学校へ通っているきょうだいから見ると、「自分は毎朝起きて学校へ行くのに、兄・姉・弟・妹は家にいてゲームもできる」という状況が、不公平に見えることがあります。
大切なのは、不登校の子の事情を一生懸命説明することより、「ずるい」と言った子自身が何を我慢しているのかを聞くことです。
「不登校の兄弟がずるい」と、学校へ通っている子から言われて困っていませんか?
「お兄ちゃんだけ学校へ行かなくていいの?」
「私も休みたい」
「なんであの子だけゲームしていいの?」
「ママはあの子のことばっかり」
不登校の子どもをなんとか支えようとしている中で、もう一人の子からこんな言葉が出ると、保護者も苦しくなります。
不登校の子を責めたくない。
でも、学校へ行っている子にも我慢させたくない。
「どちらを優先すればいいの?」と板挟みになることもあるでしょう。
この記事では、「ずるい」という言葉の裏にある気持ち、不登校はきょうだいに連鎖するのか、家庭のルールをどう考えるか、具体的な声かけまで整理します。
文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」
この項目には「兄弟姉妹」だけでなく「親しい友達」も含まれています。また、回答した子どもの一部が「影響を受けた」と感じていることを示すデータであり、「兄弟が不登校になると、もう一人も不登校になる」という因果関係を示す数字ではありません。
📝 この記事でわかること
- 不登校の兄弟を「ずるい」と感じる理由
- 「ずるい」と言われた直後の返し方
- 不登校は兄弟に連鎖するのか
- 学校へ通うきょうだいに避けたい対応
- ゲーム・睡眠・お手伝いなど家庭ルールの考え方
- 「私も学校を休みたい」と言われたときの対応
- 年齢別の説明・声かけ例
- 不登校の子と他のきょうだいを両方支える方法
- 実際にきょうだいとのバランスを大切にした家庭の事例
不登校の兄弟がずるいと言うのはなぜ?言葉の裏を見る
まず、学校へ通っている子が「ずるい」と感じること自体を、悪いことだと決めつけないでください。
毎朝起きて、着替えて、学校へ行く。
宿題をする。
次の日の準備をする。
嫌なことがあっても登校する。
それを続けている子から見ると、不登校の兄弟の生活が「自由」に見えることがあります。
でも、「ずるい」の中身は一つではありません。
不登校ではない子も、毎日楽しく学校へ行っているとは限りません。
親の会話や時間が不登校の子を中心に回り、寂しさを感じている場合があります。
起床時間、ゲーム、宿題、お手伝いなどの違いが納得できないことがあります。
親が疲れている、家族で出かけなくなったなど、生活の変化そのものをつらく感じていることもあります。
「ずるい」と言われた瞬間、まず何と返せばいい?
