「不登校は“居場所”だけでは解決できない」
──そう語るのは、NIJINアカデミー校長・星野達郎(タツロー校長)。 元・小学校教員として子どもたちの苦しみに直面し、教育の仕組みそのものを変えるために起業した彼が、 なぜ“居場所”だけでは足りないと考えるのか、その背景を解説します。
不登校支援を「ビジネス」と言われて
タツロー校長Instagramに投稿した動画が話題になって、『不登校をビジネスにするなんて…』というコメントも来ました。 でも、僕からすると“ビジネス”って言葉を誤解しているんです。
不登校支援を“ビジネス”と揶揄されることがありますが、ここでいうビジネスとは単なる金儲けではありません。
そもそも教育という仕事も、給料をもらって働くという意味では立派なビジネスです。
タツロー校長自身、元・小学校教員として、年間数百人の子どもたちと向き合い、苦しんでいる子どもたちの現状を目の当たりにしてきました。


その経験から、「子どもたちを救うためには仕組み自体を変える必要がある」という思いが芽生え、起業という選択をしたのです。
教員として安定収入を得ながら子どもたちを支援することも可能でしたが、仕組み改革に挑むには、従来の教育システムの枠内では難しい──その背景を理解すると、起業の意義がより明確になります。



教員を続けていた方がお金は安定していたんです。それでも起業したのは、 『この仕組みから教育を変えないといけない』と心から思ったから。お金ではなく、仕組みで子どもを救うための挑戦です。
実際、教員として安定した収入が得られる状況でも、子どもたちの現状を変えるには仕組み自体を動かす必要があります。 この“仕組みづくり”がNIJINアカデミーの核になっています。
「家から出られない」子どもたち



不登校のきっかけの多くは人間関係です。学校の雰囲気に馴染めない、友達や先生と合わない。 そうすると、放課後や休日に外に出ると“知っている人”に会うのが怖くなる。結果、家から出られなくなるんです。
不登校になる子どもたちの多くは、単に授業についていけないからではなく、人間関係のトラブルや居心地の悪さがきっかけです。
学校という空間において「合わない人」と遭遇する恐怖心から、自然と外出を避けるようになり、家の中に閉じこもる状態が長期化します。
実際のデータでは、引きこもりの5人に1人が不登校経験者と言われています。
つまり、学校でのストレスや人間関係の悩みは、子どもたちの心身の健康や社会参加に直結する重大な問題なのです。
このような背景を踏まえ、NIJINアカデミーでは、自宅にいながらも深い学びと安心できる居場所を提供する仕組みを整えています。
具体的には、オンライン授業で基礎学力・社会性・人間関係・信頼関係を包括的に学べるカリキュラムを構築し、家に居ながらでも社会復帰や自己肯定感の回復が可能です。
こうした仕組みづくりにより、「家から出られない」という壁を徐々に取り払い、子どもたちが自分らしく社会に戻れる環境を整えています。


居場所だけでは「人間の尊厳」は回復できない



“居場所”っていう言葉、すごく大事です。でも居場所だけではダメです。 不登校の子どもたちは、“今の自分で十分”とは思っていないんです。
一般的に“不登校支援=居場所づくり”というイメージがありますが、それだけでは子どもたちの内面にある課題を解決するには不十分です。
たとえば、教育支援センターや学習支援フリースクール、地域のNPOなど、さまざまな「居場所」があります。
これらは安心して過ごせる場所を提供しますが、居心地の良さだけでは、子どもたちが抱える「自分はもっと成長したい」「社会で役に立ちたい」という意欲や自己肯定感までは回復できません。
不登校の子どもたちは、自分の可能性を信じたい、社会で活躍したい、他人に貢献したいという願望を持っています。
このような主体的な意欲を引き出すためには、「教育による“約束された学びの体験”」が必要です。


NIJINアカデミーではこれを「主体の約束」と呼び、子どもたちと一緒に「ありたい自分」を描き、それに向かう学びのカリキュラムを設計しています。
単なる居場所ではなく、成長・自信・社会性を回復させる教育体験を提供することこそが、子どもたちの人間の尊厳を取り戻すために不可欠なのです。
なぜ「会社」でやるのか



不登校支援ならNPOでもいいんじゃないか?って言われます。 でも僕たちは義務教育そのものを変えることを目指しているので、会社という形を選びました。
一般的には、不登校支援や教育支援はNPOやボランティア団体が担うイメージがあります。
確かに、目の前の子どもを助けるだけなら、非営利団体でも可能です。しかし、NIJINアカデミーが目指すのは「一人ひとりの子どもを助けること」に留まりません。
彼らの目標は、日本の義務教育そのものを仕組みから変えることです。
そのためには、持続可能な運営と優秀な人材の確保が必須であり、会社組織としての柔軟性と資金力が求められます。
実際に、会社形態を取ることで以下のようなメリットが生まれています:
- 全国から毎月200名以上の優秀な先生が応募
- 教師としてのキャリアを積みながら、プログラミングやウェブデザインなどビジネススキルも習得可能
- 子ども・先生・家族、全員が幸せになる仕組みを整備


NPOや学校単独では、こうした「教育×ビジネススキル×持続可能な仕組み」の構築は難しく、規模の拡大も限られます。
会社として活動することで、単なる居場所提供ではなく、子どもたちの人間の尊厳を回復し、教育そのものを変える循環を生み出せるのです。
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この記事の内容を確かめるための一次資料
学校以外の学びの場は、この10年で制度が大きく変わりました。いまは「学校復帰だけがゴールではない」というのが国の公式な立場です。選択肢の全体像と、それぞれが制度上どう扱われるかを押さえておくと、進路の話が現実的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」 | 高校に通わずに大学受験資格を得る制度 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 欠席が多いと高校に行けませんか?
A. 行けます。出席日数を選抜に使わない高校は増えており、通信制高校では欠席日数を問わないところがほとんどです。中学校卒業程度認定試験や高等学校卒業程度認定試験という道もあります。
Q. フリースクールに通うと出席扱いになりますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできます。ただし文部科学省の通知では教育支援センター等の公的機関が第一に想定されており、民間施設は「公的機関に通えない場合」に考慮される位置づけです。詳しくは教育支援センターとはをご覧ください。
Q. 費用が心配です
A. 教育支援センターは原則無料です。民間のフリースクールについては、利用料の補助制度を設けている自治体が増えています。就学援助もあわせて教育委員会に確認してください。
Q. 学校に戻ることを目標にしなくていいのですか?
A. はい。文部科学省の通知が「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す」と明記しています。学校復帰は選択肢のひとつであって、唯一のゴールではありません。
Q. 近くに通える場所がありません
A. ①校内の別室、②教育支援センターの訪問型支援、③自宅でのICT学習を出席扱いにする道(別記2)、④オンライン——の順で確認するのが現実的です。地域に選択肢がないことは、家庭の責任ではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
参考にした公的資料
本記事は公開資料と教育現場での実践をもとにした情報提供であり、診断・治療の代わりになるものではありません。(にじいろの編集方針・監修について)
つらい気持ちを今すぐ話したいとき(全国共通・24時間)
24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310
お子さんからでも、保護者の方からでも相談できます。お住まいの地域の教育相談センターにつながります。









