就学相談の申し込みは、入学前年の春から夏(4〜9月ごろ)が目安。就学先が保護者に通知されるのは、法令で「入学前年の1月31日まで」と決まっています。
「特別支援学級のほうが合っているのかな」「通級ってどうやって申し込むんだろう」。年長さんの春から夏にかけて、そんな迷いのなかで検索している保護者の方は少なくありません。
就学相談は、締め切りを過ぎると次の年度まで待つことになる自治体もある手続きです。一方で、期限や流れの全体像は自治体のページを見てもバラバラで、なかなかつかめません。
この記事では、法令で決まっている全国共通のスケジュールと、自治体ごとに違う部分を切り分けて整理します。作業療法士として発達支援の現場に12年関わり、就学前後のお子さんとご家族に伴走してきた立場から、「判定が出るまでに親が何を準備しておくといいか」もあわせてお伝えします。

就学相談とは?誰が、何を決める手続きか
就学相談とは、発達や障害、健康面などで配慮が必要かもしれないお子さんについて、どの学びの場が本人に合っているかを、保護者と教育委員会が一緒に考えていく手続きです。実施主体は、お住まいの市区町村の教育委員会です。
対象になるのは、小学校入学予定のお子さんだけではありません。たとえば千葉県東金市では、小学校就学予定児童・中学校就学予定児童に加えて、在学中に特別支援学級や特別支援学校への転学を希望する場合も相談の対象とされています。多くの自治体で同じ考え方が取られています。
就学相談で話し合われること
- お子さんの得意・苦手、困りごとの内容
- 集団のなかでどんな支援があると力を発揮できるか
- 通常の学級・通級・特別支援学級・特別支援学校のどれが合うか
- 入学後にどんな配慮を学校にお願いするか
「障害の有無を判定される場」ではなく、必要な支援の中身を決める場です。
申し込みはいつまで?年間スケジュール早見表
ここがいちばん知りたいところだと思います。ポイントは、「法令で全国共通の期限」と「自治体が独自に決める申込締切」は別物だということです。
まず、法令で決まっている全国共通の期限
文部科学省が示す障害のある子供の就学先決定についてによると、市町村教育委員会には次の期限が定められています。
| 期限 | 市町村教育委員会が行うこと | 根拠 |
|---|---|---|
| 10月31日まで | 学齢簿(就学予定者の名簿)の作成 | 学校教育法施行令第2条 |
| 11月30日まで | 就学時健康診断の実施 | 学校保健安全法第11条 |
| 12月31日まで | 特別支援学校に就学予定の子について都道府県教育委員会へ通知 | 学校教育法施行令第11条 |
| 1月31日まで | 入学期日と就学する学校を保護者へ通知 | 学校教育法施行令第5条・第14条 |
つまり「どこの小学校に入学するか」が保護者の手元に届くのは、遅くとも入学前年の1月31日まで。ここから逆算すると、判断の材料をそろえる期間は秋までしかない、ということになります。
次に、自治体ごとの「申し込み締切」
就学相談そのものの受付期間は、市区町村が独自に設定しています。全国的な傾向としては、次のような形が一般的です。
| 時期 | よくある動き |
|---|---|
| 4〜5月 | 受付開始。就学相談説明会が開かれる自治体も多い(例:東京都練馬区は4月下旬から翌年度の就学に向けた相談を開始) |
| 6〜9月 | 申し込み締切がここに集中。夏休み前後を区切りにしている自治体が多い |
| 7〜10月 | 面談・発達検査・行動観察 |
| 10〜11月 | 就学時健康診断/学校見学・体験 |
| 11〜12月 | 教育支援委員会で総合的に検討 |
| 12〜1月 | 相談結果の説明、保護者との合意形成、就学先の通知 |
締切は自治体でまったく違います。「6月末で締切」の市もあれば「9月まで受け付ける」市もあり、中学進学の相談はさらに別日程ということも珍しくありません。年長の4月になったら、まず「お住まいの市区町村名+就学相談」で公式ページを確認し、締切日を家族の予定表に書き込んでおくことをおすすめします。窓口はたいてい教育委員会の学校教育課や教育センターです。
締め切りを過ぎてしまったときの選択肢
「気づいたら締切が過ぎていた」というご相談も、実際によくあります。落ち着いて次の順番で確認してください。
- まず教育委員会に電話する。締切後でも、枠に余裕があれば受け付けてもらえることがあります。ここは自治体の判断なので、あきらめる前に必ず問い合わせを。
- 就学時健康診断の場で相談する。10〜11月の健診は、気になることを学校側に伝えられる貴重な機会です。
- 入学後の相談という道もある。文部科学省の通知でも、就学先は定期的に見直し、柔軟に転学ができる仕組みが求められています。1年生の途中から通級を利用し始める、2年生から特別支援学級に移る、といったケースは実際にあります。
とくに通級指導教室は、入学後に「やっぱり必要だった」と分かることが多い支援です。就学相談に間に合わなかったこと自体が、その後の選択肢を閉ざすわけではありません。
判定が出るまでの6ステップ
自治体によって呼び方や順番に多少の違いはありますが、おおむね次のように進みます。