一番避けたいのは、すぐに不登校の子を弁護することです。
子:「お兄ちゃんだけ学校休んでゲームしててずるい!」
NG:「お兄ちゃんはつらいんだから、そんなこと言わないの」
OK:「そっか。ずるいって感じたんだね。何が一番イヤだった?」
不登校の子が本当に苦しんでいることを説明したくなる気持ちは自然です。
でも、最初から説明すると、学校へ通っている子には、
「またあの子の話になった」
と聞こえる場合があります。
まずは「あなたの話を聞いている」という順番をつくります。
気持ちを認めることと、「不登校はずるい」に同意することは別
「そう感じたんだね」と受け止めることは、
「そうだね。不登校はずるいね」
と同意することではありません。
感情には正解・不正解をつけず、そのあとで家庭の事情やルールを説明します。
不登校は兄弟に連鎖する?「影響」と「原因」は分けて考える
兄弟の一人が学校へ行かなくなると、
「下の子まで不登校になったらどうしよう」
と心配になります。
先ほどの文部科学省の調査からも、身近な人が学校を休んでいることを、自分の登校しづらさに影響した要素の一つとして挙げる子はいます。
しかし、不登校は一つの原因だけで起きるものではありません。
学校へ行っていない兄弟を見たことだけで、別の子も不登校になると考えるのは適切ではありません。
一つの原因に決めてしまうと、弟自身が学校で感じている困りごとを見落とす可能性があります。
友人関係、学習、先生、体調など、その子自身の状況として聞きます。
もし別のきょうだいも「学校へ行きたくない」と言い始めたら、
「お兄ちゃんの真似をしている」
と決めず、その子の話も一人分の悩みとして聞いてください。
不登校のきょうだいがいる家庭で避けたい5つの対応
学校へ行っている子にも、学校がしんどい日はあります。「行けている=困っていない」とは限りません。
「お兄ちゃんは大変なの」で終わると、もう一人の子は自分の気持ちを後回しにされたと感じることがあります。
公平にしようとして、状態の違う子に全く同じ生活を求めることが、かえって負担になる場合があります。
「あなたから学校へ行くよう言って」「一緒に遊んで元気づけて」など、不登校の子を支える役割を背負わせないようにします。
家庭の雰囲気が大きく変わったのに説明がないと、子どもは自分なりの理由を作って理解しようとします。
学校へ行き、宿題もし、何も文句を言わない子にも、本人だけの時間をつくって話を聞きます。
兄弟でルールが違ってもいい?「同じ」と「公平」は違う
家庭で特に揉めやすいのが、ゲーム、睡眠、宿題、お手伝いです。
たとえば、
「自分は学校へ行って宿題までしているのに、お兄ちゃんは昼まで寝てゲームしている」
という状態です。
ここで大切なのは、全員を同じにすることと、公平に扱うことは必ずしも同じではないという考え方です。
状態に関係なく、全員同じ起床時間、同じ学習量、同じ活動を求める。
家族共通の基本ルールを持ちつつ、心身の状態や年齢に応じて必要な対応を変える。
| 場面 | 考え方 | きょうだいへ伝えるポイント |
|---|---|---|
| 学校 | 登校できるかは一人ひとりの状態で考える | 「あなたが学校へ行けているから我慢して、という意味ではないよ」 |
| 睡眠 | 生活リズムは状態によって違う | 休んでいる子の生活を「特権」のように説明しない |
| ゲーム・スマホ | 安全面など家庭共通の基本ルールは持てる | 登校できたご褒美・登校できない罰として扱わない |
| お手伝い | 年齢とその日の状態に合わせる | 不登校の子の分を他のきょうだいへ全部移さない |
| 親との時間 | それぞれ個別の時間を意識する | 「あなたのこともちゃんと見ている」と行動で伝える |
きょうだいにはどう説明する?年齢別の声かけ例
幼児〜小学校低学年
細かな事情を説明するより、短く具体的に伝えます。
「今は学校に行くとすごく疲れてしまうから、お家で休んでいるんだよ。あなたのことも同じくらい大切だよ」
「病気だから」「かわいそうだから」と必要以上に特別な存在として説明する必要はありません。
小学校高学年
不公平感そのものにも答えます。
「同じ家族でも、今必要なことは一人ずつ違うんだ。あなたが我慢しなくていいように、あなたの話も聞きたい」
中学生
事情を理解できる年齢だからこそ、「分かってあげて」と理解を強制しないことも大切です。
「お姉ちゃんのことを理解しなきゃいけない、とは思わなくていいよ。あなたが今どう感じているかも聞かせてほしい」
本人が話してほしくない友人関係や学校での出来事まで、きょうだいへ詳しく説明する必要はありません。「今は休む必要がある」という家庭として共有できる範囲だけでも構いません。
