「中学に上がるまでに、このままで大丈夫だろうか」——小6になると、進学という次の節目が見えてくる分、学力の遅れへの不安も強まりやすいのではないでしょうか。
小6は歴史学習や比例反比例など内容が難化するだけでなく、中学進学に向けた準備の時期でもあります。この記事では、小6の学習面の特徴と、進学に向けてできる対応をまとめました。
📝 この記事でわかること
- 小6で難化する学習内容
- 中学進学に向けて整理しておきたいこと
- 学校・支援機関との引き継ぎのポイント
なぜ勉強が心配になるのか
小学6年生では歴史学習が本格化し、比例反比例、公民分野の基礎など、これまでの学習内容が抽象的に組み合わさっていきます。同時に、中学進学という大きな環境変化を控えており、学力面の不安と進学への不安が重なりやすい時期です。
中学進学時の「引き継ぎ」という仕組み
不登校や学習面の課題があるお子さんについては、小学校が「個別の教育支援計画」や「児童生徒理解・教育支援シート」を作成し、中学校の担任へ引き継ぐ仕組みがあります。ここには本人のプロフィール、これまでの支援内容、学校における合理的配慮の実績などが記載され、進学後は本人・保護者・中学校の担任による三者面談が行われる例もあります。この計画書は保護者自身が原本やコピーを持っておくことができ、進学先だけでなく医療・福祉などの関係機関との相談時にも活用できる資料になります。「ゼロから中学校に説明し直す」必要はなく、これまでの積み重ねを引き継げる制度があることは知っておく価値があります。
参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援について」(教育課程企画特別部会資料)
つまずきやすい教科・単元
- 歴史の年号・出来事の暗記
- 比例反比例など、抽象度の高い算数
- 中学の学習内容につながる基礎の総復習
この時期は「完璧に仕上げる」より、「中学でつまずきにくい土台を作る」ことを目標にすると取り組みやすくなります。
家庭学習を進める工夫
- 歴史は年号の暗記より、興味の持てる時代・人物から入る
- 算数はこれまでの学年の基礎を中心に総復習する
- 中学進学先の学習支援体制について、早めに情報を集めておく
- 「個別の教育支援計画」や「児童生徒理解・教育支援シート」の作成状況を学校に確認しておく
- 学校・教育支援センターと、これまでの学習状況を共有しておく
「出席扱い制度」を知っておく
文部科学省は令和元年10月25日付の通知で、不登校の児童生徒が自宅でICT等を活用した学習活動を行った場合、一定の要件を満たせば校長の判断で指導要録上の出席として扱い、その成果を評価に反映できることを示しています。要件としては、保護者と学校の間に十分な連携・協力関係があること、その学習が本人の自立や円滑な学校復帰につながると判断されることなどが挙げられています。
対象となる学習活動には、民間のICT教材、教育支援センターが作成した教材、通信教育、在籍校の授業を自宅に配信するものなどが含まれます。すべての学校・自治体で同じ運用がされているわけではありませんが、「学校を休んでいる=何も記録に残らない」わけではないケースがあるということは、知っておいて損はありません。この扱いは中学校に進学した後も引き続き適用されます。
気になる場合は、担任の先生やスクールカウンセラー、教育支援センターに直接確認してみることをおすすめします。
参考:文部科学省「不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
がんばっているあなたへ
進学が近づくほど、「間に合わせなくては」という焦りが強くなるかもしれません。けれど、すべてを中学入学までに完璧にする必要はありません。
今の学習状況を次の環境にきちんと引き継ぐこと自体が、お子さんにとって大きな支えになります。一人で抱え込まず、学校や支援機関と一緒に準備を進めていってください。
NIJINアカデミーでは、お子さんのペースに合わせた学びの環境について相談できるメタバース体験説明会を平日毎日実施しています。
今すぐ体験説明会に参加する家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
まぎらわしい用語の整理
不登校について調べていると、似た名前の制度がいくつも出てきて混乱しがちです。いちばん多い誤解は「教育支援センター」と「学びの多様化学校」を同じものだと思ってしまうことです。前者は在籍校に籍を置いたまま通う「施設」、後者は転校して在籍する「学校」で、まったく別物です。
| 用語 | 正体 | 在籍 | 費用 | 出席の扱い |
|---|---|---|---|---|
| 教育支援センター (=適応指導教室) | 市区町村の教育委員会が運営する施設 | 在籍校のまま | 原則無料 | 要件を満たせば出席扱い |
| 校内教育支援センター (=校内の別室) | 在籍校の中に置かれた部屋 | 在籍校のまま | 無料 | 出席として扱われる |
| 学びの多様化学校 (旧・不登校特例校) | 特別の教育課程を組める正式な学校(全国84校) | その学校に転校 | 公立は無償/私立は学費 | 通常の出席 |
| フリースクール | NPOや民間企業が運営する民間施設 | 在籍校のまま | 月1〜5万円程度 | 要件を満たせば出席扱い |
| オンラインスクール | 自宅から参加する民間のスクール | 在籍校のまま | スクールにより異なる | 自宅ICT学習の要件を満たせば可 |
| 通信制高校・サポート校 | 高校段階の学校と、その学習を支える施設 | その高校に在籍 | 学校により異なる | 高校の在籍として扱われる |
この表でとくに見ておきたいのは「在籍」の列です。転校が必要かどうかで、手続きも心の準備もまったく変わります。教育支援センターやフリースクールは在籍校に籍を残したまま通えるので、「合わなければ戻る」ことができます。
名前が違っても中身は同じことがあります
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 担任と話が噛み合いません
A. 「認めてください」ではなく「要件を満たすために何を用意すればよいですか」と聞き方を変えると通りやすくなります。それでも動かない場合は、学年主任・管理職・市区町村の教育委員会(教育相談室)へ相談先を上げてください。
Q. 毎日の欠席連絡がつらいです
A. 連絡方法は相談できます。「しばらく休むので、こちらから連絡がない日は欠席とみなしてください」と最初に合意しておくと、毎朝の負担がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?
A. なります。校内で過ごした時間は在籍校の判断で出席として扱われるのが一般的です。保健室登校についてもあわせてご覧ください。
Q. 学習の遅れが心配です
A. 学校外での学習も、計画や内容が教育課程に照らし適切と判断されれば成績評価に反映できることが2024年8月の制度改正で明確になりました。詳しくは教育機会確保法の記事にまとめています。
Q. 面談で何を話せばいいですか?
A. ①いまの状態、②してほしい配慮を具体的に、③出席扱いの取り扱い、の3点に絞ると進みます。面談後に「本日確認したこと」をメールで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
中学までに遅れを完全に取り戻す必要がありますか?
完璧に取り戻す必要はありません。基礎的な部分を中心に総復習しつつ、中学進学後も引き続きサポートを受けられる体制を整えることの方が大切です。
中学進学にあたって、学校にはどう伝えればいいですか?
現在の学習状況や得意・不得意、これまでの対応内容を、小学校を通じて中学校に引き継いでもらうことができます。早めにスクールカウンセラーや担任に相談しておくと安心です。
中学受験を考えていましたが、今の状況では難しそうです
中学受験にこだわらず、公立中学校での支援体制や、通信制・オルタナティブスクールなど多様な進路も選択肢としてあります。焦らず情報を集めてみてください。
まとめ
小6は学習内容の難化と進学準備が重なる時期です。完璧を目指すより、基礎の総復習と引き継ぎを大切にしてください。
学校や支援機関と連携しながら、お子さんに合った形で中学生活のスタートを準備していきましょう。
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