ADHDの原因は?遺伝や育て方との関係をやさしく解説

脳・遺伝・相談窓口を表す抽象アイコンのイラスト
ADHD/原因・遺伝

「私の育て方が悪かったのかな」——ADHDのお子さんを持つ多くの保護者が、一度はそう感じたことがあるかもしれません。この記事では、ADHDの原因について、脳の働きや遺伝との関係をやさしく整理します。

発達・特性 最終更新 2026.08.09

ADHDの基本的な特性・3つのタイプ・受診を考える目安は、ADHD(注意欠如・多動症)とは?特性の3タイプと相談の目安にまとめています。あわせてご覧ください。

目次

ADHDの原因は?まず知ってほしいこと

結論から言うと、ADHD(注意欠如・多動症)は生まれつきの脳の働き方の特性であり、乳幼児期の育て方や愛情不足によって発症するものではありません。ADHDのある人の脳では、注意力や行動のコントロールに関わる部位で、ドーパミンなどの神経伝達物質の働き方に特徴があると考えられています。

また、複数の遺伝子が関わっていることが研究で示されており、遺伝的な要因が背景にあると考えられています。ただし「特定の遺伝子があれば必ずADHDになる」というような単純なものではなく、多くの要因が複雑に関わり合って特性として現れると理解されています。

ひとりで抱えないで

「私のせいだ」と自分を責めていませんか。ADHDの特性は、しつけや関わり方が原因で生まれるものではありません。まずその重荷を、下ろしてあげてください。

よくある誤解

  • 「甘やかしすぎたから」ではありません——育て方が直接の原因にはなりません
  • 「愛情不足」でもありません——脳の働き方の特性です
  • 「そのうち治る」わけでもありません——特性の現れ方は変化しますが、関わり方や環境の工夫で困りごとは減らせます

脳の働き方と遺伝の関係

脳の働き方について
ADHDのある人の脳では、前頭葉や線条体と呼ばれる部位で、ドーパミンなどの神経伝達物質のはたらきに特徴があるとされています。ドーパミンは、物事に注意を向けたり、やる気を維持したりする働きに関わっており、この働き方の違いが、不注意や多動性・衝動性といった特性につながると考えられています。

遺伝的な要因について
分子遺伝学の研究では、ADHDに関連する複数の遺伝子が報告されています。家族にADHDの特性を持つ人がいる場合、その子どもにも特性が見られやすい傾向があることが知られていますが、これは「必ず引き継ぐ」ということではなく、あくまで傾向としての関連です。

大切なポイント

  • ADHDは脳の機能的な特性であり、しつけの結果ではない
  • 遺伝的な要因は関連するが、環境要因も特性の現れ方に影響する
  • 原因を追求することより、今できる関わり方を考えることが大切

環境はどう関係する?

ADHDの特性そのものは環境が「作り出す」ものではありませんが、環境によって困りごとの現れ方が大きく変わります。例えば、刺激が多く気が散りやすい環境ではミスが増えやすくなりますし、興味を持てる活動に取り組める環境では、同じ特性が集中力や粘り強さとして発揮されることもあります。原因を探すよりも、その子に合う環境を整えることに目を向けていきましょう。

相談先・気になったときの進め方

原因を知りたいと思う気持ちは自然なことですが、診断や検査は「原因の解明」よりも「その子に合ったサポートを見つけること」を目的に行われます。気になる様子がある場合は、まず学校のスクールカウンセラーや自治体の子育て相談窓口、児童精神科・小児神経科などに相談してみましょう。

にじいろが大切にしていること

原因が何であれ、目の前のお子さんが困っていること、そしてがんばっていることに変わりはありません。にじいろは「数値で測られる学びから、経験で語れる学びへ」を掲げ、原因の追求よりも、その子に合った関わり方や学び方を一緒に見つけていくことを大切にしています。

NIJINアカデミーではこんなふうに対応しています

自宅のリビングでタブレットとノートを使って、自分のペースで学習している子どものイラスト

原因がどうであれ、大切なのは「その子に合う環境をどう整えるか」です。NIJINアカデミーの「専任サポートプラン」では、入学前のヒアリング面談をもとに、個別支援やカウンセリングの経験を持つスタッフが1対1で担当につき、その子の特性に合わせた関わり方を一緒に作っていきます。

