「学校に行けていないけれど、出席認定は取った方がいいのでしょうか?」
不登校のお子さんを育てる保護者から、NIJINアカデミーにはこの質問が数多く寄せられます。
「出席日数が足りないと高校に行けないのでは?」
「将来、不利になってしまうのでは?」
「学校から出席認定を勧められたけれど、本当に必要なの?」
結論から言えば、出席認定を取るべきかどうかに正解はありません。大切なのは、お子さんがどんな未来を目指すのかという”進路”です。
この記事では、これまで300件以上の出席認定に携わってきたNIJINアカデミー校長・星野達郎(タツロー校長)が、出席認定制度の本質と、これからの時代の進路選択について解説します。
全国750名以上の小中高生が学ぶオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の校長を務める傍ら、2つの教師団体を主宰。これまで累計1,200名以上の教員向けに研修を実施し、学校の中と外、両面から教育課題の解決に取り組む。
その独自の教育実践はNHKやテレビ朝日など多くのメディアで特集され、「青年版国民栄誉賞」や「内閣総理大臣奨励賞」を受賞するなど、各方面から高く評価されている。
確かな実績と熱い教育信念を持つ一方で、普段は生徒たちから気さくにいじられる「愛されキャラ」の校長として、日々子どもたちと本音で向き合っている。
出席認定とは?学校に行かなくても「出席扱い」になる制度
出席認定とは、学校以外の学びの場で継続的に学習している場合に、学校へ登校していなくても「出席」と認められる制度です。
文部科学省も通知の中で、
学校に通うこと自体が目的ではなく、子どもが適切な教育を受けることが重要である
という考え方を示しています。
つまり、フリースクールやオルタナティブスクールなどで適切に学んでいれば、学校以外での学びも教育として認められる時代になっています。
NIJINアカデミーでも、この2年間で300件以上の出席認定をサポートしてきました。
一方で、意外かもしれませんが、すべての家庭が出席認定を希望しているわけではありません。
出席認定は取るべき?答えは「進路による」
「結局、取った方がいいの?」
この質問に対するタツロー校長の答えは、とてもシンプルです。
タツロー校長考え方と進路によります。
もし将来、公立高校や一部私立高校への進学を考えているのであれば、出席認定が役立つケースがあります。
一方で、通信制高校やオルタナティブスクール、海外進学などを考えている場合は、出席認定がほとんど必要にならないケースも少なくありません。
制度だけを見て判断するのではなく、「どんな人生を歩みたいのか」から逆算することが重要です。
小中学校は出席しなくても卒業できる
まず知っておいていただきたいのは、日本の義務教育は基本的に留年制度ではなく、年齢で進級・卒業する仕組みだということです。
そのため、
- 小学校にほとんど通えなかった
- 中学校にほとんど登校できなかった
という場合でも、卒業資格そのものは取得できます。
出席認定が影響するのは、「卒業できるかどうか」ではなく、その後の進学です。


出席認定が役立つ進路・必要ない進路
進路によって、出席認定の重要性は大きく変わります。
公立高校
多くの公立高校では、調査書や出席状況を参考にする場合があります。
そのため、公立高校への進学を第一希望にしている場合は、出席認定を取得するメリットがあります。
私立高校
私立高校は学校によって大きく異なります。
推薦入試では出席状況が重視されることがありますが、一般入試では当日の試験結果を重視する学校も少なくありません。
志望校が決まっている場合は、募集要項を確認することが大切です。
通信制高校
通信制高校では、出席認定を求めない学校がほとんどです。
不登校経験のある子どもたちも数多く進学しており、出席日数が理由で不利になるケースは多くありません。
オルタナティブスクール・海外進学
オルタナティブスクールや海外進学では、小中学校の出席日数を重視しないケースがほとんどです。
そのため、出席認定を取得する必要性は高くありません。
「学校に合わなかった」は才能かもしれない
タツロー校長が最も伝えたいことがあります。
それは、



学校に合わなかったことを、失敗と思いこまないでほしい。
ということです。
学校は、多くの子どもが同じ時間割で、同じ内容を、同じペースで学ぶ仕組みです。
しかし、すべての子どもがその環境に合うとは限りません。
学校に違和感を覚えた子どもは、「能力が低い」のではなく、「別の環境で力を発揮できるタイプ」である可能性があります。


AI時代に必要なのは「みんなと同じ」ではない
社会は急速に変化しています。
通信制高校やオルタナティブスクールを卒業した子どもたちが、自分らしい仕事を見つけたり、起業したりするケースも増えてきました。
これから求められるのは、
- 自分で考える力
- 好きを深める力
- 人と違う価値を生み出す力
です。
そのためには、学校に合わせ続けることだけが正解ではありません。
「学校に戻ること」ではなく、「自分らしく学び、自分らしく生きること」を目指す選択肢もあります。
まとめ|出席認定は「目的」ではなく「手段」
出席認定は、とても良い制度です。
実際に必要な家庭もたくさんあります。
しかし、
「みんなが取るから」
「取らないと不安だから」
という理由だけで選ぶ必要はありません。
大切なのは、
「我が子はどんな人生を歩みたいのか」
という視点です。
その未来に出席認定が必要なら取ればいい。
必要ないなら、無理に取る必要もありません。
子どもの進路は、学校の価値観ではなく、その子自身の人生に合わせて選ぶ時代になっています。


あわせて読みたい
▶ 動画で詳しく見る
この記事の内容は、星野達郎校長がYouTubeでより詳しく解説しています。
動画では具体例を交えながら詳しくお話ししています。ぜひあわせてご覧ください。


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この記事の内容を確かめるための一次資料
学校以外の学びの場は、この10年で制度が大きく変わりました。いまは「学校復帰だけがゴールではない」というのが国の公式な立場です。選択肢の全体像と、それぞれが制度上どう扱われるかを押さえておくと、進路の話が現実的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」 | 高校に通わずに大学受験資格を得る制度 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 欠席が多いと高校に行けませんか?
A. 行けます。出席日数を選抜に使わない高校は増えており、通信制高校では欠席日数を問わないところがほとんどです。中学校卒業程度認定試験や高等学校卒業程度認定試験という道もあります。
Q. フリースクールに通うと出席扱いになりますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできます。ただし文部科学省の通知では教育支援センター等の公的機関が第一に想定されており、民間施設は「公的機関に通えない場合」に考慮される位置づけです。詳しくは教育支援センターとはをご覧ください。
Q. 費用が心配です
A. 教育支援センターは原則無料です。民間のフリースクールについては、利用料の補助制度を設けている自治体が増えています。就学援助もあわせて教育委員会に確認してください。
Q. 学校に戻ることを目標にしなくていいのですか?
A. はい。文部科学省の通知が「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す」と明記しています。学校復帰は選択肢のひとつであって、唯一のゴールではありません。
Q. 近くに通える場所がありません
A. ①校内の別室、②教育支援センターの訪問型支援、③自宅でのICT学習を出席扱いにする道(別記2)、④オンライン——の順で確認するのが現実的です。地域に選択肢がないことは、家庭の責任ではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。









