ADHDのある中学生は、思春期に入って人間関係や勉強の負荷が一気に高まり、これまで何とかやってきたことが立ち行かなくなって不登校につながることがあります。忘れ物や提出物の遅れ、衝動的な言動を繰り返し叱られるうちに「自分はダメだ」と自信を失う——この二次的なつらさこそ、早めに手を打ちたいポイントです。
ADHDの中学生が不登校になる背景
不注意・多動・衝動といった特性は、努力不足ではなく脳の働き方の個性です。中学では教科担任制・定期テスト・部活・複雑な人間関係が重なり、特性による困りごとが表面化しやすくなります。叱責が続くと自己否定・不安・反発といった二次障害につながり、学校から足が遠のくことがあります。まず「特性のせいで困っているだけ」と捉え直すことが回復の第一歩です。全体像は発達特性ガイドもご覧ください。
🎥 タツロー校長が動画で解説
タツロー校長が、ADHDの強みの捉え方と、中学生の不登校が増える背景を解説します。
このほかの解説は、タツロー校長のYouTubeチャンネル「脱・学校のタツロー校長」でもご覧いただけます。
つまずきやすい場面と工夫
| つまずきやすい場面 | できる工夫の例 |
|---|---|
| 提出物・持ち物の管理 | スマホのリマインド/提出物リストの見える化/親子で前日確認 |
| 長時間の着席・集中の維持 | 短く区切る/合間に動ける/課題を小分けに |
| 衝動的な言動でのトラブル | 頭ごなしに叱らない/落ち着ける場所/後から一緒に振り返る |
| テスト勉強の計画 | 範囲を分割/やることを1日1つに/達成を可視化 |

家庭でできる関わり
叱る回数を減らす
できたことを具体的に言葉にし、自信の回復を最優先に。
仕組みで支える
意志より、リマインドや見える化などの仕組みを整える。
まず休息
エネルギーが枯れているときは回復を優先する。
強みを伸ばす
行動力・発想力・好きへの集中力は大きな武器になる。
学校への相談と、合う学びの場
担任やスクールカウンセラーに家庭での様子を伝え、提出物や課題量の調整、別室の利用などを相談しましょう。今の学校で安心を作れない場合は、教育支援センター、フリースクール・オンラインスクール、通信制高校なども前向きな選択肢です。

叱責の連鎖を止める
まず責める関わりを減らす
成功体験を積む
小さな「できた」を可視化
合う環境へ調整
配慮の依頼・学びの場の見直し
進路につなぐ
強みを活かせる進路を一緒に描く
ADHDと不登校の関係はADHDと不登校の関係|二次障害を防ぐために親ができること、進路はADHDの子の将来と働き方がくわしいです。
NIJINアカデミーの子どもたちの声

「オンラインで本当に変わるの?」という不安に、実際に通った子どもたちの声で答えます(出典:子どもの声/保護者の声/進路実績)。
保護者の声:「多くの仲間がいるんだと思えました。社会とのつながりを感じられて、親子共にNIJINを選んで本当に良かったです。」

相談できる場所
- 学校のスクールカウンセラー・担任・特別支援コーディネーター
- 自治体の教育相談窓口・教育支援センター
- 発達障害者支援センター・児童相談所
- 小児科・児童精神科などの医療機関(見立てや診断・治療が必要なとき)
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
まぎらわしい用語の整理
不登校について調べていると、似た名前の制度がいくつも出てきて混乱しがちです。いちばん多い誤解は「教育支援センター」と「学びの多様化学校」を同じものだと思ってしまうことです。前者は在籍校に籍を置いたまま通う「施設」、後者は転校して在籍する「学校」で、まったく別物です。
| 用語 | 正体 | 在籍 | 費用 | 出席の扱い |
|---|---|---|---|---|
| 教育支援センター (=適応指導教室) | 市区町村の教育委員会が運営する施設 | 在籍校のまま | 原則無料 | 要件を満たせば出席扱い |
| 校内教育支援センター (=校内の別室) | 在籍校の中に置かれた部屋 | 在籍校のまま | 無料 | 出席として扱われる |
| 学びの多様化学校 (旧・不登校特例校) | 特別の教育課程を組める正式な学校(全国84校) | その学校に転校 | 公立は無償/私立は学費 | 通常の出席 |
| フリースクール | NPOや民間企業が運営する民間施設 | 在籍校のまま | 月1〜5万円程度 | 要件を満たせば出席扱い |
| オンラインスクール | 自宅から参加する民間のスクール | 在籍校のまま | スクールにより異なる | 自宅ICT学習の要件を満たせば可 |
| 通信制高校・サポート校 | 高校段階の学校と、その学習を支える施設 | その高校に在籍 | 学校により異なる | 高校の在籍として扱われる |
この表でとくに見ておきたいのは「在籍」の列です。転校が必要かどうかで、手続きも心の準備もまったく変わります。教育支援センターやフリースクールは在籍校に籍を残したまま通えるので、「合わなければ戻る」ことができます。
名前が違っても中身は同じことがあります
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 診断がついていなくても、支援は受けられますか?
A. 受けられます。通級指導や校内の配慮は、診断名がなくても本人の困りごとを根拠に相談できます。就学相談や教育支援センターも同様です。診断は「支援を受けるための条件」ではなく、支援の設計を助ける情報のひとつだと考えてください。
Q. 支援級に移すべきか迷っています
A. 「どちらが正解か」ではなく、いまの学級でその子が消耗しているかどうかで考えるのが現実的です。学びの内容だけでなく、人数・音・切り替えの多さといった環境要因を見てください。判断の考え方は支援級に入れるべきかにまとめています。
Q. 特性があると、進路は狭くなりますか?
A. 狭くはなりません。不登校を公表した著名人のように、学校の枠に合わなかった人が別の道で力を発揮する例は多くあります。大事なのは「合う環境を選べるかどうか」で、選択肢は年々増えています。
Q. 学校に特性を伝えると、レッテルを貼られませんか?
A. 伝え方次第です。「◯◯障害です」と診断名だけを伝えるより、「音が大きいと固まってしまうので、席を後ろにしてほしい」と具体的な場面と対処で伝えるほうが、担任も動きやすくなります。
Q. 家庭でできる工夫はありますか?
A. 一度に多くを変えないことです。予定を紙に書いて見える場所に貼る、次の行動を1つだけ先に伝える——この2つだけでも負担が変わる子は多いです。うまくいかない日があっても、やり方が悪いわけではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
Q. 二次障害とは何ですか?
Q. 高校進学はできますか?
Q. 薬は必要ですか?
Q. 親が疲れてしまいました。
ADHDのお子さんの「合う場所」を、一緒に探しませんか?
NIJINは、小学生から高校生まで、発達特性のある子どもが安心して学べる場を用意しています。全国どこからでも、まずは無料体験・相談から。発達特性のある子・不登校の子も多く通い、自分のペースで学んでいます。
NIJINアカデミー
「ALL HAPPY」を掲げ、自分が幸せになる力・人を幸せにする力を育てる、日本最大級のオルタナティブスクール(小中一貫)。累計1,000名以上が入学。
くわしく見る ▶見学・相談だけでも大丈夫です。まずは実際の様子をのぞいてみてください。
※ 本記事は一般的な情報の整理です。診断・治療・制度の適用に関する判断は、医療機関や自治体・学校などの専門窓口にご相談ください。参考:文部科学省・こども家庭庁などの公的情報もあわせてご確認ください。
つらい気持ちを今すぐ話したいとき(全国共通・24時間)
24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310
お子さんからでも、保護者の方からでも相談できます。お住まいの地域の教育相談センターにつながります。
