「うちの子、もしかしてADHD?」と感じたとき、まず知りたいのがチェックの目安と診断の仕組みではないでしょうか。この記事では、家庭でできるセルフチェック、DSM-5の診断基準、何歳ごろ診断されることが多いのかを、一緒に整理します。
ADHDの基本的な特性・3つのタイプ・受診を考える目安は、ADHD(注意欠如・多動症)とは?特性の3タイプと相談の目安にまとめています。あわせてご覧ください。
ADHDのセルフチェック、まず知ってほしいこと
ADHD(注意欠如・多動症)は、「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの特性の現れ方によって診断されます。アメリカ精神医学会の診断基準「DSM-5」では、これらの症状が12歳になる前から見られ、家庭と学校など2つ以上の場面で6か月以上続いていること、そしてそれが日常生活に支障をきたしていることが診断のポイントとされています。
大切なのは、セルフチェックはあくまで「気になるサインがあるかどうか」を確認するための目安であり、これだけで診断が確定するものではないという点です。診断は医師による問診や行動観察を経て、総合的に判断されます。
ひとりで抱えないで
チェックリストに当てはまる項目が多いと、不安になってしまうかもしれません。でもそれは、お子さんの特性を理解するための手がかりが増えたということでもあります。まずは落ち着いて、次のステップを考えていきましょう。
よくあるサイン(3つの特性別)
不注意の特性
- 話しかけられても聞いていないように見える
- 細かいところで不注意なミスが多い
- 忘れ物・なくし物が多い
- 気が散りやすく、一つのことに集中し続けるのが苦手
多動性・衝動性の特性
- 席にじっと座っていられない
- 静かに過ごすべき場面で動き回ってしまう
- 順番を待つのが苦手
- 考える前に行動してしまう
うちの子は当てはまる?セルフチェックリスト
次のうち、家庭と学校の両方で6か月以上続いている項目はありますか?
- 忘れ物・なくし物が続けて多い
- 宿題や作業を最後までやり遂げるのが難しい
- じっと座っているのがつらそうに見える
- 順番待ちや列に並ぶことが苦手
- 思いついたことをすぐ口に出してしまう
複数当てはまり、それが本人や周囲を困らせている場合は、一度専門機関に相談してみることをおすすめします。ただしこれは自己診断のための目安であり、正式な診断には医療機関での問診・検査が必要です。
何歳ごろ診断されることが多い?
ADHDの特性は2歳ごろから見られ始めることが多いとされていますが、幼い子どもに見られる一般的な特徴と区別することが難しいため、実際に診断がつくのは就学期(小学校入学)以降になることが多いといわれています。集団生活の中で「まわりと違う」困りごとが目立ちやすくなることが、気づきのきっかけになるケースが少なくありません。
また、成長とともに多動性が弱まるなど、特性の現れ方が変化していくこともあります。診断名がついたタイミングにかかわらず、その時々の困りごとに合わせて対応を考えていくことが大切です。
診断を考えるときにやってしまいがちなこと
チェックリストだけで「うちの子はADHDに違いない」「ADHDのはずがない」と決めつけてしまうのは避けたいところです。似た様子は他の特性や、環境要因、成長段階によっても見られます。診断は、本人を型にはめるためではなく、合う関わり方や環境を見つけるための手がかりです。
相談先・受診の進め方
気になる様子が続く場合は、まず自治体の子育て相談窓口や、学校のスクールカウンセラーに相談してみましょう。医療的な診断を希望する場合は、児童精神科・小児神経科などが窓口になります。診断では、保護者や本人からの聞き取り、行動観察、必要に応じて心理検査などを組み合わせて総合的に判断されます。
ひとりで抱えないで
「診断がつくのが怖い」と感じる方も多いです。診断はゴールではなく、その子に合ったサポートを考えるためのスタートラインです。焦らず、まずは相談することから始めてみてください。
にじいろが大切にしていること
診断名がつくかどうかにかかわらず、目の前のお子さんの困りごとと向き合う姿勢が何より大切です。にじいろは「数値で測られる学びから、経験で語れる学びへ」を掲げ、診断の有無にとらわれず、その子に合った学び方や環境を一緒に考えていきます。
