「インフルエンサーになりたい」と言う子へ|お金・契約・安全の現実【2026年版】

「インフルエンサーになりたい」と言う子へ|お金・契約・安全の現実
「インフルエンサーになりたい」。憧れとして聞き流すこともできますが、実際にやるとなると、お金・契約・安全の3つが一気に現実の問題になります。この記事は、夢を否定するためではなく、大人が先に知っておくべき条件をそろえるために書きました。ステマ規制、未成年の契約、労働時間の決まり、そして相談件数の統計まで、公的資料にあたって整理しています。
この記事でわかること
  • 2023年10月から始まったステマ規制と、誰が規制対象なのか
  • 未成年が案件契約を結ぶときに必要なこと
  • 「働く」ことになった場合の、労働時間の決まり
  • 収益を受け取れる年齢
  • 「稼げる」をうたう勧誘のトラブル件数
編集部より

この記事は、消費者庁・法務省・厚生労働省・国民生活センターの公表資料にあたって構成しています。特定のサービスや事務所をすすめるものではありません。

目次

「PR」と書かないと、法律違反になる

2023年10月1日から、いわゆるステマ規制が始まりました。正式には景品表示法第5条第3号に基づく告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年3月28日 内閣府告示第19号)です。

消費者庁の運用基準によると、規制されるのは「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であるにもかかわらず、事業者の表示であることを明瞭にしないことなどにより、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難となる表示」です。

広告であることを示す方法として、運用基準は「『広告』、『宣伝』、『プロモーション』、『PR』といった文言による表示を行う場合」を挙げています。消費者庁のQ&Aでは「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章での記載も例示されています。

ここで重要なのは、規制対象が「広告主である事業者」だという点です。措置命令を受けるのは企業側であり、インフルエンサー本人ではありません。ただし、表示を怠った結果、依頼元の企業が処分を受ければ、その子はもう仕事を受けられなくなります。実際、2024年6月には医療法人に対してこの規定に基づく初の措置命令が出ています。

未成年が案件を受けるということ

法務省の解説によると、「未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、原則として、契約を取り消すことができる」とされています(未成年者取消権)。2022年4月1日から成年年齢は18歳になり、18歳・19歳はこの取消権を使えなくなりました。

つまり18歳未満の場合、案件の契約や事務所への所属は、保護者が内容を把握して同意する形になります。「子どもが勝手に受けてきた」は、後からトラブルになります。

実際に案件の話が来たら、大人が確認すべきことは決まっています。

確認項目見るポイント
報酬金額、支払時期、支払方法。商品提供のみか、金銭があるか
PR表記「PR」等の表示を入れることが条件に明記されているか
投稿の内容台本や指定文言があるか。虚偽の体験を書かされないか
二次利用撮影した写真・動画を、企業側がどこまで使えるか
期間と削除いつまで掲載するか。あとから消せるか
個人情報本名・住所・学校名をどこまで伝えるか
スマートフォンで自分を撮影する中学生

「働く」ことになる場合の決まり

事務所に所属するなど、雇用関係が生じる場合は労働基準法の話になります。厚生労働省の労働局が公表している資料から、年少者に関する保護規定を整理します。

区分内容
使用の禁止(第56条)満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、児童を使用してはならない
例外(第56条第2項)映画の製作または演劇の事業については、満13歳未満の児童についても、行政官庁(労働基準監督署長)の許可を受けて修学時間外に使用できる
労働時間(第60条第2項)許可を受けた児童は、修学時間を通算して1週間40時間・1日7時間まで
深夜業(第61条)年少者(18歳未満)は午後10時〜午前5時が原則禁止。許可を受けた児童は午後8時〜午前5時が禁止

深夜の時間帯が2段構えになっている点に注意してください。中学卒業前の子(児童)は午後8時以降、それ以上の年少者は午後10時以降が原則禁止です。

ただし、個人でSNSに投稿する活動がこの「使用」にあたるかどうかを述べた公的資料は、今回の取材では確認できませんでした。事務所に所属して雇用関係が生じる場合と、家庭で個人的に発信する場合は分けて考える必要があります。それでも、この「1日7時間まで・夜8時以降はしない」という基準は、家庭のルールを決めるときの目安としては使いやすいものです。

お金を受け取れるのは18歳から

YouTubeの場合、Google AdSenseヘルプに「YouTube向けAdSenseにご参加いただくには、18歳以上である必要があります」と明記されています。18歳未満が収益化するには「ご両親のいずれか、または18歳以上の保護者の方が所有する承認済みのYouTube向けAdSenseアカウントにリンクさせる必要があります」。

なお、TikTokとInstagramの収益化の年齢要件については、今回の取材では公式の記載を取得できませんでした。使う予定があるなら、各社の公式ヘルプを直接確認してください。

撮影の道具が並んだ机

「稼げる」の周りで、何が起きているか

ここは、憧れの裏側にある数字です。

消費者庁「令和8年版消費者白書」(2026年6月12日公表)によると、SNSが関係する消費生活相談件数は2025年で10万1,045件となり、前年より増加。初めて年間10万件を超えました(2024年は8万6,396件)。内容としては「化粧品や健康食品、内職、副業等に関する相談が上位」に見られます。