- 申し込み・受付教育委員会または教育センターへ電話・窓口・電子申請などで申し込みます。園を通して案内されることもあります。
- 保護者面談(1回目)これまでの育ちや家庭・園での様子、保護者としての希望を聞き取られます。ここで「どうしたいか」を率直に伝えておくことが、その後の流れを大きく左右します。
- 発達検査・行動観察WISCや田中ビネーなどの検査、園での様子の観察、小集団での行動観察などが行われます。検査結果は数値そのものより、「どんな場面で力を発揮しやすいか」を読み取る材料として使われます。
- 学校見学・体験特別支援学級や通級指導教室、特別支援学校を実際に見に行きます。ここを省かないでください。紙の情報だけで決めるのと、教室の空気を見てから決めるのとでは、納得感がまったく違います。
- 教育支援委員会での検討教育・医学・心理などの専門家が集まり、総合的に検討します。これがいわゆる「判定」にあたる部分です。
- 結果の説明と合意形成、就学先の通知結果が保護者に説明され、話し合いを経て就学先が決まります。通知は1月31日までに届きます。
特別支援学校・特別支援学級・通級・通常学級の違い
就学相談で検討される学びの場は、大きく4つです。文部科学省の通知(25文科初第756号)では、それぞれの対象が示されています。
| 学びの場 | 在籍 | どんな子が対象か | 指導の受け方 |
|---|---|---|---|
| 通常の学級 | 通常の学級 | クラスの中での配慮(座席・声かけ・教材の工夫など)で学習を進められる | 担任による配慮、支援員の補助など |
| 通級による指導 | 通常の学級 | 通常の学級での学習におおむね参加できるが、一部に特別な指導が必要な程度。発達障害を含む障害種が対象 | 大部分の授業は通常学級で受け、週に数時間だけ別の教室で個別・小集団の指導 |
| 特別支援学級 | 特別支援学級 | 知的障害・自閉症/情緒障害・言語障害・肢体不自由・弱視・難聴・病弱など。日常生活や学習に軽度の困難がある程度 | 少人数の学級で、実態に応じた教育課程。交流学級で一緒に学ぶ時間も設定される |
| 特別支援学校 | 特別支援学校 | 学校教育法施行令第22条の3に定める程度の障害 | 専門的な指導と自立活動。少人数・手厚い体制 |
※対象の考え方は法令・通知に基づく整理です。実際の運用や学級の設置状況は自治体によって異なります。
お子さんの特性そのものについて整理したいときは、発達障害とは?小学生の特徴・種類・相談先をやさしく解説もあわせてご覧ください。
「判定」は決定ではない — 保護者の意見が尊重される仕組み
就学相談でいちばん誤解されやすいのが、ここです。
2013年に学校教育法施行令が改正されて以降、就学先は「障害の程度で自動的に振り分ける」ものではなくなりました。文部科学省は、就学先は本人・保護者の意見を可能な限り尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則として市町村教育委員会が決定する、としています。
さらに通知では、最終的な決定の前に十分な時間的余裕をもって保護者の意見を聴き、可能な限りその意向を尊重することが求められています。
つまり、こういうことです。
- 教育支援委員会の結果は「専門家からの提案」であり、最終決定ではない
- 納得できないときは、理由を聞き、こちらの考えを伝えてよい
- 入学後に合わないと分かれば、転学という見直しの道がある
「判定されるのを待つ」のではなく、「一緒に決めていく」のが就学相談の本来の形です。
相談前に準備しておきたい5つのこと
限られた面談の時間で、お子さんの姿を正確に伝えるために。現場で「これがあると話が早い」と感じるものを挙げます。

