けない日も、近所の子どもたちとはよく遊び、外に出ること自体が嫌になったわけではありませんでした。
ところが、新学期を前に、就寝前に突然泣きながらこう言います。
「2学期から、もう行きたくない」
学校が楽しいわけではないけれど、「頑張って行っている」状態だったことを、今ならわかるといいます。
不安だったのは、将来より“今の元気”
新学期を迎える前から、子どもの体調や言動に変化が表れました。
元気がなくなり、ネガティブな言葉が増えていく。
好きだった食べ物やおやつにも、手を伸ばさなくなりました。
「これはまずい、と思いました」

将来の学力や進路よりも、目の前の“元気”が失われていくことの方が、何より怖かったそうです。
「十分、頑張ったよね、って思えたんです」
学校に行かないという選択は、逃げではなく、しっかり休養をとること、そして他の学びの場を探す必要性を強く感じました。
同時に、親子で多くの問いにも向き合いました。
義務教育とは何か。
学校に行くのはなぜか。
何を学ぶところなのか。
自分はどんな学校で学びたいのか。そのためには何をしなければならないのか。
正解を探すのではなく、対話を重ねながら、今も子どもと、学校の先生方とも定期的に話し合いを続けています。
人とのつながりだけは、失ってほしくなかった
お父さま、お母さまが一番避けたかったことは、
「人と話すこと」や「人を信じること」を、子どもが手放してしまうことでした。
「不登校の話を聞いていると、子ども自身よりも、周りの大人のミスリードが気になることが多くて」
もし学校に行きづらくなったとき、
「この道もあるよ」と示してくれる場所や人が、もっと早く、もっと気軽にあればいい。
そんな思いを、以前から抱いていたといいます。
ニジアカとの出会いは、偶然とタイミング

ニジアカを知ったきっかけは、以前から信頼していた大人の存在でした。
たまたまその方が、ニジアカのリアル教室立ち上げに関わっていたのです。
Instagramで見た、川遊びなどを楽しむ子どもたちの姿。
それを見せると、子ども自身が「行ってみたい」と言いました。
体験入学で感じた雰囲気、翌月の魅力的なプログラム。
「始めるハードルも、やめるハードルも低かった」ことも、背中を押しました。
「学校を休むことは決めていたけれど、休んでいる時間をどう過ごすかは、正直ふわっとしていたんです」
目の前で楽しそうに過ごす子どもたちの姿が、その不安を和らげてくれました。
入学後、いちばん変わったのは“人との距離感”
入学後、子どもは楽しそうに過ごしています。
特に合っていたのは、オンラインでの学びでした。
身体的な接触がなく、8人ほどの少人数クラス。
「静かにしなさい」と言われることなく、対話の量が確保されています。
「本人は、ストレスなく会話ができているようです」
顔出しをしない選択も尊重され、メタバースなどを通じて人とつながれる。
孤立しない工夫がされている点も、親として安心できたポイントでした。
回復しても、迷いは続く

