子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、親がまずやること

行きたくないと言った時親がまずやること
最多の要因は「やる気が出ない・不安」

令和5年度、不登校の小・中学生は34万6,482人と過去最多。学校が挙げた要因で最も多かったのは「やる気が出ない」(32.2%)、次いで「不安・抑うつ」(23.1%)でした。裏を返せば、多くの子は“はっきりした理由を言葉にできない”まま苦しんでいるということ。だからこそ、最初に理由を問い詰めない対応が大切になります。

出典:文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年10月公表)

1. 最初にやってほしい5つのこと

  1. 否定せず、まず受け止める「そうなんだね」「言ってくれてありがとう」。まずは気持ちをそのまま受け止めます。勇気を出して言えた、その一歩を大切に。
  2. 理由を問い詰めない「なんで?」と迫らないこと。本人も理由がはっきりわからないことが多く、問い詰められると口を閉ざしてしまいます。
  3. 体調と安全を確かめる眠れているか、食べられているか。体の不調や、いじめ・トラブルなど、見えていないSOSがないかをそっと確認します。
  4. 「休んでも大丈夫」と安心を伝える逃げ道があると分かるだけで、子どもは落ち着きます。追い詰めないことが、回復の土台になります。
  5. 親だけで抱えず、相談先を持つ担任、スクールカウンセラー、相談機関など。早めに味方を増やしておくと、親自身も楽になります。

2. やりがちなNG対応と言い換え

よかれと思って出た言葉が、子どもを追い詰めてしまうことがあります。とっさに言いがちなNGと、その言い換えを並べました。

NG「どうして行けないの?理由を言いなさい」
OK「話せるときでいいよ。今は、そばにいるね」
NG「みんな行ってるんだから、あなたも行けるよ」
OK「行きたくないくらい、つらいんだね」
NG「そんなの甘えでしょ」
OK「がんばってきたもんね。少し休もうか」
NG「お姉ちゃんは行けてるのに」
OK「あなたのペースで大丈夫だよ」
NG(無言で手を引いて連れて行く)
OK「今日はどうしたい?一緒に考えよう」

3. なぜ「最初の対応」が大事なのか

最初に「責められなかった」「分かってもらえた」と感じられると、子どもは安心して、少しずつ気持ちを話せるようになります。反対に、いきなり問い詰められたり否定されたりすると、心を閉じ、こじれて回復に時間がかかることがあります。

前述のとおり、不登校のきっかけの多くは「やる気が出ない」「不安」で、本人にも言葉にしづらいものです。原因を突き止めることを急ぐより、まず安心を取り戻すこと。それが、結果的にいちばんの近道になります。「学校に戻すこと」をゴールにしすぎないのも、この時期の大切なポイントです。

4. 場面別の対応

朝、玄関や布団で「行きたくない」と泣くとき

まずは無理に立たせず、「大丈夫だよ」と落ち着かせます。その日の登校を勝ち負けにしないこと。「今日は休んで、また明日考えよう」で十分です。

前の晩に打ち明けられたとき

打ち明けてくれたことをまず受け止めます。「話してくれてありがとう」と伝え、その場で結論を出そうとせず、一緒に翌朝を迎える姿勢で。

行けたり行けなかったりする(五月雨登校)

波があるのは回復の途中の自然な姿です。行けた日をほめすぎず、行けない日を責めず、淡々と見守るのがコツです。

理由が見えない・いじめが疑われるとき

体のあざ、持ち物の異変、特定の曜日だけ渋るなどのサインに注意。無理に聞き出さず、担任やスクールカウンセラーと連携して、安全をまず確保します。

目次

この記事の内容を確かめるための一次資料

学校とのやりとりは、担任個人の考え方に左右されやすい部分です。だからこそ国が学校に何を求めているかを知っておくと、話が噛み合いやすくなります。「認めてください」ではなく「要件を満たすには何を用意すればよいですか」と聞くのが、実務上いちばん通ります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
文部科学省「生徒指導提要」学校の生徒指導の基本方針(改訂版)
文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業」SC・SSWの役割と配置の考え方
文部科学省「就学援助」学用品費・給食費などの経済的支援
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

自宅で保護者が見守りながら学習に取り組む子ども
自宅で保護者が見守りながら学習に取り組む子ども
オンラインの教室の様子。顔を出す子と、アイコンで参加する子が混ざっている
オンラインの教室の様子。顔を出す子と、アイコンで参加する子が混ざっている

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 担任と話が噛み合いません

A. 「認めてください」ではなく「要件を満たすために何を用意すればよいですか」と聞き方を変えると通りやすくなります。それでも動かない場合は、学年主任・管理職・市区町村の教育委員会(教育相談室)へ相談先を上げてください。

Q. 毎日の欠席連絡がつらいです

A. 連絡方法は相談できます。「しばらく休むので、こちらから連絡がない日は欠席とみなしてください」と最初に合意しておくと、毎朝の負担がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?

A. なります。校内で過ごした時間は在籍校の判断で出席として扱われるのが一般的です。保健室登校についてもあわせてご覧ください。

Q. 学習の遅れが心配です

A. 学校外での学習も、計画や内容が教育課程に照らし適切と判断されれば成績評価に反映できることが2024年8月の制度改正で明確になりました。詳しくは教育機会確保法の記事にまとめています。

Q. 面談で何を話せばいいですか?

A. ①いまの状態、②してほしい配慮を具体的に、③出席扱いの取り扱い、の3点に絞ると進みます。面談後に「本日確認したこと」をメールで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

どうして理由を話してくれないのでしょう?
本人も、自分の中で何が起きているのか整理できていないことが多いからです。また「言っても分かってもらえない」「心配をかけたくない」という気持ちも働きます。問い詰めるより、話しやすい空気を保つことが近道です。
受け止めるだけだと、甘やかしになりませんか?
受け止めることと、何でも許すことは違います。気持ちは受け止めつつ、生活リズムや家庭のルールはゆるやかに保つ。安心の土台があってこそ、子どもは次の一歩を踏み出せます。
共働きで、朝ゆっくり対応する時間がありません
短くても「あなたの味方だよ」が伝わればOKです。朝に時間がなければ、夜に5分でも気持ちを聞く時間を。祖父母や相談機関など、頼れる先を増やしておくことも大切です。
父親(もう一方の親)は、どう関わればいい?
二人で対応をそろえておくと、子どもは混乱しません。「行かせる役/守る役」と分かれて板ばさみにならないよう、方針を話し合っておきましょう。
学校や専門家には、いつ連絡すべき?
数日で戻らない、表情が乏しい、睡眠・食事に影響が出ている——このあたりが早めに動く目安です。まず担任に共有し、スクールカウンセラーや相談機関につないでもらいましょう。

こんなときは、専門家にも相談を

「行きたくない」が続く、表情が乏しくなった、体調や睡眠に影響が出ている——そんなときは、スクールカウンセラーや医療・相談機関にもつながってください。ここに書いたのは一般的な情報で、診断に代わるものではありません。一人で抱え込まないことが何より大切です。

「行きたくない」の先に、選択肢を

気持ちが少し落ち着いたら、学校以外の学びの場を知っておくと、親子ともに安心できます。NIJINアカデミーは、家から参加できるオンラインの学びの場です。無料の体験・相談会も行っていますので、まずは話を聞いてみてください。

NIJINアカデミーのホームページを見てみる

▶ ふだんの様子は NIJINアカデミー公式YouTube でも見られます

【参考・出典】
・文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(2024年10月)mext.go.jp

※本記事は一般的な情報をまとめたもので、医学的・専門的な診断や助言に代わるものではありません。

あわせて読みたい

目次