- 学校で金融をどこまで学ぶことになっているのか(中学・高校)
- 国が無料で出している子ども向け教材
- 「金融リテラシー・マップ」が小学生・中学生に求めている内容
- 18歳になると何が変わり、何が守られなくなるか
- 未成年でも証券口座が持てるのか(制度の事実)
この記事は投資の助言ではありません。特定の金融商品をすすめるものでも、資産形成の方法を指南するものでもなく、制度と公的教材を紹介する教育の記事です。実際の運用や商品選びについては、金融機関や有資格の専門家にご相談ください。
学校では、いつ・どこまで学ぶのか
「金融教育が始まったらしい」という話は、高校のことを指しています。文部科学省が2022年6月に各教育委員会へ出した事務連絡には、「本年4月から高等学校学習指導要領が年次進行で実施され、家庭科等において金融教育の充実が図られることとなりました」と記されています。
高等学校学習指導要領(平成30年告示)の家庭「家庭基礎」には、「家計の構造や生活における経済と社会との関わり、家計管理について理解すること」「生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について、ライフステージや社会保障制度などと関連付けて考察すること」とあります。
中学校でも社会科の公民的分野で「現代の生産や金融などの仕組みや働きを理解すること」を扱います。
つまり小学校の教科には、お金を正面から扱う時間がありません。小学生のうちにお金の感覚が育つかどうかは、ほぼ家庭にかかっている、というのが制度上の実情です。

国が「小学生・中学生に期待していること」
金融経済教育推進会議がまとめた「金融リテラシー・マップ(2023年6月改訂版)」には、年齢層ごとに身につけたい内容が整理されています。小学生・中学生の部分を抜き出すと、こうなっています。
| 分野 | 小学生 | 中学生 |
|---|---|---|
| 位置づけ | お金にかかわって徐々に経験・知識・技能を身に付ける段階 | 経済や金融と生活のかかわりについて基礎的な理解を形成し、将来の自立に向けた基本的な力を養う時期 |
| 家計管理 | お金には限りがあることやお金の大切さを理解する。必要なもの(ニーズ)と欲しいもの(ウォンツ)を区別する | 家計の収入・支出について理解を深め、学校活動等を通じて収支管理を実践 |
| 生活設計 | 働くことを通してお金を得ることおよび将来を考え金銭を計画的に使うことの大切さ | 勤労に関する理解を深めるとともに、生活設計の必要性を理解 |
| 金融取引の素養 | 目的を考えてものを選んで買うことができる | 売買契約の仕組みや契約を守ることの重要性を理解 |
ここに「投資」という言葉は出てきません。小学生に求められているのは、限りがあること、必要と欲しいの区別、目的を考えて選ぶこと。中学生でも、収支の管理と契約の理解です。
「投資より先に教えたいこと」とは、つまりこの部分です。お金が有限であることを体感していない子に、増やす話をしても土台が抜けています。
家庭でできる3つのこと
1|おこづかいを「決まった額・決まった日」にする。都度もらう形だと、限りがあるという感覚が育ちません。金融広報中央委員会の「子どものくらしとお金に関する調査(第3回・2015年度/有効サンプル50,149名)」によると、おこづかいをもらっている割合は小学校低学年67.0%、中学年73.0%、高学年73.2%、中学生83.2%。月に1回もらう場合の金額の中央値は、小学校低・中学年で500円、高学年1,000円、中学生2,000円でした。ただしこの調査は2015年度が最新の公表値です。金額そのものより、分布の形を参考にしてください。
2|「ニーズとウォンツ」を言葉にする。買う前に「これは必要?それとも欲しい?」と聞くだけです。答えを正す必要はありません。区別しようとすること自体が目的です。
3|記録をつける。知るぽるとには「こづかい帳(おこづかいきろく)」という小学生向けの無料教材があります。1か月つけて、何にいくら使ったかを一緒に眺めるだけで、話し合いの材料ができます。
無料で使える公的な教材
| 教材 | 提供 | 対象 |
|---|---|---|
| うんこお金ドリル(生活編・経済編) | 金融庁 | 小学生 |
| これであなたもひとり立ち/こづかい帳/おかねのね | 知るぽると(金融広報中央委員会) | 小学生 |
| きみはリッチ?-多重債務に陥らないために- | 同上 | 中学生 |
| 私たち中学生で会社をつくろう | 同上 | 中学生(社会科 公民的分野) |
| 高校向け 金融経済教育指導教材 | 金融庁 | 高校生 |
ひとつ注意点があります。知るぽるとのサイトには「金融広報中央委員会の機能は、2024年8月に金融経済教育推進機構(J-FLEC)に移管・承継されました」「本サイトはアーカイブサイトです」と明記されています。教材は引き続き閲覧できますが、最新情報はJ-FLECの公式サイトで確認してください。
J-FLECは2024年4月に設立された認可法人で、根拠法は「金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律」です。全国の学校や公民館などに講師を派遣する出張授業を無料で実施しており、年齢層別の「標準講義資料」も公開しています。