NIJINアカデミーではこんなふうに対応しています

診断がついた・つかないにかかわらず、「この子に合う学び方を一緒に探したい」というときに選択肢になるのが、NIJINアカデミーの「専任サポートプラン」です。入学前のヒアリング面談をもとに、個別支援やカウンセリングの経験を持つスタッフが1対1で担当につき、忘れ物の多さや集中の続きにくさといった困りごとに合わせて、サポート内容を柔軟に組み立てていきます。
実際の専任サポート(1対1のオンライン面談・メタバース校舎での活動)の様子
例えば、週の初めに専任スタッフと一緒に予定を立て、週の終わりに振り返る時間を設けることで、忘れ物や計画倒れを本人の努力だけに頼らず減らしていく工夫をしています。診断名よりも「今、何に困っていて、何があれば楽になるか」を一緒に考える伴走者がいることが、大きな安心につながります。
気になった方は、まずNIJINアカデミーの無料体験説明会で、実際の雰囲気を見てみてください。
動画で見る|発達障害ADHDは「天才」である理由を解説します
この記事の内容を確かめるための一次資料
発達特性の話は、ネット上に断定的な情報があふれています。診断や支援の枠組みは公的機関が定義しているものなので、判断に迷ったときは一次資料に戻るのがいちばん確実です。とくに支援級・通級の仕組みは自治体で運用が違うため、制度の原文を知っておくと学校との話が具体的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」 | 特性の定義と支援の基本。全国の支援センター一覧 |
| 文部科学省「特別支援教育」 | 通級・支援級・支援学校の制度と対象の考え方 |
| 国立精神・神経医療研究センター | 医学的な情報と研究の一次情報 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 診断がついていなくても、支援は受けられますか?
A. 受けられます。通級指導や校内の配慮は、診断名がなくても本人の困りごとを根拠に相談できます。就学相談や教育支援センターも同様です。診断は「支援を受けるための条件」ではなく、支援の設計を助ける情報のひとつだと考えてください。
Q. 支援級に移すべきか迷っています
A. 「どちらが正解か」ではなく、いまの学級でその子が消耗しているかどうかで考えるのが現実的です。学びの内容だけでなく、人数・音・切り替えの多さといった環境要因を見てください。判断の考え方は支援級に入れるべきかにまとめています。
Q. 特性があると、進路は狭くなりますか?
A. 狭くはなりません。不登校を公表した著名人のように、学校の枠に合わなかった人が別の道で力を発揮する例は多くあります。大事なのは「合う環境を選べるかどうか」で、選択肢は年々増えています。
Q. 学校に特性を伝えると、レッテルを貼られませんか?
A. 伝え方次第です。「◯◯障害です」と診断名だけを伝えるより、「音が大きいと固まってしまうので、席を後ろにしてほしい」と具体的な場面と対処で伝えるほうが、担任も動きやすくなります。
Q. 家庭でできる工夫はありますか?
A. 一度に多くを変えないことです。予定を紙に書いて見える場所に貼る、次の行動を1つだけ先に伝える——この2つだけでも負担が変わる子は多いです。うまくいかない日があっても、やり方が悪いわけではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
チェックリストに当てはまったら、ADHDと確定ですか?
いいえ、確定ではありません。セルフチェックはあくまで目安であり、正式な診断には医師による問診や行動観察など、専門的な評価が必要です。
ADHDは何歳から診断できますか?
特性自体は2歳ごろから見られ始めることが多いですが、幼児期の一般的な特徴と区別が難しいため、実際の診断は就学期以降になることが多いです。
家庭でチェックした結果は誰かに伝えたほうがいいですか?
学校の先生やスクールカウンセラー、受診時の医師に伝えると、より具体的な相談につながりやすくなります。日常の様子をメモしておくのもおすすめです。
診断がつくことを怖いと感じます。どう考えればいいですか?
診断はお子さんを分類するためではなく、合った環境やサポートを見つけるための手がかりです。診断の有無にかかわらず、今できることから始めて大丈夫です。