- 園での様子のメモ:得意なこと、苦戦する場面、それがどのくらいの頻度で起きるか。「朝の会で15分座っていられる」など、具体的な数字があると伝わります。
- これまでの検査・支援の記録:発達検査の結果、児童発達支援や療育の記録、個別支援計画など。
- 母子健康手帳・診断書:受診歴があれば。
- 家庭での様子:家では落ち着いている/逆に家でだけ荒れる、といった差も大切な情報です。
- 本人が何を好きか:意外と聞かれないまま進みがちですが、いちばん大事な情報です。好きなことに向かうときのお子さんの姿こそが、力を発揮できる条件を教えてくれます。
感覚の過敏さが気になる場合は、感覚過敏とは?子どもの特徴・原因・場面別対処法で場面ごとの整理をしておくと、面談で伝えやすくなります。集団行動が苦手な場合は集団行動が苦手な子への関わり方もどうぞ。
就学相談で決まらないこと:放課後という時間の使い方
就学相談を経験したご家庭から、入学後によく聞く言葉があります。
「学校での過ごし方は決まったけれど、この子が生き生きする時間がどこにもない」。
就学相談で決まるのは、あくまで学校のなかでの学び方です。どのクラスに在籍し、どんな配慮を受けるか。それはとても大切な決定ですが、子どもの1日はそれだけでできてはいません。
とくに、通常の学級と決まった子ほど「毎日をなんとかこなす」だけで力を使い切ってしまうことがあります。特別支援学級を選んだ子は、学校の外で同年代の仲間と関わる機会をどう持つかが課題になることもあります。どちらの場合も、鍵になるのは放課後の時間です。
面談で「本人が何を好きか」を書き出したメモを、もう一度見てみてください。恐竜、電車、ブロック、絵を描くこと、ゲームの世界。学校の時間割には入りきらないけれど、その子がいちばん自分らしくいられるもの。その「好き」を伸ばす場所を、学校とは別に用意しておく——就学相談と同じくらい、これは入学前に考えておく価値のあることだと感じています。
NIJIN放課後プロジェクトスクールという選択肢

NIJIN放課後プロジェクトスクールは、いまの学校に通いながら、放課後と休日に「好き」を起点としたプロジェクトに挑戦できる、全国の小中学生向けの学びの場です。通常の学級でも、通級を使っていても、特別支援学級に在籍していても参加できます。学校を辞める必要も、転校する必要もありません。
1. 「好き」がそのままプロジェクトになる
ここでは、大人が用意した課題をこなすのではなく、子ども自身が「やりたいこと」を企画から実行まで動かします。
- Vtuberとして配信してみるプロジェクト
- マインクラフトで街をつくる建築プロジェクト
- Scratchでオリジナルゲームをつくるプロジェクト
- 地域の困りごとを解決する社会課題プロジェクト
ゲームや動画が好きなことを「困った趣味」ではなく出発点として扱うのが、この場のいちばんの特徴です。就学相談の面談で「この子は何が好きか」を書き出したとき、学校の時間割には入りきらなかったもの。それがそのまま入り口になります。

2. メタバース校舎で、全国の仲間とつながる
メタバース校舎はアバターで参加します。顔出しや声出しが苦手な子でも、自分のペースで距離をとりながら関われるのが、リアルの集団活動との大きな違いです。同じ「好き」を持つ全国の仲間と出会えるので、学校のクラスでは一人だった子が、ここでは話が合う相手を見つけられることもあります。

校舎は平日いつでも開いていて、週1回のクラス会議は17:00〜18:00。自宅から参加できるので、学校で体力を使い切ってしまう子も、家で回復しながら関われます。「行かなければならない場所」がもう一つ増えるわけではない、という点は、就学前後のご家庭にとって現実的に大きいところだと思います。

