スクーリングの「10分の6まで免除」を使う学校は7~8割。その中身を公表させ、特別活動は一律免除の対象から外す。通信制高校の見直し案が審議まとめに入りました

通信制高校の「面接指導(スクーリング)」には、ラジオ・テレビやインターネットなどのメディアを使った学習を取り入れることで、時間数の一部を免除できるしくみがあります。「メディア減免」と呼ばれるものです。文部科学省の実態調査では、特別活動以外の大半の教科・科目で、この免除を「10分の6以内の時間数」で行っている学校が全体の70%~80%にのぼりました。令和8年10月5日に取りまとめられた「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」には、この減免のやり方を見直す案が入っています。公表されたばかりで、まだ決まった話ではありません。いま何が書かれているかを、原典のとおりに整理します。

1. 何が出たのか

中央教育審議会初等中等教育分科会の教育課程部会が、令和8年10月5日に「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」を取りまとめ、公表しました。文部科学省の報道発表(令和8年10月6日)によれば、令和6年12月の諮問を受けて審議が進められてきたもので、次期学習指導要領等は令和10年度以降に順次実施予定とされています。

この審議まとめは3部構成で、第2部「基本的な方向性を踏まえた各教科等の方向性」の第1章に、「高等学校定時制・通信制」という項目があります。教育課程部会(第136回)の配付資料では【資料1】(1/4)の紙面124ページにあたり、スライドの見出しは「高等学校通信制」、本文の見出しは「通信制課程の教育の質の確保・向上に向けた示し方(高等学校)」です。この記事は、その1ページに書かれていることだけを扱います。

このページは2つの枠でできています。①「高等学校教育の振興に関する懇談会」での議論の状況(ここに5つの方策が並びます)と、②懇談会における議論等を踏まえた総則の在り方、です。

審議まとめ全体のことは、別の記事にあります

同じ審議まとめの別の章については、高校の単位制の柔軟化(1単位を50分×17コマに細分化する案)、不登校児童生徒に係る特別の教育課程、義務教育段階の調整授業時数制度で扱っています。

2. 前提:通信制の学習は「添削・面接・試験」でできている

通信制課程は、全日制・定時制のように教室での授業を中心とするのではなく、生徒が自宅等で個別に自学自習することとして、添削指導・面接指導・試験の方法により教育を実施します。これに加えて、多様なメディアを利用した指導を行うことができます。

  • 添削指導……生徒が提出するレポートを教師が添削し、生徒に返送することにより指導を実施
  • 面接指導(スクーリング)……教師から生徒への対面指導、生徒同士の関わり合い等を通じて、個々の生徒のもつ学習上の課題を考慮した個人差に応ずる指導を実施
  • 試験……添削指導・面接指導等による指導を踏まえ、個々の生徒の学習状況等を評価
  • 多様なメディアを利用した指導……ラジオ・テレビ放送やインターネット等を利用して学習し、報告課題の作成等を通じて指導を実施

添削指導の回数と面接指導の単位時間には、1単位あたりの標準が定められています(高等学校学習指導要領第1章第2款5)。

各教科・科目等添削指導(回)面接指導(単位時間)
国語、地理歴史、公民及び数学に属する科目31
理科に属する科目34
保健体育に属する科目のうち「体育」15
保健体育に属する科目のうち「保健」31
芸術及び外国語に属する科目34
家庭及び情報に属する科目並びに専門教科・科目各教科・科目の必要に応じて2~3各教科・科目の必要に応じて2~8

いずれも1単位当たりの回数・単位時間。学校設定教科に関する科目のうち専門教科・科目以外のもの、理数に属する科目及び総合的な探究の時間は、1単位につきそれぞれ1回以上・1単位時間以上を確保した上で各学校で設定。特別活動は、ホームルーム活動を含めて卒業までに30単位時間以上指導。卒業に必要な単位数は74単位以上。出典:文部科学省「本検討会議における検討課題及び通信制高等学校に関する基礎資料」(通信教育の適正な実施・運営の確保のための基本的な指針等に関する検討会議(第2回)参考資料・令和8年9月29日公開)6ページ。

