文部科学省の調査で、不登校の原因1位は「無気力・不安」。
しかし、この“無気力”は本当に子ども自身の問題なのでしょうか。
NIJINアカデミー校長・星野達郎(タツロー校長)は、
「それは子どものせいではなく、構造的に生まれている」と断言します。

生まれた時は、みんなエネルギーに満ちている
タツロー校長子どもって、本来はめちゃくちゃパワフルなんですよ
幼稚園や保育園では、元気に遊び、よく笑い、よく話す。
それが小学校・中学校に入った途端、
・笑わなくなる
・話さなくなる
・何もやる気が起きない
そんな状態に変わってしまう子どもが少なくありません。
つまり、無気力は“最初からあるもの”ではなく、
どこかの過程で失われているものなのです。


無気力の正体は「選択できない状態」
無気力とはどんな状態か。
・体が動かない
・好きだったことが楽しくない
・時間がただ過ぎていく
・「やらなきゃ」と思ってもできない
これは、うつ状態に非常に近いものです。


では、なぜ人はここまで無気力になるのか。
鍵になるのが「選択」です。
心理学者シーナ・アイエンガーは、
「選択とは、自分の力で状況を変えられる状態」と定義しています。
つまり、人は「自分ではどうにもできない」と感じたとき、一気に無気力になる。
実験が示す「選択の力」


有名な実験があります。
■マウスのプール実験
ネズミを水に入れると、やがて諦めて溺れてしまう。
しかし途中で一度でも助けると、
「頑張れば助かる」と認識し、
その後は何倍も長く泳ぎ続けるようになります。
■犬の電気ショック実験
逃げられない状態で電気ショックを受け続けた犬は、
やがて無気力になり、動かなくなります。
しかし、ボタンで止められるなど
自分でコントロールできる状況だと無気力にはならない。
学校は「選択できない環境」になっていないか
この視点で学校を見るとどうでしょうか。


・担任は選べない
・クラスも選べない
・ルールも変えられない
・理不尽があっても従うしかない
つまり、「自分の力では何も変えられない」環境です。
さらに、家庭では自己決定を大切に育てられてきた子どもほど、
このギャップに強い違和感を覚えます。
自分で考え、意見を言う子どもほど
「問題児」として扱われてしまうケースすらある。
その結果――



何をしても変わらないという感覚に陥り、無気力になるのです。
無気力だった子が、なぜ元気を取り戻すのか
一方で、NIJINアカデミーには
無気力な状態から回復する子どもが多くいます。
その違いは何か。
「選択できるかどうか」です。
・何を学ぶか
・どの先生と学ぶか
・どんな環境で過ごすか
自分で選べるようになると、子どもは変わります。
選べる=自分で変えられる感覚が戻るからです。
NIJINでは、ヴィゴツキーの理論をベースに
・一人ではできないけど
・サポートがあればできそう
という「最近接発達領域」を大切にしています。
小さな「できた」を積み重ねることで、
・自分はできる
・人とならできる
という感覚が育つ。これが気力の源になります。


親ができるたった一つのこと
では、保護者はどう関わればいいのか。
答えはシンプルです。子どもの「選択」を支えること。
・不登校の中で何をするか
・どう過ごすか
・どんな一日を送るか
それを子ども自身が決められるようにする。
逆にやってはいけないのは、「どんな状況でも学校に行かせる」と決めてしまうこと。
それは、選択を奪い、無気力を深めるリスクがあります。
小さな選択からでいい
いきなり大きな決断をさせる必要はありません。
例えば、
「ハンバーグにする?カレーにする?」
そんな小さな選択でいい。
大切なのは、
「あなたの選択を尊重しているよ」というメッセージを送り続けること。


無気力の反対は、単なる“やる気”ではありません。
・自分ならできそう
・やれば変えられそう
という感覚です。
この感覚を持てる子どもは、
どんな時代でも、自分の力で道を切り拓いていけます。
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この記事の内容を確かめるための一次資料
「怠けている」ように見える状態の裏に、医学的な背景があることは珍しくありません。とくに起立性調節障害は思春期に多く、朝起きられないことが本人の意思とは無関係に起きます。判断を家庭だけで抱えず、医療の一次情報にあたってください。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 厚生労働省「こころの健康」 | 子どもと保護者のメンタルヘルスの基礎情報 |
| 厚生労働省「こころの耳」 | 相談窓口とセルフチェック |
| 日本小児心身医学会 | 起立性調節障害など、子どもの心身症に関する学会情報 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 朝だけ具合が悪くなります。仮病でしょうか?
A. 仮病とは限りません。起立性調節障害のように、午前中に強く症状が出て午後に回復する状態は思春期に多くみられます。本人の意思では動かせない体の反応なので、まずは小児科や児童精神科で相談してください。
Q. 受診したほうがよい目安はありますか?
A. 睡眠・食事・体重に変化があるとき、体の症状が2週間以上続くときが一つの目安です。「気のせいかも」と迷う段階で相談して構いません。学校を休む判断の根拠にもなります。
Q. 薬を飲ませることに抵抗があります
A. 治療の選択は家庭が決めることです。迷いをそのまま医師に伝えてよいですし、薬以外の選択肢や、まず生活リズムから整える方針を相談することもできます。
Q. 学校にどう説明すればいいですか?
A. 診断名だけでなく、「午前中は登校が難しいが、午後なら可能なことがある」と具体的な時間帯や条件で伝えるほうが配慮につながります。医師の意見書があると、学校側も動きやすくなります。
Q. 保護者自身がつらいときは?
A. 保護者の消耗は子どもに伝わります。厚生労働省「こころの健康」や自治体の相談窓口は、保護者本人の相談も受け付けています。24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)は保護者からの相談も可能です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。









