学歴社会はもう終わった?―“らしさ”が価値になる「多様化社会」へ
この記事でわかること
タツロー校長社会の構造は「身分社会 → 学歴社会 → 多様社会」へと移り変わっており、今はまさにその転換期にある。
通信制高校はもはや”特別な選択肢”ではなく、10人に1人が選ぶ当たり前の進路になっている。
これは、NIJINアカデミー校長・星野達郎さんが中学生・保護者向けに開催した進路の説明動画での発言です。
本記事では、その動画の前半部分——
「なぜ今、通信制高校が広がっているのか」「社会そのものがどう変化してきたのか」を、
要点をまとめてお届けします。
「通信制」と聞くと、未だに「勉強についていけなかった子が行く場所」「不登校の受け皿」といったイメージを持つ保護者は少なくありません。
しかし星野校長は、そのイメージ自体がすでに過去のものになりつつあると言います。
数字の変化、そして社会そのものの構造変化という2つの視点から、その理由をひもといていきます。
「多様化社会」に生きる私たちは、どのように進路を選んでいくべきなのか。
きっと自分らしく生きるためのヒントになる動画です。
後編では、実際に2,000人以上を採用してきた校長が語る「採用のリアル」や「具体的な高校の選び方」を解説します。
あわせてお読みください。
<動画はこちらから☟>
<【後編】はこちらから☟>


通信制高校は、もう「特別な選択肢」ではない
かつて通信制高校は「学校に通えない事情がある人が選ぶ場所」というイメージが強くありました。
しかし、星野校長はまずこの前提を覆すところから話を始めます。
- 現在、およそ10人に1人が通信制高校に在籍している
- 不登校や特別な事情がある人だけでなく、「やりたいことをやるために」あえて通信制を選ぶ生徒も増えている
- 通信制のイメージそのものが、この数年で大きく変化している
つまり、通信制高校はもはや「消極的な選択」ではなく、
「積極的な選択」として社会に定着しつつある、というのが最初のポイントです。
なぜ「積極的な選択」に変わってきたのか
星野校長によれば、その背景にあるのは学び方そのものの多様化です。
決まった時間割に沿って全員が同じ内容を学ぶ全日制のスタイルに対し、
通信制は自分のペースで学習を進めながら、空いた時間を「好きなことに使える」という特徴があります。
- 部活動やスポーツに専念したい生徒
- 芸能・クリエイター活動と学業を両立したい生徒
- 自分のペースで学び直したい生徒
こうした多様なニーズの受け皿として通信制高校が選ばれるようになったことが、
「10人に1人」という数字の背景にあります。
保護者が抱えやすい3つの不安
保護者のなかには、次のような不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
- 通信制に行って、この先社会でやっていけるのだろうか
- 不登校の状態から、進路はどうなってしまうのか
- オンラインゲームばかりしているが、このままで大丈夫なのか
星野校長はこうした声を頭ごなしに否定するのではなく、
まずしっかり受け止めた上で、「時代そのものが変わってきている」という大きな視点から説明を進めていきます。
これらの不安に共通しているのは、
「自分たちが育ってきた時代の”当たり前”を、そのまま子どもの進路にあてはめてしまっている」という点です。
だからこそ星野校長は、目先の進路情報を伝える前に、
まず「社会そのものがどう変わってきたか」という大きな話から始めるのです。