3. 「メディア減免」とは、スクーリングの時間を減らせるしくみ

多様なメディアを利用して行う学習を計画的かつ継続的に取り入れて指導を行った場合には、面接指導等の時間数のうち10分の6以内の時間数を免除することができます。さらに、生徒の実態等を考慮して特に必要がある場合は、複数のメディアを利用することにより、合わせて10分の8以内の時間数を免除することができます。対象は各教科・科目と特別活動です。

つまり、学校の判断で、スクーリングに通う時間を最大で10分の8まで減らせる制度が、いまの通信制にはあります。これは、体調や外出のしんどさ、距離の問題でスクーリングに通いにくい生徒にとって、通信制が選べる進路であり続けるための重要なしくみでもあります。

4. いま、7~8割の学校が「10分の6以内」で減免している

文部科学省の「令和7年度通信制高等学校実態調査」(調査時点:令和7年5月1日現在)では、特別活動以外の大半の教科・科目で、多様なメディアを利用して行う学習による面接指導時間数の減免を「10分の6以内の時間数」で行う学校は、全体の70%~80%であったとされています。例外的な運用ではなく、広く使われている制度だということです。

同じ調査では、令和7年3月31日時点の在籍生徒のうち、令和6年度間に添削課題の提出はあるが、面接指導に1日も来ていない生徒は8,097人、割合は2.6%でした。また、令和7年度入学者のうち中学3年生のときに不登校だった生徒は44,461人、割合は57%です。この実態調査の数字は、別の記事で詳しく扱っています。

5. 見直し案① メディア減免の「中身」を公表させる

審議まとめは、「多様なメディアを利用した指導の見直し」として、こう書いています。

原典の記述

ラジオ・テレビ等を利用した面接指導の免除(メディア減免)について、各学校においてメディア減免を行う場合には、例えば、「通信教育実施計画」にその内容(面接指導・添削指導の計画、使用する教材、視聴するメディア、視聴課題、減免する割合、評価基準等)を明示して公表することなど、メディア減免の要件の厳格化を図る。

ポイントは、減免の割合を国が引き下げるとは書かれていないことです。書かれているのは「要件の厳格化」であり、その具体例として挙げられているのが「通信教育実施計画」への明示と公表です。何をどれだけ減免するのか、そのとき何を見せて何で評価するのかを、学校が外から見える形で示す。そこが変わろうとしています。

保護者の立場で言えば、これは学校選びのときに比べられる情報が増えるという話です。通信教育実施計画の公表状況については、実態調査でも公表している割合が低い項目として指摘されています。

6. 見直し案② 「特別活動」は一律のメディア減免の対象から外す

「総合的な探究の時間」「特別活動」の充実として、こう書かれています。

原典の記述

「総合的な探究の時間」については、単位認定に必要な添削指導、面接指導の回数等を充実させるとともに、「特別活動」については、一律のメディア減免の対象から外し、同時双方向でのオンラインによる指導で代替することを認めることとする。

いまの制度では、メディア減免の対象に特別活動が含まれています(上の§3のとおり「各教科・科目と特別活動について」)。案は、そこから特別活動を外します。ただし「なくす」のではなく、同時双方向のオンラインによる指導での代替を認める、と書かれています。録画を見て課題を出す形ではなく、その場でやりとりするオンラインに置き換える、ということです。

特別活動は、ホームルーム活動を含めて卒業までに30単位時間以上の指導が必要とされています。ここが「見るだけ」で済まなくなる可能性がある、というのがこの案の意味するところです。

7. 見直し案③ 学習の「質と量」を学習指導要領に書き込む

いちばん土台にあるのが、この1つです。

原典の記述

通信制の1新単位の学習(自学自習、添削指導、面接指導、試験)が、全日制・定時制の17新単位時間の授業に相当する十分な質と量を備えるべきであることを学習指導要領上で明確化し、それを踏まえた単位認定の基準等について「通信教育実施計画」での公表を徹底する。(文部科学省において記載方法や学習の量的な目安についての考え方も示す。)

「新単位」というのは、同じ審議まとめの第1部第4章(3)で示されている、1単位を50分×17コマに細分化する案のことです。通信制の1単位ぶんの学習が、全日制・定時制の授業17コマぶんに見合う中身になっているか。それを学習指導要領に明記したうえで、各校が公表する、という組み立てです。