3. リアル校舎では、自然のなかで親子で活動する
リアル校舎は全国42か所、週1回の開校です(火曜17:00〜、木曜15:30〜など校舎により異なります)。少人数なので、一人ひとりの特性に合わせて関わり方を変えられるのも、学校の一斉指導とは違うところです。

千葉県東金校のように、田んぼや畑で親子一緒に体を動かす活動を持つ校舎もあります。デジタルの世界で企画を進める時間と、土の上で体を使う時間。この両方があることが、子どもの育ちにとっては案外だいじだと感じています。
こんなお子さんに向いています
- 学校での学習はこのまま続けたい・続けられそうだと考えている
- 好きなこと、やりたいことがはっきりある
- 学校ではできない経験をさせたい
- 将来につながる力やキャリア教育の機会がほしい
- 自然のなかでの体験を大切にしたい
- 放課後に、同じ興味を持つ仲間とつながってほしい
逆に、いま学校に通うこと自体がしんどくなっているお子さんには、平日の日中を過ごせるNIJINアカデミーのフリースクールという別の選択肢もあります。どちらが合うかは、体験のときに相談していただけます。
NIJIN放課後プロジェクトスクール公式サイト/全国42校舎・オンライン参加は全国どこからでも
学校での学び方に迷いが続いている場合や、通うこと自体がつらくなっている場合は、教育支援センター(適応指導教室)とは?や学びの多様化学校とは?もあわせてご覧ください。選択肢は、思っているよりたくさんあります。
よくある質問
Q. 就学相談を受けると、特別支援学級に決まってしまいますか?
A. いいえ。就学相談は選択肢を整理する場で、通常の学級という結論になることも多くあります。保護者の意見を可能な限り尊重して合意形成を行うことが原則とされています。
Q. 就学時健康診断を受ければ、就学相談は不要ですか?
A. 別の手続きです。就学時健康診断は11月30日までに全員が受けるもので、就学相談は希望や勧めに応じて行う個別の相談です。健診の場で相談につながることもあります。
Q. きょうだいと同じ地域の学校に通わせたいのですが。
A. その希望も、面談で率直に伝えてよい内容です。通学の負担や家庭の事情は、就学先を考えるうえで実際に重要な要素になります。
Q. 中学校に上がるときも就学相談はありますか?
A. あります。多くの自治体で、小学校就学時とは別日程で中学校進学に向けた相談が設けられています。小6の春から夏が目安です。
Q. 通級は入学後からでも申し込めますか?
A. 自治体・学校によりますが、年度途中や次年度からの利用が可能なケースは多くあります。まずは担任・特別支援教育コーディネーターに相談してください。
まとめ
- 就学相談の申し込みは入学前年の春〜夏(4〜9月)が目安。締切は自治体ごとに違うので、年長の4月に公式ページで確認を
- 法令上の期限は、就学時健康診断が11月30日まで、就学先の通知が1月31日まで
- 流れは「申し込み → 面談 → 検査・行動観察 → 学校見学 → 教育支援委員会 → 結果説明・通知」の6ステップ
- 「判定」は最終決定ではない。保護者の意見を可能な限り尊重した合意形成が原則で、入学後の転学という見直しの道もある
- 締切を過ぎても、まず教育委員会へ電話を。入学後から通級を利用し始めるケースもある
- 就学相談で決まるのは学校のなかの学び方。「好き」を伸ばす放課後の場も、あわせて考えておきたい
就学相談は、お子さんに合格・不合格をつける手続きではありません。「この子が力を発揮できる条件は何か」を、家庭と学校と行政が一緒に言語化していく作業です。ひとりで抱えず、迷いも希望もそのまま持って行っていただければと思います。
入学後の居場所も、あわせて考えておきたい人へ
就学先が決まったあと、放課後をどうするかも同じくらい大事です。NIJIN放課後プロジェクトスクールは、オンラインの放課後の居場所です。イラスト、配信、メタバースでの活動など、やることは子どもの「好き」から決まります。送り迎えは必要ありません。

