- 最初にそろえる道具と、公式サイトで確認できた価格
- ライフジャケットの着用義務は、どこまでが法律の話なのか
- 釣り中の事故は年間どれくらい起きているか(警察庁・海上保安庁)
- 知らずに破りやすい「遊漁のルール」
- 都市部でも行ける施設と、子ども向けの体験イベント
この記事は、外で体を動かす遊びが学びにつながる場面を取材してきたにじいろ編集部が、国土交通省・海上保安庁・警察庁・水産庁の公表資料にあたって構成しています。危ないからやめる、ではなく、危ないところだけ先に手当てする、という考え方で書きました。
最初にそろえるもの
釣りは道具の幅が広く、上を見ればきりがありません。ただ、始めるだけなら高額な機材は要りません。釣具のポイント(株式会社タカミヤ)のオリジナルブランドの公式ページで確認できた価格は次のとおりです。
| 商品 | 内容 | 価格 |
|---|---|---|
| スマイルシップ 万能投げセット 270 | 投げ竿+スピニングリール+ナイロン糸 | 3,800円 |
| 同 330 | 同上(長さ違い) | 3,980円 |
| スマイルシップ チョイキャス II 振出 10-210T | 竿のみ。堤防の投げ釣り・サビキ釣りに対応 | 4,980円 |
※いずれも公式ページに税込・税別の表記がありません。なお、ダイワ(グローブライド)の入門用ロッドは公式サイト上すべて「オープン価格」で、価格の記載がありませんでした。価格を確かめてから買いたい場合は、量販店のオリジナルブランドが分かりやすいと言えます。
このほかに必要なのは、仕掛け、エサ、クーラーボックスまたは保冷バッグ、ハサミ、タオル、そして次に述べるライフジャケットです。
ライフジャケット|義務の範囲を正確に知っておく
ここは誤解が多いところです。国土交通省は「平成30年2月からすべての小型船舶の乗船者にライフジャケットの着用を義務化しました」としています。対象は、操船に小型船舶操縦士免許が必要なすべての小型船舶の乗船者です。義務を負うのは船長で、違反すると違反点数2点が付され、再教育講習の受講が必要になります。
子どもについては重要な規定があります。着用義務にはいくつかの適用除外がありますが、その一部は「12歳未満の小児」には適用されません(=従来どおり着用義務)と明記されています。
一方で、堤防や護岸など陸から釣る場合については、この省令の対象として明記されていません。ただし海上保安庁は「ウォーターセーフティガイド」で「ライフジャケットなしで救助を待つことは非常に困難です。釣りに行く際には必ずライフジャケットを着用しましょう」「子どもが着用する場合は必ず保護者の方が点検してください」と呼びかけています。
法律上の義務は船の上の話ですが、陸からの釣りでも着せる、を家庭の基準にしてください。足場が濡れていること、テトラポッドの隙間、堤防の高さ。子どもが落ちる条件は陸の上にいくらでもあります。「義務ではない」と「安全である」は別の話です。

数字で見る、釣り中の事故
警察庁「令和7年における水難の概況等」(2026年6月18日公表)によると、令和7年中の水難者は1,599人、うち死者・行方不明者は760人でした。行為別に見ると「魚とり・釣り」中の死者・行方不明者は168人で、全体の22.1%を占めます。中学生以下の水難者は177人、うち死者・行方不明者は27人です。
海上保安庁の「令和7年における海難発生状況(速報値)」(2026年1月21日公表)では、マリンレジャーに伴う人身事故者数702人のうち、釣り中の事故者数は213人、死者・行方不明者は69人でした。中学生以下の人身事故者数は86人です。
この2つは調査の対象範囲が違うので、足し算はできません。ただ、どちらを見ても釣りは水難の主要な原因の一つであることは共通しています。
知らずに破りやすい「遊漁のルール」
釣りには、法律や都道府県の漁業調整規則によるルールがあります。水産庁は、使用できる漁具漁法、禁止区域、禁止期間、魚種ごとの大きさの制限、夜間の照明利用の禁止や制限など、さまざまな規制が定められていると説明しています。これらは「魚など水産動植物の繁殖保護や、秩序ある漁場の利用のために」あるものです。
川や湖ではさらに注意が必要です。水産庁によると、漁協は漁場内で組合員以外が行う漁業権対象魚種の採捕について、都道府県知事の認可を受けて遊漁規則を定めており、そこには遊漁料、遊漁承認証、遊漁期間などが定められています。つまり、川で釣るには「遊漁券」が必要な場所があるということです。
ルールは都道府県ごとに違います。行き先が決まったら、その都道府県のページを一度見ておくことをおすすめします。子どもと一緒に調べることそのものが、この遊びの一部です。
都市部でも行ける場所
| 施設 | 運営 | 料金 |
|---|---|---|
| 横浜フィッシングピアーズ 本牧・大黒 海づり施設 | 横浜市 | 大人900円/中学生450円/小学生300円(1回券) |
| 同 磯子海づり施設 | 横浜市 | 大人500円/中学生・小学生300円 |
| 若洲海浜公園 海釣り施設(東京都江東区) | 東京港埠頭株式会社 | 人工磯・護岸部分は無料 |
若洲海浜公園は投げ釣り・ルアー釣り・撒き餌が禁止で、竿は混雑時2本まで。人工磯の利用にはライフジャケットの着用が推奨されています。なお売店は令和7年8月31日で営業を終了しているため、エサや道具は事前に用意していってください。