社会の構造は繰り返す——身分社会・学歴社会・多様社会
ここで語られるのが、この動画のいちばんの軸となる考え方です。
星野校長は、日本の歴史(古墳時代〜飛鳥・奈良時代など)を例に挙げながら、
社会の価値基準がどのように移り変わってきたかを説明します。
<循環してきた社会の価値基準>
- 身分社会:生まれ(家柄)で人の価値が決まる時代。本人の努力や能力よりも、どの家に生まれたかがすべてを左右した
- 学歴社会:学歴・肩書きで人の価値が決まる時代。生まれに関係なく、努力して良い学校に入ることで評価されるようになった
- 多様社会:個人の専門性や独自性で人の価値が決まる時代。学歴という単一の物差しではなく、「その人が何をできるか」が問われる
そして今、私たちは「学歴社会」から「多様社会」へと移行している真っただ中にいる、というのが星野校長の見立てです。
身分社会から学歴社会への移行が「生まれ」という制約からの解放だったように、
学歴社会から多様社会への移行もまた、「学歴」という単一の物差しからの解放だと捉えることができます。
なぜ今、「多様社会」への転換期なのか
この転換を後押ししているのが、インターネット・スマートフォン・AIの登場です。
- 誰もが情報を発信し、受け取れるようになった
- 個人の得意なことや発信そのものが、そのまま価値になりやすくなった
- 「良い大学を出ること」だけが評価軸ではなくなりつつある
つまり、学歴という単一の指標では測れない時代に入ってきているということです。
これは裏を返せば、
通信制高校のように「自分のペースで、好きなことに時間を使える環境」が、
むしろ強みになりうる時代になってきている、ということでもあります。
この変化が、子どもたちにとって意味すること
学歴社会では、「良い大学に入る」という一本道のレールが、ある意味でわかりやすい安心材料でした。
しかし多様社会では、その一本道が唯一の正解ではなくなります。
裏を返せば、
「みんなと同じペースで、同じことを頑張らなければいけない」というプレッシャーからも、
少しずつ解放されていく時代だとも言えます。
それはすなわち、「あなたらしさ」が大きな価値になる時代、ということです。
星野校長が「通信制は当たり前の選択肢になった」と繰り返し強調するのは、
こうした社会全体の地殻変動を踏まえてのことなのです。
NIJIN高等学院では、発達障害や不登校を経験した高校生が、
毎日わくわくしながら自分の未来を切り拓くための「新しい居場所」を提供します。
前編まとめ
- 通信制高校はすでに10人に1人が選ぶ、当たり前の進路になっている
- 社会の価値基準は「身分社会 → 学歴社会 → 多様社会」へと循環的に変化してきた
- 今はまさに学歴社会から多様社会への転換期であり、個人の専門性・独自性が評価される時代に近づいている
では、その「専門性・独自性」は実際の採用現場でどう評価されているのでしょうか。
後編では、2,000人以上の採用に関わってきた校長が語る「大学名で採用したことは一度もない」という採用のリアルと、具体的な高校選びのポイントを解説します。
※本記事はNIJINアカデミー校長・星野達郎氏による進路講演会の内容をもとに構成しています。
<【後編】はこちらから☟>


<関連動画はこちらから>
この記事の内容を確かめるための一次資料
学校以外の学びの場は、この10年で制度が大きく変わりました。いまは「学校復帰だけがゴールではない」というのが国の公式な立場です。選択肢の全体像と、それぞれが制度上どう扱われるかを押さえておくと、進路の話が現実的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」 | 高校に通わずに大学受験資格を得る制度 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 欠席が多いと高校に行けませんか?
A. 行けます。出席日数を選抜に使わない高校は増えており、通信制高校では欠席日数を問わないところがほとんどです。中学校卒業程度認定試験や高等学校卒業程度認定試験という道もあります。
Q. フリースクールに通うと出席扱いになりますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできます。ただし文部科学省の通知では教育支援センター等の公的機関が第一に想定されており、民間施設は「公的機関に通えない場合」に考慮される位置づけです。詳しくは教育支援センターとはをご覧ください。
Q. 費用が心配です
A. 教育支援センターは原則無料です。民間のフリースクールについては、利用料の補助制度を設けている自治体が増えています。就学援助もあわせて教育委員会に確認してください。
Q. 学校に戻ることを目標にしなくていいのですか?
A. はい。文部科学省の通知が「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す」と明記しています。学校復帰は選択肢のひとつであって、唯一のゴールではありません。
Q. 近くに通える場所がありません
A. ①校内の別室、②教育支援センターの訪問型支援、③自宅でのICT学習を出席扱いにする道(別記2)、④オンライン——の順で確認するのが現実的です。地域に選択肢がないことは、家庭の責任ではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。








