小学生の学習障害(LD)とは?読み書き・計算のつまずきと支援

学習障害

発達・特性ガイド|LD(学習障害)

「音読だけ極端につっかえる」「板書が写せない」「計算だけができない」——他はできるのに特定の学習だけつまずく。それは学習障害(LD/限局性学習症)のサインかもしれません。この記事では、LDの特性から、診断の流れと費用、ICTや合理的配慮などの支援、家庭でできる関わりまでを、順番に整理してお伝えします。

発達・特性ガイド > LD(学習障害)
にじいろ編集部
2026.7.23
目次

学習障害(LD/SLD)とは?

学習障害(LD)は、医学的には限局性学習症(SLD:Specific Learning Disorder)と呼ばれ、全体的な知的発達に遅れはないのに、「読む」「書く」「計算する」など特定の学習だけが極端に苦手な状態です。努力不足やなまけではなく、脳の情報処理の特性によるものです。

見えにくい困りごと

LDは知的な遅れがないぶん「がんばれば読める・書けるはず」と誤解されやすく、本人が「自分は頭が悪い」と思い込んでしまいがちです。早く気づき、合った方法で学べる環境を整えることが、自信を守るうえでとても大切です。

3つのタイプと、小学校でのあらわれ方

① 読みの困難(ディスレクシア)

  • 音読でつっかえる/文字を読み飛ばす・行を追えない
  • 似た文字(「わ」と「ね」など)を読み間違える
  • 読むのに時間がかかり、内容が頭に入りにくい

② 書きの困難(ディスグラフィア)

  • 字の形が整わない/マスや行からはみ出す
  • 鏡文字や書き間違いが多い/漢字が覚えにくい
  • 板書を写すのが極端に遅い・苦手

③ 計算・推論の困難(ディスカリキュリア)

  • 数の大小や位取りの理解が難しい
  • 繰り上がり・繰り下がりでつまずく
  • 文章題の意味を式にするのが苦手

特定の教科・場面だけ極端に苦手で、他は年齢相応にできる——このアンバランスさがLDのサインです。「さぼっている」と捉えず、どこでつまずくかをていねいに見ることが第一歩です。

診断はどこで・どうやって受ける?(流れ・費用)

診断は児童精神科・小児神経科・発達外来などの医療機関で行われます。相談窓口や学校では診断はできませんが、どこにかかればよいかを一緒に考えてくれます。一般的な流れは次の4ステップです。

1

相談窓口で様子を整理する

市区町村の窓口や発達障害者支援センターに相談し、受診が必要かの見立てをもらう。

2

医療機関を予約する

発達を診られる医療機関を予約。初診まで数週間〜数か月待つことも。早めが安心。

3

問診・行動観察

成育歴や家庭・学校での様子を聞き取り。母子手帳・連絡帳・通知表があるとスムーズ。

4

心理検査・発達検査 → 診断

WISC-Vなどの知能検査や発達検査を実施し、総合して診断。診断まで1〜2か月が目安。

費用のイメージ

診察・知能検査・心理検査は多くが健康保険の対象(原則3割負担)。多くの市区町村の子ども医療費助成で自己負担が軽くなり、継続通院は自立支援医療制度で抑えられる場合があります。すべて自費の専門機関では検査一式で1.5万〜4万円ほどが目安。診断書作成料などは保険適用外のことがあります。

支援の考え方(苦手を補い、強みを活かす)

教室で担任の先生が子どもの席のとなりにしゃがみ、やさしく声をかけている場面のイラスト

LDの支援は、苦手を無理に克服させることより、合った方法・道具で「わかる・できる」体験を積むことが中心です。学校では、障害の状態に応じた合理的配慮が求められています(文部科学省 特別支援教育)。

  • ICTの活用:タブレットでの読み上げ、音声入力、写真での板書記録、デジタル教科書など。
  • 合理的配慮:テスト時間の延長、問題文の読み上げ、書く量の調整、ルビ付け、マス目や罫線の工夫。
  • 通級指導・専門的な指導:その子のつまずきに合わせた個別の学び方の練習。
  • 強みを活かす:口頭発表、絵や図、体験など、得意な表現で力を発揮できる場をつくる。

家庭でできる関わり

  • 「読めない・書けない」を責めず、できた工夫を一緒に喜ぶ
  • 読み聞かせや音声教材など、耳から学べる方法を取り入れる
  • 宿題は量より「できた実感」を優先し、必要なら学校と配慮を相談する
  • 好きなこと・得意なことをのばし、自己肯定感を守る

相談先

「読み書きだけが極端に苦手かも」と思ったら、まずお住まいの市区町村の教育相談・子育て・保健の窓口へ。学校のスクールカウンセラーや通級の相談も入口になります。診断や詳しい検査は児童精神科・小児神経科などの医療機関で受けられます。

お住まいの地域の相談先を探す

相談窓口の名称や体制は都道府県・市区町村で異なります。にじいろでは地域別に「診断・相談できる場所」をまとめています。東京都版神奈川県版大阪府版など、お住まいの地域の記事をご覧ください。

診断は「レッテル」ではなく「地図」——にじいろから

診断名がつくことに、抵抗や不安を感じる保護者は少なくありません。その気持ちはとても自然なものです。けれど診断は、お子さんを枠に閉じ込めるレッテルではなく、その子の世界を理解し、合う環境を選ぶための「地図」です。つまずきが減れば、本人が本来もっている力——好きなことへの集中力や独自の発想——が伸びていきます。にじいろは「数値で測られる学びから、経験で語れる学びへ」を掲げ、その子だけの強みを大切に育てる保護者を後押しします。一人で抱え込まず、まず相談することから始めてみてください。