「私も学校を休みたい」と言われたら?もう一人の子として話を聞く
不登校の兄弟を見ていた子から、
「自分も明日休みたい」
と言われることがあります。
このとき、焦って、
「あなたまで不登校になったら困る」
と言わないようにします。
「お兄ちゃんが休んでいるから?」ではなく、「あなたは今日、何がしんどかった?」と聞きます。
友達、授業、先生、行事、体調など、本人が話せる範囲から聞きます。
「兄弟は休んでいるのだから、あなたは絶対行く」と家庭内のバランスだけで登校を決めないようにします。
登校しぶりが続く場合は、担任やスクールカウンセラーなどに本人の様子を共有します。
同じ家庭でも、学校へ行きづらくなった背景や必要な支援はそれぞれ違います。
不登校の子だけで一日が終わらないよう、「一対一の時間」をつくる
不登校になると、どうしても会話はその子を中心に回ります。
学校への欠席連絡。
先生との面談。
病院や相談先探し。
勉強の心配。
進路の心配。
意識しなければ、親の時間も頭の中も、不登校の子でいっぱいになります。
だからこそ、学校へ通っているきょうだいにも、短くてよいので「その子だけの時間」をつくります。
二人だけになる時間を自然につくれます。
「学校どうだった?」だけでなく、好きなことも聞きます。
「今度何したい?」と、その子自身の予定も家庭の中に入れます。
家族全員の生活が「不登校」だけにならないことも大切です。
実例|不登校の末っ子だけを「特別」にしなかった、たっぴーさんの家庭
今回の記事では、テーマに合う事例として、中学1年生のたっぴーさんとお母さまの話を紹介します。
たっぴーさんは、小学生のころ学校での人間関係などから心身に負担が重なり、5年生の冬に学校へ行けなくなりました。
たっぴーさんのお母さま
不登校になったたっぴーさんを支えながら、お母さまが意識していたことの一つが、上のきょうだいとのバランスでした。
末っ子のたっぴーさんにだけ手をかけるのではなく、上のきょうだいから出た希望にも応える。
「家族みんなを見ている」という姿勢が伝わることを大切にしていたそうです。
不登校のたっぴーさんには、そのとき必要な支えを。
上のきょうだいには、上のきょうだい自身の希望に応える。
それぞれを一人の子どもとして見ることを大切にしていました。
そして、この家庭ではきょうだいの存在が新しい一歩のきっかけにもなりました。
兄が料理教室へ通っていたことから、たっぴーさんも「自分も料理をやってみたい」と興味を持つようになったのです。
料理を体験でき、実際に人とも会える場所を探す中でNIJINアカデミーを知り、体験へ。
その後、たっぴーさんは徐々に笑顔を取り戻し、イベントや友達との外出、自分で企画を立てる活動などへと世界を広げていきました。
家庭だけで全部を支えなくていい|それぞれに「自分の場所」をつくる
不登校になると、家庭が子どもにとって唯一の居場所になることがあります。
すると、親が不登校の子の先生、相談相手、友達、学習サポートまで、すべてを担うようになりがちです。
その状況が続くと、家庭の会話や時間が不登校の子中心になりやすくなります。
だから、親だけで支え切ろうとせず、
- 学校の担任・スクールカウンセラー
- 教育支援センター
- 地域の居場所
- フリースクール
- オンラインの学び場
など、家庭以外の人や場所との接点を使って構いません。
自宅から「自分の世界」を持つ|NIJINアカデミーという選択肢
家庭以外の居場所の一つとして、オンラインから始められる方法もあります。
NIJINアカデミーでは、学校へ行きづらい小学生・中学生が、自宅から先生や全国の仲間とつながりながら学んでいます。
家庭の中だけで抱えず、
子ども自身の先生・仲間・学びを。
「家にいる子」だけで一日を終わらせず、自分の興味や人間関係を家庭の外へ広げる選択肢があります。
- 自宅から参加できるメタバース校舎
- 少人数・異年齢で継続して関われるクラス
- ゲーム、イラスト、鉄道など「好き」からつながるサークル
- 一斉の集団参加が難しい場合に利用できる1対1の専任サポート
- 本人が希望したときには、全国のリアル教室やイベントへ広げることもできる
もちろん、NIJINアカデミーはきょうだい問題を解決するためのサービスではありません。
ただ、不登校の子どもが家庭以外に「自分の先生」「自分の仲間」「自分の活動」を持つことは、選択肢の一つになります。
学校外の学び・居場所の選択肢の一つとして紹介しています。本人やご家庭に合う支援方法はそれぞれ異なります。
よくある質問|不登校の兄弟が「ずるい」と言うとき
不登校の兄弟を「ずるい」と言うのは性格が悪いのでしょうか?