体験イベントから入るという手
道具も場所も分からないうちは、教えてくれる人がいる場に行くのが早道です。公益財団法人日本釣振興会は各都道府県支部で子ども向け・親子向けのイベントを開いています。たとえば大阪府支部の「JFW親子マス釣り体験教室」は、小学生以上中学生までの子どもを含むファミリーが対象で、参加費は大人2,000円・子ども1,000円(遊漁料・竿・仕掛け・エサ・保冷バッグ代を含む)でした。
埼玉県支部も「初めての魚釣り体験」「家族釣りの祭典」といった催しを公式サイトで案内しています。開催は年度ごとに変わるため、参加を検討するときは各支部のサイトで最新情報を確認してください。
釣りで何が育つのか
釣れるまでの時間は長く、何も起きない時間がほとんどです。そのあいだに子どもがやっているのは、仮説を立てて試すことです。ここではダメだったから場所を変える。エサを変える。タナ(深さ)を変える。結果がすぐ返ってくる遊びではないぶん、粘り強さと観察が要ります。
釣った魚を持ち帰って食べれば、そこから料理につながります。種類を調べれば図鑑の世界に入ります。写真を撮って記録すれば、それが積み上がって作品になります。入り口は一つでも、出口はいくつもあるのがこの遊びの面白いところです。

よくある質問
まとめ
釣りは、竿とリールのセットが4,000円前後、無料で釣れる公園もあり、始めるハードルは高くありません。一方で、釣り中の水難は令和7年で死者・行方不明者の22.1%を占めます。ライフジャケットの法的な義務は小型船舶の乗船者に対するものですが、陸からの釣りでも着せる、を家庭の基準にしてください。そして行き先の遊漁のルールを親子で調べてから出かける。この2つを守れば、あとは長く続けられる遊びです。
この記事の内容を確かめるための一次資料
- 国土交通省海事局「ライフジャケットの着用義務拡大」(ページ)
- 海上保安庁「ウォーターセーフティガイド」ライフジャケット(ページ)
- 警察庁生活安全局「令和7年における水難の概況等」2026年6月18日(PDF)
- 海上保安庁「令和7年における海難発生状況(速報値)」2026年1月21日(ページ)
- 水産庁「遊漁・海面利用の基本的ルール」(ページ)/「内水面の遊漁に関する制度」(ページ)/「都道府県ごとの遊漁のルール・マナー」(ページ)
- 株式会社タカミヤ「スマイルシップ 万能投げセット」(ページ)/「チョイキャス II 振出」(ページ)
- 横浜市「横浜フィッシングピアーズ」(ページ)
- 東京港埠頭株式会社「若洲海浜公園 釣りを楽しむ」(ページ)
- 公益財団法人日本釣振興会 埼玉県支部(ページ)
NIJIN放課後プロジェクトスクールは、子どもたち自身が「好き」を起点にプロジェクトを立ち上げ、全国の仲間・企業・面白い大人とつながりながら進めていく放課後のスクールです。今の学校に通いながら参加でき、メタバース校舎は入学金22,000円・月額12,683円(税込)。教材費やイベント参加費の追加はありません。