18歳で何が変わるか
ここは、中学生のうちから知っておいて損のない話です。
2022年4月1日から、民法上の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。法務省の解説によると、成年になると「親の同意を得ずに、様々な契約をすることができるようになります。例えば、携帯電話を購入する、一人暮らしのためのアパートを借りる、クレジットカードを作成する」。
同時に、重要な保護がなくなります。「18歳、19歳の方は、未成年者取消権を行使することができなくなるため」消費者被害の拡大が懸念される、と法務省自身が書いています。
実際、国民生活センターによると18歳・19歳の消費生活相談は2025年度で10,250件。「美」(脱毛エステ、医療サービスなど)や「金」(役務その他サービス、他の内職・副業など)に関する相談が多く寄せられています。
「18歳になったら自由にできる」ではなく「18歳になったら守ってもらえなくなる」。この順番で伝えておくことが、いちばん実用的な金融教育かもしれません。
未成年でも証券口座は持てる(制度の事実)
「子ども名義で口座を作れるのか」という質問はよくあります。制度としては可能です。各社の公式ページで確認できた条件は次のとおりです。
| 証券会社 | 対象 | 条件 |
|---|---|---|
| SBI証券 | 満18歳未満 | 親権者のいずれか一方、または未成年後見人が同社のインターネット取引口座を開設していること+同意書 |
| 楽天証券 | 0歳〜満18歳未満 | 親権者があらかじめ同社の口座を開設していること。信用取引・先物OP・FX等は取引不可 |
| マネックス証券 | 18歳未満 | 法定代理人は原則、同社に口座を持つ親権者。信用取引・先物OP・FX等は取引不可 |
共通しているのは、親の口座があることが前提で、扱える商品が限られているという点です。制度としてできることと、実際にやるかどうかは別の判断になります。この記事は特定の商品や会社をすすめるものではありません。判断の前に、金融機関や有資格の専門家にご相談ください。

よくある質問
まとめ
学校でお金を正面から学ぶのは中学の公民、そして高校の家庭科からです。国の「金融リテラシー・マップ」が小学生に求めているのは、お金には限りがあること、必要と欲しいの区別、目的を考えて選ぶこと。投資という言葉は出てきません。家庭でできるのは、決まった額のおこづかいと、ニーズとウォンツを言葉にすること、そして記録をつけること。国が無料で出している教材もそろっています。そして18歳になると未成年者取消権がなくなる——この事実を、中学生のうちに伝えておいてください。
この記事の内容を確かめるための一次資料
- 文部科学省初等中等教育局教育課程課 事務連絡(金融経済教育の充実)令和4年6月14日(PDF)
- 文部科学省「学習指導要領における消費者教育に関する主な内容(抜粋)」(PDF)
- 金融庁「高校向け 金融経済教育指導教材の公表について」令和4年3月17日(ページ)
- 金融経済教育推進会議「金融リテラシー・マップ(2023年6月改訂版)」(PDF)
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)公式サイト(ページ)/金融庁「金融経済教育について」(ページ)
- 金融庁「うんこドリル×金融庁」(ページ)
- 知るぽると「教材・指導書」(ページ)
- 金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度」(ページ)
- 法務省「民法(成年年齢関係)改正Q&A」(ページ)
- 国民生活センター「18歳・19歳の消費生活相談の状況−2025年度−」2026年5月27日(ページ)
- SBI証券「未成年口座説明書」(PDF)/楽天証券「こども口座」(ページ)/マネックス証券「未成年者の口座開設の注意点」(ページ)
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