8. 見直し案④ 添削はオンラインで適時フィードバック、面接指導は対面が基本

原典の記述

添削指導について、オンラインシステムを活用し、適時のフィードバックやリアルタイムのフォローアップを行うことで学習効果を高めたりするなど多様な形態の指導も考えられ、こうしたオンラインやデジタルの強みを生かした工夫について、学習指導要領解説に記載する。面接指導についても、対面での指導を基本としつつ、同時双方向のオンライン指導の可能性についても検討を進める。

面接指導のオンライン化は「検討を進める」段階で、認めるとは書かれていません。ここは読み飛ばさないでください。いっぽう添削指導の側は、紙のレポートを郵送して返ってくるのを待つ形から、オンラインで適時フィードバックを返す形へ、という方向が学習指導要領解説に書かれることになります。

9. 見直し案⑤ 1単位が17コマになったとき、端数は切り上げる

原典の記述

1単位の細分化(50分×17コマを1新単位とする)に伴い、単位の細分化により添削指導・面接指導の回数等に端数(0.5回など)が生じる場合は、教育の質確保の観点から原則として回数等を切り上げる。また、必履修科目の質の維持の観点から、必履修科目を減単して履修する場合であっても、本来の単位に必要な添削・面接の指導回数等は維持する。

単位が半分に割れても、レポートやスクーリングの回数は切り捨てずに切り上げる。単位数を減らして履修する場合でも、添削・面接の回数は本来のまま。「単位制が柔軟になる=通信制の負担が軽くなる」ではない、という歯止めがここに書かれています。

10. 前提にある2つの動き

このページの②の枠には、こう書かれています。

原典の記述

懇談会で示された上記の方策は、今般改正された「高等学校の定時制教育及び通信教育の振興等に関する法律」の趣旨にも適うものであり、これらの方向性に沿って、総則及び解説の記載を見直すべきである。

つまりこの5つの方策は、①「高等学校教育の振興に関する懇談会」での議論から出てきたものであり、②改正された法律の趣旨に沿うものとして、学習指導要領の総則とその解説に反映される、という位置づけです。

背景として、審議まとめはこう書いています。通信制課程は、かつての勤労青年への教育機会提供という役割から、現在は不登校経験者や特別な支援を必要とする生徒など、多様な背景を有する生徒が在籍する場へと変容しており、高校生のうち約1割が在籍している。そのうえで、生徒の個性に応じた「多様性への対応」と、社会的自立に必要な「共通性の確保」を両立させること、依然として不適切な学校運営や教育活動が指摘される通信制高校も一部に存在することを踏まえ、質の確保・向上に必要な手立てを講じていく必要がある、としています。

法改正そのものについては別の記事で、国の基本指針づくりの議論についてはこちらとこちらで扱っています。

11. ★ここは誤解されやすい

誤解されやすい3点

①「スクーリングが増える」と決まったわけではありません。原典に書かれているのは「メディア減免の要件の厳格化」であって、減免の上限(10分の6、複数メディアで10分の8)を国が引き下げる、とは書かれていません。例として挙げられているのは、減免の内容を「通信教育実施計画」に明示して公表することです。

②「特別活動のメディア減免がなくなる」わけではありません。原典は、一律のメディア減免の対象から外したうえで、同時双方向でのオンラインによる指導で代替することを認めると書いています。「通学しないと単位にならない」とは書かれていません。

③これは学習指導要領そのものではなく「審議まとめ」です。この先、中央教育審議会の答申(令和8年度の冬頃予定)を経て改訂されます。告示案についてのパブリック・コメントも、冬頃に別途実施される予定と資料に明記されています。いまお子さんが通っている学校の運用が、来月から変わるという話ではありません。

12. いつから変わるのか

教育課程部会(第136回)の【参考資料7】「学習指導要領等の改訂に関するスケジュール(イメージ)」には、次のように示されています。

学校種学習指導要領の改訂全面実施
幼稚園等令和8年度末(予定)令和10年度~
小学校令和8年度末(予定)令和12年度~
中学校令和8年度末(予定)令和13年度~
高等学校令和9年度末(予定)令和14年度~入学生から順次実施