国民生活センターによると、18歳・19歳の消費生活相談は2025年度で10,250件。「『美』(『脱毛エステ』『医療サービス』など)や『金』(『役務その他サービス』『他の内職・副業』など)に関する相談が多く寄せられている」とされています。

また同センターは「簡単なタスクで稼げるとうたう副業トラブルに注意!」(2026年5月19日)で、「SNSや動画広告、インターネット検索等で『”いいね”を押すだけ』『スタンプを送るだけ』」といった勧誘が20〜30代に急増していると注意喚起しています。情報商材に関する相談も、2023年度6,256件、2024年度4,163件、2025年度2,623件と推移しています。

「インフルエンサーになれる」と直接うたった公的な注意喚起は見当たりませんでしたが、「副業」「情報商材」「もうけ話」の枠組みで同種の勧誘が繰り返し警告されています。フォロワーを増やす方法を有料で売る、案件を紹介すると言って先に費用を求める。こうした話が来たときに、一人で判断させないことが大切です。

身元が割れるという、いちばん現実的なリスク

総務省「インターネットトラブル事例集」の事例17には、こうあります。「どんなに気を付けていても、他のアカウントやSNSの内容を組み合わせると、その人の行動が分かってしまいます」「投稿した写真の背景などから、居場所が分かってしまうこともあります」。

実際にストーカー被害に遭い、警察に相談したところ、自分の投稿と友人の投稿の組み合わせから住んでいる地域や学校が特定されていた、という事例です。

警察庁は「なくそう、子供の性被害。」のページで、SNSを通じて知り合った相手にだまされて画像を送ってしまう被害が増加傾向にあるとし、「画像は一度流出すると回収が困難です」と注意を呼びかけています。

そして炎上のリスク。総務省の事例18には「ネットで広まればあっという間に個人が特定され、罪に問われたり損害賠償請求をされたりすることもあります。いたずら半分でしたことの代償は、恐ろしく大きいのです」と書かれています。

ノートに企画を書き出す子ども

それでもやりたい、と言われたら

ここまでは「気をつけること」の話でした。最後に、前に進むための話をします。

インフルエンサーの仕事の中身を分解すると、企画を立てる、撮る、編集する、言葉で伝える、反応を見て次を考える——このどれもが、フォロワーがゼロでも練習できます。案件も収益も伴わない段階でこれらを積んでおくことが、そのまま実力になります。

そして、発信する相手を「不特定多数」から始めない、という選択もあります。参加者が分かっている場で、まず伝わる経験を積む。そこで通用したものが、広い場でも通用します。順番を逆にしないほうが、結果的に早く進みます。

よくある質問

フォロワーが増えないと意味がないのでは。
数は自分でコントロールできませんが、投稿の本数、企画の質、編集の速さは自分で決められます。評価軸を自分の手の中にあるものに置いておくと、続けられます。
案件の話が来たら、どう断ればいいですか。
「未成年なので保護者と確認します」で十分です。これは断り文句ではなく、法律上そうなっているだけの話です。急かしてくる相手であれば、その時点で警戒してください。
学校に知られたくないと言っています。
学校に言うかどうかは本人と家庭の判断ですが、家庭の中には必ず知っている大人がいる状態を保ってください。隠したまま進めると、トラブルが起きたときに相談先がなくなります。

まとめ

ステマ規制で処分されるのは広告主ですが、表記を怠れば仕事は来なくなります。18歳未満の契約には保護者の同意が必要で、収益は保護者名義を経由します。雇用関係が生じるなら労働時間の決まりがあり、中学卒業前は夜8時以降が禁止です。そしてSNS関連の消費生活相談は2025年に10万件を超えました。夢を否定する必要はありませんが、この5つを先に共有しておくことが、いちばんの応援になります。

この記事の内容を確かめるための一次資料

  1. 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」(ページ)/「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」告示(PDF)/運用基準(PDF
  2. 消費者庁「医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について」2024年6月7日(ページ
  3. 法務省「民法(成年年齢関係)改正Q&A」(ページ
  4. 厚生労働省 栃木労働局「年少者使用の際の留意点」(PDF)/兵庫労働局「年少者・女性の労働条件」(ページ
  5. Google AdSenseヘルプ「動画を収益化したいですが、18歳未満とのことで不承認となりました」(ページ
  6. 消費者庁「令和8年版消費者白書」2026年6月12日(ページ
  7. 国民生活センター「18歳・19歳の消費生活相談の状況−2025年度−」2026年5月27日(ページ
  8. 国民生活センター「簡単なタスクで稼げるとうたう副業トラブルに注意!」2026年5月19日(ページ)/「情報商材」(ページ
  9. 総務省「インターネットトラブル事例集」事例17(ページ)/事例18(ページ
  10. 警察庁「なくそう、子供の性被害。」(ページ
フォロワーがゼロでも、伝える練習はできる

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文責:にじいろ編集部(編集部について訂正・修正に関する方針
公開日:2026年9月16日 / 最終更新:2026年9月16日
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