タツロー校長のYouTube解説

自宅のリビングでタブレットとノートを使って、自分のペースで学習している子どものイラスト

現役校長・タツロー校長が、学習のつまずきや発達について動画で解説しています。文章とあわせてご覧ください。

▶ 【発達障害なら支援級に入れるべき?】現役校長が本音で解説

不登校・発達特性のある子が全国から通っています

学校以外にも、その子に合う学びの場があります

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小学生・中学生

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高校生

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家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先 聞けること 費用 向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー) 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 無料 まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村) 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い 原則無料 学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間) 体験活動中心の居場所、少人数の学び 月1〜5万円程度 興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 スクールにより異なる 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科) 体の不調の背景、診断と治療 保険診療 睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル 子ども本人・保護者どちらの相談も 無料・24時間 いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。


学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

まぎらわしい用語の整理

不登校について調べていると、似た名前の制度がいくつも出てきて混乱しがちです。いちばん多い誤解は「教育支援センター」と「学びの多様化学校」を同じものだと思ってしまうことです。前者は在籍校に籍を置いたまま通う「施設」、後者は転校して在籍する「学校」で、まったく別物です。

似ているけれど別物の制度
用語 正体 在籍 費用 出席の扱い
教育支援センター
(=適応指導教室)
市区町村の教育委員会が運営する施設 在籍校のまま 原則無料 要件を満たせば出席扱い
校内教育支援センター
(=校内の別室)
在籍校の中に置かれた部屋 在籍校のまま 無料 出席として扱われる
学びの多様化学校
(旧・不登校特例校)
特別の教育課程を組める正式な学校(全国84校) その学校に転校 公立は無償/私立は学費 通常の出席
フリースクール NPOや民間企業が運営する民間施設 在籍校のまま 月1〜5万円程度 要件を満たせば出席扱い
オンラインスクール 自宅から参加する民間のスクール 在籍校のまま スクールにより異なる 自宅ICT学習の要件を満たせば可
通信制高校・サポート校 高校段階の学校と、その学習を支える施設 その高校に在籍 学校により異なる 高校の在籍として扱われる

この表でとくに見ておきたいのは「在籍」の列です。転校が必要かどうかで、手続きも心の準備もまったく変わります。教育支援センターやフリースクールは在籍校に籍を残したまま通えるので、「合わなければ戻る」ことができます。

名前が違っても中身は同じことがあります

とくに教育支援センターは、自治体ごとに「適応指導教室」「ふれあい教室」「ゆうゆう広場」「チャレンジ学級」などさまざまな愛称がついています。お住まいの市区町村で見つからないときは「◯◯市 適応指導教室」「◯◯市 教育相談 不登校」でも検索してみてください。それでも出てこなければ、市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話するのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページにまとまっています。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 診断がついていなくても、支援は受けられますか?

A. 受けられます。通級指導や校内の配慮は、診断名がなくても本人の困りごとを根拠に相談できます。就学相談や教育支援センターも同様です。診断は「支援を受けるための条件」ではなく、支援の設計を助ける情報のひとつだと考えてください。

Q. 支援級に移すべきか迷っています

A. 「どちらが正解か」ではなく、いまの学級でその子が消耗しているかどうかで考えるのが現実的です。学びの内容だけでなく、人数・音・切り替えの多さといった環境要因を見てください。判断の考え方は支援級に入れるべきかにまとめています。

Q. 特性があると、進路は狭くなりますか?

A. 狭くはなりません。不登校を公表した著名人のように、学校の枠に合わなかった人が別の道で力を発揮する例は多くあります。大事なのは「合う環境を選べるかどうか」で、選択肢は年々増えています。

Q. 学校に特性を伝えると、レッテルを貼られませんか?

A. 伝え方次第です。「◯◯障害です」と診断名だけを伝えるより、「音が大きいと固まってしまうので、席を後ろにしてほしい」と具体的な場面と対処で伝えるほうが、担任も動きやすくなります。

Q. 家庭でできる工夫はありますか?

A. 一度に多くを変えないことです。予定を紙に書いて見える場所に貼る、次の行動を1つだけ先に伝える——この2つだけでも負担が変わる子は多いです。うまくいかない日があっても、やり方が悪いわけではありません。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

学習障害は勉強すれば治りますか?
LDは「治す」ものではなく、脳の情報処理の特性です。ただし、合った学び方や道具(ICTなど)を使うことで「わかる・できる」体験を増やし、力を発揮しやすくすることができます。
知的な遅れとは違うのですか?
はい。LDは全体的な知的発達には遅れがなく、読み・書き・計算など特定の領域だけが極端に苦手なのが特徴です。知能検査などで、その子の得意・不得意のかたよりを確認します。
学校でタブレットを使う配慮は受けられますか?
読み書きの困難に対して、ICTの活用やテスト時間の延長などの合理的配慮を受けられる場合があります。担任やスクールカウンセラー、教育委員会の就学相談に相談してみましょう。
診断がなくても支援は受けられますか?
はい。合理的配慮や通級指導、教育相談は確定診断がなくても利用できることが多くあります。まずは学校や市区町村の窓口で「今できる支援」を相談してみてください。

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※本記事は保護者が情報を整理するための一般的な解説であり、診断・治療に代わるものではありません。お子さんの状態については必ず医療機関や専門の相談窓口にご相談ください。制度・窓口・費用などは変更される場合があります。ご利用の際は各機関の最新の公式情報をご確認ください。

最終更新:2026年7月23日


つらい気持ちを今すぐ話したいとき(全国共通・24時間)

24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310

お子さんからでも、保護者の方からでも相談できます。お住まいの地域の教育相談センターにつながります。

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