NIJINアカデミーの専任サポートでの1対1オンライン支援とメタバース活動の様子

実際の専任サポート(1対1のオンライン面談・メタバース校舎での活動)の様子

「なぜこうなったのか」ではなく「今、どうすれば楽になるか」を一緒に考える伴走者がいることで、保護者の方も一人で悩みを抱え込まずに済みます。気になった方は、まずNIJINアカデミーの無料体験説明会で、実際の雰囲気を見てみてください。

動画で見る|発達障害ADHDは「天才」である理由を解説します

この記事の内容を確かめるための一次資料

発達特性の話は、ネット上に断定的な情報があふれています。診断や支援の枠組みは公的機関が定義しているものなので、判断に迷ったときは一次資料に戻るのがいちばん確実です。とくに支援級・通級の仕組みは自治体で運用が違うため、制度の原文を知っておくと学校との話が具体的になります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」特性の定義と支援の基本。全国の支援センター一覧
文部科学省「特別支援教育」通級・支援級・支援学校の制度と対象の考え方
国立精神・神経医療研究センター医学的な情報と研究の一次情報
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 診断がついていなくても、支援は受けられますか?

A. 受けられます。通級指導や校内の配慮は、診断名がなくても本人の困りごとを根拠に相談できます。就学相談や教育支援センターも同様です。診断は「支援を受けるための条件」ではなく、支援の設計を助ける情報のひとつだと考えてください。

Q. 支援級に移すべきか迷っています

A. 「どちらが正解か」ではなく、いまの学級でその子が消耗しているかどうかで考えるのが現実的です。学びの内容だけでなく、人数・音・切り替えの多さといった環境要因を見てください。判断の考え方は支援級に入れるべきかにまとめています。

Q. 特性があると、進路は狭くなりますか?

A. 狭くはなりません。不登校を公表した著名人のように、学校の枠に合わなかった人が別の道で力を発揮する例は多くあります。大事なのは「合う環境を選べるかどうか」で、選択肢は年々増えています。

Q. 学校に特性を伝えると、レッテルを貼られませんか?

A. 伝え方次第です。「◯◯障害です」と診断名だけを伝えるより、「音が大きいと固まってしまうので、席を後ろにしてほしい」と具体的な場面と対処で伝えるほうが、担任も動きやすくなります。

Q. 家庭でできる工夫はありますか?

A. 一度に多くを変えないことです。予定を紙に書いて見える場所に貼る、次の行動を1つだけ先に伝える——この2つだけでも負担が変わる子は多いです。うまくいかない日があっても、やり方が悪いわけではありません。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

ADHDは親の育て方が原因ですか?

いいえ。ADHDは生まれつきの脳の働き方の特性であり、育て方や愛情不足が原因ではありません。

ADHDは遺伝しますか?

複数の遺伝子が関連することが研究で示されていますが、「必ず遺伝する」というものではなく、あくまで傾向としての関連です。

原因がわかれば治療できますか?

ADHDを完全に治す薬や治療法は現時点ではありませんが、環境調整や行動面のサポート、必要に応じた薬物療法によって困りごとを軽減できます。

原因を調べる検査はありますか?

ADHDを単独で確定する検査はなく、問診や行動観察、必要に応じた心理検査などを組み合わせて総合的に判断されます。

あわせて読みたい

「にじいろ」で、その子らしい学びを

数値で測られる学びから、経験で語れる学びへ。お子さんのペースを大切にする学びの場を、私たちと一緒に見つけていきませんか。

にじいろについて知る
本記事は保護者の方へ向けた一般的な情報提供を目的としたもので、特定の診断や治療を示すものではありません。お子さんの状態には個人差があります。気になる様子が続くときは、学校やスクールカウンセラー、専門の医療機関にご相談ください。緊急時やつらい気持ちが強いときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)などの窓口もご利用いただけます。
目次