中央教育審議会の答申は令和8年度の冬頃予定。※1 審議まとめは10月、告示案は冬頃にパブリック・コメントを実施予定。※2 移行期間中の先行実施の具体的な時期や実施する内容については随時検討。※3 特別支援学校学習指導要領(幼稚部及び小学部・中学部)については幼稚園・小学校・中学校と、(高等部)については高等学校と同様のスケジュールを想定。資料そのものに「今後変更の可能性がありうる」と注記されています。出典:文部科学省・教育課程部会(第136回)【参考資料7】。

通信制高校は高等学校なので、この見直しが実際に動き出すのは令和14年度(2032年度)の入学生から順次、という見通しになります。いま中学生のお子さんの高校選びに、この案がそのまま効いてくるわけではありません。

13. いま、できること/しなくていいこと

いま、できること

・意見を出すことができます。この審議まとめへのパブリック・コメントが、令和8年10月6日(火)14時00分から令和8年11月5日(木)23時59分まで受け付けられています(e-Govパブリック・コメント/案件番号185001511)。意見を出すときは「意見の分類」を一つ選ぶ必要があり、分類の一覧は意見公募要領の別紙にあります。提出の手順と様式については、前回の記事で詳しく整理しています。

・学校を見るときの質問が1つ増えます。通信教育実施計画が公表されているか、どの科目でメディア減免をどれくらい使っているか。これは案を待たなくても、いまの制度でも確認できる話です。

・いま在学中なら、特別活動の持ち方を確認しておく。スクーリングで集まるのか、オンラインなのか、動画視聴なのか。ここは学校によって違います。

しなくていいこと

・学校に「いつ変わるのか」を急いで問い合わせる必要はありません。高等学校の改訂は令和9年度末予定、実施は令和14年度入学生から順次です。

・転校や進路変更の判断材料にするには、まだ早すぎます。減免の割合が変わるとは書かれていませんし、面接指導のオンライン化も「検討を進める」段階です。

・審議まとめ本体(1,060ページ)を読む必要はありません。通信制に関する記述は、第2部第1章の1ページです。

14. この記事で扱っていないこと

  • 定時制課程について。項目名は「高等学校定時制・通信制」ですが、このページの見出しと記述はいずれも通信制課程に関するものでした。定時制についての記述は、このページには見当たりませんでした。
  • メディア減免の割合が今後引き下げられるかどうか。原典に書かれていないため、書いていません。
  • 「同時双方向でのオンラインによる指導」の具体的な要件。原典に書かれていません。
  • 意見の分類の番号。意見公募要領の別紙に一覧がありますが、今回のセッションではその別紙PDFの中身を直接読み取ることができませんでした。番号を推測して書くことはしていません。別紙でご確認ください。
  • 審議まとめ第3部(資料編)。未読であり、この記事の根拠に使っていません。
  • 第136回の部会でこの案がどう審議されたか。議事録・議事要旨が未公開のため、配付資料の内容だけをもとに書いています。
出典
  • 文部科学省「中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会(第136回)配付資料」(令和8年10月5日開催)
    https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/mext_00016.html
    うち【資料1】「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(案)(1/4)※第1・2部」(PDF・400ページ)の紙面124ページ、および【参考資料7】「学習指導要領等の改訂に関するスケジュール(イメージ)」
  • 文部科学省「通信教育の適正な実施・運営の確保のための基本的な指針等に関する検討会議(第2回)配付資料」(令和8年9月29日公開)のうち【参考資料】「本検討会議における検討課題及び通信制高等学校に関する基礎資料」6ページ・18ページ
    https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/211/siryo/mext_00003.html
  • 文部科学省「「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」に関するパブリック・コメント(意見公募手続)を実施します」(令和8年10月6日・報道発表)
    https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01690.html
  • e-Govパブリック・コメント「「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」に関するパブリック・コメント(意見公募手続)の実施について」案件番号185001511
    https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185001511&Mode=0
  • 現行のメディア減免・添削指導回数等の根拠:高等学校学習指導要領 第1章 第2款5
文責:にじいろ編集部
公開日:2026年10月8日 / 最終更新:2026年10月8日
この記事は、にじいろ編集部が一次情報にあたって作成しています。編集の考え方は編集体制・編集方針をご覧ください。誤りが判明した場合は、記事を書き換えるのではなく、末尾に訂正を追記します。
目次