そうとは限りません。「自分も学校がしんどい」「親にもっと見てほしい」「家庭のルールが不公平に感じる」など、自分自身の不満や寂しさを「ずるい」という言葉で表していることがあります。まず理由を聞いてみてください。
不登校は兄弟に連鎖しますか?
兄弟の一人が不登校だから、必ずもう一人も不登校になるわけではありません。文部科学省の調査では「兄弟姉妹や親しい友達の中に学校を休んでいる人がいて影響を受けた」と答えた不登校児童生徒は一部いましたが、友人も含む項目であり、因果関係を示すものではありません。もう一人が学校へ行きづらそうな場合は、その子自身の状況として話を聞きましょう。
学校へ行っている子も「自分も休みたい」と言ったら休ませるべきですか?
兄弟が不登校だからという理由だけで「あなたは絶対行く」と決めるのではなく、その子自身の心身の状態や学校で困っていることを確認してください。登校しぶりが続く場合は担任やスクールカウンセラーなどへ相談することもできます。
ゲーム時間などのルールは兄弟で同じにした方がいいですか?
安全面や課金など家族共通のルールを持つことはできますが、生活状況が異なる子どもへすべて同じ条件を求める必要はありません。大切なのは、違いを「あなたは我慢して」と押しつけず、なぜ対応が違うのかを年齢に応じて説明することです。
不登校の子の分まで、学校へ行っている兄弟に手伝わせてもいいですか?
一時的に家族で助け合うことはありますが、不登校の子ができない分を一方的に別のきょうだいへ負わせ続けると、不公平感につながりやすくなります。家事も一人ひとりの年齢や状態に合わせて考えましょう。
きょうだいには不登校の理由を全部説明した方がいいですか?
全部説明する必要はありません。不登校になった本人が話してほしくない内容もあります。「今は学校へ行くととても疲れるので休んでいる」など、家庭で共有できる範囲を本人とも相談して伝えるとよいでしょう。
親が不登校の子にかかりきりになってしまいます
保護者だけで学校対応、学習、人間関係、相談まで全部を担う必要はありません。学校、教育支援センター、自治体の相談窓口、フリースクールなど外部の支援も使いながら、他のきょうだいと過ごす時間や保護者自身の時間も残してください。
まとめ|「不登校の兄弟がずるい」は、もう一人の子の気持ちを知る入口
不登校の兄弟がずるいと言われると、保護者はどうしても、不登校の子を守ろうとします。
「サボっているんじゃないよ」
「本人もつらいんだよ」
もちろん、それは大切なことです。
でも、その説明の前に一度だけ、
あなたは何が一番イヤだった?」
と、言った本人の話を聞いてみてください。
「ずるい」の裏には、
学校がしんどい。
もっと自分も見てほしい。
前みたいに家族で過ごしたい。
自分ばかり我慢している気がする。
そんな別の気持ちが隠れているかもしれません。
不登校の子を支えることと、学校へ通っている子を支えることは、どちらか一方を選ぶ話ではありません。
同じ対応をするのではなく、それぞれを一人の子どもとして見る。
それが、家族全体で不登校と向き合うときの大切な土台になります。
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参考・一次情報
※本記事は一般的な教育・子育て情報を提供するものです。不登校や家庭への影響は一人ひとり異なります。別のきょうだいにも強い登校しぶりや心身の不調などが続く場合は、学校・教育相談・医療機関などへ個別にご相談ください。