入学当初は、とにかく休ませることを大切にしていました。
3か月ほどで元気を取り戻し、「回復が早いですね」と言われることもあります。
けれど、不安がなくなったわけではありません。
「どこまで待てばいいんだろう」
「ずっとゴロゴロしていたら、それはそれで不安で……」
多くの人に相談しても、返ってくるのは「待つしかない」という言葉。
頭では理解していても、大人として、つい“近道”を示したくなる自分がいると言います。
「結局、本人が腑に落ちて、動き出すのを待つしかないんですよね」
そう言葉にしながらも、表情には簡単ではない気持ちがにじみます。
待つことは、何もしないことではない。
信じ続けること、見守り続けることには、想像以上のエネルギーが必要です。
それでも今は、以前よりも少し違う感覚があります。
「迷っている自分を、前より責めなくなりました」
「不安があっても、“今はこういう時期なんだ”と思えるようになってきて」
不登校が終わったわけではない。
不安がなくなったわけでもない。
けれど、親子で同じ方向を見ながら、
一緒に立ち止まれる場所がある。
そのこと自体が、確かな変化なのだと感じさせてくれました。
「不登校」という言葉への違和感
「『不登校』という言葉が、あまり好きではなくて」
その言葉が、子どもを一つの枠に押し込めてしまうように感じると言います。
マイノリティであることへの不安。
だからこそ、言葉や社会のマインドを変えていく必要があると感じています。
「これは、うちの子だけの話じゃないと思えたのは、ニジアカに入ってからでした」
同じように悩む保護者へ
最後に、同じように悩む保護者へのメッセージを聞きました。
「一緒に悩みましょう」
お子さまをご出産されたときの医師から言われた言葉が、今も心に残っているそうです。
「一番子どものことがわかるのは、親です」
たくさんの意見に触れながらも、最後は子どもの声を聞くこと。
子どもの中にヒントがあるからこそ、コミュニケーションを手放さないでほしい。
そして、こんな思いも話してくださいました。
「成長とともに、親も知らない一面がどんどん増えていきます。だからこそ、家庭が、子どもが心に抱えているモヤモヤや不安を吐き出しやすい場所でありたい。一番の理解者でいたいと思っています」
言葉を選びながら、続けます。
「この道を、大丈夫な道にしていかないといけないんですよね」
そう語る姿には、確かな希望がにじんでいました。
インタビューを終えて
今回のインタビューを通して、
保護者の方がどれほど深く悩み、考え、迷いながら日々を過ごしてきたのかを、改めて強く感じました。
お子さまを思うからこそ生まれる苦悩。
そして、自分自身が通ってきた子ども時代とはまったく違う状況の中で、
「これでいいのだろうか」と問い続ける葛藤。
学校に行かないことへの不安や、体調を崩したときの恐怖は、
きっと言葉にしきれないほど大きなものだったと思います。
その後、お子さまが少しずつ復調してきた今も、
不安がすべて消えたわけではない。
その正直な言葉に、胸が締めつけられる思いがしました。
インタビューの中で何度も出てきた「不登校」という言葉。
その響きの強さや、どこかネガティブな印象、
そして社会に与える影響の大きさを、私自身も改めて感じました。
本当は、
「学校に行かない時期がある」
ただ、それだけのことなのに。
その言葉が、親や子どもを必要以上に追い詰めてしまう現実があります。
いつか、「不登校」という言葉を聞いても、
「まだそんなことを言っているの?」と自然に思えるような社会になってほしい。
多様な学び方や過ごし方が、特別なものではなく、
当たり前として受け入れられる社会になってほしいと、心から願っています。
このインタビューが、
今まさに悩みの中にいる保護者の方にとって、
「ひとりじゃない」と感じられる小さなきっかけになれば幸いです。

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動画で見る|【不登校】になりやすい親の特徴
この記事の内容を確かめるための一次資料
学校とのやりとりは、担任個人の考え方に左右されやすい部分です。だからこそ国が学校に何を求めているかを知っておくと、話が噛み合いやすくなります。「認めてください」ではなく「要件を満たすには何を用意すればよいですか」と聞くのが、実務上いちばん通ります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「生徒指導提要」 | 学校の生徒指導の基本方針(改訂版) |
| 文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業」 | SC・SSWの役割と配置の考え方 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 担任と話が噛み合いません
A. 「認めてください」ではなく「要件を満たすために何を用意すればよいですか」と聞き方を変えると通りやすくなります。それでも動かない場合は、学年主任・管理職・市区町村の教育委員会(教育相談室)へ相談先を上げてください。
Q. 毎日の欠席連絡がつらいです
A. 連絡方法は相談できます。「しばらく休むので、こちらから連絡がない日は欠席とみなしてください」と最初に合意しておくと、毎朝の負担がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?
A. なります。校内で過ごした時間は在籍校の判断で出席として扱われるのが一般的です。保健室登校についてもあわせてご覧ください。
Q. 学習の遅れが心配です
A. 学校外での学習も、計画や内容が教育課程に照らし適切と判断されれば成績評価に反映できることが2024年8月の制度改正で明確になりました。詳しくは教育機会確保法の記事にまとめています。
Q. 面談で何を話せばいいですか?
A. ①いまの状態、②してほしい配慮を具体的に、③出席扱いの取り扱い、の3点に絞ると進みます。面談後に「本日確認したこと」をメールで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

